勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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ドラゴニア

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エウレカ「アレスも魔法は使えるの?」
アレス「オレはいろんなの使えるよ」
エウレカ「そうなのか~…見てみたいな」
アレス「うーん…オレのは危険なのばっかでなあ…水を集めるのくらいしか」

オレはそう言って、手のひらの上に水の玉を作って見せた

エウレカ「おお!!…うわぁ!…すごくキレイじゃん!!…へぇぇ!!…チョンチョン」
ミリア「飲む飲む!」
アレス「あははw…はい」
ミリア「…コクコク…」
エウレカ「アレスのそれはその実で身についたの?」
アレス「いや、これは違うね…ほとんどはオレが自分で身につけたよ」
エウレカ「ふうん…人間は魔法が使えるんだね」
アレス「誰でもってわけじゃないけどね…才能と努力がいるよ…ドラゴンは魔法使えないの?」
エウレカ「ドラゴンは魔法かわからないけど、触らないで物を動かす力があるよ…こんなふうに」

エウレカはナイフとフォークを宙に浮かせた

アレス「お~!!…それさ、投げつけたりも出来る?」
エウレカ「出来る出来るw」
アレス「いいなそれ…」
エウレカ「これがね、ドラゴンが飛んだり出来る力なのよ」
アレス「…そうなの?…その翼は?」
エウレカ「これは羽ばたかせても飛べないよ…この翼で飛ぶには、ドラゴンは重すぎるんだって…だから、翼は武器として使うんだよ」
アレス「そうなのか…そうだよな…じゃあ、ドラゴンのその物を動かす力で、自分も飛ばしてるわけか」
エウレカ「そうそう」
アレス「それがドラゴンの力か…」
エウレカ「あとは火を吐ける」
アレス「なるほど、戦う力か…」
ミリア「ドラゴンは何と戦うの?」
エウレカ「うーん…仲間内で腕試しみたいに戦う…それがドラゴンの楽しみ」
ミリア「ふうん…」
アレス「娯楽みたいな?」
エウレカ「そう!」
アレス「オレも戦ってみてえな…ドラゴンにも通用するのか知りたいわ」
エウレカ「…じゃあ、これからみんなのとこいく?」
アレス「うん、行ってみる」
エウレカ「けど、みんなから嫌われても、オレは庇えるかわからないよ?」
アレス「そんなのは自分でなんとかするから大丈夫だ」
エウレカ「じゃあ行ってみようか」

ミリアに頼んで、エウレカを元の大きさに戻した

エウレカ「背中乗りなよ…連れてくから」
アレス「ああ…」

ミリアを秘密基地に入れて、エウレカにまたがり、翼を掴んだ

アレス「ここ持ってて痛くはない?」
エウレカ「全然平気だよ」

そう言いながら、スーッと上昇していった
あっという間に空高く舞い上がり、すごいスピードで飛び始めた

アレス「は、はえーーっ!!!ww」
エウレカ「そう?…まだ全然スピード出してないよ?」
アレス「え?!…これで?!」
エウレカ「うんw…タイガはこれよりスピード出すと気絶したw」
アレス「…もっと出してみてくれ」
エウレカ「わかった…ちゃんと掴まってよ?」

エウレカはさらに倍ほどスピードを出した

アレス「お…おお…おおお…は、はええ!!」
エウレカ「大丈夫?」
アレス「大丈夫w…楽しいww」
エウレカ「タイガより度胸あるんだねw」
アレス「っていうか、ちょっと変だ…具合悪いっていうか…頭痛がする…」

エウレカは少しスピードをゆるめた

エウレカ「そうかあ…このくらいのスピードなら大丈夫?」
アレス「うん、楽しいわw」
エウレカ「じゃあこれくらいにするよ…でももう着くけど」
アレス「ああ、近いんだな」
エウレカ「うんw…まずはうちに行く」
アレス「わかった!」

ドラゴンたちの街は見たこともない建物がたくさんあった

とても大きくて、デザイン的にもなんていうか、人間の世界にはないものだったし、それでも洗練されているのがわかる

エウレカはその中の大きな建物に飛び、降り立った

ドラゴンのサイズのデカい扉がたくさん並んでいて、一つ一つが住居なのだという
エウレカの家もそのうちの一つだ

エウレカ「まあ、適当にくつろいでよ」
アレス「ああ…すげえな、なんか…その四角い黒いのはなに?」
エウレカ「ああ、これ?…これはテレビっつって…ほら、こうやっていろいろな番組を見れるんだよ」
ミリア「テレビ?…中にドラゴンが入ってるの?」
エウレカ「違う違うw…こういうのを撮影して、放送してるの…ああ、なんて言えばいいんだろ」
アレス「この明かりは魔法じゃないの?」
エウレカ「うん、電気っていうエネルギーを使ってるんだよ」
アレス「電気…」
エウレカ「うん、ほとんどが電気で動いてるの…人間の世界はまだここまで発展してないんだね」
アレス「う、うん…外見ていい?」
エウレカ「うん」

エウレカの家は地上からかなりの高さにあった
その大きな窓から外を見ると、地面から一定の高さで大きな箱たちが行き来している

アレス「あの箱なに?」
エウレカ「アレはキャリアって言って、あの中にドラゴンが入って操縦するんだよ」
アレス「エウレカも持ってる?」
エウレカ「持ってないw…高いし、オレには今のところ必要がない」
アレス「なんであんなので移動するの?…飛べるのに」
エウレカ「飛ぶのより力がいらないし、あの中は快適なんだよ…飛ぶのはほら、季節で暑い寒いとかあるけど、あの中はそういうのないし、物も運べるでしょ?」
アレス「ああ…なるほどね!…寒い暑いも変えられるの?」
エウレカ「変えられる…こういうのね…ピッ…エアコンていうの」
ミリア「ああ~!…あったかい風が出てきたあ!」
アレス「ほんとだ!!…すげ~w」
エウレカ「あははw…こういうの全部含めて『機械』って言うんだよ」
アレス「へぇぇ…すげ~んだな…で、なんであんな何段にもなって、決まった道を走ってるの?」
エウレカ「それは法律で決まってるんだよ…ただ飛ぶにしても、キャリアで飛ぶにしても、決められた場所を飛ばないと、ダメなの…じゃないと、キャリアとドラゴンとか、キャリアとキャリアがぶつかったりして大事故になるし、他龍の家の敷地内に勝手に入ったりするのもダメだし」
アレス「な、なるほど…厳しいんだな」
エウレカ「うん、まあ、でも、そういう決まりを守らないと、いろいろと迷惑かかるもん…迷惑がかからないようにするための決まりだね」
アレス「そっか…いい事だなぁ…」
エウレカ「あの一番上のルートから3000メートル上空は、事故を起こさないようにすれば国の領内ならわりと自由に飛んでいいの…だからアレスたちを連れてきた時も、あんなに高く飛んでたの」
アレス「なるほど~」
エウレカ「いろいろと決まりがあってさ…がんじがらめだよ、ドラゴンは…人間もそうだろうけど、きっと文化が発達してる分、もっとだと思う」
アレス「そうか…思ってたところと違うな…っていうか、想像も出来なかったよ」
ミリア「ほんとほんと!」
アレス「娯楽は戦う事って言ってたけど、それ以外にもいろいろありそうな気がするけど…」
エウレカ「もちろんだよw…このテレビだってそうだよ…でも、ドラゴンは戦うのも好きなんだよね」
アレス「ふうん…じゃあ、ケンカとかもしょっちゅうあったりするのか?」
エウレカ「ううん、それほどでもないよ…そういう公式でない暴力を使う行為は法律で禁止されてるからね…すぐに警察に捕まるよ」
アレス「警察…ってのは悪者を捕まえる役目の奴らか」
エウレカ「そうそうw」
アレス「へぇぇ…」
ミリア「人間の世界にもそういうのあったら、お兄ちゃんたくさん捕まってるねw」
アレス「ほんとだよww」
エウレカ「そうなの?…アレスはそんな暴力を振るうの?」
アレス「んー…別に好きでやってるわけじゃないけど、しょっちゅうケンカみたいになるね…なんか絡まれたりしてさ」
エウレカ「ああ、えっと…不良みたいな奴ら?」
アレス「そうだねw…ここにもそういうのいる?」
エウレカ「いる…ドラゴンは戦うの好きって言ったけど、全員そうなわけじゃなくて、嫌いなのも居れば、戦う力も勇気もないのもいる…そういう弱いドラゴンたちをワルのドラゴンは脅したりするの…オレすごい嫌い」
アレス「そういうのはどこにでも居るんだな…エウレカは戦うの好き?」
エウレカ「オレは…試合を見るのは好きかなw…でも自分ではやらないよ…弱いし」
アレス「人間目線だと強そうだけどなw」
ミリア「うんうん!」
エウレカ「大きいもんねw…アレスも自分からケンカしたりするの?」
アレス「んー…まあ、なんだ…誰かがいじめられてたりしてるの見たりしたら、オレはボコボコにするかな」
エウレカ「そうなの…」
アレス「ごめんな…そんな奴でさ」
エウレカ「ううん…で、でも、ただ痛めつけようとか、金を巻き上げる目的とかではしないよね?」
アレス「そんなのはしねえ…そんなダサいマネはしねえよ」
ミリア「そういうのをボコすのよ」
エウレカ「そっかあw…なら弱いのの味方なんだ!」
アレス「んー…結果的にはそうなってるかな…」
エウレカ「そっか…」
アレス「人間はここじゃ珍しいよな?」
エウレカ「うん…でも、この街のドラゴンはタイガを知ってるから、珍しがってもそこまで驚かないと思うよ」
アレス「へぇぇ…エウレカは仕事とかしてるのか?」
エウレカ「してるよ」
アレス「どんな?」
エウレカ「会社勤めだよ」
アレス「え?…なにそれ?」
エウレカ「えっと…働く場所?…人間の世界にもいろいろあるでしょ?…お店とかさ」
アレス「ああ、うんうん!」
エウレカ「ドラゴニアにもいろんな商売があるし、その商品を作ってお店に仕入れてもらったりとか、たくさんの仕事があるんだよね…他にもいろんなたくさんの仕事があるけど、そういうのをするところが『会社』っていうの」
アレス「ああ、理解した!…エウレカはその数ある会社の一つに勤めてるって事な?」
エウレカ「うん、そう…オレの会社は『ドラグーン』の栽培と出荷をする会社で、オレはその営業部の部長…けっこう偉い方だよ」
アレス「…つまり、エウレカは会社では偉い地位なわけだな?」
エウレカ「そうそうw」
アレス「で、ドラグーンて?」
エウレカ「その実の事だよw…昔ね、まだ世界がこんなふうになってなくて、ドラグーンを畑で栽培してた頃にね」
アレス「うん」
エウレカ「そんな時代にタイガは来てね…その頃ドラグーンは10年くらい育ててやっと実が出来るものだったのね」
アレス「ああ」
エウレカ「でもタイガがいろいろと工夫して頑張って育てたら、7年で実が出来たんだよね」
アレス「へぇぇ…すげえな」
エウレカ「その栽培方法をオレはタイガから教えてもらってね、それでオレは地位が上がってさ…前は栽培科っていう部署に働いてたんだけど、今は営業部っていう、売り込みする部署になったんだよね」
アレス「…うん…」
エウレカ「…まあ、わからなくてもいいよw…ドラグーンを扱ってる会社って事w」
アレス「うんw…じゃあ、オレが渡したドラグーンも、この世界じゃありきたりな物なんだな」
エウレカ「そうだけど…でもそれはタイガに渡した10個のうちの一つだもんね…特別だよ」
アレス「ドラゴンがドラグーンを食べるのはドラゴンの力を維持するため…なんだろ?」
エウレカ「そう…この力は永遠じゃないからね、体調にもよるけど、50年に一度は食べないといけないんだよね…で、ドラグーンは一個がものすごく高価なんだよ」
アレス「そりゃそうだろうなあ…」
エウレカ「アレスに一つあげるよ…タイガのドラグーンの代わりに」
アレス「え?…別にいいよぉ」
エウレカ「いや、貰ってよw」
アレス「…あ…これ、タイガの奴と色が違うな…赤い」
エウレカ「うんw…ドラゴンの力の元になる成分を強めて品種改良されたドラグーンなんだよ」
ミリア「見せてえ」
アレス「ほら」
ミリア「おお、赤い!」
エウレカ「中の実も、オレンジ色だよ」
アレス「…でもまずい?」
エウレカ「まずいw」
アレス「もしドラゴンがドラグーンを買えなくて、食えないで力を失ったらどうなる?」
エウレカ「いろいろと不便になるよ…キャリアも動かせないし、飛べないから、移動手段が歩きしかなくなる…それとか、仕事でも重い物とかも自力のみで持たないといけないし、高い場所に物を運ぶのも大変になったり…ドラゴンの世界で力を失うのは、生きるすべを失うようなものだよ」
アレス「なるほど…みんなドラグーンを手に入れる為には働かないといけないわけか」
エウレカ「そう…」
ミリア「どうして力なくなるんだろ…魔法はなくならないよ」
エウレカ「わからないよ…」
アレス「それだけ強大な力なんじゃねえか?…物を自在に動かす原理ってわかってるのか?」
エウレカ「え?…原理?…うーん…」
アレス「オレが思うに、物ってこうさ…地面に落ちるよな?」
エウレカ「うん」
ミリア「うんうん」
アレス「オレたちだってこうして立ってるのは、いわば地面に落ちてる状態だ」
エウレカ「そうだね…」
アレス「どんなもんでも、地面に落ちてる…どんな高いとこにあっても、落ちる力は常にかかってる…オレはそれが普通だと思うけど、なんで『落ちる力』ってもんがあるのか、ずっと不思議に思ってるんだ…ミリアも羽根を動かして空を飛ぶけど、それは風の力で落ちる力に対抗してるからだろ?」
エウレカ「もしかして、『重力』の事?」
アレス「重力?」
エウレカ「うん…落ちる力の事を重力って言うんだよ」
アレス「へぇぇ…そのさ、重力?…そいつを操るのがドラゴンの力…なんじゃねえか?」
エウレカ「…重力を…」
アレス「そう…落ちる力の向きを変える力…とか」
エウレカ「それって…例えばオレがあっちに飛んでるのは、あっちに落ちてるって事?」
アレス「うん…仮にさ、もしそういう力だったとしたら、とんでもねえ強大な力じゃねえか?…この世界中どこに行っても常識的にある『落ちる力』を自由に操れるとしたら」
エウレカ「たしかに!!」
アレス「だからこそ、その力の維持にそういう特別なモンがいるんじゃねえかな」
エウレカ「おお~!!…それはなんか納得いく!」
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