勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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勇者と妖精と猫の生活

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アレス「はぁ…なんだってんだよ今日は…」
ミリア「でもかわいそうよ」
アレス「もちろん見捨てないよ」

オレはその泣いてる女の子を、まず観察した

普通とは違うからだ

普通子どもならぎゃんぎゃん泣くけど、この子はシクシクと泣いていた

ガリガリで、服も髪もみすぼらしい

見るからに悲しくなってくる

アレス「どした?…なんで泣いてるの?」
女の子「…だれ?」
アレス「オレはアレスっていうの…こっちはミリア…君はお名前は?」
女の子「レナ…」
アレス「レナ…どうして泣いてるの?…お母さんは?」
レナ「お母さんいなくなっちゃったの…グス」
アレス「迷子になったの?」
レナ「ううん…お星さまになったの…グス」
アレス「そうか…お父さんは?」
レナ「お父さんはいつもぶつの…お母さんのこと…お母さんがいなくなったら、アタシもぶつの」
アレス「なに?…ピキ…レナんちに行こう、オレがその悪いお父さんをこらしめてあげる」
レナ「お父さんももういないの…どっか行っちゃったから」
アレス「え?…じゃあごはんは?」
レナ「もう何日も食べてないの…でもね、さっきこれ拾ったの」

レナはオレに、1Gのコインを見せた

レナ「これでね、パン買いに行ったらね…グス…『足りない』って言われたの…」
アレス「…ギュ…それで泣いてたのか…グス…くっそパン屋め…大丈夫…お兄ちゃんが助けてあげる…ギュ…ナデナデ」
レナ「ほんと?…どして?」
アレス「ほっとけないから…レナ…レナもギュッとしてごらん?」
レナ「…ギュ…うう~…グス…ヒック」
ミリア「…クゥ…グス」
アレス「よしよし…辛かったね…ナデナデ…でももう大丈夫だからね…ナデナデ」
レナ「うわぁ~ん!!…ギュ」
アレス「よーし…ダッコ…じゃあお兄ちゃんちに行こうかw…お兄ちゃんがごはん作ってあげる」
レナ「ほ、ほんと?…グス」
アレス「お兄ちゃんは悲しいウソは絶対につかないし、約束も破らないよ」
レナ「…ギュ…」
アレス「ミリア、帰ろう」
ミリア「うん…グス」

そうして、とりあえず湖に連れて行き、バスケットに入り、ベッドに寝かせてから、食事を作った

アレス「レナ…ごはんだよ」
レナ「うん!…わあ!…美味しそう!」
アレス「好きなだけ食べていいよ…ナデナデ」
レナ「うん!…ありがと…グス…いただきます」

レナは小さな手で不器用にスプーンとフォークを使い、頑張って食べる

オレも昼がまだだったから、一緒に少し食べた

アレス「美味しい?」
レナ「うん!…アタシこんな美味しいの初めて食べた!」
アレス「そっか…良かったねw」

レナはしかし、普段からあまり食べてないようで、半分くらいでお腹いっぱいになった

アレス「もういいの?」
レナ「もうお腹いっぱい」
アレス「そっかw…じゃあ、後でまた食べようね」
レナ「うん!…アレ…ス…さん…どうして助けてくれるの?」
アレス「ほっとけないだけだよw…本当にそれだけ」
レナ「優しいね…アレスさんがお父さんならいいのに」
アレス「ははw…でもね…ごめんだけど、レナのお父さんにはなれないんだ」
レナ「そうなの…ウル…」
ミリア『どして!…うちに置いてあげればいいじゃん!』
アレス『いや…オレたちは死なないからさ…レナは今は子どもでも、いつか先に歳とっておばあちゃんになって死ぬ…』
ミリア『あっ…そっか…』
アレス『それに、ミリアがずっとあまり大人の見た目にならなかったら、おかしいだろ?』
ミリア『…うん…』
アレス『でもオレに考えがある』
アレス「レナ…」
レナ「う?」
アレス「オレはレナと一緒には居てあげれないけど、なんとかしてあげる…レナがこれからもちゃんと生きていけるように」
レナ「そうなの?」
アレス「うん…まあ、その前に、お風呂に入ろうかw」
レナ「うん///」

オレはレナと一緒にお風呂に入った

レナの細い小さな身体には、ところどころアザがあった

クソ野郎の虐待の痕だ

オレはレナに回復魔法をかけて、アザを治した

ミリアはソファーに座って見ている

レナ「すごいね!…もう痛くない」
アレス「お兄ちゃんはすごいんだよ」
レナ「うんすごい!…お外になんかいろんなの居るね…」
アレス「ああ…いるねw…魔物も居るんだよ」
レナ「え?…魔物って怖いのじゃないの?」
アレス「大丈夫w…みんなお兄ちゃんの友だちだから」
レナ「ふうん」
アレス「猫もいるよ…ボスっていうの」
レナ「猫ちゃん好き」
アレス「ミリア…ごめんだけど、ボスを連れてきてくれる?」
ミリア「うん!」

ミリアは外で遊んでいるボスを連れてきた

ボス「ニァ」
アレス「おいで、ボッちゃん」
ボス「アレスだいすき」
アレス「はははw…ギュ…この子はレナって言うの」
レナ「アレスさんも猫ちゃんみたいな声だしてる」
ミリア「お兄ちゃんは動物とも喋るのよ~」
レナ「ほんと?…すごい!」
アレス「すごいだろ?…ほら、抱っこしてあげて?」
レナ「うん…よっしょ…かわいい~」
ボス「ニァ」
アレス「じゃあそのまま抱っこしたまま、立ってて?」
レナ「うん」

オレはレナごとボスも洗った

レナはだいぶ垢にまみれてて、髪の毛も脂ぎってたから、二回洗ってようやくキレイになった

レナ「気持ちいいね~…アタシ、お風呂って初めて」
アレス「え?Σ(゚д゚υ)…いつもどうしてたの?」
レナ「川に入ってゴシゴシするの」
アレス「…なんて親だよ…」
レナ「あったかくていいね」
アレス「うん…ウル」
ミリア「…ウル…」
レナ「なんだか眠くなる」
アレス「じゃあもう出てさ、ベッドで寝ようか」
レナ「うん…」

レナの身体とオレと、ボスを拭いた

でも、レナの服がない…

ミリアより小さいから、ミリアの服も着れないし

かと言って、元々着てたのは汚いし

アレス「レナ、服が今はないからさ…このタオルをこう巻いてさ…」
レナ「フワフワ」
アレス「うんw…フワフワ…ね、これで今は寝てて?」
レナ「うん!」
アレス「そんでね、お兄ちゃんはちょっとだけ出かけてくるけどね…寝て待っててね?」
レナ「そうなの…」
アレス「うん…ちょっとの間だけ…ね?」
レナ「また来てくれる?」
アレス「当たり前だよw…オレは約束は破らないって言ったろ?」
レナ「うん!」
アレス「寝付くまで、隣にいるからね…ナデナデ」
レナ「うん…グス…」

レナは、オレが撫でていると、すぐに眠ってしまった

アレス「ボス…」
ボス「ん?」
アレス「オレまた出かけるけど」
ボス「また行っちゃう…連れてって」
アレス「連れてってあげたいけど、レナが起きた時に誰も居ないとかわいそうだからさ…そばに居てあげてくれない?」
ボス「レナもさみしい…うん、わかった」
アレス「ありがと…ほんとに良い子だな…ナデナデ」
ボス「もっと撫でて」
アレス「うん…ナデナデナデナデ」
ボス「うれしい、だいすき」
アレス「オレも大好きだよ」
ボス「うれしい」
アレス「じゃあちょっと待っててね、レナのそばで」
ボス「うん…やくそく」
アレス「やくそくw」

そうして、外にいるビリーにレナの事を話し、詳しくは後で話す事にして、ミリアと一緒にペトロフの家に転移した

マリギナ「きゃあ!」
アレス「よおw」
ミリア「ぃよ~う٩(*❛⊰❛)۶」
マリギナ「あ…あ!…アレスさんとミリアちゃん!!」
アレス「ごめんね、ビックリさせて…」
ミリア「ごめん~」
マリギナ「う、うん…すごいビックリしました……でも、また来てくれて嬉しい!」
アレス「元気にしてた?…仲良くやってる?…ギュ…」
ミリア「元気だった?…ギュ」
マリギナ「はい…ウル…ギュ…あれから主人とは仲良く過ごせてます」
アレス「良かったよw」
マリギナ「あの人もわたしも…付き合う以前より、相手の事を思いやれるようになったと思います…それは二人から教わったから…そして、そうして生きてみると、お互いに心地良くなって…もっとどんどん愛せるような…」
アレス「そうそうw…それが大事なんだよw」
ミリア「マリギナちゃん幸せそうで嬉しいのよ」
マリギナ「ミリアちゃん…ギュ…相変わらずかわいい///」
アレス「そうだろ?…ペトロフは仕事かな?」
マリギナ「あ、はい…頑張ってると思います」
アレス「だよな…実は今日は、二人に助けてもらいたい事があってさ…」
マリギナ「なんでしょう!!」
アレス「あのさ…二人はさ…子ども出来ないって…そうだよな?」
マリギナ「ええ…わたしのせいで…」
アレス「いや、ごめん…でさ、オレはさっき、4、5歳の女の子を拾ってね…その子はね…

オレはレナのこれまでを、知ってる限り説明した

アレス「それで、良かったらレナを引き取ってくれないかなって…大変な願いだし、どうせなら赤ん坊がいいとは思うけどさ…」
マリギナ「ウル…いえ…わたしはレナちゃんと会ってみたいです…きっとあの人も、レナちゃんのその生い立ちを聞いたら、そう思うと思います…」
ミリア「とっても良い子よ」
アレス「ありがと…出来たら自分の子だと思ってくれるといいな…とか思うけど、難しい問題だからさ…とりあえず一週間でも二週間でもいいからさ…預かってみてくれないかな?…もしそれで上手くいかないなら、また他を当たるし、それもダメならオレが育てるけど」
マリギナ「…いえ!…ぜひ試させて欲しいと思います!…あの人にもちゃんと説明しておきます!」
アレス「ありがとう…オレから見てもかわいいと思うからさ…きっと気に入ってくれると思う…ペトロフは休みはいつ?」
マリギナ「明日が休みです」
アレス「じゃあ急で悪いけど…明日連れてくるよ…あんまりオレと過ごして、情が移るとまずいし」
マリギナ「わかりました!」
アレス「すまない、昼に来るからさ…一緒にごはん食べよう…料理頼むよ」
マリギナ「はい!」
アレス「ちなみに、レナは魔力があるよ」
マリギナ「まあw…え?…もうその歳で魔法使いなんですか?」
アレス「いや、それはわからないけど、オレはある程度他人に魔力があるかくらいはわかるから」
マリギナ「ええ~?!…すごい…」
アレス「なんか、いつのまにかわかるようになったんだよな~」
マリギナ「すっごいw」
アレス「ははw…ま、属性まではわからないけどね…」
マリギナ「それでもすごいです…」
アレス「まあ、その魔力があるのもわかったから、ルシアに住むのがいいかとも思ったわけだ」
マリギナ「なるほど~…たしかにそうかもしれませんね」
アレス「まあ、無理強いはしないから…軽い気持ちで試してみてよ」
マリギナ「はい!…実はもう結構楽しみだったりして///」
アレス「良かったw…じゃあまた明日の昼来るね…ミリア、行こう」
ミリア「うん٩(*❛⊰❛)۶…また明日ね!」
マリギナ「うんw…その前にもう一度抱きしめていい?」
ミリア「うん!…ギュゥ」
マリギナ「ああ、かわいい…ギュゥ」

そうしてマリギナと別れ、湖に帰った

バスケットに入ると、レナはまだぐっすり眠っていたから、フラナの街で子どもの服と下着をたくさん買ってきて、また戻った

ミリア「上手くいくといいね」
アレス「うん…本当は今日はスージーさんに会いに行こうと思ってたんだけどなw…また後日だな」
ミリア「ああ~…お兄ちゃんもほんと大変だよねw」
アレス「ねw…どっか行くと、不思議と困ってる奴いるしなあ…」
ミリア「勇者だからなのかな」
アレス「ね…いいんだけどねw…ああ、でも…またシエナの子たちに会いたいな…かわいいよなあ…幼体」
ミリア「かわいい~」
アレス「幼体のうちにまた行きたい」
ミリア「あはははw」

そう話してると、レナは起きた
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