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第四十三話 新たな型
しおりを挟むブラックエンシャントドラゴンは私に向かって黒い炎を吐いてきたのだ。
私は一の型露払いを使用し、黒い炎をかき消した。
私は直ぐに二の型空間斬を使用したのだ。
空間斬は空間を切り、真空波でドラゴンの両手を切り飛ばした。
ドラゴンはそれに気にすることなく、新たな両手を再生させたのだ。
やっぱりか、ブラックエンシャントドラゴンは再生の能力が高すぎるな。
両手を切り飛ばした程度では時間稼ぎぐらいにしかならないな。
知性はそれ程高く無いが首を落とされても心臓を抉り出されても死ぬことが無いため、魔王と同じくらい強い。
そんなことを考えているとドラゴンは尻尾を使って、攻撃してきた。
私は五の型一刀で尻尾の攻撃を受け止め、そのままドラゴンの尻尾を切り落としたのだ。
流石のドラゴンも一旦私から距離を取った。
距離を取ったドラゴンには切り落としたはずの尻尾がもう生えていたのだ。
ドラゴンは構え、私に向かって突進して来た。
私は三の型抜刀を使用し、構えたのだ。
ドラゴンが私に突進する前に私は剣を鞘から抜刀し、ドラゴンを真っ二つにした。
真っ二つにされたドラゴンは少し進んだところで大量の血をばら撒きながら倒れたのだ。
ぴっくりとも動かなかったが数十秒程度で動き出し、真っ二つにされた体を再生させ、1分のしないうちに元どおりになった。
真っ二つにされても1分ぐらいしか時を稼げなかったのに、私は驚きを隠せなかったのだ。
ゲームの中では主人公が危機的の状況に陥った時にしか使えない主人公補正の技があり、それを使用して倒すことが出来る。
だが、私は主人公ではなく、ゲームの中では名前しか出てこない悪役顔のモブだ。
それでも、私はこのドラゴンを倒す必要がある。
両親をアメリアをマリナをエリーゼを確実に守るために。
私は決意を固めて、全ての技術を力を魔法を型を使用し、ドラゴンを倒す。
それから、私の全てをドラゴンにぶつけたが、殺すことは出来なかった。
例え、バラバラにしようが溺死させても殺すことが出来なかったのだ。
ドラゴンを攻撃は躱し、受け流し、打ち消したために私の体には一切の傷がついていなかった。
だが、私もドラゴンに対して打つ手が無くなっていた。
このドラゴンを殺すことが出来なくてこの世界を好きに生きることなど出来るのか?
いや、出来ない。
このドラゴンを倒せない私では好きに生きることが出来ない。
自問自答していると頭の中に何だがわからないが何が流れ込んできた。
私の直感がこの何かはドラゴンを倒すことが出来るものだと分かったのだ。
私は剣を鞘に納め、構えた。
この構えは全ての型とは違い、ただ剣の柄を手握り、立っているだけだ。
ドラゴンは黒い炎を吐き、3つに分け、私の上から、右から、左から来るように攻撃してきた。
そして、ドラゴン自身も私に向けて、突進してきたのだ。
私は四方向からの攻撃を受けてもその構えを解かなかった。
ドラゴンは全ての攻撃が同時に私に向かうようにしており、全ての攻撃が同時に私に向かってきたのだ。
私は全ての攻撃が届く直前に剣を抜いた。
抜いた剣で全てを切り、全ての攻撃は私の後ろに行ったのだ。
一瞬の静寂が訪れ、黒い炎達は搔き消し、ドラゴンは首を落とした。
普通なら再生出来る傷だったがドラゴンはそのまま素材に変わった。
これが零の型、零。
全てを零にする型。
どんな攻撃もどんな魔法もどんな存在も零にする。
この型は六つの型よりも上位互換だ。
だが、この型は無闇には使えないな。
確かにこの型さえあれば、どんなことも斬り捨てられるだろう。
でも、このような力は私の切り札にするべきだ。
それに、この型は戦う相手の今までの鍛錬を否定してしまう恐れがある。
私は正々堂々と戦う相手にこの型を使う気になれない。
もし、使うとしてもそれは私の全てをぶつけても倒せない相手だけだ。
私の宿敵みたいな者だけだ。
もう一度、お前と戦ってみたいと思ってしまう私の我儘だな。
そんなことを考えながら、私は素材を回収して、屋敷に戻った。
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