勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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旅路

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翌朝、切ってきた竹を使っての小屋作りが始まった

ミリアと魔物たちは、無邪気に遊んでいる

小屋の柱になる竹を六本、長さを適度に切る事から始める

タチアナ「この竹はこのくらいで切ってください」
アレス「おう!…ここ?…このくらい?」
タチアナ「そうそう…斜めに」
アレス「よし…スパ!」
ダン「水の剣すげ~」
タチアナ「うんw…あと残りも印のあたりで切っちゃってください」
アレス「うん」

アレス「これ、微妙に長さが違ってるけどだいじょぶなの?」
タチアナ「だいじょぶw…まずはこれを地面にこのくらいまで刺すんで、刺し具合で高さを揃えればだいじょぶです」
アレス「なるほど…」

タチアナはナタとハンマーで、器用に竹の先端(刺さない方)に加工を施した

そしてそれを等間隔に地面に穴を掘って刺し、上手い事高さを揃えた

アレス「上手いもんだなあ!!」
ダン「本当!」
タチアナ「へへ///…そしたら次は、この柱の上に竹を横に置いて、梁にするんですよ」
アレス「なるほど!」
タチアナ「同じ長さに三本切ってください」
アレス「はい、ボス」
タチアナ「あはははw」

今度はその三本を柱に置き、釘を打って固定し、真ん中だけが少し高さのある、三本の並行した梁が出来た

ダン「ボス、次は?」
タチアナ「次は屋根だけど、ちょっと大変だよ」
アレス「どうやるの?」

タチアナは竹を1.5メートルほどの長さに切り、ナタを斧のようにして、縦に半分に切り裂いた

竹は繊維がまっすぐだから、そんなでもキレイに半分に裂ける

そして、半分に割れた竹の節を、ナタで上手い事、切ったり削ったりしてとっていく

アレス「おお~、さすがボス」
タチアナ「これをとりあえず30本やります」
ダン「ええ?!…そんなに?」
タチアナ「たぶんそれでもまだ足りない」
アレス「おっし、やるぞ」

オレは指を金属化して、節を簡単に取る事が出来た

だから、竹を裂くのはタチアナに任せて、オレは節を取った

数本それが出来ると、タチアナはまず、真ん中の高い梁と、片方の低い梁に斜めにその半分に割った竹を、内側を上にして、数本並べた

その後、その並んだ竹の隣合った部分の上に、今度は竹の表面側を上にして被せるように並べた

アレス「なあるほど!!…たしかにこれなら雨漏りするはずがねえや…すげえ知恵だなあ!」
タチアナ「ねw…簡単なのに、完璧よね…それで…一旦この今並べたのとって…」
ダン「はいっス!」
タチアナ「並べる前に、この梁にこの接着剤を塗るんだ」
アレス「この接着剤もお手製?」
タチアナ「うん!」
アレス「すげえなあw」
タチアナ「さすがに針金とか釘は買ったものだけど、それ以外は全部自分たちで作るのよ」
アレス「すごく勉強になるわ」

それから一度だけ小休憩を取り、昼までには屋根のパーツになる竹を作り、少し並べた

それから昼休憩にして、一旦みんなで昼食をとった

みんなでごはんを食べて、笑いながら話してる

そんな光景を見ながら、オレは不思議な感覚にとらわれていた

タチアナはオレの道中、たまたま倒れていたから助けただけで…

その助けた女が、今はこうしてホイミンたちの小屋作りをして助けている

タチアナはまた、オレがたまたま助ける事になったダンと結婚してる…

不思議だな…

オレはそんな事になるなんて思ってもなかった

誰かを助ける…いや、そんな大それた事なんかじゃなくても、人と人との繋がりは、いろんなものを巻き込んで、状況を変えていく…

不思議だ…

今までこんな事はたくさんあったけど、せめてオレと関わったみんなは、幸多き人生であればいいと思う

ダン「…兄貴!」
アレス「…ん?」
ダン「そろそろやりますか?」
アレス「あ、ああ…そうだなw」
タチアナ「どうしたんです?…いつになくボーッとしてましたけど」
アレス「ん…いやw…ちょっとねw…お前らは今楽しいか?…幸せか?」
ダン「…?…はいっス…おかげさまでw」
タチアナ「ええw…どうして?」
アレス「いや…ならいいんだw…オレと関わった奴はみんな幸せであって欲しいなってねw…そんな事考えてたんだ」
ダン「兄貴がいつもオレの知ってる兄貴なら、みんな幸せになってるに決まってるっスよw」
タチアナ「そうですよw」
アレス「そっかw」

ミリアはまたメープルの背中に乗って、笑いながら走っていた

ダンが接着剤を塗り、タチアナがそこに竹を並べていく

タチアナ「上に被せる竹は、屋根の頂点のほうをこう…斜めに切るの」
アレス「ああ、なるほどね!…じゃあそれはオレがやるわ」
タチアナ「お願いします」

そうしてオレが切った竹を、タチアナが上に被せていく

ダン「上のは接着剤とか使わないの?」
タチアナ「後でこの屋根の頂点に半分に割った竹をこう被せる時に、接着剤を塗るのよ」
ダン「へぇぇ!」
タチアナ「接着剤は日が当たると脆くなるからね、脆くなってはがれたら、一旦この並べた竹をとって、掃除するのよ」
アレス「ああ、剥がれた時についでに見るのか…合理的だな」
タチアナ「そうw…だから、たまにはここに来ないといけないわ…ここらは寒い地方なのかしら」
アレス「うん、寒さは厳しいと思う」
タチアナ「それなら良かった…暑いとこだとすぐダメになるからね」
アレス「そっか…まあ、たまに来て見てみるよ」
ホイミン「やったあw」
カーくん「それならまたアレスさんに会えるんだね!」
アレス「ああw…ナデナデ…たまにだろうけど、また来るよ」

そうして、3時くらいには屋根が完成した

アレス「次は?」
タチアナ「次は砂利を集めて、床を平らにならすのよ…だから砂利もたくさんいるわ」
アレス「よし…ちょっと待ってろ…ゴソゴソ…この空き宝箱に、砂利をたくさん詰めて運ぼう」
ダン「はいっス!」
ミリア「それくらいならアタシも手伝うのよ!」
アレス「いや、大変だよ?w…超疲れるよ?」
タチアナ「うんうんw」
ミリア「そうなの…でも、アタシも何かお手伝いしたいのよ」
アレス「わかったw…じゃあ疲れるまで頑張ろうかw」
ミリア「うん!」
タチアナ「じゃあ川原に行きましょw」

オレはキャリアを出して、みんなを乗せて川原まで飛んだ

みんなキャリアに驚いて、喜んでいた

川原に着くと、細かい砂利をみんなで宝箱いっぱいになるまで詰めた

オレはかなり重いそれを持って、飛んで小屋に持って行ってから、キャリアに戻ってみんなを連れて帰った

アレス「これだけで足りる?」
タチアナ「十分だよw…出来るだけ平らにして、踏み固めるのよ」
ダン「うっス!」

床の砂利を敷き詰め、平らにならした頃には、午後4時くらいになっていた

あと一時間程で、暗くなると思う

タチアナ「暗くなるまで、床とか壁に使う部品を作ります」
アレス「おお」
タチアナ「竹をまず半分に割ってから、幅2センチくらいに割っていくのよ」
アレス「オッケー…オレは自分のナイフでやってみるよ」
ダン「ナタ貸してっス…オレもやってみる」
タチアナ「うんw…気をつけてね」
ダン「うん///」

その作業を暗くなるまでやって、それから夕飯を作り、また風呂に入ってから、オレの冒険の話をした

アレス「…海を渡った大陸に着いて、その港町を出ると、わりとすぐにデカい城下街と城があってさ…まずはそこに行ったんだな」
タチアナ「うんうん」
アレス「で、その城下街は基本的には一般的な街なんだけどね…端っこの方行くと廃れた感じになってて、そこにはワルが集まってたんだよね」
ダン「ああ…なんかわかる気がするっス」
アレス「まあ、そこに行くとオレなんかはさらに目立つわけよ…身なりもいいし、ハンサムだし」
タチアナ「でしょうねぇ」
アレス「で、オレにたかってくる奴らも当然居て、ソイツらはどうせ返り討ちなんだけど、その中のワルのボスっぽい奴となんとなく気が合ってね…話してみると、『賭博』っていうのをやってる場所があるって言うのよ」
タチアナ「賭博?…賭け事?」
アレス「そう…金賭けて、身ぐるみ剥がされたりなw…儲けられる奴は一握りか、一番最初だけよ」
ミリア「一番最初は儲かるの?」
アレス「そうみたい…だいたい賭け事しようって奴は、苦労もしないで楽に金が欲しいってバカだから、最初だけ甘い蜜を吸わせれば、あとはもう破滅するまで自分から来ちゃうらしいよw」
ダン「ああ~…」
タチアナ「それでアレスさんは、そういう人も助けるの?」
アレス「バカ言えw…自分で自分をわからずに、快楽だけ求めるような奴を救うほど、オレはお人よしじゃねえよw」
タチアナ「それもそうだねw」
アレス「全ての結果は、自分の行動で出るモンだ…行いが悪い奴はそれ相応の報いがあって当然なんだよ…それを救ったとこで、そんな奴らはなにもわかりはしない」
タチアナ「…そうよね~」
ダン「そうっスね…むしろ、やってヤバくならなきゃ、わからねえ事もあるし」
アレス「その通りよ…でも、オレは金も増やしたかったし、賭博も人生経験だと思って、少しやってみたんだよね…そこの賭博はカードの奴でさ…数字の書かれたカードでやる奴…手札にはいろんな役ってのがあって、その強さを競うのが基本なんだけど、役が弱くても、相手の手の内を読んだり、ハッタリかましたり、そういう駆け引き次第で勝ったりもするんだよね…中々頭使う面白いゲームだったよ」
タチアナ「へぇぇ!…アレスさん強そうw」
アレス「ああ、オレは運も頭も良いしなw…で、勝ちまくって結構な金が出来たよ」
ダン「さすが~ww…けど、勝ちまくったら囲まれたりしねえっスか?」
アレス「するするw…まあ、されたとこでどうって事はない」
タチアナ「そうですよねw」
ダン「つまり、金が儲かったわけっスね」
アレス「うんw…まあ、その城下街ではそうやって金稼いだだけだったわ…けど、旅するには金が必要だし、上々だよな」
ダン「そっスねえ!!」
アレス「そんでその城下街の酒場で、北に行くと小さな村があるって聞いて、今度はそこに行ってみたんだ」
ミリア「村?」
アレス「うんw…人間の住む人数なんかでね…村、町、街とか使い分けるんだよw…あとは雰囲気的な感じかな…フラナみたいに人がいっぱい居て、建物もいっぱいあると街とか、ダンの住んでるとこみたいな小さめな民家がたくさんあるようなとこは町…それよりも寂れてると村…みたいにね…オレの故郷は村と町の間くらいだった」
ミリア「ふぅん」
アレス「そんな曖昧なので言い分けてる事って他にもいろいろあるよ…例えば、雨が降って地面に水が溜まってたらそれは?」
ミリア「うー…水たまり?」
アレス「そう…それが少し大きくなると池とか、もうちょっと大きいと沼とか…バカデカいと湖とかねw…でもどれもこれも、全部『水たまり』なんだよ」
ダン「…そうだったんスか?!」
タチアナ「ええ~!!…湖も?!」
ミリア「へぇぇ!…じゃあ、泉は?」
アレス「泉は水たまりとは違うよ…たまに山からチョロチョロ水が出てるとことかあるじゃん?」
ミリア「うん、あるー!」
アレス「ああいうのは湧水って言うんだけど、それが溜まってるのを泉って言うんだよ…それがデカくて流れてるのが川で、あったかいお湯の泉を温泉て言うの」
ミリア「そうだったの~!」
ダン「へぇぇ…」
アレス「だからほら、そこの泉さ…池にも見えるけど、水たまりと違って水が常に湧いてるからさ、池よりもずっとキレイな水なんだよ」
ミリア「おお~w」
ホイミン「そうなんだ~w」
アレス「うんw…道だって、どれも人や獣が通るとこは道なのに、街道とか、けもの道とか、言い方はいろいろある」
タチアナ「たしかにw」
アレス「…まあ、脱線しちゃったけど、オレは次にその村に行ったのね」
ミリア「うん」
ダン「はいっス」
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