勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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東の国の洞窟

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剣士「くそ!…この!」
戦士「か、数が多すぎる!!」
拳士「なんでこんなゾンビ湧いてんだ!」
僧侶「く…」
アレス「僧侶、戦士くんを回復してやらないと、ゾンビになるぞ」
僧侶「戦士!…回復!…パァァァ…ぐわ!」
剣士「ヤバいよ、アレスさん助けて!!」
アレス「洞窟行く前にヤバいじゃねえかよw」
拳士「ここに来る時は…こ、こんなゾンビ共たくさん居なかったんだよ!」
僧侶「みんなもう、あまりやられるな!…魔力が少ない!」
戦士「そんなこと言っても!」
剣士「おおりゃあああ!!」
ミリア『助けてあげないの?』
アレス『そろそろ限界かね?…そういう約束じゃないんだけどな…』
ミリア『でもかわいそうだよ…』
アレス『うん…助けるよ』
アレス「みんなオレの後ろに下がりな?…剣士ちゃん!…オレの後ろに!」
剣士「は、はい!!…どけこの野郎!!」
アレス「…こうかな?…シパァァァ!!…うお!!」

オレはこないだ覚えた『水の剣』を使ってみた

指先から平たい水が、ものすごい勢いで吹き出し、ゾンビを貫通した

試しに指を4本揃えて出すと、まるで本当に剣のようで、しかも射程が2メートルはある

魔力を込めてやってみると、もう少しだけ範囲が伸びたけど、3メートルはいかないくらいだ

でもこれはすごい

手首をひらひらさせたり、4本の指をてきとうに動かすだけで、目の前のゾンビ共がまるでバターを切るようにスパスパ切れていく

アレス(なんちゅうもんを…)
ミリア『すごいね!!』
剣士「すごい…次元が違う…」
戦士「こんなの見たことない…」
拳士「これが勇者の力なのか…」
僧侶「あっという間だ…」
アレス「でもあれだな…切っても動くな、こいつら…やっぱ燃やそう…みんな見てな?…火の上位魔法だ」

オレは目の前のゾンビ共に魔力を行き渡らせ、指を鳴らした

こないだ女を人質にとった海賊にもやったやつだ

ゾンビ共はみんな燃え上がる

その火力はオレが魔力を注ぐだけ際限なく上がる

ミリア「くさーい」
アレス「うん、すげえ臭いw」
剣士「うぷ…」
戦士「みんな布を口に当てろ」
アレス「ミリアもタオルで口と鼻に当てて」
ミリア「うん!」

オレもタオルを口に当てて、臭いと煙を防いだ

ゾンビ共が動かなくなるのを確認して、もう一度指を鳴らし、火を消した

アレス「くっせえ…一旦離れるぞ」
戦士「はい」
剣士「はい…」

剣士「うう…気持ち悪い…」
アレス「だいじょぶかあ?…オレは気持ち悪いの治す魔法は使えないんだ…吐くか?」
剣士「吐きたいけど、恥ずかしい///」
アレス「恥ずかしいことあるかよ…ほら向こう行くぞ」

剣士「ゲェ…ボトボト…グス…うう…」
アレス「だいじょぶだいじょぶ…オレはなんとも思ってねえから…サスサス…全部吐いちゃえ」
剣士「うん…ゲェェ…優しいよぉ」

剣士ちゃんは風下に居たから、臭いの被害が一番きつかった

時間はまだ午前の10時
だけど、もうみんな結構体力がヤバい

アレス「一旦休むか…昼くらいまで」
戦士「そうしてもいいですか?」
僧侶「私も魔力がもう残り少ないし…」
拳士「申し訳ない…」
剣士「うう…」
アレス「お前たち、ケガしてないか?…かすり傷とかないか?…いや、いいや…パァァァァ」

オレはいつものバスケットと、荷物用のバスケットを出して、ミリアに大きくしてもらい、みんなを小さくしてもらった
そして、結界を張り、バスケットで休んだ

戦士「す、すごい…普通に家みたいだ…」
剣士「うわぁ…」
僧侶「なんてすごいんだアレスさんは…」
拳士「すごくない時がないw」
アレス「いや、すごいのはミリアの魔法だからw」
ミリア「えへへw」
剣士「たしかにこの大きさ変化もすごいけど、さっきの魔法もすごかった!!」
僧侶「うん!!…見たことない知らない魔法ばっかりだ…」
戦士「一歩も動かず、奴らを殲滅するなんて」
拳士「あの火の魔法はどんな魔法なんですか?」
アレス「あれはオレの魔力が行き渡ったやつの温度を上げる魔法でね…物には燃える温度ってのがそれぞれあってさ…その温度を超えるとあんな風に燃えるんだよ」
拳士「そんな魔法が…」
アレス「あれは火の玉と違って、間違って他を燃やす事ないからね…便利っちゃ便利なんだけど、生き物にやると地獄の苦しみなんだよね…当たったとこが焼けるのとは違うから…ゾンビにしか使えないね」
剣士「あのスパスパの魔法は?!」
アレス「あれは『水の剣』って水魔法の上位魔法だね…すごい勢いで水を吹き出して、刃物みたいになってるのよ」
剣士「羨ましい…剣いらないじゃん」
アレス「だねw」
僧侶「アレスさん、魔法だけでも大魔道士クラスですよね…」
アレス「それ以上だと思うよ」
戦士「そりゃ、仲間なんていたら、かえって足手まといだよな…」
剣士「うん…ほんと…ごめんなさい、アレスさん…洞窟に剣を取りに行くとか…自惚れてたみたい」
拳士「ああ…」
アレス「でも、お前たちが東の国に行く時は、あんなには居なかったんだろ?」
僧侶「はい…」
アレス「それに、あのさっきのイノシシの魔物も、最近出てきたって言ってた…そんでもって、あのゾンビはほとんどが元々獣系の魔物だったな」
拳士「たしかに」
アレス「てことはさ、お前たちが東の国に来る時に殺した魔物とか、あの勇者チームたちも、さんざん殺してきたんじゃねえかな…それをゾンビたちが食って、あんだけ大量に増えた…あのゾンビたちは元々剣で切られた傷がついてたしな…で、増えたゾンビがさらに生きてる獣とか獣系の魔物を襲って、さらに増えた…そんなとこだと思うぜ」
戦士「なるほど…」
アレス「あんまり死体を出すのは、やっぱ良くねえって事よ」
僧侶「かもしれませんね…」
アレス「みんな、昼まで横になって、寝れたら寝ろよ…ミリアもベッドに横になりな?」
ミリア「アタシは秘密基地でたくさん寝てたのよ」
アレス「そっかw」
ミリア「うん!…お兄ちゃんも寝る?」
アレス「オレは全然疲れてない」
ミリア「じゃあお兄ちゃんに座って本読んでいい?」
アレス「いいよ…おいで」
戦士「親子みたいですねw」
アレス「ははw」
ミリア「これなんて読むの?」
アレス「これはね…

結局ミリアも、そうしてるうちにまた眠ってしまったから、ベッドに移して寝かせて、オレは外で昼メシを作った

アレス「おい、そろそろ起きろ…メシ食って行くぞ」
剣士「う…ん…はい…いい匂い~」

野菜と肉を炒めて味付けをした、簡単な料理だけどけっこうイケる

ていうか、さすがにそんな凝った料理は出来ない

オレは美味いものは好きだけど、ある程度満足できればそれでいい

でも昨日の城で食った肉は、本当に美味かった…

きっと極上の肉なんだろう

城で出るんだから、当たり前か

赤身の肉とは思えない柔らかさで、噛むと美味い汁が出るんだ

味付けはたぶん、塩と胡椒だろうけど、オレにはわからない調味料も入ってると思う

あれと比べると、いつも食ってた肉がやけに硬くて味気なく思ってしまう

美味いものってのは、そういう欠点もあるよな

僧侶「美味いww」
戦士「ご、ごはんおかわりいいですか?///」
拳士「オレも///」
アレス「ああ、勝手によそれよ…ごはんが進むよなw…残り少なくなったら、残った細かいのと汁をごはんにぶっかけて食うと美味いぞ」
剣士「それ絶対美味いw…ミリアちゃんは食べないの?」
ミリア「アタシはもういいのよw」
僧侶「少食だねえ」
ミリア「うん」
アレス「僧侶は魔力戻ったか?」
僧侶「はい!…だいぶ回復しました!」
アレス「言っておくけど、オレにあんまり頼るなよ?…お前たちだって本来なら、負ければ勝ったやつの糧なんだからな?…冒険てのは、そういう覚悟が要るんだ」
拳士「…はい」
戦士「もっと鍛錬しなければですね…」
アレス「でもそうだな…護衛料金で5000出せば、オレが戦ってやるよ?」
僧侶「では…ピンチになったらお願いします」
剣士「護衛の仕事してるのに、護衛されてたら世話ないねw」
拳士「ほんとだよw…けど、実力が足りないんじゃしょうがない」
戦士「命の値段だと思えば安いよ」
アレス「まあ、オレが手を出さずに済むなら貰わないし、オレのとこにやってきたやつはオレが自分で倒すからさ…出来るとこまでやってみ?」
剣士「はい!…ありがとう///」
アレス「さっきの助けたのと、このメシはオマケしてやる」
僧侶「ありがとうございます!」
戦士「ごちそうさまでした!」
拳士「ごちそうさまです!」
剣士「でもさ~、魔法使いいらない説で今まで来たけど、アレスさん見てるとやっぱいいねえ」
僧侶「いや、アレスさんは特別だよ」
剣士「男の魔法使いって、女の魔法使いより見栄えしないと思ってたけどさあ…アレスさんだとカッコいいよねえ」
アレス「いいから行くぞ?」

それから再び洞窟を目指したが、すでに結構時間を使ってしまっていた

ミリア『時間かかるねw』
アレス『なw…オレ一人ならとっくに着いてるよ』
ミリア『ほんとだよねw』
アレス『やっぱ仲間はいらねえなw…食料の減りも早いしさ』
ミリア『また買わないとだね』
アレス『うん…ミリアがちょっと羨ましいよ…水だけでいいなんて』
ミリア『うふふw…でも果物のジュースは好きなのよ』
アレス『そんなのいくらでも用意してあげるよ』
ミリア『ありがと!…お兄ちゃん、ちょっと寒いから指入れてえ?』
アレス『うん』

ミリアはタオルにくるまって、オレの指に抱きついた

たしかに天気が悪くなってきてる
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