勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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シーナ

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午後の修行

午後は走り込みだ

近くの川原沿いの道

長い距離を自分のペースで走る

いつもは魔法を使ってるから速いし、かなりの時間走ってられるけど、魔法を使わないと結構キツい

ミリアは小さくなって、オレの手にタオル巻いて乗っかってる

リーもすぐバテるかと思ったけど、案外それはそうでもなかった

アレス「お前、けっこう走れるのは走れるんだな」
リー「うん、草原の民はみんなで走るんだよw…あそこでは病気にかかったら、死ぬだけだからさ…健康でいないといけないんだ」
アレス「はー…なぁるほど…」
リー「元々オレがルシアに行ったのは、治癒の魔法か回復の魔法が使えたらいいなあってね…そう思ったの…ダメだったけどw」
アレス「…オレ、お前を見直したぜ…ていうか、言えよ…そういうことは」
リー「え?…言っても出来ないしw」
アレス「そうだけどさ…けどオレのお前を見る目は違ってたし、そんな目的があるんなら、もしかしたら魔法の実をあげてたかもしれないだろ」
リー「ああ~w…けど、魔法の実は大先祖様の親友にあげたんだよね?…それ聞いて、やっぱりそれで良かったんだってオレも思ったよ…アレスさんに渡したのはやっぱり間違いじゃなかったって…族長も言ってたけど、オレもそう思った」
アレス「そっか…もしオレが食っちまってたら、見損なってたか?」
リー「ううんw…それで新しい力が勇者につくんなら、それも草原の民にとっては誇りだよ…ただ、アレスさんが大先祖様の気持ちを大切にしてくれたのは、本当に嬉しかったんだ…草原の民を大切にしてくれたみたいで」
アレス「そんなん当たり前だろ…草原の民とか関係ねえよ…オレを信用とか信頼してくれた奴とか、優しさや思いやりをくれた奴らを、オレが無下にするはずないんだよ」
リー「そんなのカッコ悪いもんねw」
アレス「そうだよw」

リー「話してる余裕あるなら、もっとスピード上げる…だって…」
アレス「げぇ…」
ミリア「ゲラゲラ(* ≧▽≦)ノ=3」

そうして、前を走るブルースはさらにスピードを上げる

オレたちはついてったが、終わった頃にはかなりへばった

アレス「…ハァ…ハァ…ハァ…」
ミリア「お兄ちゃんがそんな汗かいて疲れるとこ初めて見たのよ」
アレス「…いや…魔法使わないとキツいわ…ハァ…ハァ…」

リーは地面に倒れて、話すどころではなかった

ブルースだけはピンピンしてやがる

強すぎてカッコいいな…

オレがそう思ってると、ブルースは大の字で寝転がるリーに、魔法で水をかけた

アレス「魔法使い?Σ(゚д゚υ)」
ミリア「おお~!」

リー「…涼しくて気持ちいい…ブルースさんは火と水の簡単な魔法なら出せるって…」
アレス「へぇぇ…自分強化とか回復は?」

リー「そんな高度なのは出来ないって…でも、パンチやキックに炎を纏わせることは出来るって」
アレス「…見せて?」

リー「じゃあ、軽く組み手をしようって言ってる」
アレス「…おし!」

ブルースは上着を脱いで、オレも焼かれたらやだから脱いだ

見た目的な筋肉具合はどっこいどっこいだ

ミリア「どっちもカッコいい身体なのよ」
リー「ね!…すごい」

対峙してるだけで、ブルースが強いのがわかる

隙がなく、鋭い殺気すら感じる

こんな圧迫感はいまだかつて感じた事はない

草原の民の族長も中々の気迫だったけど、それ以上だ

そして怖いのは、オレを見る目だ

まるでオレを獲物を狩る獣のように、冷静に観察している目

うかつに飛び込めないが、このまま睨み合ってても仕方ない

オレは攻撃をしかけた

それを皮切りに、拳の応酬が始まる

互いに避け、防御する

最初はそれにオレもついていけた

でも、オレよりスタミナの多いブルースは、オレのスタミナが切れるのを待っていたのだ

オレが疲れてくると見たら、さらにスピードを上げて打ち込んできた

ガードをしても、かわしても、ブルースの次の攻撃がすぐに来て、反撃するどころじゃなかった

そして、ブルースはパンチやキックに炎を纏わせて、オレに攻撃してきた

それをくらうのだけは嫌だったから、オレはもう必死だった

だけど、スタミナが切れたオレは情けないことに心が折れて、ブルースの強烈な回し蹴りをまともに胸に受けて、吹っ飛んだ

リー「勝負あり!!」

オレはむせて、肋骨にヒビくらいは入ってたと思う

そして、何より火傷が痛え

完敗だった

オレがこんなに敗北感を味わったのは、生まれて初めてだった

ミリア「お兄ちゃん!…パァァァァ」
アレス「う…ありがと、ミリア…」
リー「ブルースさん、すごい…」
アレス「…ああ…完敗だ…くそ…」
ミリア「お兄ちゃん…」
アレス「カッコ悪いとこ見せてごめんな…」
ミリア「そんなことないのよ!」

ブルースはオレに手を出して、オレはその手をとって、立ち上がった

リー「アレスは間違いなく、オレの戦った中で最強だった…こんなに手こずったのは初めてだ…だって」
アレス「そりゃ、少しは救われるなw…オレは敗けてショックだ…こんなにハッキリ敗けを感じたのは生まれて初めてだ…」

リー「…でもアレスは魔法を使わなかった…使ってたらオレより強い…でも使わなかった…その心がオレは好きだ…だって」
アレス「…ありがとw」
リー「ショックだろうけどさ…オレにはすごくカッコいい戦いに見えたよ…今までこんなすごいの見たことないよ」
ミリア「そうなのよ!…カッコ良かった~///」
アレス「…ありがとw」

その後は1キロの距離をダッシュするという修行を10回もした

リーは2回で死んでたなw

オレもかなり…かなーりキツかった

ブルースでさえ、疲れてたし

リー「アレスさんはすごい…いきなりこれ10本出来る奴はいないw…だってさw」
アレス「…いやでも…ハァ…オレも…ハァ…かなり…ハァ…」
ミリア「だいじょぶ~?」
アレス「…ハァ…ハァ…う、うん…」
リー「休憩だって…」
アレス「うん…しばらくは無理w」

ブルースはオレに水をかけてきた

『気持ちいいだろw』と言って笑ったから、オレもお返しにとんでもない量の水をかけてやったw

川原だから水には困らない

リーも巻き添えで、三人で濡れねずみになって笑った

リー「続けられそうかい?…って言ってる」
アレス「うんw…楽しいよ」

それから熱を上げる魔法を少しやって、服が乾くまで休憩して、道場に戻った

すると、ボスが庭の棒の上に座っていた

ミリア「ボス~」
ボス「ニァ」

ボスは棒から降りて、ミリアの差し出した手に身体を擦り付けて、ミリアはボスを抱っこした

アレス「ボスはミリアの事も好きみたいだな」
ミリア「良かったあ…お兄ちゃん、ちょっとだけボス持って?」
アレス「…?…うん」

オレがボスを持つと、ミリアは自分の青いリボンを外して、ボスの首に巻き、背中で蝶結びをした

ボスは嫌がらなかった

アレス「かわいい///」
ミリア「かわいいねえ」
リー「うんw」

リー「次は道場でパンチやキックの打ち方をするって」
アレス「おっ…いいねw」

道場に入る前に、『道着』というのをオレとリーはもらった

それに着替えて、道場に入り、まずは神棚に例の挨拶をすることから始まる

パンチの打ち方、キックの打ち方

それを教わる前に、ブルースは

リー「さっきの組み手で、アレスさんのパンチもキックも、基本は十分だって…」
アレス「おっ、そうなの?!…嬉しいw」

リー「だからそれはオレだけ教えるってさ…」
アレス「オレ何するの?」

リー「アレスさんには技を教えるって」
アレス「やったあw」

ブルースは最初、リーにパンチの打ち方を教えて、素振り練習をやらせると、オレの方に来て、『見てろ』と言った

ブルースは丸太を立てると、その丸太にすごい速さで踏み込みつつ、地面スレスレに回し蹴りをした

つまり、踏み込みながら、足元に弧を描いて蹴りを入れる感じ

丸太は縦に一回転した

アレス「すっげえΣ(゚д゚υ)」
ミリア「おお~!!」
リー「アレスさんもやってみてだって」
アレス「…よーし」

オレも見よう見まねで、やってみた

たぶん、見た目だけなら同じように出来てたはずだけど、オレの場合は丸太は回転せずに、倒れて吹っ飛んだだけだった

ミリア「回らないねえ…」
ボス「ニァ」
リー「これを回るようにやれるように練習してほしい…なぜ回らないのか、どうしたら回るのか、それを自分で考えたり試したりしながらやってみてくれ…だってさ」
アレス「…おーし!」

ブルースの教えは、思ってるよりずっと論理的で、教え方も素晴らしい

いちいち『なぜそうするのか』というのが考えられてるし、それを考えることもさせている

リー「アレスさん…その前に、もう一度見てくれ…だって」
アレス「うん…」
リー「その蹴り技は『水面蹴り』だって…水面蹴りで回転させられるようになったら、その次があるんだって…それを見せるってさ」
アレス「うんうん!」

ブルースは丸太を立てると、さっきと同じように『水面蹴り』を繰り出し、その身体の回転をそのまま生かして、次に少し飛びながら空中で回転蹴りをし、丸太に当てた

丸太は回転した勢いが加わっているから、カウンターで回し蹴りをくらった感じだ

当然威力は凄まじく、丸太は折れて吹っ飛んだ

アレス「マジか…Σ(゚д゚υ)」
リー「ヤバいw…これは『二転蹴り』っていう、ブルースさんが編み出した技だって…」
アレス「すげぇな…いや、これはくらったら死んじゃうよ…」

リー「そう…だから人に試したことはないって…でも、アレスさんならきっと出来るから教えたかったって…」
アレス「…わかった…ブルースとの友情の証として、オレはこれをマスターする…でも、オレもおいそれとは使わないけどいいか?」

リーがそのオレの言葉を伝えると、ブルースはオレに力強くハグをして、『ありがとう』と言った

リー「とっても嬉しいって…」
アレス「オレもだよw…よし、やるぞ」

そうしてオレは水面蹴りの練習をし、リーは素振りをした

ブルースはブルースで、自分の鍛錬をしていた

ミリアは眠るボスを抱きしめながら、ウトウトしていた

丸太を蹴るのは、魔法なしではかなり痛い

オレはひそかに回復をかけながら練習した

そのうちに夕方になり、ミンメイがやってきた

今日はまた違う料理で、タケノコとピーマンと豚肉を、それぞれ細切りにしたのを味付けして炒めたものだった

アレス「うわ、これは美味いw」
リー「シーナの伝統的な家庭料理だよ」
アレス「へぇぇ…ミンメイ、これ、オレにも教えて?…出来れば昨日のも」

リー「いいですよ!…では明日は食材持ってきますね!…って言ってます」
アレス「ありがとう…これ食材のお金だよ」

オレはそう言って1000渡した

リー「こんなにもらえない!って…」
アレス「いや、これから毎日教えてもらいたいし、悪いけどおつかいも行ってもらいたいから…また足りなくなったら払うから、お願い出来ないかな?」

リー「それはむしろすごく助かっちゃいますけど…本当にいいのですか?…って言ってます」
アレス「当たり前だよw…ブルース、お前もやるんだぞ」

ブルースは『ヤー』と照れながら言った

ミンメイはこっそりと、オレに感謝の礼をした

アレス「ミンメイ…これ、少しだけボスにあげてもいい?」

リー「もちろんです!…だそうです」

アレス「ボス、ごはんです」
ボス「ニァ」
ミリア「あはははw」
アレス「ミリアも一口食べる?」
ミリア「うん!…パク…おいしー!!」
アレス「だろぉ?w…ナデナデナデナデ」
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