勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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シーナ

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リー「アレスさん…なんでそんな強いのに、シーナで修行するの?」
アレス「オレは強いっていっても、体術は自己流なんだよね…シーナは体術が盛んだって聞いたしさ、なんか技の一つ二つとか、そうじゃなくても、もっと効率のいいパンチやキックなんかの基本を習おうとね…」
リー「けど、アレスさんより強いのいるのかな…」
アレス「いや、普通にいると思うよ?」
リー「え~…でも、オレたちは10人でもちっとも敵わなかったよ?」
アレス「それは魔法使ってるしね…力や速さを上げたり、身体を金属にしたりね…それしなかったら、ちょっと強い人間ってくらいじゃねえかな…」
リー「そ、そうなの?」
アレス「それでもお前よりかは強いぞ」
リー「わかってるよ~」
アレス「元々の身体の動きが洗練されれば、魔法で強化した時にもっと強くなるはずだし…近々、魔法なしですごく強いのと戦う事になってるんだよ…」
リー「へぇぇ!…アレスさんが修行しないとって思うほどの?」
アレス「そう」
リー「そんな人いるの…」
アレス「いるんだ、これが」
ミリア「お兄ちゃん、ケガしたらアタシが治してあげるね!」
アレス「うんw…じゃあオレは自分で回復しないでおくw…ミリアに治してもらいたいから」
ミリア「うん!…でも、あんまりケガしちゃヤダよ?」
アレス「うんw…なるべくしない…ナデナデ…リー…その後ろに毛布あるだろ?」
リー「…あ、はい、あります」
アレス「ちょっととってくれ」
リー「はい……はい、どうぞ」
アレス「お前も寒かったら使えよ?」
リー「あ、はい…一枚借ります」
アレス「寝たかったら寝てていいよ」
リー「いえ!…こんな不思議な乗り物で、しかも空を飛ぶなんて貴重な体験を寝て過ごすなんてもったいないです!」
アレス「たしかにそうかw…ミリア、はい…毛布、座席に敷いて寝っ転がりな?」
ミリア「うん!…イソイソ」

ミリア「フカフカ」
アレス「ふふw…今度もっと触り心地の良いやつ買おうな」
ミリア「おー!これより?」
アレス「うん…探そうね…ナデナデ」
ミリア「うん…スリスリ」
リー「優しいなあ…」

ミリアは、オレの太腿を枕にして横たわると、すぐに寝息に変わった

このすぐ寝れるのは妖精の特徴なんだろうな

アレス「そういやお前、好きな女がいるとかなんとか、言ってなかったっけ?」
リー「あ、はい…振られましたけど…」
アレス「マジで?Σ(゚д゚υ)…そりゃかわいそうに…振られるのってショック?」
リー「かなり…」
アレス「いや、そうだよなぁ…オレは振られたことねえからわからねえけど…」
リー「さすがw…振ったことはありますか?」
アレス「かなりあるよ…」
リー「すごいなあ…じゃあ、その人たちはショックを受けたんですねぇ」
アレス「…だと思う…けどさ…仕方ないよなあ?」
リー「まあ…オレなら相当気に入らない人じゃなきゃ、嬉しくて付き合っちゃいますけどね」
アレス「いや、オレだって嬉しいよ…好かれて嬉しくないはずない…でも、オレにその気がないとさ」
リー「いいなあ、モテて」
アレス「まあ…モテるように頑張ってきたからな」
リー「モテるようにしてるのに、振るんですか?」
アレス「いや~…ぶっちゃけ、ミリアを愛する前は、気に入った女は抱いていたよ」
リー「…結構不実だったり?」
アレス「かもしれん…付き合うってのはあんまないな」
リー「最低じゃないですか…」
アレス「うるせぇなw…けど、ちゃんと最初に付き合えないと了解はとってるからな」
リー「その『ちゃんと』はおかしいですよ…ちゃんとしてたら抱くだけとか酷いです」
アレス「悪かったよ…」
リー「でもそんなアレスさんが、今はミリアさん一筋なのすごいですけど」
アレス「オレも不思議だよ…女の子見て、かわいいとか魅力的とか思っても、ミリア以外に心が全然向かないんだ…普通さ…好きな奴でも、親友でも、家族でもさ」
リー「はい」
アレス「ずーっと一緒に居るのって嫌だろ?…嫌っていうか、一人になりたいと思う時あるよな?」
リー「ありますねぇ」
アレス「だよな?…でも、ミリアにはそんな事思ったことないんだ…本当にいつもずっと一緒でさ…居心地悪かった事が一度もない」
リー「…そういう相手は羨ましいです」
アレス「オレもね、ミリアに会えて良かった…ミリアに会えてなかったら、オレは不実な人間のままだったかも」
リー「…まあ、アレスさんは不実ってのとも、またちょっと違うかもですけど、そうかもしれないですよね」

しばらく飛んでいると、リーがシーナの街が見えてきたと言った

リー「すごい…たった数時間で着いちゃう…さっきまで草原に居たのに」
アレス「ああw…けど、ミリアの転移はもっとずっとすごいからな…一瞬だもん」
リー「…その魔法でいきなりシーナに行くのは出来ないんですか?」
アレス「うん…転移魔法は景色を鮮明に覚えてないと出来ないからさ…一回はこうして自分で行かないといけないんだよ」
リー「なるほど~…それでも便利すぎますねぇ」
アレス「うん…ていうか、ミリアのその魔法がなかったら、オレの旅はどうなってるか…きっとさ、ミリアのこの能力含めて、オレと愛し合うさだめだったんじゃないかな…って思ったり」
リー「…勇者ですもんね」
アレス「うん…」
リー「ところで…シーナに着いたはいいですけど、どうするんですか?…さすがにこんな乗り物で空から降ってきたら、まずくないですか?」
アレス「まずいねw…だからさ…まずはミリアを起こす…ミリア…ユサユサ…かわいいなあもう…」
ミリア「…ん~…ギュ」
アレス「起きて起きてw…ポンポン」
ミリア「…う…う( *A*)?」
アレス「着いたよw…起きれる?」
ミリア「うん( *A*)…」
アレス「ふふw…ナデナデ」
ミリア「( *▽*)」
アレス「ミリア、リーと一緒にさ、秘密基地に入ってもらえる?」
ミリア「はーい」

ミリアとリーは小さくなって、オレが二人を秘密基地に入れた

リー「それで…どうするんです?」
アレス「まずキャリアから出る」
リー「え?!…落ちちゃうんじゃ…」
アレス「バカか?…オレがコイツを飛ばしてるのに」
リー「あ、そっか///」
アレス「ミリア、オレがキャリアから降りたら、キャリアを小っちゃくして?」
ミリア「うん!」

オレがキャリアから出ると、キャリアは小さくなった

それをポケットにしまうと、比較的高い建物の屋根に着地した

そこからオレは人通りの少ないところを見て、ミリアにそこに転移してもらった

リー「なるほど~…すっごいw」
アレス「だろ?w…さ、出て来て」

オレは二人を秘密基地から出した

ミリア「うえーい٩(*❛⊰❛)۶…初めての場所~」
アレス「うんうんw…ナデナデ」
リー「まずはどうしましょうか…」
アレス「んー…なんかそのさ、教えてくれる施設みたいなの?…そういうとこ行けばいいんじゃないか?」
リー「この国の体術は『拳法』って言って、教えてくれる施設は『道場』って言います…まずはその道場を探しますか」
アレス「うんうん」
ミリア「なんだかあんましキレイなとこじゃないね」
アレス「だね…でもそういうの思っても、ここの人の前ではシーだよ?」
ミリア「あ、うん…サッ」
アレス「ふふw…手ェ繋いでこ…ギュ」
ミリア「うん!…ギュ」
リー「アレスさん、道場もいいですけど、泊まれるとこも探さないとですね」
アレス「たしかに…」
リー「とりあえず今日は宿屋に泊まるとして、道場から探します?」
アレス「そうしよう」

路地裏から通りに出て、歩く

リーはともかく、オレとミリアは顔の特徴も服装も全然趣きが違う

シーナの人間はアッサリ顔で、全体的に背が小さい

男でも髪を伸ばして、後ろで一本の長い三つ編みをしていたりして、だいたいは髪を束ねている

そしてみんな黒髪だ

みんなオレとミリアをジロジロと見てる

でもミリアは目が合うと、笑顔で手を振った

すると、シーナの人も手を振り返してくれる

アレス「ミリア…ここの人たちはピカピカはどう?」
ミリア「けっこうみんなピカピカよ」
アレス「そりゃ良かったw」
リー「あんまり異国の人は来ませんからね…アレスさんたちは明らかに違うから、みんな警戒してるんでしょう…適当に道場の場所、そこら辺で聞いてみますね」
アレス「おう、ありがとう」

リーは道場の場所を通行人に聞く

すると、すぐに紹介してくれた

リー「その十字路を右の方に行くと、道場があるそうです」
アレス「おお、仕事が早いなw」
リー「行ってみましょう」
アレス「うん」
ミリア「行こ~」

十字路を右に曲がると大通りになっていて、赤が基調の色とりどりな派手な感じだった

見たこともない、特徴的なデザインの建物

そして、その通りはずらっと店が並んでいて、あちこちから食べ物の良い匂いがしている

リーは腹が減っているらしく、お腹を鳴らした

アレス「…道場の前に少しなんか食うかw」
リー「はい///」
アレス「あ…言っておくけど、このシーナに滞在してる間は、お前の食費も宿代もオレがもつからな?」
リー「え?!…ほんとですか?!w」
アレス「ああ…あと、道場でかかる金も面倒見てやる…その他は自分で出せよ」
リー「はい!…やった!」
アレス「その代わり、通訳と、お前たちの言葉を毎日教えてくれよ…」
リー「はい!」

オレたちは屋台の美味しそうな、見たことない料理を買って、食べ歩いた

リー「美味いw」
アレス「美味いなあ、この白いの」
ミリア「丸くて白いのよ」
リー「これはまんじゅうって言います…中に肉とか野菜を刻んでいれたこれは肉まんって言います」
アレス「へぇぇ…肉まん最高!」
ミリア「アタシもちょっと食べさせて」
アレス「はいよ~」
ミリア「…モグモグ…おお~!…美味しいねえ!」
アレス「良かった~、メシが美味いだけでも良かった」
リー「大切ですよねw」
アレス「そうそうw」
リー「…あれも食べませんか?」
アレス「いいよ~w」

オレたちはしばらくいろいろと食べ歩きを楽しんだ

リー「この国では感謝のおじぎの時、胸の前にこう…左手は開き、右手は拳にして合わせて、頭を下げるんです」
アレス「…こう?…ペコ」
ミリア「…ペコ」
リー「そうそうw…相手に礼を尽くす仕草ですね」
アレス「なるほど…そういう雰囲気はあるな」

その後、もう一軒だけ屋台で買って、屋台の店主にそのおじぎをして見せると、店主も笑顔でそう返してくれた

アレス「ここはいいとこだなぁ」
ミリア「うん!」
リー「でも、拳法が盛んだから、腕自慢の威張った奴も結構いますよ」
アレス「そんなのはどこにでもいるさ…なんでかわからんけど、人は集まると必ず優劣と正悪に分かれるもんだよ」
リー「…なるほど…さすがいろいろ見て回ってるだけありますね…深いです」
アレス「その割合ってのが大事だよな…けど、わりい奴は少なくても、悪目立ちするからなw」
リー「たしかにw」
ミリア「どういうこと?」
アレス「んっとね、10人いたらそのうちの一人だけワルだったとしてもね」
ミリア「うん」
アレス「ワルってすんごい迷惑かかる事ばっかするじゃん?」
ミリア「うん」
アレス「だからさ、すんごい目立つじゃん?」
ミリア「うん!」
アレス「そういうの悪目立ちって言うのw…大半が良い人だったとしても、たった数人のワルのせいで、『あそこの奴はワルばっかりだ』って印象がついちゃうんだよ」
ミリア「ああ~…」
リー「ほんとですねぇ」
アレス「そういうのに惑わされて、本質が見えなくなるのは愚かな事だから、気をつけろよ?」
リー「はい!」
ミリア「アタシはピカピカ見えるのよ」
アレス「便利だなぁ」
リー「オレはどのくらいのピカピカ?」
ミリア「リーは普通よりピカピカだよ」
リー「おおw…やった!…アレスさんは?」
ミリア「お兄ちゃんは一番だよ…こんなにピカピカなのお兄ちゃんだけだよ」
リー「へぇぇ!…さすが勇者…」
アレス「なんでかそうみたいよw」
リー「いや、わかりますよw…オレはピカピカは見えなくても、そう思うし、好きですもん…勇者って肩書きなくても」
アレス「…ありがとよ」

そうして腹も満たされて、オレたちは道場の方に向かった
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