勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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旅路

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ミリア「あすこ、なんか騒がしいのよ」
アレス「おう」

見ると、木が一本だけガサガサと揺れていて、何かの鳴き声が聞こえた

ホイミン「カーくんの声だ!!」
アレス「なに?!」

オレはすぐにその現場に飛んだ

すると、カーくんは木の枝に止まっていて、下で他の魔物が木を揺らしていた

ホイミン「やめろー!このー!」
アレス「あ!」

ホイミンは果敢にもその魔物に向かっていったが、いかんせんホイミンだ

一発殴られて、吹っ飛ばされてしまった

アレス「ホイミン!!」

この魔物も飢えてカーくんを狙ってるんだろう…

だけど仕方ない

オレはその魔物に蹴りを入れ、吹っ飛ばし、麻痺魔法をかけた

アレス「すまんな…そいつは友達の友達なんだ…お前、喋れるか?」
魔物「……ガウ」
アレス「喋れないか…困ったな…」
ミリア「お兄ちゃん、ホイミンちゃんが!」
ホイミン「うう…」

ミリアは秘密基地から飛び出して、癒しの杖でホイミンを回復した

ホイミン「いてて…」
アレス「だいじょぶか、ホイミン」
ホイミン「うん…カーくん!」
カーくん「ホ、ホイミン…ブルブル…うわぁああん!!」
アレス「カーくん、降りてきな…だいじょぶ、オレたちはホイミンの友達だよ」
ホイミン「降りてきてえ」
カーくん「う、うん…グス」

ホイミン「カーくん、だいじょぶ?…パァァァァ」
カーくん「う、うん…そ、その人間は、ほんとにいじめない?」
ホイミン「優しいよw」
アレス「アレスって言うんだ…こっちはミリア」
ミリア「ミリアだよ٩(*❛⊰❛)۶」
カーくん「ボ、ボク、カーくん…オズオズ…あ、あの…助けてくれてありがと…」
アレス「いや…気にするな」
ホイミン「そいつ、死んだの?」
アレス「死んでないよ…ちょっと待ってな?」

オレはバスケットから肉を出し、ステーキを一枚焼いた

それから魔物を回復し、小さくして、ステーキを食べさせた

ホイミン「どうして?」
アレス「こいつは腹が減ったからカーくんを襲って食べるつもりだったんだよ」
カーくん「うう…グス」
アレス「怖いし、嫌だろうけど…こいつもそうしないと、飢え死にしちゃうからね…」
ホイミン「そうなのか…」
アレス「うん…オレはカーくんを助けたつもりでも、こいつにとっては狩りを邪魔されたって事でしかない…だからその分、メシをやったのさ」
カーくん「そうなの…ボクのせいでアレスさんのご飯なくなってごめんなさい」
アレス「いいんだよw…ナデナデ…カーくんも食うか?」
カーくん「う、うん///」
アレス「肉でいいかい?」
カーくん「う、うん!」
アレス「待ってなw」

オレがもう一枚肉を焼いていると、小さくなっている魔物はオレのそばに来て、なんかフゴフゴと鳴いて、頭を足にこすりつけてきた

ホイミン「その魔物、アレスに『ありがとう』って言ってる」
アレス「ああ、そうか~w…ナデナデ…いいんだよ…痛い思いさせてごめんな」

ホイミン「ううん、美味しくてお腹いっぱいになったから嬉しいって」
アレス「そかそかw…ナデナデ」
ミリア「良かったねえw」
カーくん「アレスさん、魔物にも優しいんだね…ボク、ホイミン以外から優しくしてもらったの初めて」
アレス「かわいそうに…ナデナデ…」
カーくん「…ウル」
アレス「ほら、焼けた…熱いから気をつけて食べな?」
カーくん「うん!」

ホイミン「アレス、ありがと…アレスのおかげですごく助かっちゃったよ」
アレス「気にするなよw…そうは言っても、オレは『今だけ』しか助けてやれない…すぐにまた旅に出るし…」
カーくん「そうなの…シュン」
ホイミン「うー…シュン」
ミリア「かわいそうなのよ…」
アレス「う…そんな顔すんなって…」

魔物は満足したのか、オレの足元で眠っている

かわいそうで、かわいくて、つい連れて行きたくなるけど、そうも出来ない…

なんせこれから向かうのは魔界だし

アレス「ふうむ…」

ふと周りを見渡すと、竹林が見えた

アレス(…そういやタチアナは竹で小屋作れるっけ…)

オレはタチアナの視界を覗いてみた

タチアナは甲板でダンと隣合って、海を見ていた

アレス「ミリア…ちょっと、ダンとタチアナのとこに転移しよう」
ミリア「この子たちは?」
アレス「ホイミン」
ホイミン「ん?」
アレス「オレ、ちょっとだけ今居なくなるけど、すぐに戻ってくるから、ここで待ってて?」
ホイミン「ほんと?…ほんとに戻ってくる?」
アレス「うんw…オレは悲しいウソはつかないよw…ナデナデ…カーくんも…ナデナデ…ついでにお前も…ナデナデ…待ってて」
カーくん「うん…シュン」
魔物「フゴ…」
アレス「よし、ミリア…お願い」
ミリア「はーい」

貨物船
アレス「よっ」
ダン「あ!…今日はどうしたっスか?!」
ミリア「おー٩(*❛⊰❛)۶」
タチアナ「ブフw…かわいいw」
アレス「今日、用事があるのはタチアナの方だ」
タチアナ「へ?」
アレス「タチアナ、お前、竹があれば家作れるよな?…小屋程度でいいんだ」
タチアナ「あ、はい」
アレス「その事で力を貸して欲しいんだ…ジョシュにはオレの方から頼むから」
ダン「今回の船長はロナルドさんっス」
アレス「…ちょっと船長室行ってくる…許可もらえたらお願いできるか?」
タチアナ「もちろんです!…そんな事でアレスさんに恩返し出来るなら!」
アレス「ダンも行けたら手伝ってくれ」
ダン「望むところっスよ!」
ミリア「っスよ!」
タチアナ「ブフw」

船長室

コンコン
アレス「ロナルド…いるか?」

ガチャ
ロナルド「ア、アレスさん!!…アレスさん…お久しぶりです!!」
アレス「久しぶりw…すごいお前、人相良くなったなあw」
ロナルド「本当ですか?w…だとしたらアレスさんのおかげですよ」
アレス「そりゃ違うよ…自分の頑張りの結果だよ」
ロナルド「いえ…そうだとしても、キッカケはアレスさんですからw」
アレス「…じゃあさ、こんな言い方カッコ悪いけど…それを恩に着せて、お願いがあるんだ」
ロナルド「はい…なんでも出来る事なら」
アレス「タチアナと…それと出来ればダンを何日か借りたいんだ…厳しいかな…タチアナだけでも」
ロナルド「いえ、大丈夫ですよw…もう帰りの航海なので、今連れて行っても何も問題はないです」
アレス「おお、本当か?…無理言ってすまない…これ、少ないけど迷惑料だ」
ロナルド「いえ、それは大丈夫です…受け取れません…そのお金はあの二人が役に立ったらあげてください」
アレス「…それでいいのか?」
ロナルド「今渡されても、私はあの二人に渡してしまうので、同じ事です…だったらアレスさんから貰う方が嬉しいと思います」
アレス「ロナルド…いや…そしたら、ロナルドから渡してやってくれ…オレが払ってもアイツらも受け取らないかもしれないから…それに上司から貰った方が嬉しいよ」
ロナルド「…わかりました…では、いただいておきます…必ず渡します」
アレス「ああ…本当にありがとう」
ロナルド「いえw…また会えて嬉しいです」
アレス「オレもだw」

こうしてオレは、一旦ダンの家に転移し、タチアナの工具を持って、ホイミンの視界を頼りに転移した

ホイミン「おお~!…アレス~」
アレス「おうw…待たせたな…ナデナデ」
カーくん「だ、誰?」
魔物「フゴ!」
ダン「ま、魔物っスか?!」
タチアナ「わ、かわいいw」
ミリア「かわいいのよ~」
アレス「カーくん、ホイミン、怖がらなくて大丈夫だよw…この二人もオレの友達だから…こっちがダンで、こっちがタチアナっていうの」
カーくん「か、カーくんです…」
ホイミン「よろしく~…パァァァァ」
ダン「これが幸せの使者…ホイミンっスか…」
タチアナ「すごく元気になったw…アレスさん、この子たちの小屋を作ればいいの?」
アレス「うん、オレも手伝うからさ…出来るかね?…あの竹林だけど」
タチアナ「大丈夫です…じゃあ、早速竹を切って、ここに運びましょう」
ミリア「運ぶど~٩(*❛⊰❛)۶」
アレス「おっ、やる気満々だなw…ナデナデ」

それから竹を水の剣で切り、ミリアに小さくしてもらって運んだりした

その後、オレとタチアナとダンで夕食を作り、ミリアたちは遊んでいた

カーくんを襲ってきた魔物も、なぜか仲良くなって一緒に遊んでいるのが面白い

タチアナ「二人がいるとすんごい楽ww」
ダン「本当っスねw…オレ、今のところなんも役に立ってねえっス…」
アレス「いいって事よw…それより二人は子どもは?」
ダン「い、いやまだ…」
アレス「子ども欲しくはないのか?」
タチアナ「そんな事もないけど…今はまだいいかなって///」
アレス「そっかw…まあ、そんな焦る事もないかw…二人で決める事だもんな」
ダン「ま、まあ///」
アレス「けど子どもかあ…いいな」
タチアナ「子ども好きそうですよね、アレスさんw」
ダン「面倒見がいいっスからね~」
アレス「そうなのかなあ…オレ、そういう感じ?」
タチアナ「そうに決まってるじゃないですかww…現に今だって魔物たちの為に小屋作って…」
ダン「自分の足を犠牲にして、オレに刺す練習させるとか…誰にも出来ませんって…」
タチアナ「わたしだって、アレスさんが見つけてくれなかったら、雪に埋もれて死んでたし…」
ダン「海賊とやり合う時も、船員たちに犠牲者が出ないように避難訓練までしてたじゃねえっスか」
タチアナ「見も知らぬ夫婦のトラブルまで面倒見てるし」
ダン「いつでもミリアちゃんに優しいし」
タチアナ「わたしの両親の墓にも手を合わせてくれたし」
アレス「おお~…たしかにw…それ全部やってたな~w…ミリアには過保護って言われてるしw」
タチアナ「そうかもw」
ダン「けど、そんな兄貴だから子どもが好きなんでしょうねえ」
アレス「うーん…いや、子どもだから無差別にかわいいとかじゃないけどねw…ムカつくガキはムカつくし…でもさ、あんなふうな奴らはかわいいし、守りたくなっちゃうじゃん?」
ダン「そうっスねぇ」
タチアナ「生意気なのはわたしも嫌い」
ダン「けど、兄貴はガキの頃は生意気そうっスよねw」
アレス「かもしれんw」
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