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二度目の帰還
48 久しぶりのクエスト(2)
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◆登場人物紹介(既出のみ)
・リリアン…主人公。前世の記憶を持つ、黒毛の狼獣人の少女。ニールの家に仮居候中。
・デニス…王都シルディスの西の冒険者ギルドに所属する、Aランクの先輩冒険者
・ニール…冒険者見習いとして活動している自称貴族の少年
・アラン…騎士団に所属しながら、ニールの「冒険者の先生」をしているBランク冒険者
・マーニャ…エルフでBランクの魔法使い。美人で酒に強い。
====================
鋭い爪を向けて襲い掛かってくるグリフォンを避けながら、新しい剣を振るうと驚くほど軽く切れた。鍛冶屋のオヤジさんの腕前の凄さに、改めて心が震えた。リリアンが装備しているのも、同じオヤジさんの作った新しい鉤爪だ。
ニールは弓を使うらしい。アランの判断だろう。ニールには遠距離で攻撃してもらう方が心配が少なくて済むので有難い。
マーニャの魔法で水の矢が飛び、グリフォンが体勢を崩して高度が下がる。そのグリフォンにアランが飛びかかるのが見えた。
もう1頭のグリフォンがそれを助けようと向きを変えた。まずい!
その瞬間、リリアンが高く飛び上がる。って、なんだあの高さは?
一瞬だが、空中の見えない足場で踏み込んだように見えた。器用に空中で向きを変え、グリフォンの上から叩きつけるように、翼の付け根を狙い攻撃を加える。
グリフォンとリリアンが落ちてくる様子に、見覚えがあった。
……あの時の、ワイバーン狩りの光景だ。
地面に落ちる瞬間にリリアンは跳ね退き、器用に体を転がして起き上がって攻撃態勢を取った。
対するグリフォンは不器用に落ちたので、身を起こせずにもがいている。
地上戦であれば、こちらに分がある。
ちらと見ると、あちらの1頭は片羽根を潰せた様で、あれならもう時間の問題だろう。
こちらのグリフォンの羽根を狙い、剣の切っ先を向けた。
* * *
「俺、グリフォン倒しちゃったよー!」
ニールは帰り道からこっち、ずっと興奮冷めやらぬ様子で、夕飯の席でも未だに落ち着かない。
「まあ、気持ちは判るなあ」
そう言ってデニスさんもニコニコしている。
出掛けにはデニスさんの反対を押し切って、無理を言って付いて行ったので、機嫌を悪くしていたらどうしようかとちょっと心配していたが、もう大丈夫のようだ。
ちなみにグリフォンも肉が美味しく頂ける。1頭分はギルドで買い取ってもらってメンバーで山分けに。もう1頭分はここ『樫の木亭』に持ち込んだ。
グリフォンはお定まりの串焼きになって、今日のおススメメニューに加わった。昨日のヤマモモ酒に続き、変わった料理が続けて振る舞われ、常連客の皆さんにも喜んでもらえているようだ。
今日のクエストの話に花を咲かせながら夕飯を終えると、ニールは手伝いをしに厨房に向かった。串焼肉を配膳しながら、常連客に武勇伝でも披露したいのだろう。
テーブルの向かい側では、アランさんとマーニャさんが酒談議に花を咲かせている。
私はヤマモモのジュースを飲みながら、隣に座ったデニスさんの話を聞いていた。
デニスさんは、ゴードンの鍛えた剣がいたく気に入ったらしい。
「お前に連れてってもらって、本当に良かった」
と、機嫌良くエールを飲み干した。
「ゴードンさんも、まだまだやる気ありそうだったし、今度アランさんやニールにも紹介したらどうかなあ?」
そう言うと、空のジョッキも置かずに少し首を傾げた。
「……どうやってあそこまで連れて行くつもりだ?」
見ると、少し心配そうな顔をしている。どうしたんだろう?
デニスさんはジョッキを置くと、そっと私の耳元に口を寄せて、言い難そうに小声で訊いた。
「ニールを乗せるのか……?」
そうか、私が普通に人を乗せはしないと言ったので、気にしてくれたのだろう。確かにアランさんはともかく、ニールは調子にのってしまいそうだしね。
「あれはやらないですよ」
そう答えると、デニスさんはあからさまに安心したような顔を見せた。
それにもう他の方法で行けるから、わざわざ狼の姿で駆けて行かなくてもいいしね。
「そうそう。明日は部屋を探しに行こうと思ってるんですけど、デニスさんはお時間ありますか?」
「ああ、用事はないから大丈夫だ」
「じゃあ、お昼食べた後でデニスさんの部屋にお迎えに行きますねー」
そう言うと、何故かデニスさんは私の頭をわしわしと撫でた。
「なんですかー?」
そう聞いても、ただご機嫌そうに私の頭を撫でている。
今日は機嫌も良いし不安そうにもしていないから、まあ良いか。どうやら少し顔が赤いようだし、酔っているんだろうなあ。
「お水、貰ってきますねー」
そう言って立ち上がると、デニスさんは何故か少し残念そうな顔をした。
厨房から水を持って戻ると、デニスさんは机に突っ伏して寝てしまっていた。今日はちょっと飲み過ぎじゃないかなあとは思っていたのよね。
「彼、なんだかご機嫌だったみたいね」
その声にテーブルの向かいを見ると、アランさんも潰れてしまっている。
「女同士でお話しましょ」
そう言ってマーニャさんがジョッキを掲げたので、私もジュースのジョッキを合わせ、二人で笑った。
* * *
やはり彼は有力株だろう。英雄が目をかけただけの事はある。
あとは……できれば、有能な女性の冒険者が居ると良いのだが。惜しいな。
もう一人の彼はまだまだだな。
このままでは、当初の予定通りの者に任せる事になりそうだ。
しかしあの者はどうにも、乱暴過ぎて手に負えなくなる可能性がある。
こちらとしては、もう少し動かしやすい手駒にしたいのだが……
あとは魔法使いがもう一人必要だ。
サマンサを連れ戻せれば良かったのだが、止むを得まい。
まだ時間はある。候補者を育てないと。
どうせなら、とびきり感動的な演出にしようじゃないか。
・リリアン…主人公。前世の記憶を持つ、黒毛の狼獣人の少女。ニールの家に仮居候中。
・デニス…王都シルディスの西の冒険者ギルドに所属する、Aランクの先輩冒険者
・ニール…冒険者見習いとして活動している自称貴族の少年
・アラン…騎士団に所属しながら、ニールの「冒険者の先生」をしているBランク冒険者
・マーニャ…エルフでBランクの魔法使い。美人で酒に強い。
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鋭い爪を向けて襲い掛かってくるグリフォンを避けながら、新しい剣を振るうと驚くほど軽く切れた。鍛冶屋のオヤジさんの腕前の凄さに、改めて心が震えた。リリアンが装備しているのも、同じオヤジさんの作った新しい鉤爪だ。
ニールは弓を使うらしい。アランの判断だろう。ニールには遠距離で攻撃してもらう方が心配が少なくて済むので有難い。
マーニャの魔法で水の矢が飛び、グリフォンが体勢を崩して高度が下がる。そのグリフォンにアランが飛びかかるのが見えた。
もう1頭のグリフォンがそれを助けようと向きを変えた。まずい!
その瞬間、リリアンが高く飛び上がる。って、なんだあの高さは?
一瞬だが、空中の見えない足場で踏み込んだように見えた。器用に空中で向きを変え、グリフォンの上から叩きつけるように、翼の付け根を狙い攻撃を加える。
グリフォンとリリアンが落ちてくる様子に、見覚えがあった。
……あの時の、ワイバーン狩りの光景だ。
地面に落ちる瞬間にリリアンは跳ね退き、器用に体を転がして起き上がって攻撃態勢を取った。
対するグリフォンは不器用に落ちたので、身を起こせずにもがいている。
地上戦であれば、こちらに分がある。
ちらと見ると、あちらの1頭は片羽根を潰せた様で、あれならもう時間の問題だろう。
こちらのグリフォンの羽根を狙い、剣の切っ先を向けた。
* * *
「俺、グリフォン倒しちゃったよー!」
ニールは帰り道からこっち、ずっと興奮冷めやらぬ様子で、夕飯の席でも未だに落ち着かない。
「まあ、気持ちは判るなあ」
そう言ってデニスさんもニコニコしている。
出掛けにはデニスさんの反対を押し切って、無理を言って付いて行ったので、機嫌を悪くしていたらどうしようかとちょっと心配していたが、もう大丈夫のようだ。
ちなみにグリフォンも肉が美味しく頂ける。1頭分はギルドで買い取ってもらってメンバーで山分けに。もう1頭分はここ『樫の木亭』に持ち込んだ。
グリフォンはお定まりの串焼きになって、今日のおススメメニューに加わった。昨日のヤマモモ酒に続き、変わった料理が続けて振る舞われ、常連客の皆さんにも喜んでもらえているようだ。
今日のクエストの話に花を咲かせながら夕飯を終えると、ニールは手伝いをしに厨房に向かった。串焼肉を配膳しながら、常連客に武勇伝でも披露したいのだろう。
テーブルの向かい側では、アランさんとマーニャさんが酒談議に花を咲かせている。
私はヤマモモのジュースを飲みながら、隣に座ったデニスさんの話を聞いていた。
デニスさんは、ゴードンの鍛えた剣がいたく気に入ったらしい。
「お前に連れてってもらって、本当に良かった」
と、機嫌良くエールを飲み干した。
「ゴードンさんも、まだまだやる気ありそうだったし、今度アランさんやニールにも紹介したらどうかなあ?」
そう言うと、空のジョッキも置かずに少し首を傾げた。
「……どうやってあそこまで連れて行くつもりだ?」
見ると、少し心配そうな顔をしている。どうしたんだろう?
デニスさんはジョッキを置くと、そっと私の耳元に口を寄せて、言い難そうに小声で訊いた。
「ニールを乗せるのか……?」
そうか、私が普通に人を乗せはしないと言ったので、気にしてくれたのだろう。確かにアランさんはともかく、ニールは調子にのってしまいそうだしね。
「あれはやらないですよ」
そう答えると、デニスさんはあからさまに安心したような顔を見せた。
それにもう他の方法で行けるから、わざわざ狼の姿で駆けて行かなくてもいいしね。
「そうそう。明日は部屋を探しに行こうと思ってるんですけど、デニスさんはお時間ありますか?」
「ああ、用事はないから大丈夫だ」
「じゃあ、お昼食べた後でデニスさんの部屋にお迎えに行きますねー」
そう言うと、何故かデニスさんは私の頭をわしわしと撫でた。
「なんですかー?」
そう聞いても、ただご機嫌そうに私の頭を撫でている。
今日は機嫌も良いし不安そうにもしていないから、まあ良いか。どうやら少し顔が赤いようだし、酔っているんだろうなあ。
「お水、貰ってきますねー」
そう言って立ち上がると、デニスさんは何故か少し残念そうな顔をした。
厨房から水を持って戻ると、デニスさんは机に突っ伏して寝てしまっていた。今日はちょっと飲み過ぎじゃないかなあとは思っていたのよね。
「彼、なんだかご機嫌だったみたいね」
その声にテーブルの向かいを見ると、アランさんも潰れてしまっている。
「女同士でお話しましょ」
そう言ってマーニャさんがジョッキを掲げたので、私もジュースのジョッキを合わせ、二人で笑った。
* * *
やはり彼は有力株だろう。英雄が目をかけただけの事はある。
あとは……できれば、有能な女性の冒険者が居ると良いのだが。惜しいな。
もう一人の彼はまだまだだな。
このままでは、当初の予定通りの者に任せる事になりそうだ。
しかしあの者はどうにも、乱暴過ぎて手に負えなくなる可能性がある。
こちらとしては、もう少し動かしやすい手駒にしたいのだが……
あとは魔法使いがもう一人必要だ。
サマンサを連れ戻せれば良かったのだが、止むを得まい。
まだ時間はある。候補者を育てないと。
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