勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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勇者と妖精と猫の生活

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ボレアス「では行こうか」
アレス「うん…この城の近くなんだろ?」
ボレアス「…なぜそう思う?」
アレス「まおちゃんの父ちゃんがちょいちょい行けるんだから、近くにあるはずだ」
ボレアス「ああw…その通りだよ…それがわかってても、自分では探さなかったんだな」
アレス「するはずないだろw…まおちゃんから教えてもらうのが道理だ」
ボレアス「ありがとうw…ではちなみにどこにあるか、予想はついてるかい?」
アレス「うん」
ミリア「どこお?」
アレス「まおちゃんの軍の基地付近じゃねえか?」
ボレアス「はははw…その通りだよ」
ミリア「おお~!…なんで?」
アレス「だって人間が攻め込んだりした時も、人間の世界に攻めに行く時も、軍の近くにある方が便利だろ?」
ミリア「…すぐ戦えるから?」
アレス「そうそうw…でもって、人間の世界にあるゲートは、たぶんフラナだ」
ミリア「どして!」
アレス「少なくとも、フラナの近くだよ…それもフラナの西側」
ミリア「なんでえ」
アレス「ギードやレンゲルが魔法の実を奪還しに来たろ?」
ミリア「うん」
アレス「フラナにあった実は、あの親子が持っていて、その子の友達がおそらくビリっとくる箱の噂を広めたんだ…それを魔人が知るとしたら、ゲートから近い場所じゃないと難しい…それに、ギードたちが連れてた魔物は、フラナで見たことない魔物が何種類か居た…だからゲートを使って連れてきた魔物だと思ったんだよね…さらに、ギードもレンゲルもフラナの西側の門から来たんだ…だからフラナの西側にゲートがあるんじゃないかってね…そう思った」
ミリア「…なるほど~!」
ボレアス「その通りだよ」
アレス「けどなんでさ…魔物を使ったの?…ギードとレンゲル以外にも魔人の兵を使えば良かったのに」
ボレアス「私はその作戦には口出ししていない…陸戦団の団長が人間をみくびっていたのだろう」
アレス「ああ…まぁ、そうだな…オレがあの時居なければ、魔物で十分だったろうな」
ボレアス「それに、かえってそれで良かったと思っている…アレスが相手なら、陸戦団全員でも敵わない…だけど、いくらアレスでも、それだけの魔人相手に殺さずに手加減するのは難しいと思う…私でも無理だ」
アレス「…たしかにw」
ボレアス「それに…我々が軍隊を作っているのは、人間たちと争う為ではないしな…」
アレス「…何の為に?」
ボレアス「それは言えない…すまん」
アレス「…わかった…」
ボレアス「ただ…信じてもらうしかないが、悪さをする為ではない」
アレス「わかってるよw」
ボレアス「それに、あの時レンゲルの連れていった魔物のほとんどは、アレスが倒してくれたしな…かなり魔物を減らせた…それは私にとっては嬉しい事だ」
アレス「あはははw…そりゃ良かったよw」
ミリア「あの竜巻二つ出したやつだ!」
アレス「うんうんw」
ボレアス「二つとかとんでもないなw」
ミリア「お兄ちゃんが悪者なら大変だよねw」
ボレアス「うん…かなり」

それからしばらく、まおちゃんの案内で歩いて行くと、軍事施設に着いた

かなり大きな施設で、見たこともない兵器が見れた

ボレアス「あれは飛び道具でな、かなりの速度で目標まで飛んで行き、当たると爆発する」
アレス「おそろしいな…」
ボレアス「ああ…」
アレス「……」
ボレアス「この建物の地下にゲートがある…というか、ゲートがあるからここに軍事施設を作ったのだ」
アレス「そうだろうね…ゲートって動かせるようなモンじゃないだろ?」
ボレアス「うん」

地下へ続く階段を降りると、固く閉ざされた大きな鉄の門があった

階段の幅も広く、門もその幅と同じほど大きい

その門にまおちゃんが手を添えて魔力を送ると、門は開いた

中にはぽつんとゲートだけがあった

ボレアス「これが人間の世界に繋がるゲートだよ」
アレス「…このゲートは通る時になんか条件とかあるの?」
ボレアス「…?…いや?…そんなものはないと思うが…なぜ?」
アレス「他のゲートには通るための『資格』みたいなのがあったからさ」
ボレアス「ほう…」
ミリア「天界に行くのはピカピカじゃないとダメなのよ」
ボレアス「ピカピカか…」
ミリア「まおちゃんはたぶん通れるよ」
ボレアス「魔人でも?」
ミリア「ピカピカなら関係ないよ~」
アレス「つまりさ…この魔界で狂った天使たちは、その時点ですでに天界に帰れなくなってたんだよ…だから妖精の世界に行ったんだと思う」
ボレアス「そうだったのか…」
アレス「とりあえず、ここを通ってもいいかい?」
ボレアス「ああ、行こう」
ミリア「おー!」

オレたちはゲートを通り、人間の世界に出た

そこはすごく暗かった

洞窟の中だからだ

ミリア「お兄ちゃん、明かりつけてえ」
アレス「はいよ~」

ミリア「おお~…洞窟!」
ボレアス「ああ…そして、あそこに父の別荘がある」
アレス「ああ、あれか…今は誰も住んでない?」
ボレアス「居ないよ…入ってみるかい?」
アレス「いいの?」
ボレアス「いいとも…なんならあそこを使ってくれてもかまわないよ」
アレス「…それはちょっとまた考えていいか?」
ボレアス「うん」
アレス「じゃあとりあえず入ろう」

別荘の中に入り、明かりをつけると、そこは豪華で広い部屋だった

だけど、長年使われていないからか、埃っぽかった

アレス「ここでまおちゃんの父ちゃんと母ちゃんが…暮らしてたんだな」
ボレアス「ああ…まだ赤ん坊の私とホイミンもね」
アレス「そっか…」
ボレアス「こっちが父たちの寝室だ…来てくれ」
アレス「寝室入っていいのか?」
ボレアス「ああ、これが私の父と母だ」
ミリア「おお~!…キレイねえ」

壁には大きな、まおちゃんに似た魔人と、かわいらしい女性の絵が飾られていた

元祖のホイミンもいる

ホイミンはホイミンだった

ミリア「ホイミンは変わらないのね~」
ボレアス「だねw」
アレス「このママさんはフラナ人だったんだな」
ボレアス「そうだね…私は人間の世界の事は全然わからないが…フラナという国なのはさすがに知ってる」
アレス「そう…ほんと興味ないんだなw」
ボレアス「…まあね」
アレス「この洞窟は出口まで遠いの?」
ボレアス「いや、そうでもないよ」
アレス「まおちゃんは地上に出ても大丈夫?」
ボレアス「私は大丈夫だよ…私の一族は精神を操作する魔法使いだからね…自分の精神が狂うことはない」
アレス「ああ…自分の精神さえ操作できるのか」
ボレアス「そうだね」
アレス「ふうん…じゃあここは洞窟とはいえ、瘴気は薄い?」
ボレアス「薄いね…」
アレス「地上に出てみよう」
ボレアス「ああ」

別荘を出て、洞窟を歩くと、たしかにすぐに出口に着いた

だけど、その通路はS字になっていた為、ゲート付近は暗かったのだ

出口を出てみると、そこは岩山で、地面から30メートルほどの高さであった

ミリア「おおぅ~良い眺め!」
アレス「ミリア、右の方にフラナの城が見えるぞ」
ミリア「おお~٩(*❛⊰❛)۶」
ボレアス「人間の世界に出たのは何年ぶりだろう…明るいな…ここは」
アレス「そうだなw…魔界より全然明るいなw…まおちゃん、あのフラナの城の王様がオレの親友なんだよ」
ボレアス「そうなのかw…親友か…」
アレス「まおちゃんもなってくれるか?…親友」
ボレアス「私でいいのか?」
アレス「いいも何もw…本気で戦った仲じゃんw」
ボレアス「…嬉しいよ…その…友達の中でも大切な友達…なのだろ?」
アレス「そう…だから、おいそれと親友ってのは出来ない…まおちゃんがオレを心から信用して、大切に思ってくれるなら、オレは親友になって欲しい」
ボレアス「…つまり、アレスは私を心から信用して、大切に思ってくれてる…そういうことかい?」
アレス「そうだよw…オレはまおちゃんを疑ったことあったか?」
ボレアス「…なかった…そうだ…試合の時、剣の確認すら、アレスはしなかった…命に関わる事なのに…もしもあの時、私が本物の剣を使って…殺してしまってたら…アレスはどう思うんだ」
アレス「信じて裏切られたら、それはオレの見る目がなかったって事さw…なんの恨みもない…まおちゃんは逆に…オレにそう思えないか?」
ボレアス「…思える」
アレス「ならもうオレらは親友だw」
ミリア「でもお兄ちゃん殺してたら、アタシが許さないよ?…アタシがまおちゃん殺す」
ボレアス「それは怖いw…わかったよ、ミリア…もし私がアレスを殺したら、私はミリアに殺されよう…約束する」
アレス「物騒な約束だなぁw」
ボレアス「はははw」
ミリア「あはははw」
アレス「下に降りてみよう」
ボレアス「うん」

オレはキャリアを出して、ミリアに元に戻してもらった

キャリアに乗り込んで、下に降りた

ボレアス「中がモコモコになってるではないかw」
アレス「ああw…いいだろ?…見た目はアレだけどw」
ミリア「今まで木の部分はひゃっこかったけど…この首んとことか…それがなくなったのよ」
アレス「それねw」
ボレアス「うん、良いと思うよ」

オレはあたりを見回した

アレス「ああ…ここいらにはなんか水源はねえのかな…」
ボレアス「ふぅむ…たしかに住むなら必要か…」
アレス「そうだなぁ…オレは水の魔法で大丈夫だけどさ…ホイミンがなぁ」
ボレアス「ああ…カーくんとホイミンか」
ミリア「あとメープル」
アレス「ここはフラナの領内かな…」
ミリア「領内て?」
アレス「ああ、フラナの持ってる土地…地面かなって事…」
ミリア「地面はみんなのものじゃないの?」
アレス「違うんだな…地面は国のモノなんだよ…フラナの地面は基本的にクロードのモノなんだよ」
ミリア「え~!!」
アレス「魔界の地面だって、ほとんどはまおちゃんのモンだ」
ミリア「ええ~!!」
アレス「でもみんな…人間は家に住むだろ?」
ミリア「うん」
アレス「家を建てるってなると、その前にその建てる地面を国から買わないといけないんだよ」
ミリア「そうなの~!…勝手に家作ったらダメなの?」
アレス「うん…そうなの…だからまあ、ここいらに住むってなったら、クロードちゃんに許可してもらうか、この地面を持ってる人から買い取るかしないとダメなんだ」
ミリア「それってお金たくさん使う?」
アレス「使うね、普通は…」
ミリア「お金ある?」
アレス「いや…けっこう少なくなってきたね…」
ミリア「お兄ちゃん、すぐ人にあげちゃうもんね」
アレス「そうかねw…そうだねw」
ボレアス「気前いいなw…援助したいが、地上の金については私は力になれそうにないな…」
アレス「いや、いいんだよ…金の事なんかは自分でするよ…そんなこと頼りにするなんて、友達ならなおさら出来ねえ」
ボレアス「ふぅむ…ならせめて、あの別荘はアレスが何かしら利用してくれ」
アレス「…ありがとう…使わせてもらうよ」
ボレアス「そうしてくれ…その…埃っぽくてすまんが」
アレス「いやいやw」
ボレアス「…話は戻るがあとは水源か…」
アレス「けど、探せばあるかもしれない可能性は高いよな」
ボレアス「なぜ?」
アレス「だってお前のママさんも住んでたんだぞ?…父ちゃん水魔法も使えたか?」
ボレアス「いや、使えない…そっか」
ミリア「ママさんもそうだけど、ホイミンが居たのよ?」
ボレアス「たしかに!」
アレス「たしかにww」
ボレアス「私の思い出をよく思い出してみる」

まおちゃんは目を閉じて、しばらく黙っていた

オレたちもその邪魔をしないよう黙って待った

3分くらい経って、まおちゃんが目を開けた

ボレアス「近くに湖がある」
アレス「本当?!」
ミリア「やったー٩(*❛⊰❛)۶」
ボレアス「ああ、こっちだ」

案内されて、木々の間を抜ける

その木々の間ってのは、たしかに他のとこよりは道っぽかった

そして、歩いて行くと、開けた場所にあまり大きくはないが美しい湖があった
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