勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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フラナ

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ミリアに転移してもらって城に戻って、クロードに会った

クロード「アレス!…良かった、無事で!」
アレス「言ったろ?…余裕だって」
ミリア「すごかったのよ!」
クロード「ほんとにすごいな…勇者って」
アレス「まあ、そんな事はいいんだ…オレは魔法の実を魔族の前で食ったからさ、もうこの国をあんな派手に攻めて来たりはしないと思うよ」
クロード「本当かい?!…それは嬉しいけど…なんていうか…そう思っていい根拠とかはあるのかい?」
アレス「まあさ…絶対っていう保証なんかは出来ないよ?…でも魔族と話してね、奴らがどういう気質なのか理解した上で、そう思ってる」
クロード「…それはどんな?」
アレス「奴らはまず人間をまあ…いわばハエくらいにしか思ってないわけだ」
クロード「え?…ハエ?」
アレス「うん…ブンブンブンブンうるさく飛び回るハエがいたら、普通は追い出したり叩き潰したりするだろ?」
クロード「ああ…うん」
アレス「奴らは魔法が使えて人間より全然強いからさ…人間なんて弱っちくて小虫みたいなモンて感じなわけよ…」
クロード「そんな価値観なのか…」
アレス「そう…だからさ、逆に考えてオレたちがね?」
クロード「うん」
アレス「ハエだのハチだのが飛び回ってる中に、すげえお宝があったら、駆除しながら取りに行く…そうだろ?」
クロード「ああ、うん」
アレス「けど、そこにもうお宝がなくなったら、わざわざハエだのハチだのの中に突っ込んでいくか?」
クロード「…行かないねw」
アレス「だろ?…つまりそういう事よ」
クロード「なるほどw」
アレス「それでもちょっとはちょっかい出してはくるかもしれないし、国の守りは引き続き、強化した方がいいよ」
クロード「うん…それはもちろんそうする…アレスに言われてね、今、槍を試作してるんだよ」
アレス「そっかw…剣よりもそっちの方がいいと思う…ここいらの魔物は、魔法を使うか、ゾンビ系が多いから、距離とって戦える方が有利だ」
クロード「うん…特にゾンビ系は触りたくないしね」
アレス「ああ…出来たら魔法使いもどっかから誘致したりね」
クロード「うん…そうしてみる…アレスはもうここでの用事は済んでしまったんだね…」
アレス「まあね…」
クロード「行ってしまうよね…」
アレス「ああ…寂しいか?」
クロード「うんw…正直言ってかなりね」
アレス「たまには来るよw」
クロード「うん…いつ旅立つ?」
アレス「明日かな」
クロード「そっか…」
アレス「しっかりしろよ、王様w…バシ」
クロード「あ、ああw」
アレス「じゃあ、オレはこれからちょっと用事あるからさ…また夕食の時間に来るよ」
クロード「わかった…待ってるよ」
アレス「じゃあね」
ミリア「また後でね!」
クロード「うんw」

アレス「ミリア、ガイア様のとこに行くよ」
ミリア「はーい…シュン」

妖精の国、シエナの部屋

アレス「お?…今日はシエナ居ないな」
ミリア「遊びに行ってるのかね」

オレは窓から外を見てみた

すると、妖精たちは城の外の原っぱで並んで寝ていた

シエナもいる

アレス「あははw…あんなとこで寝てるよ」
ミリア「ここはいつもあったかいからね~」
アレス「だなぁ…地上は寒いよな、ミリアには」
ミリア「寒いね~…でも、寒いとタオルぐるぐる巻きが気持ちいいのよ」
アレス「それわかるw…幸せだよなw」
ミリア「うんw」
アレス「ミリアもよく寝るけど、妖精はだいたい寝るの好きなの?」
ミリア「うん!…みんなよく寝てるのよ」
アレス「そっかw」

きっと長く生きるには、眠る事も重要なんだろうな

オレとミリアは天界に通じる鏡に入った

ガイア「おお、来た来たw」
アレス「どうもこんにちはw」
ミリア「こんちはー!٩(*❛⊰❛)۶」
ガイア「こんにちはw…また魔法の実を食べたようじゃのう」
アレス「あ、はい…それで来ました///」
ガイア「今度のは…珍しいのう…」
アレス「どんなのです?」
ガイア「時属性の魔法じゃ」
アレス「時属性?…また聞いた事ないですね…」
ガイア「時属性はワシら神様の数人しか使えない魔法じゃからの」
アレス「え?…神様の力?」
ミリア「すごーい!」
ガイア「今度のやつは、おぬしの友人や知人の『過去の時間の出来事』が見える魔法じゃな」
アレス「…それってどういう?」
ガイア「簡単に言うと、離れた友達の事が見える感じじゃ…過去も含めてな」
アレス「…例えばオレが出会った剣士が今どんな事してるか?…とか?」
ガイア「うむ、正確に言えば、『今』は見えんが、限りなく『今』に近い過去までなら見える…ただし、遠い過去にいくほど、魔力を使うがの…おぬしの魔力でも、数日前がやっとくらいじゃ」
アレス「数日前…」
ガイア「時属性は『時間』っていう大きな力を扱うからの…使う魔力も甚大じゃ」
アレス「へぇぇ…もしかしてガイア様がオレの行動を見てるのも、その魔法ですか?」
ガイア「そうじゃw」
アレス「じゃあガイア様も、知人の事しか見れないんですか?」
ガイア「その魔法はそうだが、ワシはここから地上の全てが見えるからの…これは魔法じゃなくて神様の能力じゃ…例えばワシの全然知らない奴でも、ワシの目に映れば過去も見える」
アレス「すげ~w…でも、ここから全部見えるなら、その魔法使わなくてもいいじゃないですか?」
ガイア「いや、それはほとんど無理じゃよw…ここから見ておぬしを見つけられればいいがな?…地上のどこにおぬしがいるかなんて、そうそうすぐには見つけられんよ」
アレス「あ…なるほどw…だったらオレの過去を見た方が早いですねw」
ガイア「そうw…ちょっと試してみ?」
アレス「どうやるんですか?」
ガイア「目を閉じて、見たい者を思い浮かべて、魔力を送るんじゃ」
アレス「…やってみます」

オレは言われた通り、目を閉じて、とりあえず剣士ちゃんを思い浮かべ、魔力を送った

すると、剣士ちゃんの視界で周囲が見えた

どうやら護衛の仕事の最中みたいで、馬車の隣を歩いている

剣士ちゃんの見る方向しか見えない

遠くの方に獣系の魔物が見える

剣士ちゃんが振り返ると、戦士くんや拳士くんが見えて、返事をしている

剣士ちゃんが何か言ったのだろう

馬車は止まり、馬車の前にみんな構えて集まった

剣士ちゃんがピンチなら助けに行かないと…って思ってたが、剣士ちゃんは風の剣を使い、魔物を圧倒していた

オレの守りなんか少しも必要ない

風の剣はピカピカとキレイに光っていて、薄青い刀身がとても美しかった

戦いが終わると、僧侶は魔物たちに回復をかけた

剣士ちゃんはその魔物たちの頭を撫でて、魔物たちはキョトンとしていたが、逃げていった

オレがよく見る光景だ

魔物に情けをかけている様子を見て、オレは嬉しかった

そこでオレは見るのをやめた

魔力の消費が凄まじくて、さっきまで魔物たちと戦って魔力が少なくなったオレには、これ以上見れなかったからだ

アレス「ハァ…ハァ…ま、魔力キツ…」
ミリア「だいじょぶ?!」
ガイア「そうじゃろうw…でも見れたじゃろ?」
アレス「はいw…でもこの魔法は…いいのか悪いのか…」
ガイア「そうじゃのう…いろいろと迷ってしまうじゃろうの」
アレス「ええ…現に今、剣士ちゃんたちのとこ行きたくなりましたw」
ミリア「あ、剣士ちゃんを見たのね!」
アレス「うんw…剣士ちゃんたちは獣系の魔物と戦ってさ…殺さないで逃してたよw」
ミリア「お兄ちゃんと一緒!」
アレス「うん…なんか嬉しかったよ」
ガイア「ほっほっw…じゃがそれも使いようじゃよ…特にミリアが居れば便利じゃ」
ミリア「そうなの?」
アレス「なんでですか?」
ガイア「今そのおぬしが見ていた者の景色の場所に、転移出来るから」
アレス「…なるほどw…それはすげえw…え?…じゃあ、オレが知り合った魔族を見たら、そいつが魔界に居れば魔界に行けるって事ですか?」
ガイア「それは出来ないのう…魔族を見る事は出来るが、魔界はここや地上とは時の流れ方が違っていてな…魔界にいる時は見れないのじゃ…それは妖精の世界でも、ドラゴンの世界でもそうじゃ」
アレス「じゃあ、ミリアがもし妖精の世界にいたら見れないのか」
ガイア「うむ」
アレス「逆にオレも妖精の世界にいた場合はどうですか?」
ガイア「そしたら妖精の世界の中でしか見れないぞ」
アレス「なるほど…時間の流れ…か…オレにはどこがどう違ってるのかさっぱりだ」
ガイア「それはワシもわからん…時間というのは神の力よりも強大だからの」
アレス「へぇぇ…でもこれはこれで使い方は難しいけど、ものすごく当たりの魔法ですね」
ガイア「そりゃまあの…神と同じ魔法を使える人間など、おぬしくらいだ」
アレス「そりゃそうか…ガイア様、また心のキレイさについて教えてもらいたいんですけど…」
ガイア「うん?」
アレス「オレは…オレの心はガイア様が以前見た時と同じように、ピカピカですか?」
ガイア「うむ…むしろ今の方がピカピカじゃよ?」
ミリア「アタシもそう思うのよ」
アレス「…なぜです?…ミリアや妖精たち…赤ん坊とかがピカピカなのは分かるけど…」
ガイア「そう思うのは今言った妖精たちが純粋な存在だからか?」
アレス「はい…いや、嬉しいですけど、全然わからないんですよね…オレは憎しみも持つし、そんな時は残酷な事だって平気でやるし、欲だって持ってます」
ガイア「前に話したではないかw…たしかに妖精たちみたいに純粋な存在は、すごく美しく見えるじゃろうが、純粋だから善良なわけじゃないぞ」
アレス「…そうですか?」
ガイア「おぬし、好きな奴とかムカついてもない相手がデブだったり、臭かったり、禿げてたりしてても、そんな時『デブ』だの『ハゲ』だの言うか?」
アレス「いや、言わないですよw」
ガイア「それは言えば傷つくのがわかっておるからじゃろ?」
アレス「ええ…」
ガイア「だからおぬしは思っても言わないし、時にはウソをつくじゃろ?」
アレス「ええ…ですね」
ガイア「だが、純粋な者はウソをつかないから、思った事を簡単に口にする…ミリアもそういう時あるじゃろ?」
アレス「…あった!」
ガイア「もちろん、悪気なんか全然ないし、間違ってもいないよな?」
アレス「ええ!」
ガイア「だとしても…いや、だからこそ言われた者は深く傷がつくし、憎しみも持たせてしまったりな」
アレス「…そうか…」
ミリア「あう…」
ガイア「憎しみとは病のようなものじゃ…持っているだけで心が曇っていく…おぬしは憎しみを溜めないし、他人の憎しみもとろうとするだろ?…それが例え魔族でも」
アレス「…うーん…そうですねえ…」
ガイア「憎しみを持っていると感情的になって、冷静で客観的な判断が出来なくなる…そういう者もいるだろう?」
アレス「いますねえ…どうにも困るような奴とか」
ガイア「ワシは前にも言ったよな?…判断が大事だと…そして、気持ちよりも実際に出した結果が大事だとも言った」
アレス「たしかに言ってました」
ガイア「おぬしの心が何を思おうとも、実際に下した判断や結果が、おぬしの心をピカピカにするんじゃよ」
アレス「…それは例え相手を残酷に痛めつけても?」
ガイア「おぬし、痛めつけても回復してるよな?」
アレス「はいまあ…ていうか、回復出来るから平気で痛めつけてる節があります…普通はなかなか回復魔法なんか使える奴いないから、ずるくないですか?」
ガイア「そうか?…人はそれぞれ出来る事と出来ない事…才能が違ってる…おぬしは優れた人間だが、出来ない事だってあるだろ?…自分で獲得した力を上手く使って生きる事がずるいとは思わんよ?」
アレス「そっかw…それ聞いてなんか安心しましたw」
ガイア「生き物は数えきれない程居ても、みんな違ってる…だから優れた者も居れば、劣った者もいる…それはとっても不公平な事ではあるが、それぞれの役割を果たす為には大事な事だ…世界は有能な者だけじゃ成り立たん…おぬしはちゃんとその優れた能力を、公平な判断と慈悲の心で生かしておる…だからこそピカピカなんじゃよw…何も気にする事はないぞ」
アレス「なるほど~…そうだったのか…」
ガイア「欲を持つのも全然悪くないしな…悪いのは執着する事じゃ…金や物や人に対して執着し、自分の得ばかり考える事じゃよ…反対に、全く無欲の者はどうなると思う?」
アレス「無欲な者…オレは全く欲がなかったら…生きてる甲斐がない気がする…」
ガイア「そうじゃろ?…無欲な者は一見聖人に見えるじゃろうが、実際は『何も成さない者』じゃ…何も成さない者は何の結果も出さない…己の役割さえ果たせずに死ぬ…そんなのは生きてるとは言わないのじゃ…ワシはそんな『生』を生き物に与えたいわけじゃないからの…」
アレス「言われてみるとそうかも…」
ガイア「妖精は純粋で優しいからピカピカじゃが、身も蓋もない事言えば、賢さと欲が足りないから、おぬしほどピカピカにはならないんじゃ」
アレス「そういう事だったのかw」
ミリア「アタシもバカだし、あんま欲しいのとかないからダメなのかな」
ガイア「そんな事ないぞw…ミリアはアレスと一緒に旅した事で、だいぶ賢くなってるし、アレスの為に役に立ちたいとか、そばに居たいとか、旅して何かを見たり聞いたりするのを楽しいと思う事も、それは全て欲だからの」
アレス「ああ…たしかにそうだw」
ミリア「おお~!…そうだったのか…」
ガイア「ほっほっw…そうじゃ、ミリアよ」
ミリア「なあに?」
ガイア「今度来る時は、新しく妖精の王になった者を連れて来るのじゃ」
ミリア「うん、わかった!!」
アレス「今度でいいんですか?」
ガイア「良いよw」
アレス「ではまた魔法の実を手に入れたら連れて来ますw」
ガイア「うむw」
アレス「いろいろとありがとうございましたw」
ガイア「またなw」
ミリア「またね!٩(*❛⊰❛)۶」
アレス「はい、また…」

オレとミリアは鏡を通り、城に転移した
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