勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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魔界

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ゼブルの家

カストロ「アレスは怖いなあw」
アレス「ん?そう?」
カストロ「うんw…優しいけどw」
ミリア「うふふw」
アレス「おい…この家は壊さないでやるよ」
ゼブル「…はい…」
カストロ「……」
アレス「これはなんだ?」
カストロ「それは魔光スタンドってやつだよ…ここに魔力を注ぐと、ここがこう光るんだ」
アレス「おお…」
ミリア「おお~」
アレス「これは?」
カストロ「魔冷庫ってやつ…これも魔力を注ぐとこの中が冷えるんだ…食材とか飲み物とか入れるんだよ」
アレス「ああ、冷凍宝箱みたいなもんか…これは?」
カストロ「魔コンロって言って、このつまみに魔力を注いで回すと、ここに火がつく…料理する魔法具だよ」
アレス「おお~ww…このフライパン、キレイだけど、やけにヌメヌメしてるのなんで?」
カストロ「…さあ?…おい、なんでだ?」
ゼブル「…それは焦げつかないフライパンだからだ」
アレス「…マジ?…いいな…欲しいな」
カストロ「もらっちゃえば?」
アレス「いや…それは出来ない…そんなの泥棒だ」
ゼブル「…それやるから殺してくれ…」
アレス「それも出来ない…でも、これで少し料理してみていいか?」
ゼブル「…勝手にしてくれ…」

オレはそのフライパンで、薄く切った肉を焼いてみた

すると、いつものフライパンではくっついてしまう肉が、スルリと滑るようにくっつかずに取れるし、それでいてちゃんと火が通っているのだ

アレス「…これ、マジ欲しい…」
カストロ「ゼブルに金もらって買うか?」
アレス「いや、いいんだよ…そういうんじゃねえの…コイツの金や持ち物までは奪わない」
カストロ「なんで?」
アレス「お前は納得いかないか?」
カストロ「…別に…どっちでもいい」
アレス「なら、そういう事にしといてくれ…お前がとことんまでやりたいならそうするけど、そこまではしたくねえ」
カストロ「…わかった」
ゼブル「……」
アレス「金はあとでなんとかするとして…カストロ、これ食えや」

オレは焼肉を皿に乗せて、カストロに出した

カストロ「美味そうw…いいの?」
アレス「ああ、食えよw」

オレはそのフライパンが楽しくて、もう一度焼いて、ゼブルに食わせた

ゼブル「…!…う、美味い…」
アレス「ミリアも少し食べる?」
ミリア「うん!」
アレス「ミリアもやってみる?」
ミリア「やる~」

アレス「油はねるから気をつけて…」
ミリア「もうひっくり返す?」
アレス「もうちょい…表面が少し色変わったくらいで…そのくらい」
ミリア「よっ!…あっ!…う~」
アレス「はははw…何度かやってごらん?」
ミリア「よっ…ほっ…」
アレス「貸してごらん?…こう」
ミリア「おお~…もっかいやる」
アレス「うん」
ミリア「よっしょ…おお、出来た!」
アレス「よく出来た!」
ミリア「へへ///」
アレス「ふふw」
カストロ「アレス…その上のボタンに魔力を注ぎながら押してくれ」
アレス「これか?…どのボタン?」
カストロ「右から二つ目の」
アレス「これか…ゴォォォォ…なんだこれ」
カストロ「それは魔換気扇ってやつで、匂いとか煙を外に出すやつ」
アレス「マジか…いいなあ…」
カストロ「人間の世界にはないのか」
アレス「ないねぇ…だからいつも外でやってるし…魔族もすごいもんだな…けど、こういう便利なものも、魔力がなけりゃ動かせないよな?…てことは、魔族ってのは全員魔力を持ってるのか?」
カストロ「…そうだよ?」
アレス「そうなのか…やっぱ人間は他の種族より劣ってるんだな…ミリアどう?…自分でやったやつは美味しい?」
ミリア「うん!…でも、お兄ちゃんのやつの方が美味しい」
アレス「かわいいなあw…ナデナデ」
ミリア「他にも料理する…教えて?」
アレス「じゃあ野菜のスープ作ろっか」
ミリア「うん!」

ミリアに野菜の切り方や包丁の使い方、鍋に入れる水の量や、ダシのとりかた、調味料や具材の分量、入れる順番を詳しく教えてあげながら、ミリアは一生懸命に料理をした

アレス「これであと火を弱くして、15分くらい煮込むと出来上がりだよ」
ミリア「なんでそんなに待つの?」
アレス「待つと野菜の旨味がスープに出て、野菜にもスープが染みて、美味しくなるんだよ…ナデナデ」
ミリア「へぇぇ!…じゃあ待つ間、日記に書いておく」

ミリアはオレにもう一度聞きながら、料理のレシピを日記に書いた

ミリアは食べないのに、『お兄ちゃんのためにたくさん作れるようになる!』と意気込んでいて、すごくかわいい

アレス「よし、そろそろいいぞ…」
ミリア「おお~」
アレス「カストロ、食うか?」
カストロ「食ってみる」
アレス「ゼブルは?」
ゼブル「オレは野菜は好かない…」
ミリア「せっかく作ったのに…シュン」
カストロ「食えや、てめぇ」
アレス「好かなくても試しに食ってみ?…美味いぞ?…ほら」
ゼブル「う…ズズ…モグモグ…」
ミリア「どうお?」
ゼブル「う、美味い…もっとくれ」
アレス「じゃ、ミリア、食わせてやって」
ミリア「うん」

カストロ「いやあ…アレスは料理も上手いんだなあ…」
アレス「ミリアが作ったんだぞ」
ミリア「お兄ちゃんの言う通りにやっただけだよ」
カストロ「美味かったよ、ミリア」
アレス「オレも母親から教わったのをそのままやってるだけだよ」
カストロ「オレもミリアと一緒に教われば良かった」
ミリア「そうよ」
アレス「なあ、カストロ…お前はまだコイツにムカついてるか?」
カストロ「え…」

カストロはゼブルの方を見た

ゼブルは目を逸らして、俯いた

カストロ「…いや、もういい」
アレス「そうか…許すか?」
カストロ「…うん」
アレス「だってよ…お前はどうだ?…カストロやオレがムカついてるか?」
ゼブル「…いや…」
アレス「正直に言え、怒らないから」
ゼブル「…なんかもうわからない…なぜカストロをあんな目の敵にしてたかも、今はわからない…」
カストロ「そんなわからないことで、オレはずっといじめられてたのか?」
ゼブル「…すまん…」
アレス「お前さ、今そんな身体になってなかったら、そういう気持ちでいられるかよ」
ゼブル「う…わからない…」
アレス「わからねえか?…オレはお前が五体満足だったら、今そんな気持ちになってねえと思うぜ?…お前の今の状態は悲惨だが…オレもちょっと悪い事したとは思うが、そうなってやっとカストロと対等なんだよ」
ゼブル「……そう…なのかもしれない」
アレス「お前は今もう何もできなくなって、やっと痛みや弱さがわかったんだよ…違うか?」
ゼブル「…ああ」
アレス「だったらお前、カストロにやる事あるだろ?」
ゼブル「…何を?」
アレス「…誠心誠意謝ることだ…カストロもそれで納得出来たら、もうコイツへの恨みはスッパリ捨てろ」
カストロ「…うん!」
ゼブル「…カストロ…すまなかった…申し訳なかった…ごめん…すまない…」
ミリア「すごいお兄ちゃん…ゼブルの心にピカピカが出てきたのよ」
アレス「…殺さない?」
ミリア「うん!…今のゼブルなら殺さない」
アレス「よし…お前はもう許す…そしてオレもお前に謝る…そんな身体にしてすまなかった…ごめん」
ゼブル「…いや…これは報いだろ…いいよ…ただ、オレはもう生きてても仕方ない…殺してくれ」
アレス「…わかった…ただ、もう少し待て」
ゼブル「…うん」
アレス「カストロ、さっきの謝罪は納得出来たか?」
カストロ「うん…もうスッとした」
アレス「良かったなw…ポンポン」
カストロ「ありがと…なんかもう、他のいじめてた奴の事も、もういいって気になってきた」
アレス「そうお?…けど、少しはわからせてやろうぜ?…じゃないとこれから先、たまたまお前に会った時、またバカにされてムカつくぞ?」
カストロ「…たしかに」
アレス「オレはな、ケジメってのは必要だと思う…うやむやにして生きるよりずっといい」
カストロ「うん」
ゼブル「ケジメか…アレスはやはり、魔王様を倒しにきたのか?」
アレス「会ってみてからそれは決める」
ゼブル「そうか…冷静だな」
アレス「まあね」

それから時間が過ぎ、外が暗くなってきた頃、ドルフが血相変えてやってきた

アレス「遅かったじゃねえか」
ドルフ「こ、この野郎!!…オレの家壊したのお前か?!!」
アレス「うるせぇな…どうでもいいよ、そんな事ww」
ドルフ「てめぇ!!ぶっ殺す!!」

ドルフはかなりの数の火の玉を作り、オレに投げてきた

オレは結界を張り、防いだ

ドルフ「この野郎!!」
アレス「無駄だよw」

ドラゴンの力を強く使い、瞬間的に空高くドルフを舞い上がらせ、ドラゴンの力を解除した

当然、かなり上空から落ちてくる事になる

ドルフは羽根がなく、飛べない魔族なので、悲鳴を上げながら落ちてくる

オレは地面スレスレのところで止めてやり、地面に下ろした

ドルフは気絶していた
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