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第二十九話 主人公との対話
しおりを挟む後期も終わりに近づく頃に私は屋上に来ていた。
時刻的に屋上からは低くなった陽が見えた。
何故、私がここに来たのかというとある人物に呼ばれているからだ。
屋上のドアが開き、私を呼び出した人が現れた。
「待たせてすみません」
「大丈夫ですよ。レック殿」
私を呼び出したのは主人公のレックだった。
「レイグさん、最初に会った時のことはすいませんでした。エリーゼさんとのやり取りを見ていて、レイグさんは悪役じゃないことを知りました」
「気にしないでください。私の顔は初対面ではいつも悪役と思われますから」
「ありがとうございます。1ついいですか?レイグさん?」
「大丈夫ですよ」
「ありがとうございます。何故、レイグさんはそんなに強いのですか?僕も努力しているのに、レイグさんとはどんどんと離されていくのが強く感じる。何故、何ですか?」
「失礼ですが、しっかりと努力しましたか?」
「しましたよ。一生懸命、努力しました」
「そうですか。では素振りをしていたら朝を迎えたことは?魔法で枯れたため池をいっぱいにしたことは?血反吐を吐いて倒れるまで鍛錬したことは?宿敵と呼べるような敵と戦ったことはありますか?」
「そ、そんなこと、あるわけ無いだろ」
そう言い、主人公は信じられないような表情を浮かべていたのだ。
「そうですか。でしたら、それは一生懸命ではありません。厳しいことを言いますけど、私はその程度の努力は努力と呼びません。そして、その程度の努力は普通なのです。私は先程例に挙げた努力は8歳の頃から始めました。そして、レック殿と同じ程度の努力は5歳の頃から始めていましたよ」
「な、何で、そこまでの努力を?」
そう言い、主人公は信じられないような表情を浮かべていたのだ。
「簡単なことですよ。私が大切だと思っている人達を守る為ですよ。私の家族を私の婚約者を守るために努力したのです」
「も、もし、魔王が復活しなかったら、レイグさんの努力は無駄になるのに何で?」
「無駄にはなりませんよ。力が無いものには選択する権利すらありません。ですから、私は守るという選択肢を増やすために、力をつけたのです。だから、無駄にならないのです」
その言葉が信じられなかったのか、主人公は信じられないような表情を浮かべながら、固まってしまった。
主人公とそれなりに話し込んでいたので、陽が沈み掛けていたので、
「私は、これで失礼しますね。もう一度、よく考えた方がいいですよ」
そう言い残し、私はエリーゼがいる教室に向かったのだ。
その後は、エリーゼと一緒に帰った。
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