勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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魔界

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アレス「つっても、たぶんオレとボレアスが戦ったらいろいろ周りもぶっ壊れたりすると思う…下手したら巻き添えも出るかもしれない」
ボレアス「ふむ…では、競技場で正式に試合をする事にしようか…」
アレス「えΣ(゚д゚υ)…けどそうしたらさ…勇者が魔王を倒しにきたってみんな思っちゃうんじゃ?…それに、そうじゃなくても、人間と…ましてや勇者と友達になったってのがバレたら、お前の立場が悪くならないか?」
ボレアス「…では…戦うのはいずれするとして…もう少しいろいろと付き合ってみようと思う…もちろんアレスが良ければの話だが…その上でアレスが私にとってバレて立場を失っても良いと思えるなら…」
アレス「…わかった、いいぜw…オレも本来目立ちたがりだから、みんなの前でやる方がいいしw…ただ、ルールは設けような?…なんでもありだと、殺し合いになりかねない」
ボレアス「そうだなw」
アレス「話変わるけど、お前が魔法の実を狙ってたのは魔法を欲しがってたのはもちろんそうだろうけど…」
ボレアス「ああ」
アレス「さっきお前は欲しかった魔法がいくつかあったって言ったろ?…どんな魔法が欲しかったんだ?…それでなにか目的があったのか?」
ボレアス「私の欲しかった魔法は…光属性の魔法でな…魔力を吸い取る魔法だ…」
アレス「そんなのあるの?Σ(゚д゚υ)…それで魔力を溜め込んで強くなるってつもり?」
ボレアス「いいやw…魔力には人それぞれ上限があるのはアレスも知ってるだろう?…吸い取っても上限までしか吸い取れはしない」
アレス「なら…戦う時に相手から吸い取って有利になる為?」
ボレアス「それも…目的の一つだな」
アレス「…そんな奴なのか?…お前は」
ボレアス「…それをする理由がある…としか今は言えない」
アレス「…なるほどね…じゃあ別に、オレとかと戦う時にその力があっても、お前は使わない?」
ボレアス「それはアレスと戦う理由による…アレスが魔界を滅ぼすつもりで戦うなら使う…だが、ただの試合なら使わない」
アレス「…なら納得w」
ボレアス「ただ、それよりもっと大きな目的があってな…」
アレス「それは?」
ボレアス「さっきも言ったが、魔界の魔物は魔力がなくなると滅する…だから私は…そういう魔物を滅する為に、その力が欲しかったのだ」
アレス「…そうなの?…それはなんで?」
ボレアス「人間の為、人間の世界の為…とかではないよ…ただ、あれらは生きる目的もなく、意思もなく、ひたすらに戦う道具のようなものだ…それに、元々はいろいろな死体が犠牲になったものだ…私はそれを終わらせてやりたかった…」
アレス「…ボレアス…」
ボレアス「結果的には人間の世界の為にもなるだろう」
アレス「ああ…なんか…それ聞くとさ…オレが根こそぎ回収したのが悪い気がしてきた」
ボレアス「いいんだw…食べてそれが手に入れられる確率も低いし、もっととんでもない魔法を身につけて…その魔法に心が動かされる危険だってある…私は戦乱を望んではいない…だからそれで良かったのだよ」
アレス「…素晴らしいな…お前は素晴らしい奴だ…尊敬するぜ」
ボレアス「ふふw…ありがとう…大きさ変化魔法が欲しかったのは、その魔法が手に入らなかったとしてな?」
アレス「うん…」
ボレアス「それでも魔物を粒にしてしまえば…せめて被害はなくなるであろう?」
アレス「なるほど…」
ボレアス「妖精は使えても、闘争心がないから…魔物には効かないだろうしな」
アレス「たしかに…けどさ…相手から魔法を吸い取る魔法が光属性っての…なんだか違和感あるな」
ボレアス「それは…あれか?…光属性だから良い効果があって、闇属性は悪い効果があるっていう思い込みか?」
アレス「…そう…ああ…そう思ってたのかも…ああ…偏見だな」
ボレアス「ふふw…そう思うのはわからなくはないよ…ただその魔法は妖精は使えるはずだよ」
アレス「…え?Σ(゚д゚υ)…ミリアは使ってないよ?…一度も見たことないし…あ!…でもそうだ…妖精は死ぬ時に…これ…この魔石に変わって、魔力を吸い取るんだ!」
ボレアス「…ほう…」
アレス「普段は出来ないのかも」
ボレアス「なるほど…ではそれは元々妖精だったのか?」
アレス「うん…妖精は死んで魔石になると、最後の力で側に居たい者の元に飛んで…その者の魔力を吸い取る」
ボレアス「アレスも吸われたか?」
アレス「吸われた…しかも6個もあったから、死ぬかと思った…まる二日は寝てたらしいよ」
ボレアス「…相当な魔力量だな、アレスは…」
アレス「自慢じゃないが、そう思う」
ボレアス「…その妖精とは以前から付き合いがあったのか?」
アレス「いや…全然…むしろ、この子たちと初めて会った時は、すでに死んでいた…オレはただ、その死んだ姿を心から憐れに思って…抱きしめてキスして撫でてあげただけだ」
ボレアス「…きっとそのアレスの愛が嬉しかったんだろうな…」
アレス「かなぁ…」
ボレアス「その死んだ妖精とは、堕天使に?」
アレス「ああ、そうだよ…」
ボレアス「ちょっといいか…」

ボレアスはオレの魔石のネックレスを両手で握り、目を閉じて謝った

いい奴だな…

アレス「きっとこの子たちも、ボレアスを好きになったよ…ナデナデ…」
ボレアス「…そうだといいな…」
アレス「けどさ…ボレアスは愛とか好きとか…わかるんだな」
ボレアス「ああ…魔族には結婚も子育てもろくにないから…魔人にはあまりわからないのだ…私は父が優しかったし、母の記憶も、家来の記憶も少しあるから…」
アレス「え?…けど、お前…その頃ってまだ生まれて間もないような赤ん坊だろ?…そんな記憶まであるのか?」
ボレアス「なんていうかな…私自身が覚えてるわけではなくて…でも魔法で私自身の記憶や思い出を見れるからな」
アレス「ああ~!…なぁるほどw…へぇぇ…それっていうのは、本人の自覚がなくてもいいのか」
ボレアス「そうだ」
アレス「…てことは、やっぱりその魔人の愛の無さってのは、魔人の性質とは違うんだな?」
ボレアス「だと思う…父には愛があったから…」
アレス「…なんで父ちゃんはそうだったんだ?」
ボレアス「我々の一族は魔人たちと違って、生みの親もわかっているし、親の側で育つしな…」
アレス「じゃあお前の父ちゃんも、愛を受けて育ったんだな」
ボレアス「ああ…けど、父の受けた愛は祖父や祖母ではなく、側近だった…」
アレス「へぇぇ!…じゃあその側近は珍しく愛がある奴だったんだ?」
ボレアス「いや…最初は普通にそこいらの魔人と変わらない感じだったそうだよ…だが、幼い父の面倒を見てるうちに、変わっていったそうだ」
アレス「…ああ~…納得…実は今、ゼブルんちで住んでるんだけどね…知ってるか?ゼブル」
ボレアス「…熱帯地域の軍団長の?」
アレス「たぶんw…なんちゃら地域ってのは知らないけど、軍団長のやつ」
ボレアス「そうなのかw…数日前からずっと音沙汰なかったんだが…」
アレス「ああ、ごめんw…それはオレのせいだ」
ボレアス「どういうことだ?」
アレス「…最初から話すとすげえ長いけどいい?」
ボレアス「ああ…聞きたい…アレスの思い出も見ながらでもいいか?」
アレス「ああ、いいよw…ただ、残酷だぜ?」
ボレアス「…わかった」

オレはまず、カストロとの出会いから話し始めて、ギードやレンゲルと会った事、それからカストロの復讐でゼブルをボコして、魔界に来たこと…復讐をまだ続けてドルフたちとも会った事、それから一緒に暮らして、友達になった事…

ボレアス「…いや、面白かったw…ここ最近で…いや、生まれてから初めてかもしれない…そんな面白い話は」
アレス「そ、そうなの?Σ(゚д゚υ)…オレには結構普通…」
ボレアス「私の父はね…魔人のその愛の無さを憂いていて…どうにかその素晴らしさをわかってもらえないかと悩んでいたんだよ…だからきっと、アレスのその話を聞いたら喜んだと思う…魔人に偏見を持たず、対等に接してくれたこと、私からも感謝する」
アレス「いや別に…感謝されることでもないぜ?…普通だもんオレには」
ボレアス「だからこそ素晴らしいな…君は本当に心の美しい人間だよ」
アレス「そ、そうかなぁ///…テレ」
ボレアス「ふふふw…ああ…笑った事自体とても久しぶりだよ」
アレス「…良かったなあ…いやしかし…ボレアスがいい奴でオレも良かった…最悪、戦う覚悟してきたからな」
ボレアス「それはこちらのセリフさ…普通なら魔王の元へたどり着いたなら、戦うのが勇者だろう?」
アレス「たぶんw…今までにも勇者が来た事ってあるの?」
ボレアス「いや、ないよ…少なくとも父や私にはね…先祖はあったかもしれないが」
アレス「そうか…オレも魔界に来るって手段はミリアの転移魔法しかないもんな…人間の世界とのゲートってどこかにあるのか?」
ボレアス「あるよ…いつか教えるよ」
アレス「ああ…オレを信じてくれた時にな」
ボレアス「うん…いや、信じてはいるけど…やはり慎重にならざるを得ない問題だからな…すまん」
アレス「いいって別にw…誰もが心に言えない事も、秘密も隠し事も持ってる…そいつを根掘り葉掘りほじくり返すのは、必要な時以外にしてはいけないモンだ…友達や恋人なら特にね」
ボレアス「…なるほど…君の友情は深いな…私ももしも心を覗く時は…君にだけは必ず聞いてからにするよ…それが私の君への友情だ」
アレス「おうw…ずいぶん長いこと話してたなw…会えて良かったぜ…握手してくれよ」

オレは抱っこしてるミリアを、一旦床にそっと置いて立ち上がった
ボレアスも立った

ボレアス「…グッ…」
アレス「ギュ…ポンポン…」
ボレアス「アレス?…ウル」
アレス「お前もしろよ」
ボレアス「…ああ///…ギュ…」
アレス「へへw…今日は一旦帰るけど…また明日来るわ」
ボレアス「ああw…楽しみにしてる」
アレス「おーい、ミリア…ユサユサ…起きて起きてw」
ミリア「……( *A*)?」
ボレアス「プッw」
ミリア「…まおーちゃん( *▽*)おはよ」
ボレアス「おはようw…ナデナデ」
アレス「ミリア…今日はもう帰るよ…また明日来よう」
ミリア「うん!」
アレス「じゃあまた明日なw」
ボレアス「ああw」

そうして、その日は別れ、ゼブルの家に戻った
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