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第三十六話 夜会

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 ヤワサカ王国に来てから6日間が経った。

 今日は夜会が開かれる。

 私はきちんとした服装に身を包んでいる。

 エリーゼは私が送ったシンプルな造りの緑色のドレスと私が初デートの時にプレゼントとした首飾りをつけている。

 前からも可愛かったエリーゼはここ最近更に可愛くなった。

 私がエリーゼのことを好きだからということもあるが、最高の品質の化粧品を使用し、肌のケアをしているので可愛くなったのだ。

 エリーゼはゲームの中よりも可愛くなっており、他のヒロインよりも可愛くなっている。

 私はそんなエリーゼをエスコートしながら、会場の中に入った。

 私達が会場に入ると2つの視線を感じたのだ。

 エリーゼのことを好意的に見る視線と私を怖がる視線を。

 私はエリーゼが言い寄られ無いようにエリーゼの隣にい続けた。

 私がいたお陰かで人が近づくことが無かったのだ。

 そんな中、1人の男が近づいて来た。

 その男は15くらいの貴族だったのだ。

 「おい、お前。俺の婚約者にしてやる」

 「失礼ですが、彼女は私の婚約者です。ですから、そんなことは出来ませんよ」

 「お前はバカか?私はこの国の公爵家の長男だ。いずれ、公爵になる男だ。お前なんかよりも偉いんだぞ」

 「いくら、公爵家の長男の方でも他国の貴族の子息の婚約者を奪うというのは無理だと思いますよ」

 「お前は他国の人間だから、知らないと思うが、俺は第3王子の親友だ。だから、許されるだよ」

 そう言い、男は勝ち誇った表情を浮かべたのだ。

 「私はクロバーグ侯爵家の長男ですよ」

 「それがどうした?たかが、俺の国と近いだけの領主の息子だけでは無いか?俺の方が偉いから、渡せ」

 その言葉を聞き、周りの人達は驚きの表情を浮かべた。

 私も驚いた。

 それもそうだ、クロバーグ侯爵家は私の国とこの国の関係を改善した人物だ。

 この国の人にとって父上は英雄的な存在だ。

 私も怒りの感情が芽生えた。

 私の大切で好きな婚約者のエリーゼを奪おうとして、もの扱いするなんて許せる訳がない。

 怒りに体が支配し始めると同時に私達に近づいてきた男がいたのだ。

 それはこの国の第3王子だった。

 「おい、お前、私の親友が望んでいるのだ。早く望みに答えろ。クロバーグ侯爵家か、何かか知らないが、どうせ大したことがない家だろ。私達の方が優秀だから貰ってやるよ」

 私はその言葉を聞き、この国との関係を切ることを父上に話した方が良いと心の底から感じた。

 こんな非常識な高位貴族と非常識な王族がいる国とはな。

 私はエリーゼを守るためにエリーゼの前に出た。

 「早く望みに答えれば、良いものを。衛兵、この者を地下牢に」

 その言葉を聞き、周りの人達は驚きで固まってしまった。

 それもそうだ。

 この国に友好のために留学している学生を捕まえると言っているのだから。

 しかも、英雄の息子に。

 衛兵が近づく中、私は戦闘態勢を取ろうとすると扉が勢いよく開いたのだ。

 
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