37 / 77
第三十七話 後始末
しおりを挟む勢いよく開いた扉にはこの国の国王と第1王子と第2王子が怒り心頭の表情を浮かべて、立っていたのだ。
「衛兵、あの愚か者達を直ぐに捕らえろ」
直ぐに愚か者達は衛兵によって、捕らえられた。
捕られられた愚か者達は不当だと言いながら騒ぎ立ていたのだ。
それを無視して、国王と第1王子と第2王子は私達の前まで来た。
「申し訳なかった。愚息と我が国の愚かな貴族が、貴殿に不快な思いをさせてしまい」
そう言い、国王が頭を下げてきたのだ。
それに続けて、第1王子と第2王子も頭を下げた。
周りの人々は国王と王子達が頭を下げたことに驚きで固まってしまったのだ。
「頭をあげて下さい。私には特に危害がありませんでしたから」
「そうゆう訳にいけません。貴殿は、ラバタ王国を正常に戻してくれた英雄だ。そんな方に無礼を働くことは出来ません」
「第2王子殿、クラバタ王国の件は内密にして、欲しいということを報酬にしたので、言わないで欲しかったのですが」
「こ、これは失礼しました。で、ですが、なぜそこまで隠すのですか?」
「それは目立つのが苦手ですから」
この会話を聞いて、周りの人達は驚きで固まってしまったのだ。
私は嫌な予感がしたので、後ろを振り向くとエリーゼが怒った表情を浮かべていた。
「どうゆうことなのかな?レイグ」
そう言い、エリーゼが目が笑っていない笑顔を浮かべていたのだ。
私は後で説明することを伝え、エリーゼをエスコートして会場を後にした。
その後、第3王子と公爵家の子息は廃嫡され、平民に落とされた。
そして、クロバーグ家と私の国に賠償金が払われたのだ。
それと別にクラバタ王国からも追加の報酬をもらうことになってしまった。
実はこの国の第2王子はクラバタ王国の王族に婿に入ることが決まっている。
前々からクラバタ王国の第1王女とヤワサカ王国の第2王子は婚約を結んでいた。
元々は第1王女が第2王子に嫁ぐ予定だったが、後継者が第1王女以外居なくなってしまったので婿入りすることになったのだ。
今回の追加報酬は謝罪の意味と更なる報酬だ。
面目を潰してしまうため、報酬を受け取らなければいけなかった。
留学は生徒の安全を脅かす危険があるため、直ぐに帰ることになったのだ。
今後、留学が行われない可能性があったが両国の話し合いの結果、条件付きで留学を続けられることになった。
エリーゼには帰りの馬車の中で説明をした。
勿論、クラバタ王国の件は学院長の依頼であることを伝えた。
後、断れないことだったとも伝えた。
私の説明をし終えるとエリーゼは私の手を握って来たのだ。
「ねぇ、レイグ。僕はレイグに危険なことをして欲しくないの」
そう言い、エリーゼは下を向いた。
「ぼ、僕はレ、レイグのことがす、好きだから、す、凄く、し、心配なの」
そう言い、エリーゼは顔を上げたが、その顔は赤くしながら、心配そうな表情を浮かべていた。
私はそんなエリーゼを抱きしめたのだ。
「大丈夫だよ、エリーゼ。私は何処にもいかないから」
エリーゼは私を抱き返してくれた。
「あ、ありがとう、レイグ」
貴族学院に到着するまで、私達の間には和やかな雰囲気が流れていた。
貴族学院に到着すると留学に行っていた生徒達の家族が私達のことを待っていたのだ。
勿論、私とエリーゼの家族も待っていた。
どうやら、ヤワサカ王国のことを聞いたらしい。
私は父上と母上と妹にエリーゼは家族に心配された。
留学から帰るとそのまま長期休暇だったので、エリーゼはエリーゼの家族と私は私の家族と自分の領地の屋敷に帰ったのだ。
1
お気に入りに追加
383
あなたにおすすめの小説
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
ゲームの中に転生したのに、森に捨てられてしまいました
竹桜
ファンタジー
いつもと変わらない日常を過ごしていたが、通り魔に刺され、異世界に転生したのだ。
だが、転生したのはゲームの主人公ではなく、ゲームの舞台となる隣国の伯爵家の長男だった。
そのことを前向きに考えていたが、森に捨てられてしまったのだ。
これは異世界に転生した主人公が生きるために成長する物語だ。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活
mio
ファンタジー
なんやかんや、無理矢理あいつに異世界へと連れていかれました。
こうなったら仕方ない。とにかく、平和に楽しく暮らしていこう。
なぜ、少女は異世界へと連れてこられたのか。
自分の中に眠る力とは何なのか。
その答えを知った時少女は、ある決断をする。
長い間更新をさぼってしまってすいませんでした!
その幼女、最強にして最恐なり~転生したら幼女な俺は異世界で生きてく~
たま(恥晒)
ファンタジー
※作者都合により打ち切りとさせて頂きました。新作12/1より!!
猫刄 紅羽
年齢:18
性別:男
身長:146cm
容姿:幼女
声変わり:まだ
利き手:左
死因:神のミス
神のミス(うっかり)で死んだ紅羽は、チートを携えてファンタジー世界に転生する事に。
しかしながら、またもや今度は違う神のミス(ミス?)で転生後は正真正銘の幼女(超絶可愛い ※見た目はほぼ変わってない)になる。
更に転生した世界は1度国々が発展し過ぎて滅んだ世界で!?
そんな世界で紅羽はどう過ごして行くのか...
的な感じです。
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる