勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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ドラゴニア

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そうしてオレたちは、特別席に行って、ノトスの戦いを応援した

ノトスはけっこう人気がある

強いし、きっと美しい龍なんだと思う

エウレカもノトスに釘付けになって見ていた

アレス「エウロスさんから見ても、ノトスはキレイな方?」
エウロス「そうだねえ…顔はかあさんの方がかわいいけど、けっこう美龍だと思うし、スタイルはいいね…でも、好みは分かれるかな」
アレス「そっかw…けど、そういう好みが分かれるのって、好きになると夢中になるもんだよな」
エウロス「かもなw…せがれを好いてくれるといいなぁ」
アレス「エウロスさんもツツジさんも、格闘家が相手でも気にしない?」
エウロス「そんなの気にするはずないw…オレたちが気にするとしたら、心のありようだけさ…エウレカは稼ぎがいいから、金銭的な面での心配はないしな」
ツツジ「そうねえ…幸せになってくれたらそれでいいわねえ」
アレス「両親にそう思ってもらってるだけでも、幸せな事だ」
ミリア「いけいけ!…やっちまえ!…お兄ちゃん、お兄ちゃんはどっち勝つと思う?」
アレス「ノトスが勝つと思うよ…何か向こうに切り札でもない限りは」
エウロス「そうなのかい?」
アレス「実力ではノトスの方が上だ…さらにスピードでもノトスが勝ってる…戦いにおいて、スピードが上回るのは最大に有利だからな」
エウロス「ほお…」
アレス「ただ、ノトスはタフさが足りないから…アイツの攻撃がいいのが一発でも入れば、まだわからないな…ラウンド数が長引く前にケリつかないと、ノトスはヤバいかな…ただ、見てる限りでは、ノトスはもうアイツの動きを見切ってきてる…次のラウンドあたり、カウンターを入れるんじゃないかな…そのタイミングを計ってるからな」
エウロス「そんなのまでわかるんだ…」
アレス「うんw…カウンターで与えたダメージによって、勝敗は見えてくるんじゃないかね…あんまり効いてなかったら、ノトスには不利だ」
エウロス「効いてくれえ!」
アレス「大丈夫だよw…カウンターってのは相当な威力だからさ」

そして、予想通り次のラウンドで、相手の右ストレートにカウンターを入れ、ダウンをとった

相手は起き上がったが、元々実力もスピードも上回ってるノトスは、ラッシュ攻撃を叩き込み、無事勝利した

勝者を讃えられて、武舞台から降りたノトスは、この特別席にやってきた

ノトス「エウレカさん///…みなさん、応援ありがとうございます…とても励みになりました!」
エウレカ「そんなの当たり前だよ!…勝って本当に嬉しい…でも、大したケガもないのが何より嬉しい」
ノトス「えへへ///」
エウロス「エウレカの父のエウロスです…よろしく」
ノトス「あっはい!…よ、よろしくお願いします…」
ツツジ「母のツツジですw…よろしくお願いしますね…」
ノトス「よ、よろしくお願いします!///」
アレス「楽勝だったなw」
ノトス「え…そんな事なかったよ…」
アレス「そうか?…見切ってたじゃん」
ノトス「うん…でもやっぱり不安はあるから…」
アレス「ふふw…回復してやりたいとこだけど、それはフェアじゃないから…すまないな」
ノトス「わかってる…それでいいの」
エウレカ「そんな…」
アレス「心配だろうけど、そういう世界に生きてるんだ、ノトスは…」
エウレカ「そっか…」
ノトス「大丈夫よw…そんな心配しないで?」
エウレカ「うん…無理はしないでね」
ノトス「ありがとう///」
エウロス「大会終わったら、いつか遊びに来てください」
ツツジ「ご馳走作ってお待ちしてますねw」
ノトス「…はい!…ぜひ伺わせていただきます!///」
エウレカ「そ、そんな…まだデートもしてないのに///」

それからまたオレの控え室に戻ると、さっきの話の続きを聞いた

エウロス「どこまで話したっけ?」
アレス「あれ、デンズヌイランドでデート中に、ツツジさんを好きだって言うクソ野郎が来たってとこ」
エウロス「ああ!…そう、それで、ソイツから離れて、またデートの続きをしてな…そんでしばらく遊んでから、デンズヌイランドの中のレストランで一緒にメシ食ってる時に、今度はさっきのソイツと、かあさんの両親がやってきたのよ」
ツツジ「恥ずかしかったわ…」
アレス「いちゃもんつけに?」
エウロス「そう!…オレは何をしてる奴かとか、稼ぎはどうかとか…大学は行ってるのかとかね…で、オレは正直に漁師をしてる事を言ったら、かあさんの両親に『そんな底辺の奴に、うちの娘は預けられない』とか言われてな…かあさんには悪いけど、オレはどうしても好きにはなれねえと思ったわ…ムカついたし」
エウレカ「たしかにムカつく…」
ツツジ「ごめんなさいね…」
エウロス「でもそしたらかあさんは、『今の言葉、取り消して!…そして、この龍に心を込めて謝罪して!…出来ないなら、わたしはもうあなたたちの家には帰らない、親とも思わない!』ってさ…それを聞いた時、オレはかあさんがオレを騙してるのかもと思ってた事を恥じたよ…それと同時に、かあさんを心から好きになった///…誰にも渡さないって思った」
ツツジ「その時のおとうさんの言ってくれたのがね、とてもカッコ良かったのよw…思い出しても嬉しい」
アレス「なんて?」
ツツジ「『ツツジさんを幸せに出来る龍が居るとしたら、それは世界中探してもオレだけだ…だからオレはあんたらが許さなかろうと関係なく、こいつを一生懸けて幸せにする…文句は言わせない』…そう言ってくれたの…」
アレス「かっけぇ~!」
ミリア「カッコいい~!」
エウロス「恥ずかしい///」
ツツジ「そう言った後、おとうさんはわたしの手を引いて、おとうさんの家に連れてきて…わたしはそれから本当に帰らなかったのw…それからずーっと帰ってないw」
アレス「マジかww…迎えに来たりはした?」
エウロス「来たよ…すんげえ大金持ってきて、これで別れてくれってさ…オレはその金を叩きつけてやったよ」
エウレカ「おお!」
エウロス「その後、なんかいかつい奴らを連れてきても、オレもオヤジも、漁師仲間たちも来て、みんなで追い払ってなw…そんでとうとう来なくなったよな」
ツツジ「そうですねえw」
エウロス「かあさんはそんですぐに大学を中退して、オレと籍を入れて、夫婦になったってわけだな…生活水準がかあさんはだいぶ下がったろうけど、文句は一度も言わないでいてくれたよ」
ツツジ「そんなのどうでもいいのよw…ずっと大好きだったおとうさんが、わたしをずっと大事にしてくれて…だから、わたしはずっと幸せに生きてこられたもの」
エウロス「そう言ってくれると男冥利に尽きるってもんだw」
アレス「いや、エウロスさん、かっけぇわ…ツツジさんもいい女だ」
エウレカ「そんな大恋愛してたなんてなあ…そんでもって母ちゃんの両親がそんな嫌な奴らだったとは…」
アレス「お前は会った事ないんか?」
エウレカ「ない」
ツツジ「わたしは本当に帰ってませんからねえw」
アレス「エウロスさんを愛して良かったね…ツツジさん」
ツツジ「そうですねぇw」

コンコン
「アレスさん」

ガチャ
アレス「どうした?」
案内係「ああ…本日の対戦相手なんですが…棄権をされました」
アレス「なんだって?…ほんとか?…その場合どうなるの?」
案内係「アレスさんの勝利として、2ポイント加算されます」
アレス「…なんで棄権したんだ?」
案内係「ダメージと疲労が重なって、アレスさんと戦う状態ではないという事です」
アレス「わかった」
案内係「それでですね…普通ならアレスさんは来る必要がないんですが、その事を観客の皆様に伝えたら、騒ぎ出してしまいまして…アレスさんの試合を見に来たのに!って感じです…正直ボクもガッカリなので、気持ちわかります…なので、皆さんに顔見せしてあげてくれませんか?」
アレス「ああ、いいよw」
案内係「ありがとうございます!…それと…すいません…これにサインをお願いしていいですか?///」
アレス「ん?…ああ…二枚?」
案内係「は、はい…ボクの分と…あと姪っ子の分です///」
アレス「そっかw…オレのこんなのが価値あるのか?…カキカキ」
案内係「ありますとも!!」
アレス「!(‘A‘;)ビク…お、おう…そうかw…観客の人たちもさ、もしかして貰ったら嬉しいかね?」
案内係「そりゃもう嬉しいと思います」
アレス「…じゃあさ、うーん…なんか投げて危なくないものを100個用意出来る?…それにオレがサインして、観客に投げるから…」
案内係「本当ですか?!…はい!…なんとか用意します!!…ここで以前にテレビロケの時に用意したカラーボールがあると思うので」
アレス「…テレビロケ?…カラーボール?」
エウレカ「…アレス、こういうのだよ…ここで撮影した時に、こういうの使ったんだってw」
アレス「ふぅん…これなら当たっても痛くない?」
エウレカ「だいじょぶだと思うよ」
アレス「じゃあお願いするよ」
案内係「はい!」

そうして武舞台に行き、オレはみんなの前に立った

観客たちは大歓声で迎えてくれた

アレス「みんな…こんな異世界のわけわからん奴を応援してくれてありがとう!…オレはこのドラゴンたちの世界に来れて、本当に良かった…ドラゴンたちは身体も大きくて、観客のみんなでさえ、本来、人間なら敵わないほどなのに…それなのに、みんなとっても優しくて、礼儀もマナーもあって…こんな素晴らしい民族に出会えて、オレは心から嬉しく思う」

「「「ワアアアアアアア!!!」」」

「「「アレスーーー!!!」」」

アレス「そんでね…今回、試合がなくなっちゃったからね…お詫びというか…嬉しいかわからないけど…この100個のボールにサインして、みんなにランダムに投げていくから」

「「「ワアアアアアアア!!!」」」

アレス「このくらいしか出来なくてごめんな…エウレカ、オレを乗せて、観客席の前を周回して飛んでくれ」
エウレカ「え?!…オ、オレが?!…どどどうしよう…」
アレス「いいからこっち来い」

エウレカは照れながら武舞台に上がった

アレス「こいつはオレがこの世界に来た時に世話してくれた…会ってまだ数日だけど、オレは親友だと思ってる…今からこいつの背中に乗って、ボールを投げるからねw」
エウレカ「アレス…アレス…グス…本当かい?…親友って…グス…」
アレス「なんだよw…本当だよw」
エウレカ「うう…ギュ…アレス…ありがとう…」
アレス「ははw…かわいい奴…ナデナデ」

このエウレカの素直に喜ぶ様子は、観客たちの心を打ったようで、もらい泣きする龍たちもかなりいた

エウレカは少しすると、公衆の面前でオレに泣きながら抱きついた自分に気付き、ものすごく照れていた

アレス「よし、エウレカ…ゆっくりと観客席の前を周回してくれ…」
エウレカ「う、うん」

エウレカの背中に立ち乗りして、ミリアにボールを渡してもらって、それにサインをして、観客席に投げていった

アレス「みんな、席は立つなよ!…子どもも居るんだ!…巻き込んでケガはさせるなよ!」

そう言いながら周ると、みんなはちゃんと座りながら受け取った

そして、最後の1つは子どものドラゴンの前に飛び降り、直接あげてみた

子ドラゴン「わああ!…ありがと!!」
アレス「うんw…こちらこそありがとうw…ギュ…ナデナデ」
子ドラゴン「えへへ///」
アレス「ふふw…ナデナデ…じゃあねw」
子ドラゴン「うん!ありがとう!」

もう一度エウレカの背中に乗り、武舞台に戻った

アレス「みんなありがとう!…次の試合も楽しみにしててね…残酷かもしれないけど、嫌わないでくれよ?」

観客席から笑いが起こる

アレス「それじゃあまた明日ね!」

そうして武舞台から去り、控え室に戻った

エウレカ「アレス、すごいねえ…あんな大勢の前で堂々としてさ」
エウロス「うんうん…あがるよな、普通」
ミリア「お兄ちゃんは人間の世界でもああだったよ」
アレス「うんまあ、オレは昔からあんなような事はあったからな」

コンコン
「あの…ノトスです…」
アレス「入れよ」

ガチャ
ノトス「こ、こんにちは///」
アレス「よお」
エウレカ「こ、こんにちは///」

ノトス「アレスさん、すごい龍気者だわね~…あんな振る舞い出来るのすごい」
アレス「出しゃばりの目立ちたがりなだけさ」
エウレカ「ノトスさん、オレ…アレスと違って情けなかったよね…」
ノトス「かわいかったです///」
エウレカ「…///」
アレス「かわいいんだよな、コイツ」
ミリア「うんw」
エウロス「ブフww」
ツツジ「おほほw」
アレス「ツツジさんの子だけはある」
エウレカ「う、うるさいよ///」

それからその日は、半ば強引にノトスも一緒にエウレカの家に帰った

ツツジさんとエウレカとノトスで料理を作って、それを食べながらテレビを見ると、さっきのボール投げの映像をどのチャンネルでも流していた

エウロス「アレスさんの好感度ヤバいな」
ツツジ「ほんとねえ」
エウレカ「アレスの動画とかコメントとかすごいバズってる」
ミリア「お兄ちゃん、どこでも人気者」
アレス「ここじゃ、龍気者って言うらしいよw」
ミリア「あ、そっかw」

それからまたコラーゲンの湯を作って、ノトスも一緒に入ったりして、またこの日も楽しく終わっていった
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