勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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シーナ

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ゼブル「いや、すごかったなあ…魔王様の剣技」
アレス「ほんとだよ…」
ミリア「負けそう?」
アレス「わかんねえ…ただ、試合までオレは修行することにした」
ゼブル「頑張れよ…オレはでも、どっち応援すればいいんだか…」
アレス「好きな方でいいよw」
カストロ「あ、おかえり」
ゼブル「ただいま」
ミリア「ただま~」
ゼブル「なあ、カストロよ…」
カストロ「ん?」
ゼブル「お前はオレの腕がもしも上手く動くようになったらさ…お前はどうする?」
カストロ「…それはオレも考えてる…でも、どうしていいかわからない…」
ゼブル「…オレの世話を見なくて良くなってもさ…ここに居たいなら居てもいいぞ」
カストロ「ほんとか?!」
ゼブル「ああ…」
カストロ「ありがと…」
ゼブル「いや…こちらこそだ…それでさ、まあ…治ったらの話なんだけどな…オレの世話見なくて良くなったら、お前はちゃんと働いてみる気はあるか?」
カストロ「え?…こんなオレを雇ってくれるとこあるのかな…」
ゼブル「それは大丈夫だ」
カストロ「…ならオレも働いてみたいかなw」
ゼブル「そっかw…そりゃオレも嬉しいよ…そしたらお前に少しは人生を返せた気になれる」
カストロ「ゼブル…」
ゼブル「オレは意地でも治すからさ…その…オレが言うのもなんだけど…未来に希望を持てよな」
カストロ「…うん…ありがとう」
アレス「…いい話だな…感動した」
ミリア「うん!」
ゼブル「いやはは///…たださ…治すまではさ…その…よろしくな///」
カストロ「うんw…もちろん」
ゼブル「で、カストロ…ちょっと銀行に付き合ってくれよ」
カストロ「いいけど…?」
ゼブル「これな…パラ」
カストロ「あ、退役金…げえ、すげ~」
アレス「すげえの?…こんな紙切れ一枚が?」
ゼブル「ああ、これは小切手っつって、この額がオレの退役金ってことなのよ…家一軒余裕で建てられるくらいくれたw」
アレス「すげ~Σ(゚д゚υ)」
カストロ「さすがエリートだなぁ」
ゼブル「コイツをこのまま持ってるのは不安で仕方ねえから、銀行に持っていって預けてくるよ…」
アレス「ああ、そうなの…オレも行く?」
ゼブル「…そうしてくれるか?…アレスがついてれば安心だ」
カストロ「うんうん…なんか万一襲われたら、オレじゃやべぇ」
アレス「わかった…護衛してやる」
ゼブル「ありがとう」
ミリア「まかせろ」
アレス「ブハwww」
ミリア「ゲラゲラ(* ≧▽≦)ノ=3」
カストロ「わははははww」

それから銀行へ行き、無事に小切手を預けると、ゼブルたちとは別れて、オレは龍穴に転移した

ミリア「どうしてここなの~?」
アレス「修行の為さ…ここから東の方にシーナって国があってね…そこは体術がさかんな国だから…」
ミリア「ふぅん…」
アレス「けどその前にリーと族長に会いに行く」
ミリア「うん!」

オレはリーの視界を見て、転移した

アレス「よ…」
リー「う、うわあ!!」
アレス「ようw」
ミリア「よーう٩(*❛⊰❛)۶」
リー「アレスさん!!…え?…本物?」
アレス「当たり前だろ…こんなイケメン、二人といるかよ」
リー「おお…久しぶりです!!ww」
アレス「族長は元気かい?」
リー「いえ、それが…」
アレス「…どうした?」
リー「アレスさんに龍穴と魔法の実を受け継いでもらったからか、気が緩んで老けこんでしまってます」
アレス「マジかΣ(゚д゚υ)…会いに行こう」
ミリア「行こ~」

そして、リーに案内され、族長のテントに入った

族長はたしかに、以前見た時より張りがなくなっていた

身体も一回り小さく見えた

族長はオレを見ると、泣きながらハグしてきた

リー「よく来てくださった…ドラゴンには会えましたか?…と言ってます…会えましたか?」
アレス「うん…それより、身体の具合は大丈夫なの?」

リー「別に病気とかではないって…ただ、役目が済んで安心したから…って」
アレス「族長さん…あなたからもらった魔法の実は、タイガ…大先祖さんの親友にあげたんだよ…タイガの思い出としてね」

リーがそう言うと、族長は涙を流して『ありがとうありがとう』と繰り返していた

リー「やはりあなたに託したのは間違いではなかった…って」
アレス「それはどうかはオレにはわからないけど、少なくともそのドラゴンは族長と同じように泣いて喜んでいたよ」

リー「本当にありがとう…我が一族全てを代表して感謝する…って」
アレス「オレも感謝するよ…ドラゴンの世界の話はね…今はまだ言えない…けど、そのうちまた話しに来るからさ…それまでは元気にして、勝手に死んだりするなよ?」

リー「はい…それを生きる張り合いにして、楽しみに待っております…って」
アレス「生きろよ」

オレがそう言うと、族長はまた俯いて、静かに泣いた

それが落ち着くのを、オレたちは黙って見守って、オレは本題に入った

アレス「実はオレはこれから一ヶ月ほど、シーナに行って修行しようと思ってる」

アレス「でも、オレは言葉がわからない…だから、リーをその間貸してほしいんだ」
リー「……ええっ?!」

リー「か、かまわないって…」
アレス「お前は嫌なの?w」
リー「え?…ううんw…アレスさんと旅出来るなんて自慢になる」
アレス「悪いな…通訳になってくれ…もちろん、オレもなるべく言葉覚えるよ」
リー「はいw…言葉わかってオレはついてるw」

族長はリーに何か話しかけると、リーは『ええ~!!』と驚いた

アレス「なんだって?w」
リー「…オレも鍛えてもらえ…って」
アレス「ははははw…けどな、どうせ何かするなら、何か一つでも得て帰るべきだと、オレも思うよ」
リー「はい…」
ミリア「あはははww」
アレス「族長…ドラゴンの世界の話は今は出来ないが…一つだけ」

アレス「オレはタイガの親友に実を渡したらね…代わりに最新の実をもらったんだ」

アレス「その実をオレは食べて…新しい力を手にした」

アレス「それは『ドラゴンの力』だよ…」

リーが族長にそう説明し終えてから、オレは族長とリーをプカプカと浮かせた

リー「ええ~!!…う、浮いてる!!」
族長「おお!!」
アレス「この力は物でも人でも…自分さえも、思った方向に動かす事が出来るんだ…族長のおかげで、オレは空さえ飛べるようになったよ」

リー「素晴らしいと言ってます…本当にすごい…アレスさん、修行なんかしなくてもこの力があれば良くないですか?」
アレス「それはそれ、これはこれよ」

リー「アレスさん、族長がご馳走したいと言ってます…どうしますか?」
アレス「それは嬉しいけど、また今度にするよ…今はあまり時間がないんだ」

リー「残念です…では次来るのを楽しみに待っております…」
アレス「うん…ありがとう…また来るね」

そう言って立ち上がり、族長に握手とハグをして、ミリアもそうして、リーと共にテントから出た

すると、以前にヤギのチーズをくれた女の子が、またチーズを持って、オレの事を待っていた

女の子は顔を赤くして、ニコニコとかわいく笑いながら、両手でチーズを差し出してきた

アレス「ありがとw…よっ…ダッコ…ナデナデ…食べさせて?」
リー「食べさせてだってw」

女の子は『ヤー』と言って、顔を真っ赤にしてオレの口にチーズを運んだ

相変わらずこのチーズは美味いw

アレス「美味い!…このチーズ、良かったらもっと欲しいな…旅しながらつまみたい」

リー「あげるあげる…だってw」

オレは抱っこしたまま、女の子の案内でその子の母親の元に行き、リーが事情を説明すると、桶一杯分くらいの量をオレにくれた

アレス「こんなに?Σ(゚д゚υ)…いいの?」

リー「また作るからいいってw」
アレス「ありがと…ギュ…ナデナデ」
アレス『ミリア…カーくんの駒、この子にあげてもいいかな?…また作ってくれる?』
ミリア『うん!』
アレス『ごめんね、せっかくオレに作ってくたのに…でも、今あげられる物はそれくらいしか…』
ミリア『だいじょぶ…また作るのよw…喜ぶかなあ?』
アレス『きっとだいじょぶw』
アレス「ちょっと待ってね…」

オレはバスケットを出して大きくして、中からカーくんの駒を出して、大きくしてもらった

その魔法にも親子は驚いていた

アレス「これ、チーズのお礼だよ…『カーくん』って言うんだ」

リーが説明すると、女の子はカーくんの駒を持って、喜んで飛び跳ねた

アレス「大ガラスって魔物なんだけどね…オレとミリアの友達なんだよ」
リー「魔物とも友達なの?」
アレス「人も魔物も獣も、鳥も魚も虫も、木や草だって、おんなじ命を持った仲間だよ…人間だからって偉そうにしないで、どの命も大切にするんだよ」

それを聞いた女の子と母親は、目をキラキラさせて、オレに手を合わせておじぎをした

リー「さすが勇者様だ…キラキラ」
アレス「ははw…じゃあ、そろそろ行こうか」
リー「はい!」

アレス「またね…また来たらまたチーズご馳走してね…ナデナデ」
リー「…ゴニョゴニョ」
女の子「ヤー!…ギュ」

アレス「じゃあ行こうか」

そうして、オレたちはキャリアに乗って、シーナに向かった
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