勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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ドラゴニア

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エウレカ「ねえ、アレスはドラグーンを食べて、新しい力を身につける事に執着してなさそうだけど…」
アレス「ああ、うん…」
エウレカ「それでも欲しいなって能力はある?」
アレス「んー…いや…オレね、能力なんかは本当は、いくらあっても嬉しいと思ってるよ」
ミリア「そうだったの?」
アレス「うんw…そりゃねw…特にミリアの魔法は見ててすげえ便利で役に立つしさ」
ミリア「やったあ!」
エウレカ「オレもミリアちゃんの魔法は羨ましいw」
ミリア「えへへ///」
アレス「でもね…オレはそれと同時に、力をいくつも持つ事が怖いんだよ」
エウレカ「…どうして?」
ミリア「力を抑えられなくなりそう?…アタシはお兄ちゃんはそんな心じゃないと思うよ?」
アレス「うん…それはね…たぶん大丈夫だと思う…けどね、オレはミリアと一緒になってから、ミリアの力に頼りっぱなしだろ?」
ミリア「別にそれは嬉しいんだよ?」
アレス「うん…だけど、なければないでなんとかなってたのに、今となってはミリアのその力ありきで物事を考えるようになっちゃった…」
ミリア「いいのよ?」
アレス「…うん、わかってる…オレもミリアと逆ならそう思うし…でも、力が増えて便利になるほど、オレはどうしてもそれに頼ったり甘えたりすると思う…そういう堕落した心になるのがオレは怖い」
エウレカ「それはオレもよくわかるよw…これね…さっき見せたこれ…スマホっていう機械なんだけど、これはこんなに小さな物なのに、世界中の龍と話したり、文字のやりとりしたり、いろんな物を見たり調べたり出来るんだよ…今はドラゴンたちはみんなこれ持っててさ、みんなこれがないと生きていけなくなってる…中には一日中こればっかりいじってる龍だってたくさんいる…でも当然昔はこんなものなくて、これが出来たのだって、ほんの30年くらい前なんだよ…ドラゴンの一生は長いのに、この道具はたった30年で世界中のドラゴンの生活を変えてしまった…それって恐ろしさも感じるよ…この道具にオレたちは支配されてるようなもんだ」
ミリア「ふうん…」
アレス「ミリアはそういうのないか?」
ミリア「うー…」
アレス「たしかにミリアは今でも欲もなく過ごしてるけどさ…それでもさ、今からまた妖精の世界で生きるってなったら…ミリアは前のように過ごせるか?」
ミリア「…どうだろう」
アレス「ミリアはさ、オレと旅する事で、いろいろ見たし、学んできた…オレが初めて会った時より、確実に知識を深めてる」
ミリア「ほんと?!」
アレス「うん…だからね、きっと妖精たちと今話したら、妖精たちの考えの浅さとかわかるよ…つまり、話がつまらないんだ…かわいいけどね」
ミリア「う、うん…」
アレス「そして妖精の世界には何もない…遊ぶ場所も、本すらない…」
ミリア「うー…無理っぽい…」
アレス「そうさせたのはオレだから、すごく申し訳ないけどさ…やっぱりミリアでさえ難しいと思うんだよ」
ミリア「うん…申し訳なくないけど」
アレス「だからさ、オレはそういう意味で、便利になるのが怖いって思うんだよね」
エウレカ「なるほどねぇ~…アレスはすごいね…しっかり自制出来てさ」
アレス「しっかりかはわからないけどなw…けど、しいてあと一つだけ欲しい力があるとすれば、ドラゴンの力かなw…オレも自由に空を飛んでみたい…」
エウレカ「そっかw…でも、人間でもドラゴンの力を持てるの?…それ食えば」
アレス「その可能性はあるよ…現にオレはドラグーンを食べた事で、人間には扱えない魔法を身につけてるし」
ミリア「そうなのよ」
エウレカ「どんなの?」

オレは手を光らせて、エウレカの身体に光をくっつけた

エウレカ「わあ!…光ってる!」
アレス「うんw…これはただこれだけの魔法さ…だけど、人間には習得出来ない魔法なんだよ」
エウレカ「へぇぇ!…でもこれ便利だねえw」
アレス「そうw…この世界には必要なさそうだけど、人間の世界にはまだこんな灯りなんてないからな」
ミリア「とっても便利よ!」
エウレカ「うん、わかるよw」
アレス「…だから運が良ければドラゴンの力も手に入る可能性はなくもない…けどさ、そんな少しの可能性にかけるのもな…」
エウレカ「…そっか…でもさ、そのオレがあげたドラグーンは、ドラゴンの力を維持するのがタイガのより強いんだよ…だからもしかしたら、ドラゴンの力が身につく可能性はタイガのより高そうだよね」
アレス「これか…」
ミリア「お兄ちゃん、食べてみれば?…それを最後にして」
アレス「……」
エウレカ「そうしてみれば?」
アレス「でもこれいつものと違うし、なんか別の意味でこええな…」
エウレカ「ああ、身体に毒だったり?」
アレス「そうw」
ミリア「そっかあ…」
アレス「死ぬかもしれないだろ?…そうなったらミリアを1人残すことになる」
ミリア「やだ!!…ギュ!」
エウレカ「うーん…それならさ、今度の大会に出場してみれば?…アレス、ドラゴンと戦ってみたいって言ってたし」
アレス「大会?」
エウレカ「うん…『世界最強決定戦』っていうのね」
アレス「うん」
エウレカ「それの賞金が100万ペスなんだけどね…」
アレス「うん…それって高いの?」
エウレカ「高いよw…ドラグーンが100個買えるんだよ…ドラグーン1個はオレの1年の稼ぎくらいの価値だよ…他の一般的なドラゴンなら2、3年の稼ぎかな」
アレス「げえっw…めっちゃ高えw」
エウレカ「そうでしょ?w…でね、どんな病気でも治す万能薬『エリクシール』ってのがあってね…それは50万ペスで買えるの」
アレス「なあるほど!…賞金でそのエリクシールとやらを買えば、これ食って悶絶しても大丈夫ってわけかw」
エウレカ「そうそうw」
ミリア「でも、エリクシールってやつはお兄ちゃんは食べても大丈夫なの?」
エウレカ「大丈夫…なぜかっていうと、タイガも昔食べたから」
アレス「え?!…そうなの?」
エウレカ「うん…ほら、ゲート…龍穴って空にあるだろ?…で、タイガはつまりそこから落ちたんだよ…でも、人間は空を飛べないから、死にかけたんだよね」
アレス「…そりゃ普通ならそうだ!…じゃあタイガは一旦地面に叩きつけられたのか?」
エウレカ「そう…ぐちゃぐちゃになってた…そのタイガに無理矢理エリクシールの葉っぱを食べさせたんだよ…そしたらぐちゃぐちゃだったタイガは数日で元通りになった」
アレス「へぇぇ…ケガにも病気でもなんでも効くのか」
エウレカ「そうなんだよ…300年前はエリクシールは今よりも採れてね…でも今は少ししか採れないから、そんな高くなっちゃったわけ」
アレス「なるほどねw…へぇぇ…だったら出てみてえな…ドラゴンと戦えるのかも知りたいし…ただ、それって人間でも出場出来るの?」
エウレカ「それはわからないけど…一応、応募はしてみようよ」
アレス「うん、どうすればいい?」
エウレカ「簡単だよw…このスマホで出来る…アレスの写真付きで応募しよう…人間ってわかれば、珍しさで逆に出れるかも」
アレス「おう…でも待て…ちょっとルールを確認させてくれ…」
エウレカ「ルールは簡単だよ…武器とか炎とか、何も制限はないし、降参するか、気絶とか戦闘不能になったり、死んだりしたら負け…」
アレス「魔法はオッケー?」
エウレカ「ダメってルールはないよw…あるわけないよ、魔法がないもん」
アレス「なるほどねw…でも、飛んで届かないとこで攻撃されたら、手も足も出ねえ」
エウレカ「あ、そっか…そんじゃ、もし出させるなら、飛ばない事を条件にしてもらおう…」
アレス「そんな事書いたら、出場はなしになりそうだな…」
エウレカ「うーん…かもしれないけど…でも、人間が戦うのって興味ある龍はたくさんいるだろうし、いつものより盛り上がるなら大会側にもメリットがあるから、可能性はなくはないよ」
アレス「なるほど…どっちにしろ飛ばれたら戦えないし、その条件付きで応募してみてくれよ」
エウレカ「わかったw…じゃあ写真撮るね…こっち向いて、ここ見てくれる?」
アレス「お、おお…?」
エウレカ「はい…カシャ」
アレス「何したの?」
エウレカ「これこれ…これが写真だよ…アレスを撮ったの」
アレス「お!おお!…お~…カッコいいじゃんオレ…」
ミリア「カッコい~!」
エウレカ「そ、そうなんだ…w」
アレス「もっと撮ってくれ…ミリアと一緒に」
エウレカ「う、うん」

その後、オレとミリアとエウレカで、3人…2人と1龍で写真をたくさん撮った

エウレカはそれをプリントアウトってやつをしてくれて、撮った写真をオレとミリアにくれた

…我ながらカッコいいぜ…

たしかにこれならモテるはずだ

エウレカ「そんな自分の写真眺めるなよ…引くわぁ」
アレス「え?…いや、思ったよりカッコ良くってさあ」
ミリア「カッコいいのよ///」
エウレカ「自分で言うなよ…よし!…エントリーしたぞ」
アレス「エントリー?…応募?」
エウレカ「そうそう…明日の昼過ぎに発表があるよ」
アレス「じゃあ、それまでやる事ないのか…」
エウレカ「うんまあ…ゲームでもする?」
アレス「ゲーム?」
エウレカ「うん…ちょっと待ってね」

エウレカはテレビの画面に、ゲームを映した

まるで本物みたいな画像が写っていて、コントローラーというので、中のキャラクターというのが動く

やってみるとかなり面白くて、ミリアも大喜びだった

アレス「すげ~…ミリア、このコントローラーってやつ、もう少し小さくして?」
ミリア「うん…これくらい?」
アレス「ああ、これならやりやすいw」
エウレカ「わあ!…コントローラーが小さくてかわいいw」
アレス「あとでちゃんと戻すから」
エウレカ「いいよ、これはこれでw…かわいくて気に入った…もう一個あるし」
アレス「あははw」
エウレカ「アレス、もう上手いねえ」
アレス「本当か?」
ミリア「上手い上手い!」
アレス「エウレカもやってみてよ」
エウレカ「いいよぉ」

アレス「おお~!…そうやるのかぁw…すげ~ww」
ミリア「あはははw…お兄ちゃんがそんな無邪気に喜んでるの初めて見たw」
エウレカ「あはははw」

エウレカとは初日からもう、気兼ねなく付き合う事が出来た

タイガの言う通り、優しくて楽しくて良い奴だし、オレの知らない知識もたくさん教えてくれた

ゲームをやめると風呂に入ると言ったから、エウレカの風呂の桶にお湯を張って、みんなで小さくなって入った

家の中にいながらデカい風呂に入れて、エウレカも喜んでいた

それからメシを食べて、寝るまでの間、いろんな事を話してもらったり、スマホで動画というのを見させてもらったりして、オレ的には初めての楽しさを味わえたのだった
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