無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜

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第十四話 告白

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 吸血鬼を倒し、借り家に帰還した。

 帰還すると昼過ぎだった。

 その日、私はこの家から離れることは無かった。

 エーカと先輩を守るためだ。

 エーカと先輩の間には妙な距離があったが、気にしなかった。

 その日の夜はエーカと先輩はエーカの部屋に直ぐに行ってしまった。

 どうやら女子会をしたいみたいだ。

 なら、準備を始めよう。

 私は自室に戻り、魔法袋から2種類の宝石を取り出した。

 その2種類は黒色の宝石と緑色の宝石だった。

 確認した後、宝石を魔法袋に仕舞い、自室の明かりを消してから、窓を開けた。

 私は窓から身を乗り出した。

 早く行くか。

 「シュタイフェ・ブリーゼ」
 
 私の体を風に包まれ、目的地に1秒も掛からず到着した。

 目的地には1つの工房があった。

 工房には明かりが灯っていて、金属を叩く音が鳴り響いている。

 良かった、起きている。

 「少しいいか、ゴーカ」

 「あん?なんだ、タリーじゃねか。久し振りだな」

 「ああ、久し振りだな」

 「で、何のようだ?」

 私は魔法袋から2種類の宝石を取り出した。

 「この2種類の宝石を使って、ネックレスを作って欲しい」

 「それは別に構わないが。見た感じいい宝石をネックレスにして、誰に送るんだ?」

 「私が好意を抱いている2人にだ」

 ゴーカはニヤリと笑った。

 「そうか。好意を抱いている2人か。もし、告白が成功したら、酒を飲みながら教えてくれよ」

 「勿論だ、ゴーカ」

 「朝までには完成させるからな」

 「ありがとう」

 私は工房を出て、借り家に帰った。

 借り家に到着すると、エーカと先輩の声が聞こえてくる。

 まだ話しているみたいだ。

 私は明日朝早くにゴーカのところに向かわないといけないからだ。

 昔、世界中を旅しているときにゴーカと出会った。

 ちなみにその時にエーカと契約した。

 元実家のときに私が居ようが居まいがどうでもいいから気楽に旅が出来た。

 それだけが、元実家でいて良かったことだ。

 そんなことを考えていると、私は眠りについた。

 私が起きたのは朝日が登り始めた時間だった。

 私は身支度を整え、直ぐにゴーカのところに向かった。

 無事に到着し、工房の中に入ると、ゴーカが私の方を既に向いていた。

 「来たか、タリー。お望みの物は出来上がっているぞ」

 ゴーカは右手の親指で机の方に指さした。

 「ありがとう、ゴーカ」

 私はそれを受け取り、家に帰った。

 その日は何事もなく過ごし、夜をむかえた。

 今日は満月だ。

 告白にはもってこいだ。

 「エーカ、先輩。少し時間いいか?」

 「ん」

 「大丈夫だ、後輩君」

 「少し伝えたいことがあるので、庭に来てくれませんか?」

 2人は頷いて答えてくれた。

 私はエーカと先輩と一緒に庭に移動した。

 整理された庭と私達を満月が照らしている。

 エーカの美しい黄緑色の髪と先輩の黒色の髪も照らされている。

 美しく。

 私は片膝をついた。

 2人は驚きの表情を浮べていた。

 「な、何をしているのだ?後輩君」

 「少し謝りたいことがありまして」

 私は頭を下げた。

 「エーカ、先輩。私は鈍かったのだ」

 「何が?」

 「自身の気持ちに」

 私は2人の方を向いた。

 「エーカと先輩のことが好きだと」

 エーカと先輩は顔を少し赤くした。

 私は右手を左胸に置き、2人の目をしっかり見た。

 「吸血鬼に攫われて自身の気持ちに気が付いた。そんな鈍い私でも受け入れてくれるなら、この手を取って欲しい」

 私はエーカの方に右手を先輩の方に左手を伸ばした。

 「主、ううん、タリー」

 「後輩君、いや、タリー君」

 2人は私の目をしっかりと見て来た。

 「受け入れる」

 「勿論、受け入れさせて貰う」

 2人は私の手を取ってくれた。

 「ありがとう、エーカ、先輩、いや、リニス」

 私は立ち上がり、懐に手を入れた。

 「実はプレゼントがあるんだ」

 私は2人の瞳の色のネックレスを出した。

 2人は後ろを向いて、顔をだけをこちらに向けた。

 その顔には期待の表情を浮べていた。

 つけてくれということか。

 私は2人の首にそれぞれの瞳の色のネックレスをつけた。

 ネックレスをつけた2人は私の方を向き直した。

 エーカはネックレスを握りしめながら。

 「ありがとう、タリー。私、嬉しい」

 リニスはネックレスを右手に持ち、私の方に見せながら。

 「ありがとう、タリー君。こんなプレゼントがあるなんて、驚いたよ。とても嬉しいよ」

 エーカとリニスは空に浮かんでいる満月よりも美しい笑顔を浮べた。

 私は思わず見惚れてしまった。

 
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