勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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勇者と妖精と猫の生活

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アレス「ミリア、今日はビリーのとこに行くよ~」
ミリア「はーい」
アレス「ボッちゃんも行く?」
ボス「うん、行く」
アレス「カーくんたちは留守番頼む」
カーくん「うん!」
アレス「もしも昨日のクマが来たら、一緒に遊んであげてね、ホイミン」
ホイミン「わかった~」
アレス「メープル、これ、お弁当だよ…小屋の中にしまっといて、お腹空いたら食べな?」
メープル「わあ!…ありがと!!…優しいなあ」
アレス「これはカーくんのお弁当だよ」
カーくん「やったあ!…ありがと!」
アレス「じゃあ、行ってくるね」
ミリア「いてきまーす٩(*❛⊰❛)۶」
ホイミン「いてらっしゃい」
カーくん「気をつけてね~」

ビリーの視界をのぞくと、ビリーはすでに工房に居て、妻子も来ていた

そこへオレたちは転移した

アレス「よっ」
ミリア「ぃよ~ぅ」
ビリー「おお!」
妻「え!!え!!」
子「と、突然きた!」
アレス「ビックリさせて悪い…オレはアレス…こっちはミリアで、この子はボスだ」
ミリア「こんにちは」
妻「こんにちは…わたしはイザベルです…どうぞよろしくおねがいします」
子「は、はじめまして…ジャンです…」
ビリー「来てくれてありがとう」
アレス「約束は守るよ…イザベルとジャン…よろしくね」
イザベル「は、はい!」
ジャン「よろしくです…」
ミリア「よろしくなのよ~」
イザベル「アレス様…は勇者様なんですよね?」
アレス「そういう感じ」
ビリー「かなりのハンサムさんだろ?…ミリアちゃんもすごくかわいいだろ?」
イザベル「うん…すっごく」
ジャン「そ、その猫ちゃんも…かわいい」
ミリア「ボスなのよ…ほら」
ジャン「よろしくね///…ボスちゃん」
ボス「ニァ」
アレス「じゃあ、早速行こうか…どうする?…キャリアでいきなり行く?」
ビリー「それがオレたちには楽だけど…その…」
アレス「ははw…しばらく歩いて行こうかw」
ビリー「そ、そうしてくれるかい?…本当…オレも戦ったりは出来ないのに申し訳ないけど…」
アレス「いいさ…旅する事がどれほど危険だとかを体験させたいとかだろ?」
ビリー「…!!…そう、その通り!…すごいな、よくわかるね~」
アレス「じゃあさ…イザベル、ジャン…しばらく疲れるまでは歩きで行こう」
イザベル「は、はい!」
ジャン「はい!」
アレス「街の外の世界も、魔物も…きっと見れるよw」

そうしてオレたちは、馬車で街の出入り口の門まで行き、それから歩いた

アレス「ジャンはいくつだ?」
ジャン「えっと10歳です…」
アレス「ほう…自分で言えて、言葉遣いもちゃんとしてて偉いなぁ」
ジャン「あ、ありがとうございます///」
アレス「オレなんかは10歳の頃はかなーりやんちゃ坊主だったよw」
ジャン「そうなんですか…ボクはあまり身体が強くなくて、走り回ると熱出したりしてしまうんです…だからお友達も少ないです」
アレス「そうなの?…今歩いてても大丈夫か?」
ジャン「はい!…歩くのは好きです!」
アレス「猫は好き?」
ジャン「はい…かわいいの好きです」
アレス「ボッちゃん抱っこしてみる?」
ジャン「いいですか?」
アレス「ボッちゃんに聞いてみるね」
ジャン「え?」
アレス「オレは特別だから動物とも話せるのさ…ボッちゃん」
ボス「なあに?」
アレス「この子…ジャンが抱っこしたいんだって…嫌じゃなかったらいい?」
ボス「うん」

ボスはそういうと、ジャンに飛びついて、ジャンは慌ててボスを抱きかかえた

ジャン「わぁ///…本当に話せるんだ!」
イザベル「すごいw」
ミリア「猫の声も上手いよねww」
イザベル「うんww」
アレス「オレはそんな声出してるつもりはないけどなw」
ビリー「そうなんだw」
アレス「ジャン、ボッちゃんは目つきは極悪だけど、優しくて賢い子だよ」
ジャン「…とってもとってもかわいいです!…スリスリ」
アレス「ビリーはイザベルとはフラナで出会ったのか?」
ビリー「そう…お客さんだったんだw」
アレス「お、やるねえw」
イザベル「うふふふw」
アレス「ビリーから声かけたの?」
イザベル「最初はわたしからです///」
アレス「へぇぇw…ビリーのどこが良かった?」
イザベル「わたし実はこの人の前に結婚してた事あって…ソイツは結婚する前は優しかったんだけど、結婚したらほったらかしになって…浮気もしたし、義母もクソババアでいつもいびられてて…」
アレス「なるほど…典型的なクソ野郎だったのか…」
イザベル「はい…だからわたし、隙を見て逃げて…実家に帰って生活してて…で、お父さんが荷車が欲しいと言っていたから、わたしがお金貯めて買ってあげようと思って…」
アレス「なるほど、それでビリーに頼んだわけか」
イザベル「いえ、最初に頼んだ職人さんはなんか客であるわたしをバカにしてるような感じで…ここはこうして欲しいとか言っても、『素人は口を挟まないでくれますかねw』とか言われて…」
アレス「ムカつくな…オレがいたらボコボコにしてるとこだ」
イザベル「それは見てみたかったですw…で、そんな職人は…
アレス「待った…」

オレはみんなに手をかざして、足を止めさせた

魔物の気配がするからだ

アレス「みんなかたまって?」

みんながかたまると、オレは結界を張った

ミリア「この膜に触ったらダメなのよ、痛いのよ」
イザベル「あ、はい…」
ジャン「ま、魔物…ですか?」
アレス「うん、ボッちゃんを抱っこしててねw」
ジャン「は、はい!」

それだけ話しているうちに、魔物はかなり集まっていた

姿は見せないが、ぐるりと囲まれた

アレス「こりゃあ、かなりいるな」
ビリー「こ、ここいらには犬みたいな魔物がいるって…」
アレス「ああ、そう…だからたくさんなんだな…」
ミリア「どしてえ?」
アレス「犬とか狼は集団で狩りをするんだよ…20はいる」
ミリア「ふぅん」

魔物たちはぐるりと囲み終わると、一斉に襲いかかってきた

基本的には黒い痩せた犬だが、上顎から二本の長い牙が生えてて、額から一本の角が前に突き出ている

痩せてはいるが、足は太く、それだけに素早い

だけどオレにはなんてことない相手だ

ブルースの修行を受けた今のオレなら、魔法で強化するまでもなかった

むしろ、そんなことしたら死んでしまうかもしれない

オレは奴らが諦めるまで、一匹一匹蹴ったり殴ったり、投げたりして痛めつけた

奴らは意気消沈したが、それでも中でも身体の一番大きな立派な毛並みの一匹は何度も襲いかかってきた

アレス「おいおい、もういいだろ…それとも諦められないか?」
魔物「…あ、あんた…喋れるのか?」
アレス「うん…やめろよ…お前がボロボロになるだけだぞ」
魔物「…だけど…」
アレス「お前は群れのリーダーか?」
魔物「うん…」
アレス「もう何日も食ってないのか?」
魔物「そう…だから諦めるとコイツらは死ぬ…」
アレス「そうか…お前も大変だな…立派なリーダーだよ」
魔物「……」
アレス「でも、オレたちも食われてやるわけにはいかない」
魔物「…そりゃそうだ…あんたはオレたちより全然強いし…でも殺さないのか?…人間なのに…」
アレス「オレはお前たちになんの恨みもないのに、殺すわけないだろw…お前たちを食べるつもりもないしw…向かってくれば殴るけど、ケガさせたいとも思ってないよw」
魔物「そうなのか…ごめん…」
アレス「いや、いいんだよ…お前たちの行動だって当然なんだからさ…おいで、回復してやる」
魔物「え?」
アレス「回復魔法でさ…お前たち、そんなケガでうろついてたら、食われるだけだぞ?」
魔物「…それは仕方ない」
アレス「…まぁね…でも、なんていうか…オレはそれが正しいかはわからないけど、いつも回復してるんだ…だからお前たち、かたまれよ」
魔物「…ありがとう」

そのリーダーはみんなを集めて、一ヶ所にかたまった

オレはその集団に回復魔法をかけた

魔物「…ありがとう!…すっかり元気になった!」
アレス「でも、腹減りは治らないからなぁ」
魔物「それは仕方ない…また別の見つける」
アレス「…ミリア、肉出して?」
ミリア「はーい」

ミリア「はい!」
アレス「ミリア、コイツら小さくしてもらえる?」
ミリア「うん」
アレス「いいか?よく聞け…今からお前たちを魔法で小さくして、この肉を食わせてやる…オレを信じるなら、素直に魔法にかかれよ?」
魔物「…どうしてそこまで?」
アレス「なんかそういう性格なんだよ」
魔物「…ありがと…グス」

ミリアは魔物を小さくして、オレは肉を何枚か焼いた

魔物の群れはガツガツと肉を食べ始めた

ビリー「ど、どういう事?」
ジャン「…魔物を助けるの?」
イザベル「どうして?」

オレはもう何度目になる説明を、ビリーたちにした

いつもそうしていることも

アレス「生の方が良かったかね?」
魔物「ううん!…これすごく美味しい!…こんなに美味しいの初めて!」
アレス「そっかw…ナデナデ」
魔物「あんたは強くて優しくて…神様なの?」
アレス「オレは勇者だよ…」
魔物「勇者!…勇者って優しくて強いんだね…オレたちはこんなにしてもらって、なんか返せることない?」
アレス「いいんだよw…オレが勝手にしたことだからさ…それにオレがしてやれるのはここまでだ」
魔物「十分だよ…すごく助かったよ…この先、うまく食べ物とれなくて死ぬ時は、勇者の優しさを思い出して死ぬよ」
アレス「…ウル…おいで、お前たち…」

魔物たちは食べるのをやめて、オレの前に集まった

小さくなってるからかわいく見える

オレは両手を広げて、全員を包むようにして、一匹ずつ撫でた

アレス「強く生きろよ…頑張れよ…」
魔物たち「「…グス…ありがと!…ありがと勇者さん!!」」
アレス「さ…残りも全部食っちゃいな?」

魔物たちはまた食べ始め、食べ終わってから大きさを元に戻した

アレス「頑張れよw…オレたちは先に行く」
魔物「うん!…本当にありがとう!!」
アレス「じゃあな」

そうしてまたオレたちは歩き始めた

イザベル「…魔物も生きるのに必死なだけなんですね…」
ジャン「ボク、魔物は怖いってしか知らなかった…」
アレス「それが普通だよw…オレが変わってるだけさ」
ビリー「でも…優しいねえ…魔物たちを抱きしめた時は泣いちゃったよw」
イザベル「ね…」
アレス「でもこの行動が正しいとは限らないからな?」
ジャン「どうして?…ボクには優しくて正しいように思います」
アレス「ああ…そう見えるだろうけど、アイツらがオレにやられてズタボロになってさ…他の獣や魔物たちの食料になれば、他の奴らが生きれるんだよ…自然に生きてたらそれがルールなんだよ…弱い者は強い者の糧なんだ」
ジャン「…そうなんですか…」
イザベル「厳しいです…」
アレス「ところが、オレがああやって助けると、アイツらは他の奴らを狩って食うだろ?…オレがアイツらを助けたせいで、死ぬ奴らも大勢いるわけだ…」
ビリー「そうか…」
アレス「…けどオレはわかってても見捨てられなくてさ…本当、オレの勝手なのさ…優しくなんかないんだよ」
ジャン「…それでもボク、優しいと思う…そんなアレスさんが好きです」
ビリー「オレもだよ」
アレス「…ま、優しさを伝えられるのは良いことかw」
ミリア「そうよ」
アレス「けど、悪者にはオレは引くほど残酷だぞw」
ミリア「でもカッコいいのよ」
イザベル「たしかに、さっき蹴散らしてるのはすごくカッコ良かった」
ビリー「ねw…人ってあんなふうに動けるんだなって思ったよw」
アレス「はははw…ところでさ、もうキャリアで行こうか」
ビリー「あ、うん…この二人も自然の厳しさがわかったと思うし、お願いします」
アレス「うん、わかったw」

オレはポケットからキャリアを出し、ミリアにサイズを戻してもらうと、みんなで乗り込んで、空を飛んだ
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