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勇者と妖精と猫の生活
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レナと別れた次の日
オレはスージーさんが気になったが、ビリーをまた一人にさせるのも悪くて、この日は作業を進めた
結構出来てきた気がするけど、なんせ初めての事だし、二人だし
まあ、気長にやるしかない
でも、今日はクロードも来てる
クロードはいかにも優しげな見た目で、一見ひ弱そうだけど、そんな事はない
毎日鍛錬を欠かさず、精神的にもタフだ
かなり成熟した人物だと思う
それだけ試練を乗り越えてきた男なのだ
だから、家を建てるっていう重労働でも、クロードは全然余裕だ
アレス「ちょっと休憩にしようか…」
ビリー「はーい」
クロード「うん」
ミリア「はい…オレンジジュースなのよ」
ビリー「ありがとう!」
アレス「いただきまーす」
クロード「いただきます」
ミリア「クロードちゃん、前の日記の分は、本に書き終わった?」
クロード「もう少しなんだよ…ごめんね」
ミリア「ううん!…全然大丈夫なのよ、終わったら言ってね!…今の日記と交換するのよ」
クロード「それはすごく助かるよ」
ボス「ニァ…スリスリ」
クロード「やあ、ボッちゃん…おいで…会えて嬉しいよ…ナデナデ」
ボス「ニァ~♪」
アレス「ボスもクロードが大好きだってさ」
クロード「ほんと?!…嬉しいw」
カーくん「ボクもクロードさん好き…ビリーさんも」
ホイミン「ボクも~」
メープル「フゴッフ」
アレス「メープルも好きだってさ」
クロード「すごい嬉しいww…嬉しいなあ///…わたしもみんな大好きだよ」
アレス「お前は良い王様だよ…」
ビリー「本当にそう思います」
クロード「いやあ///…照れるねえ」
アレス「クロードはさ…結婚相手は決まってるんだろ?」
クロード「ああ、うん」
アレス「たしか、あんまり好きくない感じだったっけ?」
クロード「ああ…そうだね…あまりそう思うのも失礼だけど…なんというか、わがままな子でね…」
ビリー「ビクトリア王女様…でしたっけ」
クロード「そう…」
ビリー「とても見た目はかわいらしい方ですけどね…」
クロード「うーん…そうかい?」
ビリー「そうだと…思いますが…」
クロード「わたしはね、見た目はさほど重要ではなくてね…それはまあ、気にいるかどうかはあるけれども…それよりもわたしが見るのは振る舞いだよ…」
アレス「ああ…それが一番重要だ」
クロード「そうだよね」
アレス「ああ…振る舞いの一つ一つに心底が見えるからな」
ミリア「しんていって?」
ホイミン「なんだろ」
アレス「ああw…心の底って書いて、心底って言うんだよ…なんていうかさ…心の有り様って言うの?」
クロード「そうだね…」
ミリア「うーん…ピカピカみたいな?」
アレス「それに近いねw…もっとこう、細かく見えるんだよ…思いやりがどうとかさ」
カーくん「そんなの見えるのぉ?」
アレス「たくさんいろんな奴と付き合うと、見えてくるんだ」
カーくん「ふうん」
アレス「例えばね…そうだな…お店…お店は行った事ないか…まあ、お店ってのはさ、いろんな物を買えるとこなんだけどね」
カーくん「うん」
アレス「こうさ…棚にいっぱい物が並んでるのね」
カーくん「うん」
アレス「で、その棚と棚の間は通り道になってるのね…こんなふうに」
カーくん「うん」
アレス「たくさんの人が見るから、この通路はそれだけ人が通るの」
カーくん「うん」
アレス「けどさ、この通路はだいたいが狭いんだよ」
カーくん「どうして?」
アレス「建物の中だからさ…通路が広いとあんまり棚が置けないだろ?…棚がないと売る物も置けないし」
カーくん「なるほど!」
アレス「だから通路はどうしたって狭くなるのね…人と人がすれ違うくらいしか、幅がないわけ」
ミリア「たしかに~…おデブちゃんがいると通れなくて困るのよ」
ビリー「あははははww」
クロード「ふふふw」
アレス「そんでね…人間にはいろいろマナーってのがあってね…それは他人に対して敬意を払ったり、失礼のないようにする事ね」
カーくん「うん…」
アレス「その一つに、何かを見てる人の前を横切ったりしてはいけないってのがあってね」
ホイミン「へぇぇ」
アレス「だからその人の後ろをこう…通るわけだ」
ミリア「うん」
アレス「でも通路が狭いと、その通る道が塞がってるの」
カーくん「ああ~」
アレス「そんな時、その見てる人がね…通ろうとしてる人に気付いて、道を空けるのもいれば、気にせずずっと見てる人もいるわけだ」
カーくん「うん」
アレス「時にはその狭い通路で、友達と話すのに夢中になって、二人とかで喋ってたり…」
ホイミン「邪魔だねえww」
ビリー「そうw…いるよねえw」
アレス「みんなならさ、気付いて道を空ける人と、そうじゃない人なら、どっちが優しいと思う?」
カーくん「道を空ける人!」
アレス「だよね?…もっと良い人は、道を空けた上に、通りすがりにお辞儀をしてくれたりね…その人は間違いなく、思いやりの心があるよね?」
ミリア「ある~!」
アレス「気付いてても道を空けない人は、自分勝手で周りを見てないように思うよね?」
ホイミン「嫌い」
ビリー「ブフw」
アレス「そんでもって、その自分勝手な奴もさ…通ろうとする人が強そうだったり、弱そうだったりで、道を空けるか気にしないかを判断するんだよ…例えば、クロードが通ろうとすれば道を空けるのに、ビリーが通ろうとしても道を空けなかったりさ…」
ホイミン「嫌な奴!」
ミリア「ほんと!!」
アレス「だろ?…ビリーを舐めてるわけだ、ソイツは」
ビリー「頭くる」
アレス「そういう奴は、人を差別する自分勝手な人間って、わかるよね?」
カーくん「わかる!」
アレス「けどさ、その行動ってのはさ、少し身体を前にずらすか、ずらさないか…その少しの違いだよね?」
ホイミン「うー…そうだね!」
アレス「そのちょっとした振る舞いで、ソイツがどんな奴なのかわかる…みたいは事だよ」
クロード「そうだねぇ」
アレス「例え口では良い事を言ってたとしてもね…ソイツの性格は行動とか仕草に出ちゃうんだな…それこそがソイツの本性…本当の部分って事さ」
カーくん「そっかあ…ボクも気をつけよう…」
アレス「カーくんは全然大丈夫だよ」
ビリー「そうだよ!…カーくんはいつもオレを手伝ってくれるじゃん」
カーくん「でもあんまり役に立ってないよ…」
ビリー「そんな事ない!…全然そんな事ないから…」
アレス「そうだぞ…もしね、ビリーがアレ取って?って言われて、わからなくて違いの持ってったりしてもさ」
カーくん「よくある…」
アレス「それでもいいんだよ」
カーくん「どして?」
アレス「もちろん、ちゃんとその通りに出来たら最高だけどさ」
カーくん「うん…」
アレス「でも、ビリーはその一生懸命手伝おうとするカーくんの心が嬉しいんだよ」
ビリー「その通り!」
アレス「その一生懸命な心は、ビリーを元気にしたり出来るんだよ」
カーくん「そうなの?」
ビリー「そうw」
アレス「そういう振る舞いが、カーくんの心底を表してるのさ…役に立ちたいっていう心、助けたいっていう心…それはとても素敵な心だよ…カーくんはそんな素敵な心を持ってるから、ビリーもオレもミリアもホイミンもクロードもメープルもボスもみんな、カーくんを好きになるのさ」
カーくん「…ウル」
アレス「カーくんだってそうだろ?…ホイミンはいつも、カーくんが元気ない時回復をかけてくれるだろ?…そんな優しいホイミンの振る舞いに、ホイミンの心の素敵さが分かるから、ホイミンを好きなんだろ?」
カーくん「うん!!」
アレス「な?…振る舞いを見るってのはとても大事なんだ」
カーくん「うん!!」
ミリア「ほんとだね~」
ホイミン「ね!」
クロード「良い話だねぇ…これも絶対本に書こう…メモしておこう」
ホイミン「他には~?」
アレス「え?Σ(゚д゚υ)…えーと、そうだな…クロードちゃんとカーくんが、一緒に日向ぼっこをしてるような時ね」
ホイミン「うんww」
アレス「クロードちゃんはポケットにビスケットが一つだけ入ってたのね」
ホイミン「うん」
アレス「クロードちゃんは優しいから、一旦こう考える…『これは全部カーくんにあげよう』って」
ホイミン「うん」
アレス「でもクロードちゃんはもっと優しいから、『でも、わたしが食べないとカーくんが遠慮してしまう』と思うのよ」
ホイミン「…ああ~」
クロード「…思いますね」
アレス「だからクロードちゃんは、『半分こしよう』って言うの」
ホイミン「うんうん」
アレス「でもビスケットなんか手で割ったら、絶対に大きいかけらと小さいかけらになるんだよね」
ホイミン「うん…」
アレス「そんな時クロードちゃんは、大きなかけらをカーくんにあげるんだよ」
ホイミン「うん」
アレス「そういう振る舞いは、クロードちゃんが優しくて思いやりのある心を持ってるって、何も言わなくてもわかるじゃん?」
ホイミン「うん!」
アレス「で、それをもらう方の場合ね…カーくんなら当然、大きい方を渡してるのに気付くからね…でも、カーくんは自分は小さい方でいいのにって思う」
カーくん「思う…」
アレス「カーくんはそれでも、大きな方をくれる優しさを嬉しく思う」
ホイミン「うんうん」
カーくん「思う~」
アレス「そんでもって、カーくんも優しいから、そんな時はこう考える…『ボクは小さい方でいいよって言おう』って」
ホイミン「うん」
アレス「でもこうも考える『そんな事言うのはせっかくのクロードちゃんの優しい気持ちが台無しになる』って」
カーくん「うん…考える」
アレス「だから、遠慮しつつ、カーくんは大きなかけらをもらう…そんでその気持ちはクロードちゃんにも伝わるから、カーくんの優しさが好きになる」
クロード「なりますねw」
アレス「だけど、時には『誰がコイツにやるもんか』って隠れて独り占めしようとする奴もいれば、もらう奴も『オレが大きい方もらうに決まってる…ていうか、全部よこせ』って思う奴もいる」
ホイミン「嫌い!」
アレス「もらって当然みたいな感じ、あげなくて当然みたいな感じ…そういうのは態度とか行動とか顔に出てるわけ…」
ホイミン「へぇぇ…」
アレス「だから、見たままソイツを見るのではなくて、そういう部分を見るって事だよ」
ホイミン「そっかあ!」
クロード「嫌な人は嫌ですね~…」
アレス「うん、けど、そういう奴は結局は、誰にももうビスケットをもらえなくなる…優しいクロードちゃんだって、ソイツにはあげなくなるわけだ」
クロード「…あげないですねw」
アレス「クロードちゃんはビスケットのかけら半分と、それよりももっと大きな『愛』をあげてるからね?…カーくんもいつかはクロードちゃんに、ボクの出来る事で返そう!って思う」
カーくん「思う思う!」
アレス「カーくんだけじゃなく、周りのクロードちゃんの心を知ってるみんなも、クロードちゃんがピンチの時は何がなんでも助けてやろうって思う」
ミリア「思う~」
クロード「…ありがと…ウル」
アレス「けど、なんにも与えず、自分だけを考える奴にはビスケット一個以外何も残らないし、誰からも何ももらえない…欲張った結果、大損をしてるわけ」
ビリー「ざまぁだねw」
ミリア「うんw…そんな奴は死ねばいいのよ」
アレス「ブフw」
ビリー「アレスさんの話し方っていいよね…わかりやすいし、優しくて」
ミリア「そうなのよ…いつもいつも優しいの」
アレス「まあ、クソ野郎には酷いけどねw」
ビリー「そりゃクソ野郎だから仕方ないw」
ミリア「でもクソ野郎にも、最後には優しいのよ…ピカピカにするの」
クロード「それがすごいよねぇ」
ミリア「そう!…ほんとアタシ、何度も見たよ」
アレス「照れるなあw」
ビリー「あはははww」
アレス「あ…クロードさ…」
クロード「なんだい?」
アレス「今日送った時にさ、神官さんかなんか紹介してくれないか?」
クロード「いいけど…なぜ?」
アレス「いや、ちょっとねw…結婚式の神父のやり方を教えてもらいたくてさ…神官さんは知らないかな?…そういうの」
クロード「いや、それは大丈夫だよ…神官は元々神父さんだからね」
ビリー「アレスさんがやるの?…誰の?」
アレス「それは秘密なのだ」
ミリア「なのだ」
ビリー「ええ~…」
アレス「いいから続きやるぞ」
ビリー「う、うん」
そうしてこの日は、一日ずっと作業をして、二人を送り、神官さんに会った
オレはスージーさんが気になったが、ビリーをまた一人にさせるのも悪くて、この日は作業を進めた
結構出来てきた気がするけど、なんせ初めての事だし、二人だし
まあ、気長にやるしかない
でも、今日はクロードも来てる
クロードはいかにも優しげな見た目で、一見ひ弱そうだけど、そんな事はない
毎日鍛錬を欠かさず、精神的にもタフだ
かなり成熟した人物だと思う
それだけ試練を乗り越えてきた男なのだ
だから、家を建てるっていう重労働でも、クロードは全然余裕だ
アレス「ちょっと休憩にしようか…」
ビリー「はーい」
クロード「うん」
ミリア「はい…オレンジジュースなのよ」
ビリー「ありがとう!」
アレス「いただきまーす」
クロード「いただきます」
ミリア「クロードちゃん、前の日記の分は、本に書き終わった?」
クロード「もう少しなんだよ…ごめんね」
ミリア「ううん!…全然大丈夫なのよ、終わったら言ってね!…今の日記と交換するのよ」
クロード「それはすごく助かるよ」
ボス「ニァ…スリスリ」
クロード「やあ、ボッちゃん…おいで…会えて嬉しいよ…ナデナデ」
ボス「ニァ~♪」
アレス「ボスもクロードが大好きだってさ」
クロード「ほんと?!…嬉しいw」
カーくん「ボクもクロードさん好き…ビリーさんも」
ホイミン「ボクも~」
メープル「フゴッフ」
アレス「メープルも好きだってさ」
クロード「すごい嬉しいww…嬉しいなあ///…わたしもみんな大好きだよ」
アレス「お前は良い王様だよ…」
ビリー「本当にそう思います」
クロード「いやあ///…照れるねえ」
アレス「クロードはさ…結婚相手は決まってるんだろ?」
クロード「ああ、うん」
アレス「たしか、あんまり好きくない感じだったっけ?」
クロード「ああ…そうだね…あまりそう思うのも失礼だけど…なんというか、わがままな子でね…」
ビリー「ビクトリア王女様…でしたっけ」
クロード「そう…」
ビリー「とても見た目はかわいらしい方ですけどね…」
クロード「うーん…そうかい?」
ビリー「そうだと…思いますが…」
クロード「わたしはね、見た目はさほど重要ではなくてね…それはまあ、気にいるかどうかはあるけれども…それよりもわたしが見るのは振る舞いだよ…」
アレス「ああ…それが一番重要だ」
クロード「そうだよね」
アレス「ああ…振る舞いの一つ一つに心底が見えるからな」
ミリア「しんていって?」
ホイミン「なんだろ」
アレス「ああw…心の底って書いて、心底って言うんだよ…なんていうかさ…心の有り様って言うの?」
クロード「そうだね…」
ミリア「うーん…ピカピカみたいな?」
アレス「それに近いねw…もっとこう、細かく見えるんだよ…思いやりがどうとかさ」
カーくん「そんなの見えるのぉ?」
アレス「たくさんいろんな奴と付き合うと、見えてくるんだ」
カーくん「ふうん」
アレス「例えばね…そうだな…お店…お店は行った事ないか…まあ、お店ってのはさ、いろんな物を買えるとこなんだけどね」
カーくん「うん」
アレス「こうさ…棚にいっぱい物が並んでるのね」
カーくん「うん」
アレス「で、その棚と棚の間は通り道になってるのね…こんなふうに」
カーくん「うん」
アレス「たくさんの人が見るから、この通路はそれだけ人が通るの」
カーくん「うん」
アレス「けどさ、この通路はだいたいが狭いんだよ」
カーくん「どうして?」
アレス「建物の中だからさ…通路が広いとあんまり棚が置けないだろ?…棚がないと売る物も置けないし」
カーくん「なるほど!」
アレス「だから通路はどうしたって狭くなるのね…人と人がすれ違うくらいしか、幅がないわけ」
ミリア「たしかに~…おデブちゃんがいると通れなくて困るのよ」
ビリー「あははははww」
クロード「ふふふw」
アレス「そんでね…人間にはいろいろマナーってのがあってね…それは他人に対して敬意を払ったり、失礼のないようにする事ね」
カーくん「うん…」
アレス「その一つに、何かを見てる人の前を横切ったりしてはいけないってのがあってね」
ホイミン「へぇぇ」
アレス「だからその人の後ろをこう…通るわけだ」
ミリア「うん」
アレス「でも通路が狭いと、その通る道が塞がってるの」
カーくん「ああ~」
アレス「そんな時、その見てる人がね…通ろうとしてる人に気付いて、道を空けるのもいれば、気にせずずっと見てる人もいるわけだ」
カーくん「うん」
アレス「時にはその狭い通路で、友達と話すのに夢中になって、二人とかで喋ってたり…」
ホイミン「邪魔だねえww」
ビリー「そうw…いるよねえw」
アレス「みんなならさ、気付いて道を空ける人と、そうじゃない人なら、どっちが優しいと思う?」
カーくん「道を空ける人!」
アレス「だよね?…もっと良い人は、道を空けた上に、通りすがりにお辞儀をしてくれたりね…その人は間違いなく、思いやりの心があるよね?」
ミリア「ある~!」
アレス「気付いてても道を空けない人は、自分勝手で周りを見てないように思うよね?」
ホイミン「嫌い」
ビリー「ブフw」
アレス「そんでもって、その自分勝手な奴もさ…通ろうとする人が強そうだったり、弱そうだったりで、道を空けるか気にしないかを判断するんだよ…例えば、クロードが通ろうとすれば道を空けるのに、ビリーが通ろうとしても道を空けなかったりさ…」
ホイミン「嫌な奴!」
ミリア「ほんと!!」
アレス「だろ?…ビリーを舐めてるわけだ、ソイツは」
ビリー「頭くる」
アレス「そういう奴は、人を差別する自分勝手な人間って、わかるよね?」
カーくん「わかる!」
アレス「けどさ、その行動ってのはさ、少し身体を前にずらすか、ずらさないか…その少しの違いだよね?」
ホイミン「うー…そうだね!」
アレス「そのちょっとした振る舞いで、ソイツがどんな奴なのかわかる…みたいは事だよ」
クロード「そうだねぇ」
アレス「例え口では良い事を言ってたとしてもね…ソイツの性格は行動とか仕草に出ちゃうんだな…それこそがソイツの本性…本当の部分って事さ」
カーくん「そっかあ…ボクも気をつけよう…」
アレス「カーくんは全然大丈夫だよ」
ビリー「そうだよ!…カーくんはいつもオレを手伝ってくれるじゃん」
カーくん「でもあんまり役に立ってないよ…」
ビリー「そんな事ない!…全然そんな事ないから…」
アレス「そうだぞ…もしね、ビリーがアレ取って?って言われて、わからなくて違いの持ってったりしてもさ」
カーくん「よくある…」
アレス「それでもいいんだよ」
カーくん「どして?」
アレス「もちろん、ちゃんとその通りに出来たら最高だけどさ」
カーくん「うん…」
アレス「でも、ビリーはその一生懸命手伝おうとするカーくんの心が嬉しいんだよ」
ビリー「その通り!」
アレス「その一生懸命な心は、ビリーを元気にしたり出来るんだよ」
カーくん「そうなの?」
ビリー「そうw」
アレス「そういう振る舞いが、カーくんの心底を表してるのさ…役に立ちたいっていう心、助けたいっていう心…それはとても素敵な心だよ…カーくんはそんな素敵な心を持ってるから、ビリーもオレもミリアもホイミンもクロードもメープルもボスもみんな、カーくんを好きになるのさ」
カーくん「…ウル」
アレス「カーくんだってそうだろ?…ホイミンはいつも、カーくんが元気ない時回復をかけてくれるだろ?…そんな優しいホイミンの振る舞いに、ホイミンの心の素敵さが分かるから、ホイミンを好きなんだろ?」
カーくん「うん!!」
アレス「な?…振る舞いを見るってのはとても大事なんだ」
カーくん「うん!!」
ミリア「ほんとだね~」
ホイミン「ね!」
クロード「良い話だねぇ…これも絶対本に書こう…メモしておこう」
ホイミン「他には~?」
アレス「え?Σ(゚д゚υ)…えーと、そうだな…クロードちゃんとカーくんが、一緒に日向ぼっこをしてるような時ね」
ホイミン「うんww」
アレス「クロードちゃんはポケットにビスケットが一つだけ入ってたのね」
ホイミン「うん」
アレス「クロードちゃんは優しいから、一旦こう考える…『これは全部カーくんにあげよう』って」
ホイミン「うん」
アレス「でもクロードちゃんはもっと優しいから、『でも、わたしが食べないとカーくんが遠慮してしまう』と思うのよ」
ホイミン「…ああ~」
クロード「…思いますね」
アレス「だからクロードちゃんは、『半分こしよう』って言うの」
ホイミン「うんうん」
アレス「でもビスケットなんか手で割ったら、絶対に大きいかけらと小さいかけらになるんだよね」
ホイミン「うん…」
アレス「そんな時クロードちゃんは、大きなかけらをカーくんにあげるんだよ」
ホイミン「うん」
アレス「そういう振る舞いは、クロードちゃんが優しくて思いやりのある心を持ってるって、何も言わなくてもわかるじゃん?」
ホイミン「うん!」
アレス「で、それをもらう方の場合ね…カーくんなら当然、大きい方を渡してるのに気付くからね…でも、カーくんは自分は小さい方でいいのにって思う」
カーくん「思う…」
アレス「カーくんはそれでも、大きな方をくれる優しさを嬉しく思う」
ホイミン「うんうん」
カーくん「思う~」
アレス「そんでもって、カーくんも優しいから、そんな時はこう考える…『ボクは小さい方でいいよって言おう』って」
ホイミン「うん」
アレス「でもこうも考える『そんな事言うのはせっかくのクロードちゃんの優しい気持ちが台無しになる』って」
カーくん「うん…考える」
アレス「だから、遠慮しつつ、カーくんは大きなかけらをもらう…そんでその気持ちはクロードちゃんにも伝わるから、カーくんの優しさが好きになる」
クロード「なりますねw」
アレス「だけど、時には『誰がコイツにやるもんか』って隠れて独り占めしようとする奴もいれば、もらう奴も『オレが大きい方もらうに決まってる…ていうか、全部よこせ』って思う奴もいる」
ホイミン「嫌い!」
アレス「もらって当然みたいな感じ、あげなくて当然みたいな感じ…そういうのは態度とか行動とか顔に出てるわけ…」
ホイミン「へぇぇ…」
アレス「だから、見たままソイツを見るのではなくて、そういう部分を見るって事だよ」
ホイミン「そっかあ!」
クロード「嫌な人は嫌ですね~…」
アレス「うん、けど、そういう奴は結局は、誰にももうビスケットをもらえなくなる…優しいクロードちゃんだって、ソイツにはあげなくなるわけだ」
クロード「…あげないですねw」
アレス「クロードちゃんはビスケットのかけら半分と、それよりももっと大きな『愛』をあげてるからね?…カーくんもいつかはクロードちゃんに、ボクの出来る事で返そう!って思う」
カーくん「思う思う!」
アレス「カーくんだけじゃなく、周りのクロードちゃんの心を知ってるみんなも、クロードちゃんがピンチの時は何がなんでも助けてやろうって思う」
ミリア「思う~」
クロード「…ありがと…ウル」
アレス「けど、なんにも与えず、自分だけを考える奴にはビスケット一個以外何も残らないし、誰からも何ももらえない…欲張った結果、大損をしてるわけ」
ビリー「ざまぁだねw」
ミリア「うんw…そんな奴は死ねばいいのよ」
アレス「ブフw」
ビリー「アレスさんの話し方っていいよね…わかりやすいし、優しくて」
ミリア「そうなのよ…いつもいつも優しいの」
アレス「まあ、クソ野郎には酷いけどねw」
ビリー「そりゃクソ野郎だから仕方ないw」
ミリア「でもクソ野郎にも、最後には優しいのよ…ピカピカにするの」
クロード「それがすごいよねぇ」
ミリア「そう!…ほんとアタシ、何度も見たよ」
アレス「照れるなあw」
ビリー「あはははww」
アレス「あ…クロードさ…」
クロード「なんだい?」
アレス「今日送った時にさ、神官さんかなんか紹介してくれないか?」
クロード「いいけど…なぜ?」
アレス「いや、ちょっとねw…結婚式の神父のやり方を教えてもらいたくてさ…神官さんは知らないかな?…そういうの」
クロード「いや、それは大丈夫だよ…神官は元々神父さんだからね」
ビリー「アレスさんがやるの?…誰の?」
アレス「それは秘密なのだ」
ミリア「なのだ」
ビリー「ええ~…」
アレス「いいから続きやるぞ」
ビリー「う、うん」
そうしてこの日は、一日ずっと作業をして、二人を送り、神官さんに会った
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