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第七話 手負いのオーガ
しおりを挟む探索者登録してから1ヶ月が経った。
私はしっかりと下調べをして、魔物を倒す力を持っているので、どんどん探索出来るダンジョンを増やすことが出来たのだ。
冒険者ギルドの中では期待の新人として注目されている。
まぁ、魔物を並みの冒険者より倒し、採取してくる物も品質も良いからだ。
今日はこの国の中でもニ番目に階層が深いダンジョンに来ている。
このダンジョンはゲームの中でもレベリングでよく潜っていた場所なので結構詳しい。
1番取りやすく売れる薬草は20階層にある。
そこまで出て来た魔物を狩りながら、20階層に向かった。
20階層に着いた私は薬草の採取を始めた。
ここは20階層なので大体10分に一度くらいは魔物の襲撃がある。
基本的にはコボルトが6体襲撃してくる。
たまに、コボルトが10体襲撃してくることもある。
コボルトは槍を持っているが遠距離攻撃をすることが出来ないので気配を感じ取り、魔法で倒している。
倒したコボルトの素材を拾い、薬草の知識採取を繰り返し行った。
そろそろ帰ろかなと思っていると後ろから大きい気配だが、何故か弱弱しくもある気配を感じたのだ。
その気配を感じ取った私は剣を抜き、戦闘態勢を取った。
戦闘態勢を取り終えるとここにいるはずがない、オーガが現れた。
オーガは40階層から出て来る魔物だ。
現れたオーガは私の姿を見て、大きな咆哮を吠えた。
オーガは右手に持っている斧を私に向かって、振り下ろして来た。
私はその斧を避け、ウォーターカッターを5回唱えたのだ。
5個のウォーターカッターはオーガの体を切り裂くのだった。
だが、オーガの体は硬く、皮膚が少し切れたくらいだ。
オーガは皮膚が切れたことを気にせずに、私に向かって、再び斧を振り下ろして来た。
私は剣で振り下ろして来た斧を受け流し、地面に突き立てさせた。
オーガは自分の斧が地面に突き立てさせられたことに驚き、隙を生んでしまった。
私はその隙を見逃さず、剣でオーガの右肩から左腹に掛けて、大きな切り傷をつけたのだ。
オーガは私に切られて、斧を手から落とし、仰向けに倒れた。
倒れたオーガの体からは青い色の血が流れ出ていたのだ。
結構大きい傷をつけたと思っていたがまだ死んでいないことに驚きを隠せなかった。
普通のオーガならあの傷でもう死んでいる。
そんなことを考えているとオーガから私が付けた傷以外から青い血が流れていることに気が付いた。
オーガは仰向けに倒れているので正確の傷の位置は分からないが、背中に傷があると考えることが出来たのだ。
そのオーガは虫の息だが、私のことを睨んでいた。
私はそのオーガを見逃すことにした。
見逃す理由は特に無い。
ただの気分だ。
そう考えた私は剣を鞘にしまい、オーガから背を向けた。
オーガは後ろから何かを言ってきたのだ。
私にはオーガが言っている言葉は分からないが言っていることは大体理解出来る。
オーガは自分のことを殺せ、慈悲をかけるなと来ていると。
私は言っていることを理解しているが後ろを振り向くことなく、20階層から出た。
そのまま、冒険者ギルドに帰り、採取した薬草とコボルトの素材を売り、屋敷の中に帰ったのだ。
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