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第二話 妹の誕生
しおりを挟む僕がこの世界に来てから約3年が経ち、私は3歳になっていた。
「父上、母上のことは大丈夫ですよ。僕みたいに、ちゃんと生まれますよ」
父上に私はそう声を掛けた。
私はまだ3歳なので、一人称を僕にしている。
10歳ぐらいになったら、一人称を私に戻そうと思っている。
「そうだな。妻ならば、大丈夫だな。それにしても、レイグは落ち着いているな?」
「母上なら大丈夫だと信じていますから」
「そうか、確かに大丈夫だな」
そう言い、父上はお決まりの悪役の笑い方で笑い始めたのだ。
ちなみに、私の名前はレイグ・クロバーグでクロバーグ侯爵家の長男として生まれた。
今は母上が出産しているところだ。
私と父上は赤ちゃんが生まれるまで別室で待機していた。
そんなことを話しているとメイドが私達が待機している部屋の中には入って来たのだ。
「旦那様、お坊っちゃま。お子様がお生まれになりました」
その言葉を聞き、私と父上は母上がいる部屋に直ぐに向かった。
私達が部屋に到着すると母上がベットの中で生まれた子であろう子供を抱っこしていた。
私達は直ぐに母上のベットに近寄ったのだ。
「母上、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。レイグ、あなたは優しいのね」
「母上が優しく僕を育ててくれましたから」
「それは嬉しいわ。レイグ、この子はあなたの妹になる子よ。だから、抱っこしてあげて」
そう言い、母上は私に妹を渡して来た。
僕は妹を受け取り、抱っこしたのだ。
妹は両親と私みたいに悪役顔をしていなかった。
そして、とても可愛らしい顔をしていたのだ。
ちなみに、僕の容姿は父上と同じ黒い髪、赤色の瞳で幼いながら、顔が整っており、悪役顔をしている。
そして、妹は母上と同じ、薄紫色の髪で、紺色の瞳をしている。
そんなことを考えていると妹が小さい手で僕の人差し指を掴んできたのだ。
そして、私の手を掴みながら、妹は笑った。
その笑い方は天使そのものだった。
この子は可愛すぎる。
保護欲を掻き立てた。
「父上、母上、この子の名前はどう名付けるのですか?」
「この子はアメリアだ。アメリア・クロバーグ家の長女だ」
「アメリアですか。この子にぴったりな名前ですね。これから、よろしくね。アメリア」
そう言い、僕はアメリアに笑顔を向けたのだ。
アメリアはそんな僕に笑い返してくれた。
今日、私は可愛すぎて、保護欲が掻き立てられる妹が出来た。
この時、僕はアメリアにとって良い兄で居ようと誓ったのだ。
アメリアの小さい手を握りながら。
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