勇者と妖精の恋と冒険

勇者と妖精と猫の生活

55

その日の昼は、グエンと一緒にサラの料理を食べたんだけど、かなり美味いw

普通に店をひらけるほどだ

アレス「すごい美味いww」
サラ「ほんとですか？！！」
アレス「うんw」
グエン「美味しいです！！」
サラ「よ、良かった…嬉しい…」
ミリア「どれ～……おお、美味し～！」
アレス「良かったなあ、グエン…これだけでもサラが来た価値があるんじゃねえか？w」
グエン「ほんとそうですw…これからこの料理食べれるなら、ボクももっと頑張れそうです！」
サラ「良かったあ…」
アレス「オレにもいつか教えてくれよ」
サラ「はい、そりゃもういつでも！」
アレス「うま…(●´)З`)))ﾓｸﾞﾓｸﾞ…さっきのサラの働いてた店もこの味？」
サラ「いえ…わたしは厨房ではなかったので」
アレス「そうなのか…お前、たまにここの住民にも食わせてやりな？…手っ取り早く仲良くなれるよ」
グエン「ああ、いいですねえ！…ただ、この町の人は宗教があって、牛の肉は食べないので、それは注意してください」
サラ「そうなのですか？…へぇぇ…野菜は大丈夫ですか？」
グエン「野菜は大丈夫です…それにまあ…食べない物は店には置いてないですから、大丈夫かなw」
アレス「グエンも牛は食わないの？」
グエン「ボクは宗教心は捨ててるので、食べる機会があれば食べてみたいですが…今まで食べた事ないものを食べるのは勇気要りますw…ルシアでは食べる機会なかったですし」
アレス「…そういやルシアでは牛肉出なかったなあ…」
グエン「ですよね」
サラ「だけど…あのヒレステーキは格別でした…」
アレス「な！ww…すんごいよな、アレ…本当に赤身の肉？…ってくらい、ジュワっと汁が出るんだよ」
サラ「はい…あれが牛肉なら、他のは違う肉な気がしてしまいます」
アレス「美味いよなあ…美味いモンってさ、それを目当てでまた来たくなったりするよなw…きっとこのサラの料理を食べたくなって、オレはまた来るよ」
サラ「…すごい…すんごく嬉しい言葉です…ｳﾙ」
グエン「美味しい物は、人と人を繋ぐんですねえ」
アレス「…そうかも…グエン、良いこと言うな…うん…食べ物とソイツの関係の思い出は忘れられないもんな」
ミリア「ああ～…あとアタシは匂いとかもあると思う」
アレス「たしかにw」
グエン「なるほど…五感と共有した記憶は、鮮烈に刻まれるのかもしれないですね…」
アレス「それはあると思う…だけど、たぶんきっと、その五感で感じるものが極端な場合だけだと思うな…すごく美味いか、すごくまずいか…すごく良い匂いか、すごく臭いか…じゃない？…普通な味なら覚えてなくない？」
グエン「たしかにww」
サラ「ほんとですねww」
アレス「以前、船で一緒になった吟遊詩人の歌…ソイツ自身は死んだ方がいいくらいのクソ野郎だったけど、歌はすごく美しくてさ…だからオレ、ソイツの事はどうでもいいのに覚えてるよ」
ミリア「アタシも～」
サラ「クソ野郎なのに歌は美しいって…よくわからないですね…」
アレス「ああ…そういう事もあるもんだって…オレもその時そう思ったよ」
グエン「へぇぇ…サラさんが料理上手いのはイメージ通りですけど…そういう場合じゃない時もある…か…当然そんな事はあるとは思うけど…心が汚いのに歌がキレイって…極端ですねえ…」
アレス「だよなぁ…きっとそういうのを『天才』って言うのかもな」
グエン「ああ～…」

それからまたママさんの家に戻り、サラはみんなに挨拶をして、友達のところに歩いていった

オレはそれにはついていかず、ママさんの家に居て、ビリーたちと話した

ビリー「アレスさん、今日は帰ろうと思ってるんだけど、大丈夫？」
アレス「大丈夫だよ…ただ、もう少し待って？…帰るのは一瞬で帰れるからさ」
ビリー「あっ、転移魔法ってやつだね？」
アレス「そうw…みんなを小さくして、ミリアが持って、転移するの…あっという間だよ」
イザベル「すごいわあ…」
アレス「ママさんの家にも、ミリアがいればすぐに来れるからさ…たまに様子を見に来るよ」
マノン「なんだか悪いねえ…」
アレス「いや、いいんだ…オレはただ、ビリーをママさんに会わせてやりてえってだけで来たのに、思いの外、いろんな人と関わっちゃったからなw」
マノン「関わっただけじゃないもんね、アレスさんは…いつも助けてさ」
アレス「そうする力があるからしてるだけだよ…誰だって目の前に困ってる奴いて、それを助けてあげられる力があればやるんじゃないの？…まあ、中にはクズもいるけどさw…大半の奴はそうすると思うよ」
ビリー「うーん…たしかにオレも力があれば助けてるかな…でも、助けられないのは力がないからか…」
ジャン「ボクも全然です…だからやっぱりアレスさんはすごいしカッコいい///」
アレス「お？…カッコいい？w」
ジャン「最高にカッコいいです///…ボクのヒーローです///」
アレス「あははははww」
マノン「アタシにもそう見えるよ」
イザベル「わたしもw」
アレス「まあ、勇者だしw…多少はね」
マノン「あんたの良いとこは、誰よりも強くていろんな事出来るのに、力がない弱い人の気持ちもわかってあげて、バカにしないとこだよね…立派だよ…」
ビリー「ほんとそうだよ…こないだのエイミちゃんの時もそうだ…」
イザベル「それはどんなふうに？」
ビリー「エイミちゃんは城に魔法を習いに来てた女の子なんだけど、いつまでも魔法が使えなくて悩んでたんだ…だけど、アレスさんは『それが出来なかったら何か困るの？』みたいな事言って、魔法と全く違うことして、彼女の暗くなった心を笑顔で満たしてたんだ…そしたらエイミちゃんは魔法が出来るようになってさ…普通ならアレスさんほどの魔法使いなら、そんなのも出来ないのか？ってバカにしそうなもんだけど、アレスさんは全然違ってたよ」
ジャン「さすがです///…カッコいいなあ…ボク、アレスさんみたいにはなれないと思うけど、アレスさんに怒られるような人間にはなりません」
アレス「ジャンならそんな事は簡単だよw…ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ…それに、ビリーだって他人をバカにはしないだろw…オレは普通だよ」
イザベル「うん、あなたもそうだわ」
ビリー「そうかなあ？///」
ミリア「照れてる？」
ビリー「ええ～///」
アレス「ﾌﾞﾊww」
ミリア「ｹﾞﾗｹﾞﾗ(* ≧▽≦)ﾉ=3」

みんなと少しゆっくりしながら、話してるうちに、サラはやってきた

顔には涙の跡があったが、それでも晴々としていた

アレス「どうだったよ？」
サラ「やっぱり会ってきて良かったですw」
アレス「そっかw…じゃあさ…ちょい待ってね……」

アレス「んー…今はまだグエンは忙しそうだな…とりあえず新しい部屋に行くか」
サラ「はい！」
アレス「ミリアお願い」
ミリア「ほーい٩(*❛⊰❛)۶」

グエンの診療所、サラの部屋前

アレス「グエンが忙しいうちに、自分の荷物をほどいておきな？」
サラ「はい！」
アレス「サラ…」
サラ「はい…」
アレス「オレが出来るのはここまでだ…ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ…あとは頑張るんだぞ？」
サラ「…はい…ｸﾞｽ…わたし…アレスさんとミリアちゃんも…大好きです…大大大好きです…」

サラはボロボロと大粒の涙を次から次に流しては、手でそれを拭っていた

それを見て、ミリアもボロボロ泣いていた

オレも少しもらい泣きして、二人をギュッと抱きしめ、撫でた

サラ「また会えますよね？」
アレス「うんw…少なくとも一ヶ月後には来る」
ミリア「来るのよ～(꒦ິ⌑꒦ິ)」
サラ「…ｸﾞｽ…ミリアちゃん…ｷﾞｭ…アレスさん…ほんとに…ほんとに…ありがとうございました…たった数日の出会いでも…こんなに大切に思う事って出来るんですね…わたし…ｸﾞｽ…こんなわたしでも…二人の為に何か出来る事あったら…なんでもするから…その時は言ってくださいね」
アレス「ああw…ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ…じゃあ…元気で…幸せにな」
ミリア「あう～…ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ」
サラ「二人もお元気で…誰よりも幸せでありますように」
アレス「ありがとw…じゃあミリア、帰ろうか」
ミリア「…うん」

そうしてサラと別れ、ママさんの家に戻る前に、今度はスージーさんのところに行った

スージー「わわ！」
アレス「スージーさん…ビックリしたね、ごめんね」
スージー「きゅ、急に現れた…」
アレス「ごめんごめんw…ｷﾞｭ…ミリアは一瞬でこうやって移動する魔法が出来るんだよ」
スージー「そ、そうなの…ｷﾞｭ…ｳﾙ…優しいねえ…こうしてると、あんたの優しさが伝わってくるよ…」
アレス「そうお？…スージーさん、オレね…今日帰るんだけどさ…必ずまた来るからね…またあのお店に行こうね…ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ」
スージー「うん…うん！…ｸﾞｽ…ありがと…ありがと！！」
アレス「今までたくさん辛かったろうし、これまでのその心にある憎しみは消せないかも知れないけどさ…オレはいつも味方だから…ね？…いつも都合良く助けには来れないけどさ…困ってるのわかったら、オレは助けに来るからね…だからこれからは、笑ってね…ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ」
スージー「ううう～…ﾋｯｸ…うん！…アタシ…もう大丈夫…もうこんな憎しみには負けないよ…ｸﾞｽ…ありがと…」
アレス「うんw…次は一ヶ月したら来るね…元気でね…マノンさんと仲良くね」
スージー「うん…あははw…ごめんね、なんかこんなババアなのに…ガキみたいだねw」
アレス「誰でもそういうふうに戻りたい時はあるよw…ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ…じゃあまたね」
スージー「うん…ほんとに優しくて…カッコいいね…」
アレス「ありがとw…またね」
スージー「またね…」

それからママさんの家に戻った

ミリア「お兄ちゃん、スージーさんの心の曇りはね、もうほとんどないのよ…すごいねえ」
アレス「そうなの？…それってのは憎しみがほとんどなくなったって事なのかな？」
ミリア「わからないけど…曇りが憎しみってやつなら、きっとそうだよ…お兄ちゃんがとっちゃった…」
アレス「へぇぇ…そうか…それは良かったよ」
ミリア「ほんとにすごいのよ」
アレス「また好きになった？」
ミリア「大大大大大好きなのよ…ｷﾞｭ」
アレス「オレもw…かわいい…ｷﾞｭ」