勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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勇者と妖精と猫の生活

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ガイア「いや、見えんな…そういうの闇属性の奴なら出来るけどな」
アレス「まおちゃんか…」
ガイア「そんなの持ちたいと思わん…魔王はそういう能力を持つから、心が歪んでしまうのだろう」
アレス「ああ…きっとそれはあると思います…けど、まおちゃんはそれでも良い奴ですよ」
ミリア「すごくピカピカだよ」
ガイア「おそらく、その能力をほとんど使ってないのかもな…意図的に」
アレス「…今度聞いてみよw」
ミリア「そんなに嫌かなあ?」
アレス「嫌だと思うよ?…ミリアは自分が馬鹿にされても気にしないけどさ…それでもそう思われてるの知ったらさ…」
ミリア「うーん…」
アレス「オレはミリアにはなんも悪い事思った試しないけど…そうだなぁ…ダンとかにはたまに『はははw…ブサイクな顔してらあw』とか思ってたりするよ」
ミリア「ゲラゲラ(* ≧▽≦)ノ=3」
アレス「けど、そんなのはオレには悪気なんてないんだわ…傷つけようとも思ってないしさ…実際見てダンは別にカッコ良くはないだろ?」
ミリア「うんw」
アレス「だから、ほんと…嫌悪感も一切なく、軽い気持ちでオレはたまにそんなふうに思うけどさ…それはオレがどう思ったとこで、それを受け止めるダンにとっては『兄貴は本心ではそんな事思ってたんだ…』って深刻に思っちゃうわけ」
ミリア「ああ~!!」
ガイア「だなあ」
アレス「そんなふうに思ったら、ダンは今までみたいにオレを好きではいられなくなるよ…絶対に」
ミリア「あう…」
アレス「それは例えダンがさ、オレが傷つけるつもりないってわかってたとしてもね」
ミリア「…そっかあ」
アレス「それほど本音っていうのは他人を傷つける」
ミリア「…アタシもたまにそうなのよね?」
アレス「…そういう時はあるかな…けど、今のところは友達には言ってないかな」
ミリア「気をつけないと…」
ガイア「妖精はそういうとこあるな」
アレス「けどね、それを言う人物にもよるわけよ…ミリアみたいな無邪気な子に言われるのと、グエンやクロードちゃんみたいに優しくて賢い人に言われるのじゃ、全然ダメージが違うw」
ガイア「それはあるw」
ミリア「へぇぇ!」
アレス「逆にミリアみたいな子に言われるのはね…良い場合もある」
ミリア「なんでえ?」
アレス「ミリアはきっと、誰から見ても悪意とか心の裏側なんて一切なく見えるからね…だからミリアに言われると、正直にそう見えてるんだなって思うわけ」
ミリア「そうなの」
アレス「そう…ミリアだけじゃなく、シエナやホイミンもそうかな」
ガイア「そうじゃの」
アレス「そういう人物に言われた時だけ…たぶん、その稀な人に言われた時だけは…内容にもよるけど、その言葉に自分を戒めて…そんな自分じゃダメだって自分に言い聞かせて、向上心を持たせる事がある…ブルースなんかはそうだ」
ミリア「アタシなんか言ったっけ?」
アレス「うんw…『笑顔がない』ってね…ミリアはそう言ったよ」
ミリア「言ったかも!」
アレス「なんか、そういう自分の努力次第で改善…良く出来る部分なら、それはむしろ良い結果になる事はある…ま、ブルースみたいに自分に厳しい人間には特に…エウレカに言ったら泣いちゃうけどw」
ミリア「そっかあ…」
ガイア「それはあるなぁ」
アレス「ブルースはそのミリアの言葉がとても心に残ってると思うし、常に意識するようになってると思う…けどさ、ミリアにはそういうの見分けるのって難しいだろ?」
ミリア「全然わかんないよ…」
アレス「だからさ、自分の努力で解決出来ない事だけは言わないようにすれば良いと思う」
ミリア「…どんな事?」
アレス「顔がブサイクとか、背が低いとか…ハゲだとか」
ミリア「そんな事言わないよ~」
アレス「あと、臭いとかデブもダメかな」
ミリア「でもそれは治せるよ?」
アレス「そうだけど…でも、病気でそうなる場合もあるからさ」
ミリア「そうなの?!」
アレス「そう…ま、たいがいはソイツのせいでそうなってるけど、言われたくない言葉ではあるからね…特にミリアみたいにかわいくてキレイな人は言っちゃダメだ」
ガイア「たしかにw」
ミリア「わかった」
アレス「もし言っていいか迷ったら、念話でオレに聞いてからにしな?」
ミリア「うん!」
ガイア「まあ、実はその本心なんか、それほど気にする事でもないがな」
ミリア「そうなの?」
ガイア「うん…大事なのはその本心に対して自分で思う事なんだよ」
ミリア「え?…わかんない…」
アレス「つまり、オレがダンにブサイクって思った事に対して、オレ自身がどう思うかって事でね…オレは『絶対そんな事は言ってはいけない』って思うのね…でも、優しくない奴は『言って傷ついた顔が見てみたいw』…みたいに思ったりね」
ミリア「あーやだなぁ…」
アレス「だろ?w」
ガイア「そっちの方が、本当の本心なんだよ」
ミリア「そっか!」
アレス「だからさ、人はウソをつくのも大事なんだよ」
ミリア「ウソが?」
アレス「うんw…ウソはいけないって思うけど、それは傷つける為、騙す為につくウソだけなんだよ…そりゃ、難しい時はある…例えば、グエンが治せない病気の人にね?」
ミリア「うん」
アレス「この人の命は、あとたぶん一週間くらいだって、グエンは思ってもね」
ミリア「うん」
アレス「その残酷な事実をウソなく伝えるとね」
ミリア「うん」
アレス「ただでさえ病気で弱ってる心に、それがどんだけ痛くなるか…それ聞いてガッカリし過ぎて、すぐに死んじゃうかもしれない」
ミリア「ああ~…」
アレス「だからグエンは迷っても、いつもと変わらない優しい顔で、『大丈夫』ってウソをつく時も…もしかしたらあるかもしれない…」
ミリア「うん…」
アレス「グエンにそう言われたら元気が出て、病気が良くなる場合もきっとある…たぶん…」
ガイア「あるよ…結構その思い込みの力ってのはすごいんじゃ」
アレス「ですよね?!…だからさ、グエンがウソついた事で助かった…って場合もあるわけ」
ミリア「おお~!」
アレス「けど、それはそんなふうに結果が良くなった場合だけの事だからね?」
ミリア「うん」
アレス「もしグエンが大丈夫って言ったのに、ソイツはやっぱり一週間で死んだら、『大丈夫って言ったのに!』って、グエンを恨んで死ぬかもしれない」
ミリア「でもグエンは悪くないよ~」
アレス「うん…それはそうだけど、グエンにはその恨みを受ける責任があるのよ」
ミリア「ええ~…」
アレス「それはグエンにはわかってるし、覚悟もあると思う」
ミリア「そうなの…」
アレス「だからこそ、グエンはピカピカなんだと思うし…でも、それでもグエンは相当迷うはずだよ…ウソつくか、正直に言うか」
ガイア「うむ…」
アレス「ね?…ウソがいけないかわからない時もあるだろ?」
ミリア「うん…そだね」
アレス「でも、デブだの臭いだの、思っても言わないってのも、それは自分につく小さなウソだ」
ミリア「ああ、うん」
アレス「けどそれは思いやりの為につくウソだよね?」
ミリア「うん!」
アレス「傷つけない為のウソ…それはむしろ、良い事だとオレは思うわけ」
ミリア「…てことは、『ウソ』を使う時の心が大切って事?」
アレス「そうそうそう!!…さっすがミリアだw」
ガイア「うんうんw」
ミリア「よーし!…アタシ、気をつけるよ٩(*❛⊰❛)۶」
アレス「うんw…ナデナデ…」
ミリア「おじいちゃん、アタシお願いがあるのよ」
ガイア「ん?」
ミリア「おじいちゃんは、アタシの背中の羽根をとるのって出来る?」
アレス「え?Σ(゚д゚υ)」
ガイア「…いらないのか?」
ミリア「うん」
ガイア「うーん…飛べなくなるよ?」
ミリア「だって別に、人間の大きさになってると飛べないもん」
アレス「…そうだったの?Σ(゚д゚υ)…あ…たしかに、飛んでるのって小さい時だけだ…」
ミリア「うんw…身体を大きくしてると、すごく重くて飛べないのよ」
ガイア「そうだろうなぁ」
ミリア「お兄ちゃんも小さい時はさ、いつもより軽く感じるよね?」
アレス「た、たしかに…」
ミリア「アタシは人間の大きさになるのは、最初はとっても辛かったのよ」
アレス「えΣ(゚д゚υ)…そうだったの…」
ミリア「うん、すごく重くて疲れたw…だからね、アタシは小さくはするけど、大きくはしないのよ」
アレス「…そういやそうだ…思い返してみると、ミリアは自分の身体以外は大きくはしてない…」
ミリア「元の大きさにするけど、それ以上はしないのよ…ゼブルの腕を合わす時くらいかなあ…自分以外にそれしたの」
アレス「あ、たしかに…ゼブルの方が腕が少し太かったしな…」
ミリア「うん、ちょっとだからいいと思ってしたのよ」
ガイア「ミリアはよくわかってるのう」
ミリア「おー、褒められた٩(*❛⊰❛)۶」
アレス「どういう事ですか?」
ガイア「んー、では…アレスの倍の身長の奴がいたとするな?」
アレス「ああ、はい」
ガイア「ソイツは身長だけが倍ではないだろ?…横幅も厚みも全部倍だ」
アレス「…たしかにそうですね」
ガイア「そうするとな…わかりやすく言うと…全て1センチの塊…それを想像してくれ…材質はなんでもいい」
アレス「はい…」
ガイア「それをまず倍の長さにする…」
アレス「はい」
ガイア「最初の重さが1グラムだったら、今は?」
アレス「2グラムです」
ガイア「じゃあ今度は幅も同じにすると?…重さは?」
アレス「…4グラム」
ガイア「では高さも倍にすると?」
アレス「8グラム?Σ(゚д゚υ)」
ガイア「そうじゃw…大きさは倍でも、重さは8倍になるよな?」
アレス「ああ~…そっかあ…」
ガイア「だからミリアは人間サイズになったら普通なら動けないほど辛かったはずじゃ」
アレス「そうだったの?…ミリア…」
ミリア「んー…辛いは辛いけど、そこまでじゃなかったよ」
アレス「え?…でも、妖精の身体の大きさ考えたら、8倍どころの騒ぎじゃないだろ?」
ガイア「それはそうなんだが、この魔法は不思議で、そこまで感覚を変えないように出来てるんじゃ…」
アレス「それは…なんというか、都合が良いですね…」
ガイア「そう…でも、だから出来るってわけじゃ…ただ、それでも物ならば何も文句は言わないが、生物には辛い…小さくなる分にはいいが、大きくなるのは辛い…でも、ミリアが他の妖精と違うのは、ここ…天界によく来てるからじゃ」
アレス「…それはなぜ?」
ガイア「ここはサイズ感覚が曖昧な場所だからな…おぬしはまず、妖精の城のゲートをくぐってここに来るから、妖精サイズになっとるはずじゃろ?」
アレス「はい…」
ガイア「けど、ここに来て天使たち見ても、わしを見ても、自分と同じようなサイズ感じゃろ?…初めておぬしが来た時にそう聞いてきたろ?」
アレス「はい」
ガイア「でもわしは妖精サイズではない」
アレス「…はい」
ガイア「おぬしらもここに来たら妖精サイズではなくなってるが、妖精サイズでもある」
アレス「…え?」
ガイア「妖精の世界に戻ると妖精サイズのままじゃろ?」
アレス「ああ、はい」
ガイア「ここには大きさの概念が自分のイメージでしかないのじゃ」
アレス「…ちょっと理解しがたいです」
ガイア「まあなw…けど、そういう場所だと思ってもらうしかないがのw…で、ミリアはわりとここに来ておるから、あらかじめ人間サイズの自分というのを感覚的にわかっておるから、人間の世界で人間のサイズ感になっても、ちょっと重いなあくらいでいられるんじゃ…今はもう重いとも思わないじゃろ?」
ミリア「うん!…ふつー」
アレス「そうなのか…」
ミリア「だけど、普通は辛いから、やらないのよ」
アレス「そうだったんだね…オレ、ミリアに辛い事させてたのか…ごめんよ」
ミリア「ううん!…アタシがお兄ちゃんについて行きたかったらなんだから、お兄ちゃんは悪くないよ!」
アレス「ごめん…ありがと…ギュ」
ミリア「いいのよ~」
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