勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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勇者と妖精と猫の生活

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魔王城、1階の一室

オレは以前の床に刺された剣を頼りに、ミリアに転移してもらった

時間にはまだちょっとだけ早かったが、ミゼルはすでに待っていた

ミリア「ミゼルちゃん…ギュ」
ミゼル「あ///…ギュ…ふふw…ミリア様、オッスオッスでございますw」
アレス「待たせてごめんね」
ミゼル「いえ…約束より早くてさすがでございます」
アレス「いやいや…で、奴はどこに?…アーク…だったか?」
ミリア「お兄ちゃん、よく覚えてるねえ…」
ミゼル「ええ…私も忘れてました…アークは警察の方に出頭してます…取調べ室にいます」
アレス「…?…出頭?…取調べ室?」
ミゼル「ああ…えっと…出頭っていうのは、自ら役所などに出向くことで…それを今日警察が命じてます…つまり、今日は来いと告げて、アークが警察に来たって事です」
アレス「ああ!…なるほど!」
ミゼル「取調べ室というのは、取調べを行う部屋のことで、取調べというのは犯罪を行ったと思われるもの…それを容疑者と言いますが…その者から事情や状況説明、自白、動機もしくは弁明を聞く事です…つまり…簡単に言うと、『お前がやったんだろ?…さっさと吐け』といった事をする部屋ですね」
アレス「ああww…なるほどなるほどw…ミゼルちゃんの説明はわかりやすいわw」
ミゼル「ありがとうございます…それではその警察署に参ります」
ミリア「はーい!」

ミリアは右手でオレの手を握り、左手でミゼルの手を握って、その形で警察署に歩いた

アレス「なんだか家族みたいだなw」
ミリア「そうなの?」
ミゼル「そうなのですか?」
アレス「あ、ああ…結婚てのはわかる?」
ミゼル「はい…人生ゲームの説明で聞きました…友達とは心の繋がりのある関係、恋人はさらに性行為をする関係…その延長が結婚…ですよね?」
アレス「ああ…そうw…結婚をしたら、離縁するような状況にならない限り、お互いを愛して、死が二人を分つまで一緒に助け合っていく誓いをする」
ミゼル「…はい」
アレス「まあそんな固く考える事もないけどw…一緒に居たいから一緒にいるみたいなね…それでいずれは子どもが出来て、そうするとたまには親と子で出かけたりする…そん時はこんなふうに、みんなで手を繋いだりね」
ミゼル「はあ…」
アレス「ミゼルは異性を『好き』って気持ちはわからないか?」
ミゼル「男性を?…それはエッチだけでなく、ミリア様とアレス様のように一緒にいるような?」
アレス「まあそうだね…そういうのいいなとか…思わない?」
ミゼル「…男性とそういうふうにした事ありませんから…それはわかりませんが…ですが最近ミリア様とこうして…手を繋いだり、一緒に居たり…それは私には嬉しいのです…」
ミリア「やったー(੭ ˃̶͈̀ ω ˂̶͈́)੭⁾⁾ 」
アレス「それはこうやって、手を握ったり、触ったり、近ければ近いほどそう思うよな?」
ミゼル「はい…そうですね」
アレス「それをさ…男に対して感じられるといいな…例えばカストロとか」
ミゼル「カストロさん…あの方はたしかに他の魔人とは少し違います…アレス様と付き合いのある魔人はみんなそうですが、カストロさんは特になんていうか…優しさやあたたかさがあります」
アレス「そうだよなw…アイツはいじめられてきたから、弱さや痛みを知ってるんだ…だからこそ他人に痛みを与えないようにする…優しくしようとする…ミゼルも優しい心があるからさ…わかるだろ?」
ミゼル「…私が優しいかはわかりませんが…はい、そう思います」
アレス「魔人は結婚なんてしないけど、しちゃいけないわけじゃないから…もしそうお互いに思えるような関係になれる相手が見つかったら、そうなって欲しいなって…オレは勝手にそう思ってる…押し付けはしないけどねw」
ミゼル「はあ……わかりました…気に留めて生きてみます」
アレス「おっw…なんか意外w」
ミゼル「そうですねw…ですが、アレス様の言うことですから」
アレス「え?」
ミゼル「アレス様はいつも他人を思って行動されてます…自分の利益など考えてないように思われます…魔人には考えられない事ですが…いつもそうして、アレス様は周囲の人々を笑顔にしております…ですからアレス様の言葉はいい加減ではないという実績がありますので…聞き入れる価値のある事だと思うのです…きっと私に損はないと思います」
アレス「…なんか…すげえ嬉しいわ…」
ミリア「アタシもそう思うのよ」
アレス「なんかありがと///」
ミゼル「いえ…」

警察署に着くと、警察官に案内され、取調べ室に入った

アレス「ああ、コイツだ…コイツだよ、ヤックスを殺したの」
アーク「な、なんだいきなり!…お前…人間じゃねえか!」
アレス「知らねえんか?オレを」
アーク「知るか!!」
アレス「ふうん…魔王との試合、見なかったんだな」
ミゼル「まあ、容疑者ですからね…目立った場所には行かないでしょう」
アレス「でもうん、コイツに間違いないよ」
ミゼル「ですが、コイツがやったという証拠が今のところないのです」
アーク「ほれ見ろww…オレじゃねえって言ってんだろw」
アレス「うるせぇな、黙ってろよ…まおちゃんがこないだ言ってたけど、ヤックスの腕からとった証拠とかは?」
ミゼル「それが…とれた皮膚片はヤックス自身のものでした…ヤックスの身体や衣服からはコイツの痕跡はなかったのです」
アレス「…でもヤックスの最後に見ていた奴はコイツで間違いない」
ミゼル「しかし…」
アレス「ミゼル…コイツが法律で裁かれるんなら、それはそれでいいけど、ヤックスが望むのは痛い目に遭ったコイツの姿だ…オレがコイツを裁く」
アーク「は?…てめぇ、頭おかしいのかよ?」
ミリア「頭も顔もおかしいのはお前だ!」
アレス「おっ!…ミリアカッコいい~w」
ミリア「へへ///」
アーク「このクソガキ…」
アレス「あ?…今なんつった?…おい…グイ」
アーク「ぐぅ…お、お前、暴力するのか?…ここでぃぎゃあああ!!」

オレはアークの腕を捻って折り、ボコボコのズタボロになるまで殴った

アーク「…ぐふ…てめぇ…」
アレス「なんだよ…ビチ!」
アーク「いだあああ!!」

オレはアークの親指の爪を剥がした

アレス「痛えか?…おい…もう一本だ」
アーク「や、やめてくれ…いだあああ!!」
アレス「ほれ次…ビチ!」
アーク「ぎゃあああ!!…やめ!…やめてください!!」
アレス「…パァァァァ」
アーク「う…あ…あれ?…な、治った」
アレス「回復魔法だ…良かったなw…じゃあもっかい最初からだ」
アーク「いやだ!…やめてくれえ!!」
アレス「やめねえよw」

オレは再度またボコボコにし、爪も全部剥がし、また回復して、もう一度同じ苦しみを与え、また回復した

アレス「おい」
アーク「は、はいぃ…」
アレス「本当の事言えや…あの日なんでヤックスを殺した?…オレは動機は知らんが、確実にお前が殺したのは知ってるんだ…まだシラを切るなら、もう一度ボコすぞ?」
アーク「す、すいません!!…ボ、ボクがやりました!!」
アレス「バシ!!…そんなのはわかってるんだよ…なんでそうなったか聞いてんだよ…爪剥がすぞ?」
アーク「ひぃぃ…ガクガク…」
アレス「お前、ヤックスばっかり目の敵にしていたって…ラードラだったか?…そいつに聞いたが…どうなんだ?」
アーク「そ、そんなことは…ガクガク…」
アレス「そんな事ねえってか?…ミゼル、それは本当かね?」
ミゼル「いえ…他の同僚などに聞いたところ、確かにコイツはヤックスをいじめていたようです」
アレス「お前…早速ウソか?…ミゼル、なんか串みたいなのある?…刺すやつ」
ミゼル「あ、はい…お持ちします」

ミゼルは串をとりに出て行った

オレはアークに麻痺をかけた

アレス「ミリア…また残酷なの見せてごめんね…」
ミリア「だいじょぶ!…もっとやっちゃえばいいのよ…コイツは死んだ方がいい奴なのよ」
アレス「ははw…ギュ…秘密基地で寝ててもいいよ?」
ミリア「ミゼルちゃん来たら秘密基地に入る!…そこから見てるよ…ギュ」
アレス「うんうんw」

ガチャ
ミゼル「お待たせしました…こちらでよろしいですか?」
アレス「うん、ありがと」
ミリア「アタシ秘密基地に入るね!」
アレス「うんw」

ミリアはオレにギュッとしてから、秘密基地に入った

それからアークの麻痺を解除し、人差し指の爪の間に串を刺した

アークは絶叫をあげる

アレス「うるせぇ!!…バシ!」
アーク「ああああ…ハァ…ハァ…」
アレス「今後お前が言った事がウソだとわかったら、どんどん刺していくからな?」
アーク「…は…はい…」
アレス「で、なんでヤックスを特にいじめてた?」
アーク「あ、アイツは…ハァ…オレの狙ってた女…マーラって女…」
アレス「ああ…それが?」
アーク「そのマーラとやったから…」
アレス「だからムカついたのか?」
アーク「い、いや…ハァ…それは別にいい…ハァ…誰と誰がやろうと…」
アレス「…じゃあなんだよ」
アーク「オレが…マーラを誘ったら…マーラはオレは嫌だと拒否した…」
アレス「…そんで?」
アーク「そんで…なんでコイツは良くて、オレがダメなのか…そう考えるとムカついてきて…ハァ…ハァ…」
アレス「くだらねぇ…それで喧嘩になったとしてさ…なんでラードラの部屋で暴れてたんだ?」
アーク「や、ヤックスの奴…マーラとやる時、ラードラの部屋を使ってたんだよ…たぶんだけど」
アレス「…は?…なんで?」
アーク「し、知らない…う、ウソじゃない!!」
アレス「…うん、信じる…でもなんでかな…」
ミゼル「その事情は後で調べておきます」
アレス「うん…そんで…なんでお前もラードラの部屋に行った?」
アーク「…オレはあの日…マーラを偶然見かけた…で、もう一度口説いてやろうと…ハァ…マーラに近づこうとした…そしたらヤックスが来て…二人の後をつけたら、ラードラの部屋だった…オレはその時はそこがラードラの部屋だって事も知らなかった…ヤックスの部屋だと思ってたし…」
アレス「ああ…なるほどね…」
アーク「で…二人がラードラの部屋に入って、しばらくしてから…オレもこっそりと入った…そしたら行為してる音とか声が聞こえて…オレはそこに乗り込んで、ヤックスをぶちのめして…マーラとやろうと思って…」
アレス「…うん…で?」
アーク「オレが入ってったら…マーラはすぐに転移で逃げた…それでオレはまたムカついて…か、雷の魔法で、ヤックスをいたぶって…殺した…殺すつもりなかった…殴って…奴の血が飛び散って…それから一発、弱めの雷を当てた…死ぬとは思わなかった…でも、死んだ…オレは焦ったけど…オレがやったって証拠は残さないようにして…それからヤックスを抱えて山に飛んで逃げた」
アレス「ほう…それは死ぬほどの雷じゃなかったわけか?」
アーク「そうだ…オレだってそんなことで捕まって人生棒に振りたくねえし」
ミゼル「ヤックスは心臓が生まれつきあまり強くなくて、ペースメーカーを入れてましたから…雷をくらってそれが故障したのかもしれません…いずれにしろ、心臓が弱ければ、雷は耐えられないでしょう」
アレス「…ペースメーカーって?」
ミゼル「ああ…心臓の動きが弱い場合など、それを補助するための魔道具です…それが体内に埋め込まれていました」
アレス「へぇぇ…」
アーク「そうだったのか…クソ!」
アレス「じゃあお前が殺したのには違いはないが、わざとじゃなかったわけか」
アーク「…ああ」
ミゼル「わかりました…アレス様はどう思いますか?…ソイツの殺意がなかった事は信じますか?」
アレス「…そうだな、それは信じる…魔人は損害がデカい事はしないだろ?…痛い目に遭わすのは自分にとって楽しくて得な事でも、殺して捕まって罰をくらうのは損なはずだ…」
ミゼル「…たしかに」
アレス「ただ…お前はマーラが逃げなきゃ、強引にやろうとしてたか?」
アーク「……」

オレは串を持った

アーク「ま、待ってくれ!…言う!…そうだ!…やろうとしてた!…それが一番の目的だった!」
アレス「この野郎…オレはレイプは許せねえ…」
アーク「わ、悪かった!!…すいませんでした!!…ただ…やった後には相場の倍は金をやるつもりでした!」
アレス「…ジロジロ」
ミゼル「…信じますか?」
アレス「…うん…それは信じるわ…けど、だからってやっていいわけじゃねえけどな…まあ、でも、マーラは逃げて、お前は結局は何もしてないわけか?」
アーク「は、はい…指一本触ってません…」
ミゼル「…では、お前の罪は傷害罪、過失致死、強姦未遂…と暫定する」
アレス「それは重いか?」
ミゼル「かなり…一つだけなら金で保釈も可能ですが…それが三つになるとかなり重い罪ではありますね」
アレス「…そっか…ただ、オレはヤックスがマーラと寝る時、ラードラの部屋を使ってたってのが気になる…ラードラは『最近は来てない』って言ってたよな?…だとしたら、ヤックスは無断でラードラの部屋を使ってたって事だ…そんな事するってのには理由があるはずだ…それもきっと良い理由じゃないと思う」
ミゼル「たしかに…」
アレス「ヤックスの奴も、そこまでいい奴じゃないんじゃねえか?…そのラードラの部屋を無断で使ってた理由とか、ヤックスの人柄とか調べて、大して良い奴でもなかったら、コイツの刑罰は軽くしてやってくれよ」
アーク「あ、あんた…」
ミゼル「…しかし、ヤックスがどうあれ、コイツの罪は変わりませんが…」
アレス「まあそうだけど…けど、コイツは今、さんざんオレの罰をくらったわけだしさ…そこまではかわいそうじゃねえか」
ミゼル「…では、ヤックスの調査結果次第では、強姦未遂はなかった事にしましょう」
アレス「そうしてやってくれ…ただし…グイ」
アーク「は、はい…ガタガタ」
アレス「今後もしも強姦したりしたら…その時はわかってるな?…オレはまた現れるぞ?」
アーク「は、はい!…絶対にしません!!…心入れ替えます!!」
アレス『ミリア…コイツのピカピカはどう?…変わった?』
ミリア『ピカピカ出てきたよ!』
アレス『まだ死んだ方がいいかな?』
ミリア『そんなことない』
アレス『そっかw…ありがと』
アレス「よし…お前のその言葉は信じる」
アーク「…ありがとうございます…ジ-ン」
アレス「痛い思いさせて悪かったな…でもそれはヤックスの無念の代償だ…パァァァァ…だけど、オレからの詫びで100万やるよ…ミゼル、ごめんだけど、ミリアの稼いだ金の中から100万やっといてくれ」
ミゼル「…承知しました…」
アレス「お前…これからは優しさを持って生きろよ…」
アーク「はい…すいませんでした…」

そうして、ミゼルと共に、警察署を後にした
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