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獣人の国
17 黒の森の王/(2)
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◆登場人物紹介(既出のみ)
・リリアン…主人公。前世の記憶を持つ、黒毛の狼獣人の少女。灰狼族と言う銀毛の人狼の一族の出身。前世では冒険者Sランクの人間の剣士だった。
・カイル…リリアンの兄で、灰狼族の若き族長。銀の髪と尾を持つ。
==============================
神殿の奥には大きな祭壇が設えられている。その祭壇の前にキラキラと集まっていた光は、リリアンの姿を認めると長身で黒髪の青年の形へと変わっていった。
「あんな所で声を聞かせるなんて…… 無理をしないで」
寂しそうにも懐かしそうな声で、リリアンが語り掛けた。
ここ本殿ではなく、拝殿で神託を下すというのは普通ではないという意味なのだろう。それどころか神の御体への負担もあると。それだけ、妹との会合を神が求められていたという事だ。
『あれくらいなら、なんて事はないよ。そのお陰で君に会うのに面倒がなかった』
「久しぶり」
リリアンは神の前でようやくその笑顔を見せた。
『15年ぶりだね。僕にとってはほんのわずかな時間だけど、君たちにとってはそうではないのだろう』
そう語る神の赤い瞳も、嬉しそうに柔らかく緩んだように見えた。
「灰狼族の長、カイルです。拝顔の栄を賜り有り難く存じます」
神のもとに駆け寄る妹を見送ると、膝を付き頭を下げた。
『僕はその様な尊敬をうけるほどの者ではないよ。堅苦しい挨拶はやめてほしいなぁ』
なんだろう? 先ほど拝殿で聞いたのと同じ声のはずなのに、雰囲気がまるで違う。まるで友達かなにかに語り掛けているようだ。
確かに、以前にリリアンから前世の話は聞いていたし、自分はそれを信じた。そして彼女は『黒の森の王』に出会い、その力で転生したのだとも聞いた。確かに聞いた。でもその話から想像していたのは、もっと堅苦しく厳かなものだった。
でもこの状況は何かが違う。今、リリアンはせっせとマジックバッグから取り出した大きな敷物を広げ、ふわふわのクッションを三つ車座に置き、真ん中にティーセットを並べようとしている。
それを見る神の顔は、キラキラと期待で輝いているように見えた。
『やあ、こんなの何百年ぶりだろう』
言っている事と見えている様子が、どうにもちぐはぐで何かがおかしい。
何百年ぶりという事は、この御方は何百歳とかの御歳のはずだ。でもリリアンに席を勧められてニコニコと座ろうとしている様子は、まるで友達の家に遊びにでも来た少年の様にも見える。
「ギヴリスの好きなマフィンも焼いてきたよ。その姿で食べられる?」
『本当に? 僕、ずーーっと食べたかったんだ』
「うん、彼女さんのマフィンには及ばないと思うけどね」
『あの話、覚えててくれたんだ? 嬉しいなぁ。そういや君には彼氏は出来たのかい?』
二人の会話に耳を疑った。確かに自分の妹は只者ではないとは思っていたけれど、まさか神と恋バナをする仲だとは……
どうしていいかもわからずに立ち尽くしていると、すっかりクッションの上で足を崩した神がこちらに向けて手招きをした。
『カイル、どうしたの? ほら、君の席はここだよ』
彼はまるで友達の様に、当たり前のように自分の名前を呼んだ。すでにもう一つの席についている妹も、ニコニコとしながらこちらを見上げている。
「うん……」
神の言葉に、「はい」ではなく「うん」と答えてしまった。
この場の空気に負けた事を静かに悟った。
* * *
しばらくは、他愛のない話ばかりしていた。旅の話、美味しいものの話、昔の失敗談。神――ギヴリスでさえ、僕も昔こんな事があってさーなどと当たり前の様に話をしている。
すっかり互いを名前で呼び合っていて、端から見たら仲の良い友人同士の茶会のようだろう。
「そういえばここに来る途中に、ある町の近くで作りかけのダンジョンを見かけたんだけど……」
リリアンが2杯目のお茶を口にしながらそう言った時、ほんのわずかだが二人の雰囲気が変わった事に気付いた。
ダンジョンは魔族によってのみ創造される。今あるダンジョンは、魔族が作った所謂過去の遺物だ。
そして新しくダンジョンが作られるという事は、活動している魔族が居るという事になる。
魔族の活動は、魔王の存在を示唆している。
もしくは魔王の復活が近いのか……
あるいは……
『……15年前、ゼーンは倒されなかったんだよ……』
手にしていたカップを下において、ギヴリスはぽつりと言った。それを聞いたリリアンは、一瞬驚いて。……そして、悔し気に目を伏せた。
『あの時に魔王は倒されず、今は封印されて眠りについている。そのせいで、全てではないが今も活動をしている魔族がいるんだ』
「誰が封印を?」
『……ごめんね。直接的な情報を君たちに伝える事はできないんだ。でも、それを知っている人はまだ生き残っているよ』
生き残っている…… それは、すでに死んだ者もいると言う意味だろう。その言葉にリリアンの顔がさらに歪んだ。
『そのダンジョンを作っている者は、あれは魔族の中でも比較的人間に近い。魔王が封印されていても、眠らずに人の町に紛れているんだろう』
「人の町に……」
『人に化けるとか、元から人と同じ姿をしている魔族も少なくはない。人と同じ姿なら、強い魔力を持っているくらいしか特徴はないしね』
話に聞く事はあっても、実際に魔族を見た事はない。でもギヴリスの物言いは、魔族は危険なものではないと、そう言っている様にも思えた。
「ルイはやっぱり…… あの時に死んでしまったの……?」
しばらく口を閉ざしていたリリアンが、ようやく苦し気に言葉を発した。
『……君たちの世界に、僕が直接手を出す事はできないんだよ。ごめんね……』
その言葉は、否定ではなかった。
「私は…… ルイの事好きだった……」
『うん…… 知っているよ』
本当にごめん…… そう言いながら、黒髪の青年はリリアンの頭を優しく撫でた。黒い耳を垂らした彼女は、いつもよりとても小さく見えた。
『僕がここに居られるのはここまでだ。15年分の神託もそろそろ尽きる』
ギヴリスの言葉に、リリアンが顔を上げる。
『人間の国との境の森に、遥か昔に僕が使っていた庵がある。今の君なら辿り着ける。そこに君の助けになるものがあるだろう。持って行ってくれ』
『そして、ゼーンを倒してくれ』
神の雰囲気を取り戻したギヴリスは、決意の表情のリリアンに向かってそう告げた。
==============================
(メモ)
ダンジョン(#15)
「17 黒の森の王/」→「17 黒の森の王/カイル」
・リリアン…主人公。前世の記憶を持つ、黒毛の狼獣人の少女。灰狼族と言う銀毛の人狼の一族の出身。前世では冒険者Sランクの人間の剣士だった。
・カイル…リリアンの兄で、灰狼族の若き族長。銀の髪と尾を持つ。
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神殿の奥には大きな祭壇が設えられている。その祭壇の前にキラキラと集まっていた光は、リリアンの姿を認めると長身で黒髪の青年の形へと変わっていった。
「あんな所で声を聞かせるなんて…… 無理をしないで」
寂しそうにも懐かしそうな声で、リリアンが語り掛けた。
ここ本殿ではなく、拝殿で神託を下すというのは普通ではないという意味なのだろう。それどころか神の御体への負担もあると。それだけ、妹との会合を神が求められていたという事だ。
『あれくらいなら、なんて事はないよ。そのお陰で君に会うのに面倒がなかった』
「久しぶり」
リリアンは神の前でようやくその笑顔を見せた。
『15年ぶりだね。僕にとってはほんのわずかな時間だけど、君たちにとってはそうではないのだろう』
そう語る神の赤い瞳も、嬉しそうに柔らかく緩んだように見えた。
「灰狼族の長、カイルです。拝顔の栄を賜り有り難く存じます」
神のもとに駆け寄る妹を見送ると、膝を付き頭を下げた。
『僕はその様な尊敬をうけるほどの者ではないよ。堅苦しい挨拶はやめてほしいなぁ』
なんだろう? 先ほど拝殿で聞いたのと同じ声のはずなのに、雰囲気がまるで違う。まるで友達かなにかに語り掛けているようだ。
確かに、以前にリリアンから前世の話は聞いていたし、自分はそれを信じた。そして彼女は『黒の森の王』に出会い、その力で転生したのだとも聞いた。確かに聞いた。でもその話から想像していたのは、もっと堅苦しく厳かなものだった。
でもこの状況は何かが違う。今、リリアンはせっせとマジックバッグから取り出した大きな敷物を広げ、ふわふわのクッションを三つ車座に置き、真ん中にティーセットを並べようとしている。
それを見る神の顔は、キラキラと期待で輝いているように見えた。
『やあ、こんなの何百年ぶりだろう』
言っている事と見えている様子が、どうにもちぐはぐで何かがおかしい。
何百年ぶりという事は、この御方は何百歳とかの御歳のはずだ。でもリリアンに席を勧められてニコニコと座ろうとしている様子は、まるで友達の家に遊びにでも来た少年の様にも見える。
「ギヴリスの好きなマフィンも焼いてきたよ。その姿で食べられる?」
『本当に? 僕、ずーーっと食べたかったんだ』
「うん、彼女さんのマフィンには及ばないと思うけどね」
『あの話、覚えててくれたんだ? 嬉しいなぁ。そういや君には彼氏は出来たのかい?』
二人の会話に耳を疑った。確かに自分の妹は只者ではないとは思っていたけれど、まさか神と恋バナをする仲だとは……
どうしていいかもわからずに立ち尽くしていると、すっかりクッションの上で足を崩した神がこちらに向けて手招きをした。
『カイル、どうしたの? ほら、君の席はここだよ』
彼はまるで友達の様に、当たり前のように自分の名前を呼んだ。すでにもう一つの席についている妹も、ニコニコとしながらこちらを見上げている。
「うん……」
神の言葉に、「はい」ではなく「うん」と答えてしまった。
この場の空気に負けた事を静かに悟った。
* * *
しばらくは、他愛のない話ばかりしていた。旅の話、美味しいものの話、昔の失敗談。神――ギヴリスでさえ、僕も昔こんな事があってさーなどと当たり前の様に話をしている。
すっかり互いを名前で呼び合っていて、端から見たら仲の良い友人同士の茶会のようだろう。
「そういえばここに来る途中に、ある町の近くで作りかけのダンジョンを見かけたんだけど……」
リリアンが2杯目のお茶を口にしながらそう言った時、ほんのわずかだが二人の雰囲気が変わった事に気付いた。
ダンジョンは魔族によってのみ創造される。今あるダンジョンは、魔族が作った所謂過去の遺物だ。
そして新しくダンジョンが作られるという事は、活動している魔族が居るという事になる。
魔族の活動は、魔王の存在を示唆している。
もしくは魔王の復活が近いのか……
あるいは……
『……15年前、ゼーンは倒されなかったんだよ……』
手にしていたカップを下において、ギヴリスはぽつりと言った。それを聞いたリリアンは、一瞬驚いて。……そして、悔し気に目を伏せた。
『あの時に魔王は倒されず、今は封印されて眠りについている。そのせいで、全てではないが今も活動をしている魔族がいるんだ』
「誰が封印を?」
『……ごめんね。直接的な情報を君たちに伝える事はできないんだ。でも、それを知っている人はまだ生き残っているよ』
生き残っている…… それは、すでに死んだ者もいると言う意味だろう。その言葉にリリアンの顔がさらに歪んだ。
『そのダンジョンを作っている者は、あれは魔族の中でも比較的人間に近い。魔王が封印されていても、眠らずに人の町に紛れているんだろう』
「人の町に……」
『人に化けるとか、元から人と同じ姿をしている魔族も少なくはない。人と同じ姿なら、強い魔力を持っているくらいしか特徴はないしね』
話に聞く事はあっても、実際に魔族を見た事はない。でもギヴリスの物言いは、魔族は危険なものではないと、そう言っている様にも思えた。
「ルイはやっぱり…… あの時に死んでしまったの……?」
しばらく口を閉ざしていたリリアンが、ようやく苦し気に言葉を発した。
『……君たちの世界に、僕が直接手を出す事はできないんだよ。ごめんね……』
その言葉は、否定ではなかった。
「私は…… ルイの事好きだった……」
『うん…… 知っているよ』
本当にごめん…… そう言いながら、黒髪の青年はリリアンの頭を優しく撫でた。黒い耳を垂らした彼女は、いつもよりとても小さく見えた。
『僕がここに居られるのはここまでだ。15年分の神託もそろそろ尽きる』
ギヴリスの言葉に、リリアンが顔を上げる。
『人間の国との境の森に、遥か昔に僕が使っていた庵がある。今の君なら辿り着ける。そこに君の助けになるものがあるだろう。持って行ってくれ』
『そして、ゼーンを倒してくれ』
神の雰囲気を取り戻したギヴリスは、決意の表情のリリアンに向かってそう告げた。
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(メモ)
ダンジョン(#15)
「17 黒の森の王/」→「17 黒の森の王/カイル」
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