悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜

文字の大きさ
上 下
14 / 77

第十四話 お茶会

しおりを挟む

 エリーゼと仮の婚約者になった私はエリーゼからの信用に得ることにした。

 一週間に一度、エリーゼと私でお茶会をすることにしたのだ。

 クロバーグ家の領地とアルクーバ家の領地は1日で行き行き出来るので、一週間に一度のお茶会が可能だ。

 そして、今日は婚約してから初めてのお茶会の日だ。

 今日は天気もいいので、庭の東屋でお茶会をすることにした。

 私とエリーゼは席に座り、紅茶を出した使用人は席を外した。

 「えっと、思い出したことがあったんだけど。レイグ、なんで、あの時壁になっていたの?」

 「ああ、あれは私が挨拶しようとすると避けられて、なんなら少し泣いてる子までいたから迷惑にならないように壁になっていたんだ。まぁ、この悪役顔は怖いと思うからね」
  
 「まぁ、僕も最初は少し怖かったよ。でも、今は怖く無いよ。だって、レイグは凄く優しいからね。答えづらいなら大丈夫だけど、レイグは今友人いるの?」

 「今は、いないよ」

 「えっ、居ないの?それで大丈夫なの?」

 「大丈夫だよ。幼い頃は父上も友人が居なかったらしい。でも、今は父上は友人が数多くいるから。父上曰く、クロバーグ家は成人してから友人が出来るらしい」

 「そ、そうなんだ。あ、もしかして、お父様も友人なのかな?」

 「うん、エリーゼのお父様も父上と友人らしいよ。だから、婚約の話が結構早く進んでいたらしい」

 「婚約?えっと、もしかして、婚約の話はレイグから言ったの?」

 「うん、そうだよ。9歳の頃に父上にやんわりと伝えていたんだ。そして、父上がそれを汲み取ってくれて、婚約の話を進めてくれたんだ」

 「そ、そうなんだ。ずっと、気になっていたんだけどなんで8歳の時に婚約しなかったの?」

 「それは私がまだエリーゼと釣り合わないと思ったから」

 「釣り合わない?レイグが僕に?そ、そんなことは無いよ。レイグは顔は少し怖かったけど、とても優しくて、気遣いも出来る良い人だよ。僕なんかよりも良い人だよ」

 「褒めてくれてありがとう、エリーゼ。でも、私自身がまだ釣り合わないと感じていたんだ。だから、釣り合う努力をして婚約を切り出したんだ。それが今だったということだ」

 「ぼ、僕のためにそこまで、あ、ありがと、レイグ」

 そう言い、エリーゼははにかんだ笑顔を浮かべてくれた。

 その後、私はエリーゼとの会話を楽しんだ。

 1週間前には見ることが出来なかった笑顔を何度か見ることが出来た。

 私はエリーゼの笑顔とはにかんだ笑顔を見れたことを嬉しく思いながら、屋敷に帰ったのだ。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

処理中です...