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旅路
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グエンの実家
グエン「ここです…どうぞ、あがっていってください」
アレス「いや、いいよw…言葉通じないのめんどくせえし」
グエン「でも…」
アレス「いいからw…それよりお前、今後大丈夫そうか?」
グエン「は、はい…ボクは本当に…アレスさんにどう報いたらいいか…グス…初めて会ったのに、何度も何度も助けてもらって…」
アレス「いいってw…言ったろ?…オレに恩を感じてるなら、これからはお前が困った奴を助けて生きてくれればいいって」
グエン「…うう…グス…そんなの当然の事ですよ…」
アレス「だったらそれでいいw…オレもお前には悪いけど、楽しかったし…な?」
ミリア「うん!…気にすることないのよ?…お兄ちゃんにはこんな事楽々なんだから」
アレス「そうそうw…たいがいオレは暴力振るってるだけだったしw」
グエン「暴力…ボクは暴力はとても嫌いで生きてきたけど…それで救える事もあるんですね…」
アレス「そうだなあ…ま、あんま褒められた事でもねえが…『力』ってのは要は使い方次第だよ…お前の医療の力だってそうだろ?…心の価値がない奴が使えば、淫猥な目的に使ったり、金をむしり取る目的にだってなるだろ?」
グエン「…全くですね…ボク、あまりそこまで考えてませんでした…」
ミリア「ルシアにもエロ医者いたもんね」
アレス「ああw…まあ、身体も心も人生もズタボロにしてやったけどな」
グエン「はははw…ボクはそうならないようにしないとですねw」
アレス「だなw…きっと大丈夫だよ、お前は」
グエン「はい…ボクはアレスさんに顔向け出来ない生き方はしません…アレスさんがくれたこの命は、決して無駄にはしません」
アレス「ああ…ま、そこまで気張る事もねえからw…自分の幸せの事も大切にな?」
グエン「…はい…グス…あなたのように優しく強く生きていきます…」
アレス「うん…じゃあ、またな…たまには会いに来るよ」
グエン「はいぜひ!…必ずまたお会いしましょう!!」
ミリア「アタシも来るのよ」
グエン「うん!…ミリアさんも本当にありがとうございました!」
ミリア「えへへ///」
アレス「またな…」
そしてミリアを抱きかかえて、空を飛んで後にした
ミリア「お兄ちゃん、また助けたね~」
アレス「そうだなあ…たまたま立ち寄って、すぐに帰るとこだったのになw」
ミリア「でも、グエンに心臓のと呼吸のと教えてもらったの、すぐに役立ったの…なんだかすごいね」
アレス「うん…それはオレも思うw…偶然にしては出来すぎだよな」
ミリア「ガイアさまがやらせてるのかなあ?」
アレス「どうかねえ?…今度聞いてみるかw」
ミリア「うんw…ギュ…スリスリ」
町を離れ、インダム方向に少し飛んだ場所に降りて、その日はそこでバスケットを出して、野営した
翌日からはまた、キャリアに乗って旅を再開した
それから二日はずっと何事もなく進んでるが、めちゃくちゃ暑くなってきた
幸い、キャリアの中はミリアの冷気魔法のおかげで涼しいけど、外はもう故郷なら真夏の日みたいに暑かった
アレス「外はクソ暑いな…」
ミリア「ね…アタシ、冷たく出来て良かったのよ…こんな暑いの無理よ~」
アレス「本当だよ…ミリアがいて良かった…」
ミリア「ねえ、インダムってとこはまだかな…」
アレス「うーん…」
ミリア「お兄ちゃん、もうこないだの魔族…カストロだっけ…呼んじゃえば?」
アレス「…そうする?」
ミリア「その方が迷わなくて済むのよ」
アレス「たしかにw」
ミリア「あいつの笛探してくるね~」
ミリアはキャリアの後ろの荷物置きに移動して、ゴソゴソと探して戻ってきた
ミリア「お兄ちゃん、あったよ~」
アレス「ありがとw…ナデナデ…かわいいなあもう…」
ミリア「えへへw…スリスリ」
アレス「これ吹く前に、ヤツの名前を言うんだったな」
オレたちは一旦キャリアから降りて、カストロの見た目や、性格を思い出しながら、『カストロ』と名前を声に出してから吹いた
吹いた直後は何も起こらなかったが、何かしている最中なら、すぐには来れないのもわかるから、待ってみた
アレス「あぢ~…」
ミリア「はやくぅ…」
オレは自分とミリアに水を集めてぶっかけた
アレス「ああ、気持ちいい~ww」
ミリア「ぶは…気持ちいい~ww…あはははww」
そして五分後にカストロは現れた
カストロ「お…暑い…」
アレス「おお!…よう!」
ミリア「よーう」
カストロ「おお、アレスww…久しぶりだ」
アレス「ああw…相変わらずでけえ図体だなぁ」
カストロ「うん…ここは?…その子は?」
アレス「たぶん、インダムには近いんだけど、もう呼んでしまおうと思ってな…この子はミリア…オレの恋人…そっか、あん時はミリアは秘密基地にいたのか」
ミリア「あ、そっか…よろしく٩(*❛⊰❛)۶ミリアだよ!」
カストロ「ええ…あ、うん、よろしくw…奴が瀕死になってから呼ぶ約束だろう?」
アレス「いいじゃんか…忙しいのか?」
カストロ「いや、別に…」
アレス「ならお前、道案内しろよ」
ミリア「そうだそうだ」
カストロ「…奴を殺すまで一緒に行くのか?」
アレス「そうだよ」
カストロ「オレは一人が好きなんだけどな…」
ミリア「一緒に行くのよ」
アレス「もしかしたら楽しいかもしれないじゃんか」
カストロ「わかったよ…」
アレス「じゃあ、これに乗れよ」
カストロ「なんなのそれ」
アレス「これはキャリアって言って、オレが動かす乗り物だよ…ミリア、こいつを半分にして」
ミリア「はーい」
カストロ「え?え!…ち、小さくなった…」
アレス「それなら乗れるだろ?…さ、乗れ」
カストロ「わかった…おお、この中涼しいな」
アレス「だろ?…さ、ミリアも」
ミリア「はーい」
カストロ「お、おお、すごい…飛んでるのか?!」
アレス「うん…お前、ギードとレンゲルには会えたか?」
カストロ「ああ、会った!…二人ともアレスにボコボコにされたって…」
アレス「ああ、そうw…でさ、片腕は切れたままか?」
カストロ「レンゲルは運良くホイミンに会えてくっつけられたって…でも、ギードは間に合わなかった」
アレス「そっか…かわいそうなことしたな」
カストロ「まあ、仕方ない」
アレス「そいつらとは一緒に居たりしてないのか?」
カストロ「してない…魔族はみんな一人で居るのが普通だし」
アレス「そうなのか…まあ、そうなんだろうな…『好き』がわからないんだもんな」
カストロ「なんだそれ」
ミリア「好きは好きだよ~…大事なもの」
カストロ「大事なもの…」
アレス「うん、守りたいものとか…例えば、自分の命はどうなの?」
カストロ「それは失くしたら終わりだろ?」
アレス「ああ…だから失くしたくはないよな?」
カストロ「当たり前だ」
アレス「でも、好きは強くなると、時に自分の命を失くしても守りたいと思う事もある」
カストロ「ふうん…」
アレス「オレはこのミリアがそうだ…自分の命よりも大事だ」
ミリア「でも、アタシのせいで死ぬのはダメなのよ?」
アレス「うんw…オレはミリアがそれほど大事ってことw…ナデナデ…でも大事だからオレはミリアの為に死なない…ミリアを一人にはしないで、ずっと優しくして守るよ」
ミリア「お兄ちゃん///…ギュ」
アレス「…見ろ、これが『好き』の繋がりだ」
カストロ「ふうん…」
アレス「まあ…種族も違うし、価値観が違うのも仕方ないかw…そんで…そのソイツの居るとこって正確にはどっちだ?」
カストロ「いや、ここからだとオレもわからない…景色とかも覚えてないし」
アレス「げえ…マジかよ」
カストロ「けど、洞窟の入り口は覚えてる」
アレス「なるほど!!…じゃあそこに転移しようぜ」
カストロ「それがいいw」
ミリア「おお~」
アレス「…って事はさ、キャリアで移動してたここ数日は一体…って感じだな」
ミリア「そんなことない!」
アレス「え?」
ミリア「アタシは楽しいもん」
アレス「…そうだよな!」
ミリア「うん!…それに、ホイミンたちとかグエンにも会えたんだよ…お兄ちゃんが会いに行かなかったら、みんな死んでるのよ」
アレス「ああ、そうだ…そうだな」
カストロ「しかし、そうは言っても、世の中のどこにでも不幸はあるもんだろ…そのうちのいくつかを、たまたまアレスが助けただけだし、アレスもミリアも知らなかったら気にしないだろう」
ミリア「うー…シュン」
アレス「お前さ…お前の言うことはもっともだし、オレもそう思うし、どこでどんな事があるって例えわかったとしても、オレは一人しかいないから全てを助ける事だって出来ないよ?…けど、そんな事は言わなくていいんだよ…ミリアを悲しませてんじゃねえよ…オレを敵に回したいのか?」
カストロ「あ、いや…す、すまん…」
アレス「謝るならオレじゃない、ミリアにだ」
カストロ「あ、うん…その…ミリア…ごめん」
ミリア「うん!」
アレス「許す?」
ミリア「うんw…だいじょぶ…ギュ」
アレス「ふふw…ナデナデ」
カストロ「け、けど…」
アレス「ん?」
カストロ「なんていうか、もしかしたらさ…アレスがたまたま助けた事は…何か意味がある事なのかもしれないよな」
アレス「そりゃ、オレにとって?」
カストロ「…そうかもしれないし、もっと大きな世界で…」
アレス「ああ…」
ミリア「…どういう意味?」
アレス「…んー…オレたちがホイミンに会った、グエンに会った…それだけじゃなくて、エウレカやクロード…ミリアに会った事…全ては偶然に起きたように思える事も、実は偶然じゃなくて、必要だったり意味があったり…て事か?」
カストロ「そうそうそう!…オレたち魔族と会ったのも…きっとアレスが勇者じゃなかったら、オレはここには居ない」
アレス「…かもなあ…そんな事をオレもたまに考えてたよ」
ミリア「なるほど~…なんとなくわかった…」
アレス「ふふw…ナデナデ」
ミリア「じゃあ、やっぱり意味ないことないじゃん!」
カストロ「ご、ごめん…」
アレス「あはははww…怒られてるww」
カストロ「ははは…」
アレス「ていうかさ…お前さ…ちょっと言いにくいけど、臭いよ…」
ミリア「うん…お風呂入ってる?」
カストロ「…いや…嫌いで…」
アレス「Σ(゚д゚υ)ガ-ン!…て、てめぇ、ちょっとキャリア降りろ!」
カストロ「は、はい!」
アレス「てめぇ…キャリアが汚れちまったじゃねえか」
カストロ「ご、こめん…」
アレス「まぁいい…ミリア、コイツをすごく小っちゃくして?」
ミリア「うん!」
ちっちゃくなったカストロを、お椀にお湯を入れて、ゴシゴシと洗った
小っちゃいくせに、お椀の水がすぐに黒く濁った
三回くらい洗って、ようやく水が濁らなくなったから、それでやめた
カストロ「ひ、ひえ~…グテ…」
アレス「ようやくキレイになったな…」
ミリア「すごく不潔なのよ!」
カストロ「い、いや…いいだろ、別に…」
アレス「よくねえよ!…臭いってだけでどんだけ迷惑かけると思ってんだ」
ミリア「そうだよ~…あとでちゃんと自分の座ったとこ拭いてよ」
カストロ「わ、わかった…」
アレス「まあ、いいや…とりあえずオレたちも一緒に入ろうか」
ミリア「うん!」
そうして、オレとミリアとカストロで、コラーゲンの湯であったまった
アレス「これからは毎日入らせるからな?」
カストロ「う、うん…わかった…ほんと、変わってるな…アレスは」
アレス「なにがよ…」
カストロ「いや、普通、人間はオレたちを怖いはずだし、嫌いなはずだろ?」
アレス「まあ、そうだろうな」
カストロ「アレスはでも、全然気にしてないから…」
アレス「じゃあ聞くけど、オレとお前の違いってなんだ?」
カストロ「え?…人間と魔族…」
アレス「じゃあ人間と魔族ってどう違う?」
カストロ「見た目?…あと、住むとこ」
アレス「あとは?」
カストロ「うーん…いろいろ違うとこはあるけど…」
アレス「そりゃ細かく言えばな…食べるモンも違うだろうし、考え方も価値観も違うだろう…でも、オレもお前もミリアも、自分の考えや感情があるのは一緒だ…仮に、お前が人間の見た目なら、ちょっと考え方が変わってる人間にしか見えないし、オレがお前らの見た目なら、お前はどう思う?」
カストロ「…たしかに…ちょっと変な奴くらいにしか思わん」
アレス「だろ?…見た目ってのはそんだけ見る奴に影響があるけどさ…そんなくらいで心を見ることもしなくなるのは浅はかな考えだよ…オレはお前は嫌いじゃないし、やな奴だとも思わない…ちゃんと謝れるしな」
カストロ「そ、そっか…///」
アレス「魔族は『好き』がわからないみたいだから、『友達』もわからないだろ?」
カストロ「うん…」
アレス「友達ってのは一緒に遊んだり、気が合ったり、助け合ったり出来るやつの事さ…そう出来なくても、ただ楽しかったり、一緒にいたいと思うだけでもいい…オレはだからお前の事も友達になれると思うよ」
カストロ「うん…そうなの?…オレがアレスを友達と思わなくても?」
アレス「お前がオレを嫌いじゃなければな」
カストロ「…嫌いじゃない、全然」
アレス「ならオレは友達だと思うよ…お前がそう思わなくてもな…オレはお前がピンチなら助けると思うよ」
カストロ「オレがアレスを助けなくても?」
アレス「ああ…そういうのは損得でするもんじゃないからな」
カストロ「…ふうん…」
アレス「で、友達ってのはこうして一緒に風呂にも入ったりする…お前は今は楽しくないかもしれないけど、そのうち楽しいと思えるようになったらいいと、オレは思うよw」
カストロ「…うん…楽しくなくはないよ…なんか、よくわからないけど…今まで感じた事ない思いがある」
アレス「それが『楽しい』って事だったら…それにお前が気付けたなら、ちゃんとオレにそう言えよ?」
カストロ「楽しい…か…わかった」
ミリア「気付けよう?」
カストロ「う、うんw」
アレス「ゲラゲラww」
グエン「ここです…どうぞ、あがっていってください」
アレス「いや、いいよw…言葉通じないのめんどくせえし」
グエン「でも…」
アレス「いいからw…それよりお前、今後大丈夫そうか?」
グエン「は、はい…ボクは本当に…アレスさんにどう報いたらいいか…グス…初めて会ったのに、何度も何度も助けてもらって…」
アレス「いいってw…言ったろ?…オレに恩を感じてるなら、これからはお前が困った奴を助けて生きてくれればいいって」
グエン「…うう…グス…そんなの当然の事ですよ…」
アレス「だったらそれでいいw…オレもお前には悪いけど、楽しかったし…な?」
ミリア「うん!…気にすることないのよ?…お兄ちゃんにはこんな事楽々なんだから」
アレス「そうそうw…たいがいオレは暴力振るってるだけだったしw」
グエン「暴力…ボクは暴力はとても嫌いで生きてきたけど…それで救える事もあるんですね…」
アレス「そうだなあ…ま、あんま褒められた事でもねえが…『力』ってのは要は使い方次第だよ…お前の医療の力だってそうだろ?…心の価値がない奴が使えば、淫猥な目的に使ったり、金をむしり取る目的にだってなるだろ?」
グエン「…全くですね…ボク、あまりそこまで考えてませんでした…」
ミリア「ルシアにもエロ医者いたもんね」
アレス「ああw…まあ、身体も心も人生もズタボロにしてやったけどな」
グエン「はははw…ボクはそうならないようにしないとですねw」
アレス「だなw…きっと大丈夫だよ、お前は」
グエン「はい…ボクはアレスさんに顔向け出来ない生き方はしません…アレスさんがくれたこの命は、決して無駄にはしません」
アレス「ああ…ま、そこまで気張る事もねえからw…自分の幸せの事も大切にな?」
グエン「…はい…グス…あなたのように優しく強く生きていきます…」
アレス「うん…じゃあ、またな…たまには会いに来るよ」
グエン「はいぜひ!…必ずまたお会いしましょう!!」
ミリア「アタシも来るのよ」
グエン「うん!…ミリアさんも本当にありがとうございました!」
ミリア「えへへ///」
アレス「またな…」
そしてミリアを抱きかかえて、空を飛んで後にした
ミリア「お兄ちゃん、また助けたね~」
アレス「そうだなあ…たまたま立ち寄って、すぐに帰るとこだったのになw」
ミリア「でも、グエンに心臓のと呼吸のと教えてもらったの、すぐに役立ったの…なんだかすごいね」
アレス「うん…それはオレも思うw…偶然にしては出来すぎだよな」
ミリア「ガイアさまがやらせてるのかなあ?」
アレス「どうかねえ?…今度聞いてみるかw」
ミリア「うんw…ギュ…スリスリ」
町を離れ、インダム方向に少し飛んだ場所に降りて、その日はそこでバスケットを出して、野営した
翌日からはまた、キャリアに乗って旅を再開した
それから二日はずっと何事もなく進んでるが、めちゃくちゃ暑くなってきた
幸い、キャリアの中はミリアの冷気魔法のおかげで涼しいけど、外はもう故郷なら真夏の日みたいに暑かった
アレス「外はクソ暑いな…」
ミリア「ね…アタシ、冷たく出来て良かったのよ…こんな暑いの無理よ~」
アレス「本当だよ…ミリアがいて良かった…」
ミリア「ねえ、インダムってとこはまだかな…」
アレス「うーん…」
ミリア「お兄ちゃん、もうこないだの魔族…カストロだっけ…呼んじゃえば?」
アレス「…そうする?」
ミリア「その方が迷わなくて済むのよ」
アレス「たしかにw」
ミリア「あいつの笛探してくるね~」
ミリアはキャリアの後ろの荷物置きに移動して、ゴソゴソと探して戻ってきた
ミリア「お兄ちゃん、あったよ~」
アレス「ありがとw…ナデナデ…かわいいなあもう…」
ミリア「えへへw…スリスリ」
アレス「これ吹く前に、ヤツの名前を言うんだったな」
オレたちは一旦キャリアから降りて、カストロの見た目や、性格を思い出しながら、『カストロ』と名前を声に出してから吹いた
吹いた直後は何も起こらなかったが、何かしている最中なら、すぐには来れないのもわかるから、待ってみた
アレス「あぢ~…」
ミリア「はやくぅ…」
オレは自分とミリアに水を集めてぶっかけた
アレス「ああ、気持ちいい~ww」
ミリア「ぶは…気持ちいい~ww…あはははww」
そして五分後にカストロは現れた
カストロ「お…暑い…」
アレス「おお!…よう!」
ミリア「よーう」
カストロ「おお、アレスww…久しぶりだ」
アレス「ああw…相変わらずでけえ図体だなぁ」
カストロ「うん…ここは?…その子は?」
アレス「たぶん、インダムには近いんだけど、もう呼んでしまおうと思ってな…この子はミリア…オレの恋人…そっか、あん時はミリアは秘密基地にいたのか」
ミリア「あ、そっか…よろしく٩(*❛⊰❛)۶ミリアだよ!」
カストロ「ええ…あ、うん、よろしくw…奴が瀕死になってから呼ぶ約束だろう?」
アレス「いいじゃんか…忙しいのか?」
カストロ「いや、別に…」
アレス「ならお前、道案内しろよ」
ミリア「そうだそうだ」
カストロ「…奴を殺すまで一緒に行くのか?」
アレス「そうだよ」
カストロ「オレは一人が好きなんだけどな…」
ミリア「一緒に行くのよ」
アレス「もしかしたら楽しいかもしれないじゃんか」
カストロ「わかったよ…」
アレス「じゃあ、これに乗れよ」
カストロ「なんなのそれ」
アレス「これはキャリアって言って、オレが動かす乗り物だよ…ミリア、こいつを半分にして」
ミリア「はーい」
カストロ「え?え!…ち、小さくなった…」
アレス「それなら乗れるだろ?…さ、乗れ」
カストロ「わかった…おお、この中涼しいな」
アレス「だろ?…さ、ミリアも」
ミリア「はーい」
カストロ「お、おお、すごい…飛んでるのか?!」
アレス「うん…お前、ギードとレンゲルには会えたか?」
カストロ「ああ、会った!…二人ともアレスにボコボコにされたって…」
アレス「ああ、そうw…でさ、片腕は切れたままか?」
カストロ「レンゲルは運良くホイミンに会えてくっつけられたって…でも、ギードは間に合わなかった」
アレス「そっか…かわいそうなことしたな」
カストロ「まあ、仕方ない」
アレス「そいつらとは一緒に居たりしてないのか?」
カストロ「してない…魔族はみんな一人で居るのが普通だし」
アレス「そうなのか…まあ、そうなんだろうな…『好き』がわからないんだもんな」
カストロ「なんだそれ」
ミリア「好きは好きだよ~…大事なもの」
カストロ「大事なもの…」
アレス「うん、守りたいものとか…例えば、自分の命はどうなの?」
カストロ「それは失くしたら終わりだろ?」
アレス「ああ…だから失くしたくはないよな?」
カストロ「当たり前だ」
アレス「でも、好きは強くなると、時に自分の命を失くしても守りたいと思う事もある」
カストロ「ふうん…」
アレス「オレはこのミリアがそうだ…自分の命よりも大事だ」
ミリア「でも、アタシのせいで死ぬのはダメなのよ?」
アレス「うんw…オレはミリアがそれほど大事ってことw…ナデナデ…でも大事だからオレはミリアの為に死なない…ミリアを一人にはしないで、ずっと優しくして守るよ」
ミリア「お兄ちゃん///…ギュ」
アレス「…見ろ、これが『好き』の繋がりだ」
カストロ「ふうん…」
アレス「まあ…種族も違うし、価値観が違うのも仕方ないかw…そんで…そのソイツの居るとこって正確にはどっちだ?」
カストロ「いや、ここからだとオレもわからない…景色とかも覚えてないし」
アレス「げえ…マジかよ」
カストロ「けど、洞窟の入り口は覚えてる」
アレス「なるほど!!…じゃあそこに転移しようぜ」
カストロ「それがいいw」
ミリア「おお~」
アレス「…って事はさ、キャリアで移動してたここ数日は一体…って感じだな」
ミリア「そんなことない!」
アレス「え?」
ミリア「アタシは楽しいもん」
アレス「…そうだよな!」
ミリア「うん!…それに、ホイミンたちとかグエンにも会えたんだよ…お兄ちゃんが会いに行かなかったら、みんな死んでるのよ」
アレス「ああ、そうだ…そうだな」
カストロ「しかし、そうは言っても、世の中のどこにでも不幸はあるもんだろ…そのうちのいくつかを、たまたまアレスが助けただけだし、アレスもミリアも知らなかったら気にしないだろう」
ミリア「うー…シュン」
アレス「お前さ…お前の言うことはもっともだし、オレもそう思うし、どこでどんな事があるって例えわかったとしても、オレは一人しかいないから全てを助ける事だって出来ないよ?…けど、そんな事は言わなくていいんだよ…ミリアを悲しませてんじゃねえよ…オレを敵に回したいのか?」
カストロ「あ、いや…す、すまん…」
アレス「謝るならオレじゃない、ミリアにだ」
カストロ「あ、うん…その…ミリア…ごめん」
ミリア「うん!」
アレス「許す?」
ミリア「うんw…だいじょぶ…ギュ」
アレス「ふふw…ナデナデ」
カストロ「け、けど…」
アレス「ん?」
カストロ「なんていうか、もしかしたらさ…アレスがたまたま助けた事は…何か意味がある事なのかもしれないよな」
アレス「そりゃ、オレにとって?」
カストロ「…そうかもしれないし、もっと大きな世界で…」
アレス「ああ…」
ミリア「…どういう意味?」
アレス「…んー…オレたちがホイミンに会った、グエンに会った…それだけじゃなくて、エウレカやクロード…ミリアに会った事…全ては偶然に起きたように思える事も、実は偶然じゃなくて、必要だったり意味があったり…て事か?」
カストロ「そうそうそう!…オレたち魔族と会ったのも…きっとアレスが勇者じゃなかったら、オレはここには居ない」
アレス「…かもなあ…そんな事をオレもたまに考えてたよ」
ミリア「なるほど~…なんとなくわかった…」
アレス「ふふw…ナデナデ」
ミリア「じゃあ、やっぱり意味ないことないじゃん!」
カストロ「ご、ごめん…」
アレス「あはははww…怒られてるww」
カストロ「ははは…」
アレス「ていうかさ…お前さ…ちょっと言いにくいけど、臭いよ…」
ミリア「うん…お風呂入ってる?」
カストロ「…いや…嫌いで…」
アレス「Σ(゚д゚υ)ガ-ン!…て、てめぇ、ちょっとキャリア降りろ!」
カストロ「は、はい!」
アレス「てめぇ…キャリアが汚れちまったじゃねえか」
カストロ「ご、こめん…」
アレス「まぁいい…ミリア、コイツをすごく小っちゃくして?」
ミリア「うん!」
ちっちゃくなったカストロを、お椀にお湯を入れて、ゴシゴシと洗った
小っちゃいくせに、お椀の水がすぐに黒く濁った
三回くらい洗って、ようやく水が濁らなくなったから、それでやめた
カストロ「ひ、ひえ~…グテ…」
アレス「ようやくキレイになったな…」
ミリア「すごく不潔なのよ!」
カストロ「い、いや…いいだろ、別に…」
アレス「よくねえよ!…臭いってだけでどんだけ迷惑かけると思ってんだ」
ミリア「そうだよ~…あとでちゃんと自分の座ったとこ拭いてよ」
カストロ「わ、わかった…」
アレス「まあ、いいや…とりあえずオレたちも一緒に入ろうか」
ミリア「うん!」
そうして、オレとミリアとカストロで、コラーゲンの湯であったまった
アレス「これからは毎日入らせるからな?」
カストロ「う、うん…わかった…ほんと、変わってるな…アレスは」
アレス「なにがよ…」
カストロ「いや、普通、人間はオレたちを怖いはずだし、嫌いなはずだろ?」
アレス「まあ、そうだろうな」
カストロ「アレスはでも、全然気にしてないから…」
アレス「じゃあ聞くけど、オレとお前の違いってなんだ?」
カストロ「え?…人間と魔族…」
アレス「じゃあ人間と魔族ってどう違う?」
カストロ「見た目?…あと、住むとこ」
アレス「あとは?」
カストロ「うーん…いろいろ違うとこはあるけど…」
アレス「そりゃ細かく言えばな…食べるモンも違うだろうし、考え方も価値観も違うだろう…でも、オレもお前もミリアも、自分の考えや感情があるのは一緒だ…仮に、お前が人間の見た目なら、ちょっと考え方が変わってる人間にしか見えないし、オレがお前らの見た目なら、お前はどう思う?」
カストロ「…たしかに…ちょっと変な奴くらいにしか思わん」
アレス「だろ?…見た目ってのはそんだけ見る奴に影響があるけどさ…そんなくらいで心を見ることもしなくなるのは浅はかな考えだよ…オレはお前は嫌いじゃないし、やな奴だとも思わない…ちゃんと謝れるしな」
カストロ「そ、そっか…///」
アレス「魔族は『好き』がわからないみたいだから、『友達』もわからないだろ?」
カストロ「うん…」
アレス「友達ってのは一緒に遊んだり、気が合ったり、助け合ったり出来るやつの事さ…そう出来なくても、ただ楽しかったり、一緒にいたいと思うだけでもいい…オレはだからお前の事も友達になれると思うよ」
カストロ「うん…そうなの?…オレがアレスを友達と思わなくても?」
アレス「お前がオレを嫌いじゃなければな」
カストロ「…嫌いじゃない、全然」
アレス「ならオレは友達だと思うよ…お前がそう思わなくてもな…オレはお前がピンチなら助けると思うよ」
カストロ「オレがアレスを助けなくても?」
アレス「ああ…そういうのは損得でするもんじゃないからな」
カストロ「…ふうん…」
アレス「で、友達ってのはこうして一緒に風呂にも入ったりする…お前は今は楽しくないかもしれないけど、そのうち楽しいと思えるようになったらいいと、オレは思うよw」
カストロ「…うん…楽しくなくはないよ…なんか、よくわからないけど…今まで感じた事ない思いがある」
アレス「それが『楽しい』って事だったら…それにお前が気付けたなら、ちゃんとオレにそう言えよ?」
カストロ「楽しい…か…わかった」
ミリア「気付けよう?」
カストロ「う、うんw」
アレス「ゲラゲラww」
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