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勇者と妖精と猫の生活
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ジャン「アレスさん…昨日は一日中居ませんでしたけど、どこへ行ってたのですか?」
アレス「ああ~w…昨日はこないだ墓地で知り合った子をその…なんだ?…いちおう助けてたのかな?」
ミリア「助けてたよ~」
マノン「ああ、あの子の!」
イザベル「なるほど~」
ビリー「アレスさんも大変だねぇ…いっつも誰かを助けてて…」
アレス「いやw…でも今日は特にやる事ないかなあ」
ボス「アレス、抱っこしてえ」
アレス「おう…ダッコ…よしよし…ビリーはいつまでここにいる?」
ビリー「うーん…そのことなんだけどさ…ちょっといい?」
アレス「ああ、うん…」
オレはビリーに連れられて、外に出た
ビリー「オレはさ…母さんを連れていきたいんだけど…アレスさんが大丈夫なら…」
アレス「…オレは大丈夫だよ…けど、その話はイザベルやジャンには相談したのか?」
ビリー「いや…これから…」
アレス「そっかw…まあ、たしかにオレに先に言うのが筋かw…一緒に行こう!とかなって、オレが無理だとか言ったらズッコケちまうもんなw」
ビリー「そうw…でも良かった…」
アレス「うんうん…オレが言うまでもないけど、ちゃんと話し合えよ?」
ビリー「うん…そうするよ」
アレス「そしたらさ…オレは今日ママさんとこれから昼前くらいまで、遊びに行ってくるよ…その間に話し合いしろよ」
ビリー「そうしてくれる?…助かるよ!」
アレス「うん…ただ、オレはもちろんビリーがそう思ってることは言わないぜ…ママさんには」
ビリー「うん、ちゃんとオレから話す」
アレス「わかった…じゃあママさんを誘ってくるよ」
ビリー「ほんと…申し訳ないなあ…」
アレス「いいってことよ」
そうして、ママさんを連れて、とりあえず散歩に出かけた
マノン「あんた、珍しいねえ…」
アレス「何が?」
マノン「いや、だってさ…友達のお母さんと遊びに行くって…普通はしないだろう」
アレス「ああw…たしかにw…けどさ、オレにはもう母親はいないからさ…なんていうか…ママさんみたいな人と一緒に過ごしてみたいんだよ…」
マノン「そうなのかい…それは気の毒だねぇ…まだアレスさんもミリアちゃんも若いのにね…」
アレス「仕方ないよ…生きてればどうしたって死はやってくるし…それが早いか遅いかだけでさ」
マノン「そうだけどさ…」
アレス「ママさんは死ぬのは怖い?」
マノン「うーん…苦しいとか痛いとかは嫌だねえ怖いねえ…」
アレス「それは逆に言えば、苦しくも痛くもないならかまわないってこと?」
マノン「そうだねぇ…ビリーたちとも会えたしさ、そんでもって思ってたよりもずっと立派になってたんだ…もう何も後悔はないよ…お父さんはさ、本当に静かに死んだのよ…寝てるうちにね…悲しかったし、とても寂しかったけど…こう言っちゃ悪いけど、羨ましいとも思ったね…」
アレス「…なんかわかるよ…」
マノン「でも、あんたは生きてなくちゃダメよ…ミリアちゃんもボスもいるんだからねw」
アレス「うんw…オレはまだまだ生きていたい」
マノン「そう聞いて安心したよw」
アレス「ママさん、友達は?」
マノン「ああ、いるよ…いなきゃさすがにやってられないよ」
アレス「だよねw…その友達のとこ行こうよ」
マノン「ええ?…ほんと変わってるねえ…こんなばばあの友達と一緒に遊ぶって」
アレス「はははw…だからだよ」
マノン「どういうこと?」
アレス「オレはさ、他人の痛みや弱さをわかってあげたい…でも、オレは強いから時々わからないし、何より体験しなきゃわからない気持ちなんて、いくらでもある…オレの持ってない、考えた事もない気持ちの有り様もいくらでもある…それは人によっても、女と男でも、年齢の違いでも、居る場所でも違うじゃんか…そういうの…オレは『知る』って事しか出来なくても、オレにとってはすごく為になるんだ」
マノン「…優しいねえ…そうやって知ったことで、また誰かを助けるんだね」
アレス「わからないけど…いつか役に立つかもねw」
マノン「立派だよ…じゃあ、友達んとこ行ってみようかね」
アレス「ボスも連れてって大丈夫かな?…猫苦手とか」
マノン「ああ、大丈夫よw…だってその友達も猫飼ってるし」
アレス「そっかw…じゃあ行こう」
それから、ママさんの友達の家に着いて、オレたちは紹介された
ママさんの友達はスージーという名だ
スージー「あらま…とっても男前だねぇ…見たことないわ」
マノン「そうだろ?w…うちのせがれの友達とは思えないよw」
スージー「あははははw…でもアレスさんは変わってるねえ…友達の母親と遊ぶだけでも変なのに、その友達のばばあと遊びたいなんてw」
マノン「そうだろ?w」
アレス「いやはははw…たしかにw…でもばばあだなんて思ってないよ」
スージー「ありがとねw…妹さんもすごくきれいねえ」
ミリア「やったー٩(*❛⊰❛)۶ありがと!…ボスは?」
スージー「ボスちゃんもかわいい…おいで」
ボス「ニァ」
スージー「お~よしよし…いい子いい子」
ボス「ニァ」
ボスはスージーさんに撫でられると、オレの足の上に乗りにきた
おばさんたちの会話って、本当に入る隙間がないほど、ずっと喋ってる
口を挟もうと喋る事を考えて、隙を見計らってるうちに、もう次の話題になるのだ
結構おしゃべりなオレでも、なかなか入るのは難しい
ミリアも呆けた顔で見てるw
オレも、話を振られた時以外は口を挟むのはやめて、会話を聞くことにした
ミリア『お兄ちゃん…』
アレス『ん?』
ミリア『すごく喋るね』
アレス『ああ…なw』
ミリア『けどね、スージーさんのピカピカはすごく曇ってるのよ』
アレス『え?…全然価値のない人には見えないけど…』
ミリア『そうじゃないの…きっとね…たぶん、何かが悲しいのよ』
アレス『…そうなのか…こうして二人が喋ってるの聞いてる分には、全然そんなのわからないけどな…』
ミリア『アタシもピカピカが見えないならわからないw』
アレス『…ふむ…』
オレたちは、なおも話を聞いていたが、自分の子どもたちの話になってから、少し様子がおかしくなっていった
ミリア『お兄ちゃん、スージーさんのピカピカがもっと曇ったのよ』
アレス『ああ…それはオレも感じる』
アレス「スージーさん」
スージー「え?」
アレス「スージーさん…何があったの?」
スージー「え?…なにが?w」
アレス「なんかさ…悲しみが見えるよ…」
スージー「……どうして…」
アレス「なんとなく…オレになんか出来る事あるか?」
スージー「……クゥ…」
マノン「……」
アレス「…ギュ…ナデナデ…」
スージー「や、やだよ…こんなおばちゃんに///」
アレス「スージーさん…おばちゃんだろうが、屈強な戦士だろうが、泣きたい時なんか誰にだってあるよ…そんな時は泣いたっていいんだ…泣き顔見られるの恥ずかしいなら、オレがこうしてるからさ…ね?…ギュ」
マノン「…グス…アレスさん…」
スージー「うっ、うっ…グス…クゥ…」
アレス「大丈夫大丈夫…ナデナデ…」
ミリア「…グス…」
スージーさんは静かに…でも嗚咽をあげて、オレの胸で泣いた
しばらく泣いて、スージーさんは顔を上げた
スージー「ありがとね///…アレスさんは優しいねえ…良い匂いだしw」
マノン「優しいねえ…」
アレス「こんな事で心が救えるなら、簡単な事だよ…でもさ…聞いて欲しい事があれば聞く…力になれるかはわからないけど…」
スージー「…聞いてくれる?」
アレス「うん」
スージー「アタシはね…結婚してからずっとね…」
アレス「うん」
スージー「姑や小姑にいびられててね…夫も助けてくれないし…ずっとね…我慢してたのよ…」
アレス「なに?…よし、そいつらのとこ行こう…オレがバチバチにしめてやるよ」
スージー「あははw…カッコいいねえ…でもね、もう死んだの…みんな…」
アレス「クソが…」
スージー「アタシはそれでね…二人子どもがいてね…ずーっと耐えてきた分、やっとアタシの番だって思ってたのよ」
アレス「スージーさんも嫁いびりを?」
スージー「そう…ずっと耐えてきたからさ…そのくせ、復讐したくてももう出来ないからさ…」
アレス「…そう…」
スージー「でもね…やっとアタシの番だって思って…子どもの嫁を少しいびったらさ…子どもたちはすぐにアタシから離れていってね…今はもうどこにいるかもわからないのよ…悔しくて…なんでアタシだけ、こんな悔しいまま…グス」
アレス「かわいそうに…ギュ…ナデナデ…かわいそうだ…」
スージー「ほんとはね…自分がされて嫌だった事…他人にしたらいけないって…そんなの最低だってさ…わかってる…アタシばっかりが辛いわけじゃないってのもわかってる…でもね…どうにも悔しくて…どうしていいかわからなくて…」
アレス「ああ…ナデナデ…ごめんね…スージーさん…オレはかわいそうに思っても…どうすればいいのかわからない…ごめんよ…」
スージー「う、ううん…とんでもないよ!…今こうして抱きしめて撫でてくれただけでさ…アタシは救われる思いだよ…話を聞いてもらえて嬉しいよ…グス…ほんと…今日初めて会った人なのに…」
アレス「オレもね、心に恨みや憎しみを抱えたまま生きるのは、一番嫌だからさ…オレはすぐにスカッとしちゃうんだけどね…だから、そういうやなモンがずっと心にしまわれたまま生きてきた、スージーさんの事考えるとさ…本当にいたたまれなくて…」
スージー「…ありがとね…」
アレス「オレはそのやなモンをとってあげれはしないかもだけどさ…少し幸せにする事はできる」
スージー「…へ?…どうするの?」
アレス「美味いモンを食うのさ」
スージー「美味いモン?」
アレス「ああ…スージーさんの大好きな食べ物とか…オレが美味いと思ってるモンとかさ…誰だってたぶん、そういうの食ってる時は幸せだろ?」
スージー「…あははw…そうだね」
マノン「そうねえw」
アレス「よーし、じゃあさ、オレが金出すから、普段あんま行けないような美味しい店とか…そんなのない?」
スージー「…ある///」
アレス「そこに行こうw…そんで好きなモンを好きなだけ楽しもうよ」
スージー「…そんな、悪いよ…」
アレス「何も悪くないよ…オレはオレが優しくしたいから、そうさせておくれよ」
マノン「男前だねぇ…」
スージー「うん…じゃあ…」
そうして、ボスとミリアを秘密基地に入れて、スージーさんの大好きな焼肉の店に行き、みんなで楽しく食べた
ミリア『お兄ちゃん…スージーさんのピカピカ、だいぶ復活したのよ』
アレス『お~w…それは良かったw』
ミリア『お兄ちゃんはすごいねえ…』
アレス「ねえ、スージーさん…オレもこれで結構忙しいからさ…あんまり会いには来れないけど…月に一度はこの店に連れてってあげるよ」
スージー「いいよそんな!…ウル…どうしてあんたは…そんなにも…グス」
アレス「友達を助けるのに、理由なんかいらない…そうだろ?」
マノン「ああほんとカッコいい…」
アレス「惚れる?」
マノン「うん…若かったら猛アタックしてるよw…ねえ?」
スージー「うんw…誰にも渡さないw」
アレス「やべぇ、またモテちゃったw」
マノン「さぞかしモテるんだろうねえ」
アレス「まぁねw」
スージー「アレスさん…本当にありがとう…アタシ、こんなに晴れ晴れとした気持ちになれたの…本当にもう何十年ぶりだよ」
アレス「おっ…そいつはオレも来た甲斐があったなw」
マノン「アタシも連れてきた甲斐があったわ…なんちゃってw」
スージー「あはははw…グス…ありがとうありがとう…」
アレス「スージーさん、これね…この瓶にはオレの特製の回復薬が入ってるの…すごく美味しい上に、めちゃくちゃ元気になる…ゴク…ほら、ママさんもスージーさんも、ちょっとだけ飲んでみ?」
マノン「どれ…ゴク…お、おいし~…ほんと!…すごい!」
スージー「ほんと?!…どれどれ…ゴク…うわ!…ほんとすごい…」
アレス「うん…すごいだろ?…これはずっとこのままでも腐らない、不思議な水だからさ…お守りとして持ってなよ…どうしても元気ない時は飲むといいよ」
スージー「ありがとね…ギュ…大事にするよ」
アレス「うん…ママさんにもあげる」
マノン「ありがとう!!」
アレス「身体と心は繋がってるからさ…案外ね、身体が元気になると、心も元気になるモンだよ」
スージー「そっか…ギュ…でもアタシは、アレスさんが優しさをたくさんくれたからさ…もういつ死んでもいいよ」
アレス「…すぐそういう事言うからなあ…」
スージー「ごめんよw」
マノン「ごめんw」
それから少しして店を出て、スージーさんを家に送り、ママさんとオレたちは家に帰った
アレス「ああ~w…昨日はこないだ墓地で知り合った子をその…なんだ?…いちおう助けてたのかな?」
ミリア「助けてたよ~」
マノン「ああ、あの子の!」
イザベル「なるほど~」
ビリー「アレスさんも大変だねぇ…いっつも誰かを助けてて…」
アレス「いやw…でも今日は特にやる事ないかなあ」
ボス「アレス、抱っこしてえ」
アレス「おう…ダッコ…よしよし…ビリーはいつまでここにいる?」
ビリー「うーん…そのことなんだけどさ…ちょっといい?」
アレス「ああ、うん…」
オレはビリーに連れられて、外に出た
ビリー「オレはさ…母さんを連れていきたいんだけど…アレスさんが大丈夫なら…」
アレス「…オレは大丈夫だよ…けど、その話はイザベルやジャンには相談したのか?」
ビリー「いや…これから…」
アレス「そっかw…まあ、たしかにオレに先に言うのが筋かw…一緒に行こう!とかなって、オレが無理だとか言ったらズッコケちまうもんなw」
ビリー「そうw…でも良かった…」
アレス「うんうん…オレが言うまでもないけど、ちゃんと話し合えよ?」
ビリー「うん…そうするよ」
アレス「そしたらさ…オレは今日ママさんとこれから昼前くらいまで、遊びに行ってくるよ…その間に話し合いしろよ」
ビリー「そうしてくれる?…助かるよ!」
アレス「うん…ただ、オレはもちろんビリーがそう思ってることは言わないぜ…ママさんには」
ビリー「うん、ちゃんとオレから話す」
アレス「わかった…じゃあママさんを誘ってくるよ」
ビリー「ほんと…申し訳ないなあ…」
アレス「いいってことよ」
そうして、ママさんを連れて、とりあえず散歩に出かけた
マノン「あんた、珍しいねえ…」
アレス「何が?」
マノン「いや、だってさ…友達のお母さんと遊びに行くって…普通はしないだろう」
アレス「ああw…たしかにw…けどさ、オレにはもう母親はいないからさ…なんていうか…ママさんみたいな人と一緒に過ごしてみたいんだよ…」
マノン「そうなのかい…それは気の毒だねぇ…まだアレスさんもミリアちゃんも若いのにね…」
アレス「仕方ないよ…生きてればどうしたって死はやってくるし…それが早いか遅いかだけでさ」
マノン「そうだけどさ…」
アレス「ママさんは死ぬのは怖い?」
マノン「うーん…苦しいとか痛いとかは嫌だねえ怖いねえ…」
アレス「それは逆に言えば、苦しくも痛くもないならかまわないってこと?」
マノン「そうだねぇ…ビリーたちとも会えたしさ、そんでもって思ってたよりもずっと立派になってたんだ…もう何も後悔はないよ…お父さんはさ、本当に静かに死んだのよ…寝てるうちにね…悲しかったし、とても寂しかったけど…こう言っちゃ悪いけど、羨ましいとも思ったね…」
アレス「…なんかわかるよ…」
マノン「でも、あんたは生きてなくちゃダメよ…ミリアちゃんもボスもいるんだからねw」
アレス「うんw…オレはまだまだ生きていたい」
マノン「そう聞いて安心したよw」
アレス「ママさん、友達は?」
マノン「ああ、いるよ…いなきゃさすがにやってられないよ」
アレス「だよねw…その友達のとこ行こうよ」
マノン「ええ?…ほんと変わってるねえ…こんなばばあの友達と一緒に遊ぶって」
アレス「はははw…だからだよ」
マノン「どういうこと?」
アレス「オレはさ、他人の痛みや弱さをわかってあげたい…でも、オレは強いから時々わからないし、何より体験しなきゃわからない気持ちなんて、いくらでもある…オレの持ってない、考えた事もない気持ちの有り様もいくらでもある…それは人によっても、女と男でも、年齢の違いでも、居る場所でも違うじゃんか…そういうの…オレは『知る』って事しか出来なくても、オレにとってはすごく為になるんだ」
マノン「…優しいねえ…そうやって知ったことで、また誰かを助けるんだね」
アレス「わからないけど…いつか役に立つかもねw」
マノン「立派だよ…じゃあ、友達んとこ行ってみようかね」
アレス「ボスも連れてって大丈夫かな?…猫苦手とか」
マノン「ああ、大丈夫よw…だってその友達も猫飼ってるし」
アレス「そっかw…じゃあ行こう」
それから、ママさんの友達の家に着いて、オレたちは紹介された
ママさんの友達はスージーという名だ
スージー「あらま…とっても男前だねぇ…見たことないわ」
マノン「そうだろ?w…うちのせがれの友達とは思えないよw」
スージー「あははははw…でもアレスさんは変わってるねえ…友達の母親と遊ぶだけでも変なのに、その友達のばばあと遊びたいなんてw」
マノン「そうだろ?w」
アレス「いやはははw…たしかにw…でもばばあだなんて思ってないよ」
スージー「ありがとねw…妹さんもすごくきれいねえ」
ミリア「やったー٩(*❛⊰❛)۶ありがと!…ボスは?」
スージー「ボスちゃんもかわいい…おいで」
ボス「ニァ」
スージー「お~よしよし…いい子いい子」
ボス「ニァ」
ボスはスージーさんに撫でられると、オレの足の上に乗りにきた
おばさんたちの会話って、本当に入る隙間がないほど、ずっと喋ってる
口を挟もうと喋る事を考えて、隙を見計らってるうちに、もう次の話題になるのだ
結構おしゃべりなオレでも、なかなか入るのは難しい
ミリアも呆けた顔で見てるw
オレも、話を振られた時以外は口を挟むのはやめて、会話を聞くことにした
ミリア『お兄ちゃん…』
アレス『ん?』
ミリア『すごく喋るね』
アレス『ああ…なw』
ミリア『けどね、スージーさんのピカピカはすごく曇ってるのよ』
アレス『え?…全然価値のない人には見えないけど…』
ミリア『そうじゃないの…きっとね…たぶん、何かが悲しいのよ』
アレス『…そうなのか…こうして二人が喋ってるの聞いてる分には、全然そんなのわからないけどな…』
ミリア『アタシもピカピカが見えないならわからないw』
アレス『…ふむ…』
オレたちは、なおも話を聞いていたが、自分の子どもたちの話になってから、少し様子がおかしくなっていった
ミリア『お兄ちゃん、スージーさんのピカピカがもっと曇ったのよ』
アレス『ああ…それはオレも感じる』
アレス「スージーさん」
スージー「え?」
アレス「スージーさん…何があったの?」
スージー「え?…なにが?w」
アレス「なんかさ…悲しみが見えるよ…」
スージー「……どうして…」
アレス「なんとなく…オレになんか出来る事あるか?」
スージー「……クゥ…」
マノン「……」
アレス「…ギュ…ナデナデ…」
スージー「や、やだよ…こんなおばちゃんに///」
アレス「スージーさん…おばちゃんだろうが、屈強な戦士だろうが、泣きたい時なんか誰にだってあるよ…そんな時は泣いたっていいんだ…泣き顔見られるの恥ずかしいなら、オレがこうしてるからさ…ね?…ギュ」
マノン「…グス…アレスさん…」
スージー「うっ、うっ…グス…クゥ…」
アレス「大丈夫大丈夫…ナデナデ…」
ミリア「…グス…」
スージーさんは静かに…でも嗚咽をあげて、オレの胸で泣いた
しばらく泣いて、スージーさんは顔を上げた
スージー「ありがとね///…アレスさんは優しいねえ…良い匂いだしw」
マノン「優しいねえ…」
アレス「こんな事で心が救えるなら、簡単な事だよ…でもさ…聞いて欲しい事があれば聞く…力になれるかはわからないけど…」
スージー「…聞いてくれる?」
アレス「うん」
スージー「アタシはね…結婚してからずっとね…」
アレス「うん」
スージー「姑や小姑にいびられててね…夫も助けてくれないし…ずっとね…我慢してたのよ…」
アレス「なに?…よし、そいつらのとこ行こう…オレがバチバチにしめてやるよ」
スージー「あははw…カッコいいねえ…でもね、もう死んだの…みんな…」
アレス「クソが…」
スージー「アタシはそれでね…二人子どもがいてね…ずーっと耐えてきた分、やっとアタシの番だって思ってたのよ」
アレス「スージーさんも嫁いびりを?」
スージー「そう…ずっと耐えてきたからさ…そのくせ、復讐したくてももう出来ないからさ…」
アレス「…そう…」
スージー「でもね…やっとアタシの番だって思って…子どもの嫁を少しいびったらさ…子どもたちはすぐにアタシから離れていってね…今はもうどこにいるかもわからないのよ…悔しくて…なんでアタシだけ、こんな悔しいまま…グス」
アレス「かわいそうに…ギュ…ナデナデ…かわいそうだ…」
スージー「ほんとはね…自分がされて嫌だった事…他人にしたらいけないって…そんなの最低だってさ…わかってる…アタシばっかりが辛いわけじゃないってのもわかってる…でもね…どうにも悔しくて…どうしていいかわからなくて…」
アレス「ああ…ナデナデ…ごめんね…スージーさん…オレはかわいそうに思っても…どうすればいいのかわからない…ごめんよ…」
スージー「う、ううん…とんでもないよ!…今こうして抱きしめて撫でてくれただけでさ…アタシは救われる思いだよ…話を聞いてもらえて嬉しいよ…グス…ほんと…今日初めて会った人なのに…」
アレス「オレもね、心に恨みや憎しみを抱えたまま生きるのは、一番嫌だからさ…オレはすぐにスカッとしちゃうんだけどね…だから、そういうやなモンがずっと心にしまわれたまま生きてきた、スージーさんの事考えるとさ…本当にいたたまれなくて…」
スージー「…ありがとね…」
アレス「オレはそのやなモンをとってあげれはしないかもだけどさ…少し幸せにする事はできる」
スージー「…へ?…どうするの?」
アレス「美味いモンを食うのさ」
スージー「美味いモン?」
アレス「ああ…スージーさんの大好きな食べ物とか…オレが美味いと思ってるモンとかさ…誰だってたぶん、そういうの食ってる時は幸せだろ?」
スージー「…あははw…そうだね」
マノン「そうねえw」
アレス「よーし、じゃあさ、オレが金出すから、普段あんま行けないような美味しい店とか…そんなのない?」
スージー「…ある///」
アレス「そこに行こうw…そんで好きなモンを好きなだけ楽しもうよ」
スージー「…そんな、悪いよ…」
アレス「何も悪くないよ…オレはオレが優しくしたいから、そうさせておくれよ」
マノン「男前だねぇ…」
スージー「うん…じゃあ…」
そうして、ボスとミリアを秘密基地に入れて、スージーさんの大好きな焼肉の店に行き、みんなで楽しく食べた
ミリア『お兄ちゃん…スージーさんのピカピカ、だいぶ復活したのよ』
アレス『お~w…それは良かったw』
ミリア『お兄ちゃんはすごいねえ…』
アレス「ねえ、スージーさん…オレもこれで結構忙しいからさ…あんまり会いには来れないけど…月に一度はこの店に連れてってあげるよ」
スージー「いいよそんな!…ウル…どうしてあんたは…そんなにも…グス」
アレス「友達を助けるのに、理由なんかいらない…そうだろ?」
マノン「ああほんとカッコいい…」
アレス「惚れる?」
マノン「うん…若かったら猛アタックしてるよw…ねえ?」
スージー「うんw…誰にも渡さないw」
アレス「やべぇ、またモテちゃったw」
マノン「さぞかしモテるんだろうねえ」
アレス「まぁねw」
スージー「アレスさん…本当にありがとう…アタシ、こんなに晴れ晴れとした気持ちになれたの…本当にもう何十年ぶりだよ」
アレス「おっ…そいつはオレも来た甲斐があったなw」
マノン「アタシも連れてきた甲斐があったわ…なんちゃってw」
スージー「あはははw…グス…ありがとうありがとう…」
アレス「スージーさん、これね…この瓶にはオレの特製の回復薬が入ってるの…すごく美味しい上に、めちゃくちゃ元気になる…ゴク…ほら、ママさんもスージーさんも、ちょっとだけ飲んでみ?」
マノン「どれ…ゴク…お、おいし~…ほんと!…すごい!」
スージー「ほんと?!…どれどれ…ゴク…うわ!…ほんとすごい…」
アレス「うん…すごいだろ?…これはずっとこのままでも腐らない、不思議な水だからさ…お守りとして持ってなよ…どうしても元気ない時は飲むといいよ」
スージー「ありがとね…ギュ…大事にするよ」
アレス「うん…ママさんにもあげる」
マノン「ありがとう!!」
アレス「身体と心は繋がってるからさ…案外ね、身体が元気になると、心も元気になるモンだよ」
スージー「そっか…ギュ…でもアタシは、アレスさんが優しさをたくさんくれたからさ…もういつ死んでもいいよ」
アレス「…すぐそういう事言うからなあ…」
スージー「ごめんよw」
マノン「ごめんw」
それから少しして店を出て、スージーさんを家に送り、ママさんとオレたちは家に帰った
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