勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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龍穴

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アレス「クロード…わざわざ見送りしてくれて悪いな…王様だってのに」
クロード「何言ってるんだw…王様とか勇者とか、そういうの関係なしにしろって言ったのはアレスだろ?w」
アレス「そういやそうかw…アクビリア号の代金、本当にいいのか?」
クロード「気にしないでくれよw…まだまだボクの借りの方が大きいんだから」
アレス「…まあ、そういうことにしておくけどさ…次は受け取れよ?…じゃないとオレ、遠慮して来なくなっちまうぜ?」
クロード「わかった…本当に君は素晴らしい人だね」
アレス「お前と付き合うのは金の為じゃないからなw…オレはそんなふうに見られるのはカッコ悪くてごめんなだけだ」
クロード「あはははw…本当にカッコ良く居たいんだねえw」
アレス「まあねw…じゃあまたな…ギュ」
クロード「うん…ウル…ギュ」
ミリア「またね、クロードちゃん…ギュ」
クロード「うんw…ありがとミリアちゃん…ギュ」

こうしてまた新しい旅が始まった
とりあえずルシアに転移して、南東を目指す

新アクビリア号に乗って、出発した

ミリア「どう?…速い?」
アレス「速いよ~w…スピードが同じでも、使う魔力は減った!」
ミリア「おお~!!」
アレス「まあ、そんなにすげ~スピードで走っても危ないし…このくらいで行こうか…これでも全然速いんだしな」
ミリア「そうだね~…アタシはこうして乗ってるのだけで幸せ」
アレス「かわいいなあ、もう…」
ミリア「今度はどんなとこなんだろ」
アレス「なんかね、雰囲気はだいぶ違う国らしいね…シーナって国だよ」
ミリア「シーナ…」
アレス「シーナは兵士がほとんど拳士…素手で戦うんだってよ」
ミリア「へぇぇ~!…お兄ちゃんと同じだね」
アレス「だねw」

アクビリア号に乗ってると、魔物たちの相手も断然少なくて済む

それがまた最高だ

オレたちはちょいちょい休憩を挟みながら、シーナに向かった

本当は最初はルシアの次は南下して、インダムに向かうはずだったが、オレは『龍穴』が気になった

ガイア様はドラゴンの世界の話をしてくれたし、そこに行けるものなら行ってみたくなったからだ

ドラゴンとやらをこの目で見てみたいって理由だけどね

今日は天気が良くて、日差しも暖かいが、アクビリア号の速さで走ってると、風をかなり受けて寒い

ミリアは毛布に包まっているし、マフラーもしてるから大丈夫だと思うけど、心配だな

妖精も風邪とかあるのかな…

病気にはなったことないらしいけど…なってほしくないな

アレス『ミリア…寒さは平気?』
ミリア『大丈夫なのよ』
アレス『一つだけ贅沢言うと、せめて片手でも空いてれば、ミリアを抱きしめられるんだがな』
ミリア『そしたら嬉しいなあ』
アレス『もう少ししたら休もうか…』
ミリア『うん…』

ミリアは毛布を完全に頭まで覆った

ミリア『ちょっとだけ寝る』
アレス『うんw』

シーナまでの道のりはまだ遠い

ドラゴンの力か…

空を飛べるっていいよなあ…

でもドラゴンの力ってそれだけの力なのか?

空を飛ぶ…

たしかにそれ自体すごいけどさ

ドラゴンの世界にもし行けたとして、ドラゴンに受け入れられなかったら戦うことになるかな…

ドラゴンと戦ってオレは勝てるのかね

そんな考えを巡らせながらアクビリア号を走らせていると、見渡す限りの広大な平原に出た

平原と言うか、草原と言うか…

アクビリア号でも走れない事はないけど、いろんなとこに草が絡まったり、草の汁で汚れたりとか考えて、アクビリア号を降りた

ついでにそこでバスケットを出して、休憩とメシをとった

バスケットの中のベッドでミリアと寝転がってると、周囲から馬の蹄の音が聞こえてきた

そいつらはバスケットが気になったみたいだ

オレはバスケットのドアを少しずらして、覗いてみた

すると、騎馬隊がバスケットを取り囲んでいた

ソイツらは変わった形の槍で、バスケットをつつこうとして、オレの結界に弾かれた

弾かれた仲間を見て、仲間たちは次々と槍で攻撃してくる

ミリア「お兄ちゃん、この人たちなんなのぉ?」
アレス「こんなとこにバスケットがあるから、気になったんだろw」
ミリア「なんか怖いよ」
アレス「怖い?…怖い事ある?…オレがそばに居るのにw…ナデナデ」
ミリア「そうだったw…ギュ!」
アレス「このままほっといてもオレの結界を破れる奴は居ないけど、うぜえからやっつけるか」
ミリア「うん!…でもこいつらは殺すほどでもないよ」
アレス「わかったw」

オレはドアから出た

もちろんその時点ではすごく小さいから、奴らは驚いている

顔つきがどいつもすごいアッサリしてる

オレは結界を広げて、ミリアに大きさを戻してもらった

ミリアにバスケットを小さくしてもらってポケットにしまい、ミリアを秘密基地に入れてから結界を解除した

なんかわけのわからない言葉で攻撃してくるから、とりあえず全員ボコボコにしてやった

アレス「誰か言葉わかる奴いるか?」

騎馬兵「お、オレ…わかる…ハァ…ハァ…」
アレス「おお、良かった…パァァァ」
騎馬兵「あ、あ、な、治った…」
アレス「ああ、オレはアレス…お前は?」
騎馬兵「お、オレはリー」
アレス「リーか…変な名前だな…お前たちはシーナの兵か?」
リー「ち、違う…オレたちは草原の民…この草原に暮らす者だ」
アレス「そうなのか…なんでオレたちを襲った?」
リー「見慣れない箱があったから…」
アレス「そっか…なんか悪かったな…オレたちはルシアってとこから、シーナに行くとこだったんだよ」
リー「そうだったか…なんであんな小さかった?」
アレス「そういう魔法だよ」
リー「そんな魔法あるんだね…オレは火を出したりとかしか見たことない…」
アレス「あ、そうなの」
リー「うん…ルシアに住んでた事あって…それで少し喋れるし、魔法も見たことある」
アレス「そっか…言葉わかってくれて助かるよ」
リー「アレスは強いんだな…こっちは10人も居たのに」
アレス「勇者だからなw」
リー「勇者…そうなのか!」
アレス「うんまあ…信じなくてもいいけどw」
リー「いや…信じる…勇者なら10人で負けたのも納得いく」
アレス「はははw…今からみんな回復させるけど、もう攻撃してこないように言え」
リー「うん!」
アレス「じゃあ、倒れてる奴ら、一ヶ所にかためるぞ…手伝え」
リー「わかった!」

オレとリーで残りの奴らを一ヶ所にかためて、回復をかけた

リーが説明すると、みんなはオレにお辞儀した

リー「アレスが勇者だから、みんなすまないって言ってる…みんな尊敬してる」
アレス「へ?…そうなの?」
リー「うんw…草原の民は強い者に敬意を払う」
アレス「なるほどねw…シンプルでいいね」
リー「シンプル?」
アレス「ああ、わかりやすいって感じかな」
リー「おお、そっかw…ちょっと待って」
アレス「ん?」

リー「いきなり襲ってしまったお詫びに、宴に誘いたいと言ってる」
アレス「ふむ…じゃあ、行ってみる」
リー「良かったw」

リーがその集団のリーダーに通訳すると、馬に乗るように言われたから乗ってみた

オレは馬に乗るのは初めてだった

下から見るより、乗ってみると視点がだいぶ高いし、間近で見ると、馬の顔とかデカいと思った

リーはそのオレの乗る馬を引いて、みんなでゆっくりと進み始めた

アレス「どこかに集落とかあるの?」
リー「集落?」
アレス「ああ…住むとこ?」
リー「ああ、うん…今はあっちの方」
アレス「今は?」
リー「うん、決まってないんだ、オレたちは草原が全て家みたいなもんだから」
アレス「へぇぇ…」

リーたちに連れられて、しばらく進むと、白いテントがたくさんある場所に着いた

リー「ここ、オレたちの拠点」
アレス「ふーん…こういうテントで移り住むのか」
リー「うん、季節で」
アレス「なるほどね…」

集落のみんなは、オレに興味があるみたいで、チラチラと見たりしている

でも、目が合うとすぐに逸らしてしまう
オレが笑顔で手を振ってみると、女の子は照れて女の子同士で手を合わせたりして、はしゃいだ

アレス「どうやらここでもモテてるな、オレ」
リー「アレス、カッコいいもんね」
アレス「そうなの?…お前たちとはなんか違う感じだけど、カッコいいと思う?」
リー「思うよw…オレはルシアに住んでたからアレスのカッコいいのわかるし、女ならもっとわかると思う…アレスもあの子たちの中でどれがかわいいとかはあるでしょ?」
アレス「ああ…言われたらたしかにw」
リー「アレスは勇者で強いのもある」
アレス「なるほどw」

オレとリーが話していると、5歳くらいの女の子が、白い塊を持ってきて、真っ赤な顔してオレに渡してきた

リー「どうぞ、食べて…だってw」
アレス「これは?」
リー「ヤギの乳で作ったチーズだよ」
アレス「ありがとw…ナデナデ…ニコ」
女の子「…///」
アレス「…うん、うまい!!…マジでうまいこれ…クセになるw」

リーがオレが美味いと言って喜んでるのを伝えると、女の子は満面の笑顔で喜んで、駆けていき、もう一つ持ってきてくれた

オレはとってもかわいく思い、抱きしめてチーズを半分にちぎって、女の子と一緒に食べた

女の子は食べ終わると、照れ臭そうにまた駆けていった

それをニヤけながら見送っていると、ゴツい奴が話しかけてきて、リーが割って入って言い争いになって、リーを力ずくでどかし、リーは後ろに倒れた

リー「アレス、そいつ、アレスが勇者なのか疑ってる…勝負しろって…」
アレス「なんだ、そんなことか」

オレが立ち上がると、ソイツは構えをとった

アレス「武器は使わなくていいのか?」

リーが伝えた

リー「素手でいいって…」
アレス「いつでも来いよって言って」

リーがそう言うと、ソイツは右拳でパンチしてきた

オレはその腕を掴み、捻りながら握力で腕を折った

ソイツは悲鳴を上げたが、今度は左足で蹴ってきた

オレは右肘と右ヒザで、少しずらして挟み、その足も折った

ソイツは地面にうずくまって悶絶した

アレス「身体デカけりゃいいってもんじゃねえんだよ…遅くて話にならん」
リー「…すごい///…アレス、ほんと強い!…カッコいい!///」
アレス「あ、そうお?w…ありがとw…パァァァ」

回復してやると、ソイツは立ち上がって何やら握手を求めてきた

リー「疑ってすまなかった、どうか許して欲しい、握手をしてくれだって」
アレス「ああ…ギュ」

次に今度は老人がオレのとこにきた
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