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第二十四話 元家族

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 その後、私は略奪の召喚士を殺したと報告した。

 死体は無いとも。

 ドラゴンを倒し、吸血鬼を倒し、王都を取り囲んだ元凶の略奪の召喚士を倒した私は英雄の称号を得た。

 貴族の位という話もあったが、断った。

 今更あんな世界に戻りたくない。

 だが、パレードと祝賀パーティーは参加することになった。

 準備とかがあったため、パレードは2週間後だった。

 パレードには聖歌を歌ったエーカとリニスも参加することになった。

 私は正装に見を包み、エーカとリニスはドレスに身を包んでいた。

 エーカは聖歌を歌った時の真っ白なドレスに身を包んでいたが、リニスのドレスはサーワリ侯爵がプレゼントとしたものだ。

 避難してからリニスは週に2日ぐらいサーワリ侯爵に行くようになった。

 その時にプレゼントされたみたいだ。

 そして、リニスは今までの18年分の誕生日プレゼントを貰ったようだ。

 どうやら、毎年購入して、ずっと取っていたようだ。

 その中には卒業を祝うための物も含まれていた。

 リニスは少し引きながらも全て受けとっていた。

 これだけ愛されていたのかと思いながら。

 パレードも終わり、祝賀パーティーに移動した。
 
 私達が会場に入ると、会場の中の視線が私達に集まった。

 集まるよな。

 英雄の称号を得た私と聖歌を歌った歌姫のエーカとサーワリ侯爵の愛娘のリニスがいるからな。

 祝賀パーティーが始まると私達は貴族達の対応に追われた。

 歌姫のファンも多く、エーカはお祝いの品などを贈られていた。

 ある程度対応し終えると、エーカとリニスの飲み物をとるために2人の元の離れると、久し振りに聞いた声が聞こえた。

 「あ、兄上」

 私は溜息をつきながら、後ろを向いた。

 後ろにはすっかり自信を無くした元弟と少し窶れた元両親がいた。

 着ていた服はそこまで豪華ではなく、控えめだった。

 とても侯爵家が着るような服では無かった。

 「私は貴方の兄上ではありません。絶縁したのは貴方達だ。つまり、自業自得だ。今更だということですよ」

 私は背を向け、この場を後にした。

 元実家の者達は何かを騒いでいたが、全て聞き流した。

 私が2人の飲み物を取る頃には聞こえなくなっていた。

 出口の方に視線をやると、衛兵達に連行されている元実家の者達の姿があった。

 元実家は代々魔物を継承していた。

 全て逃げてしまった為、今後優秀な召喚士を排出することは出来ないだろう。

 恐らく、これからは没落の一途を辿るだろう。

 まぁ、私には関係ないことだ。

 既に切れている縁だからな。

 そんなことを思いながら、2人の方に向かっていると、リニスの声が聞こえてきた。

 「や、やめてくれ。こんなところで頭を下げないでくれ」

 何事かと思い直ぐにリニスのところ向かうと、サーワリ侯爵とリニスの兄がリニスに頭を下げていた。

 リニスは頭を上げてくれと言っていたが、サーワリ侯爵達はやめなかった。

 「わ、分かった。やればいいのだろ」
 
 リニスは恥ずかしいのか顔を赤くしながら、サーワリ侯爵とリニスの兄の方を向いた。

 「お、お父様、お、お兄様」

 お父様とお兄様と呼ばれたサーワリ侯爵家の者達はリニスを抱き締めた。

 もう2度と離さないように。

 「や、やめてくれ。僕を抱きしめないでくれ」

 私とエーカが微笑ましくエーカを見ていると、リニスが私達に気が付いた。

 「そこで見てないで助けてくれ、タリー君、エーカ君」

 私達は首を横に振り、視線で諦めてと伝えた。

 「そ、そんな」

 リニスは絶望の表情を浮べていた。

 それからサーワリ侯爵達は私達が離すまでリニスを抱き締め続けた。

 パレードと祝賀パーティーは成功に終わった。

 ちなみに、カリスは責任者のところで働いて貰っている。

 顔バレしてないので、何も問題無いだろう。

 スムにはエーカが人型のことを教えている。

 今までは、2人で幸せに暮らしている。
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