無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜

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第十九話 配信

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 あれから1ヶ月が経った。

 私は借り家の契約をきり、王都の郊外に家を購入した。

 この家には風呂も庭もついている。

 そして、防音室を作った。

 この防音室はエーカの為だ。

 歌姫としての仕事を辞めたが、また歌で稼ぐのだ。

 方法としては配信だ。

 魔法具で歌っている姿を配信しながら、責任者が準備してくれた会場で魔法具に映し出すのだ。

 それで、会場のチケット代の一部とチップがエーカの元に入るのだ。

 そして、今日が初めての配信なのだ。

 そんなことを思いながらリビングでリニスといるとエーカが入ってきた。

 黄緑色のドレスに着替えてから化粧をしたエーカが私達に近づいてきた。

 「タリー、リニス。私、配信してくる。見てね」

 「勿論だ、エーカ」
 
 「タリー君と一緒に見てるよ。頑張って、エーカ君」
 
 「ん」

 エーカは防音室に向かった。

 私達はある魔法具を起動した。

 すると、壁一面に映像が映し出された。

 その映像はまだ真っ暗で何も映って無かった。

 少しすると映像が映り始めた。

 その映像にはエーカが映し出されていた。

 「皆、久し振り。大舞台以来」

 この魔法具は本来は配信を流す為の会場用なのだ。

 エーカの配信を家からでも見れるように責任者から貰ったのだ。

 「これから1時間ぐらい歌う。暫くしたら、歌のリクエストとか募集して、応える」

 エーカは胸の辺りで両手を握りしめた。

 「今日は初めてだから、好きな歌を歌う。少し短いけど楽しんで」

 エーカは目を閉じ、歌い始めた。

 美しい歌声で。

 エーカが個人的に好きな歌を1時間ぐらい歌った。

 「1時間経ったから、今日は終わり。これからは1週間に3回ぐらい配信する」

 エーカは小さく手を振った。

 「バイバイ」

 映像がまた真っ暗になり、配信が終わった。

 配信が終わってから30分ぐらいすると、ドレスを脱ぎ化粧を落とし、ラフな格好をしたエーカが入ってきた。

 「終わった、タリー、リニス。どうだった?」

 エーカは可愛らしく首を傾げていた。

 「とても良かったよ」

 「タリー君の言う通りだ。本当に素晴らしかった」

 「ん。ありがとう、タリー、リニス」

 エーカは本当に嬉しそうに微笑んだ。

 それからエーカは1週間に3日間配信するようになった。

 する日は昼と夜にやっている。

 エーカの配信は成功をおさめたのだ。

 ちなみに私の元実家は社交界から追放されたみたいだ。

 サーワリ侯爵家の怒りをかったからだ。

 サーワリ侯爵家は全ての力を使って、元実家を追い込めようとしたが、国王陛下に止められたみたいだ。

 まぁ、サーワリ侯爵家は更に王家に不信感を抱くようになったみたいだが。

 私の元実家は優秀な召喚士を歴代排出してるから、王家としては失いたく無いだろうな。

 でも、召喚士を排出するだけの侯爵家になったな。

 元弟は公爵家に匹敵するとか言っていたが、侯爵家の中、いや、伯爵家ぐらいの権力しか無くなった。

 
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