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東の国
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マフラーの木の根元、バスケット
ミリア「お兄ちゃん、お風呂お風呂」
アレス「はいはいw…その前におしっこ」
ミリア「はーい」
ミリア「お兄ちゃんまだあ?」
アレス「えΣ(゚д゚υ)…ちょっ、見ないで恥ずかしい///」
ミリア「あはははw」
アレス「うわ!…ダンゴムシでけぇ…このサイズだと引くわぁ…」
ミリア「あはははw」
アレス「ふぅ…」
ミリア「お兄ちゃん、虫は嫌い?」
アレス「あーんまり好きではないかな…まあでも、魔物と同じ感覚かな…好きとか嫌いとかじゃなくて…なんつうか…そういうのもなんも感じないかな…襲われなかったら気にしないっていうか…ミリアは?」
ミリア「うーん…虫による…速いのとかは怖いのよ…バッタとかゴキブリとか」
アレス「ああ~w…たしかにw…このサイズで会うと、魔物より怖い気がするw」
ミリア「カマキリも嫌だ」
アレス「やだね~ww」
ミリア「でも、カブトムシは好き」
アレス「わかる気がするw」
ミリア「でも、カブトムシは臭いのw…変な匂いする」
アレス「へぇぇw」
ミリア「でもやっぱ、身体ちっちゃい時はどれも怖いのよ」
アレス「ああ、うん…同じサイズなら人間とか獣より強いと思うよ」
ミリア「お兄ちゃんが結界出来て良かったよ~」
アレス「たしかにw…このサイズだとたまに鳥も襲ってくるもんなw」
ミリア「そうw」
アレス「オレ、猫が好きだからさ~…猫に襲われたらショックだな~」
ミリア「アタシも~w」
身体を小さくすると、世界はこんなふうに違ってくる
普通の時、キレイな部屋だと思ってても、小さくなると埃とか髪の毛とか、けっこう散らかってる
無地だと思ってる物なんかも、小さい目線だと模様や柄があるのに気付く
石畳の歩きやすい道さえ、小さいと険しい
ただ、小さくなってると身体にかかる負荷がすごく少ない
ケガしないし、高いとこから着地も余裕だ
アレス「よし、風呂入ろっか」
ミリア「うん!…抱っこ~」
アレス「はいはい…ダッコ」
お風呂入って、少しまったりして、受付の人から貰った、フワフワの布に2人でくるまって眠る
最高に幸せだ
そして翌朝
アレス「ミリア、大会は楽しかった?」
ミリア「うん!…すごくお兄ちゃんがカッコ良くて嬉しかった」
アレス「やったねw」
ミリア「これからどうするの?」
アレス「どうしよっかね…とりあえずこういう時は、酒場とか行って、噂話とか聞くといいんだ」
ミリア「ふーん…じゃあ行こうよ!」
アレス「うんw」
軽く朝メシを済ませて、身支度を整えてから、再び街に向かった
ミリア「酒場ってどこ~?」
アレス「どこだろね~」
ミリア「酒場って何するとこ?」
アレス「お酒を飲むとこだよ」
ミリア「お酒…」
アレス「飲むと酔っ払って、いい気分になるんだってさ」
ミリア「ふーん…お兄ちゃんは飲まないの?」
アレス「オレは飲まないねえ…まずくて嫌い」
ミリア「そうなの?」
アレス「うん…好きな奴は美味いみたいだけどね…オレは全然ダメだったよ…それに、酒飲んで浮かれてハッピーになるならいいんだけど、中には暴れる奴もいるから、やっぱ飲みたいと思わんね」
ミリア「暴れるの~」
アレス「暴れるのw…もしオレが暴れだしたら、誰も止められなくてヤバいだろ?」
ミリア「あはははw…ほんとだねw」
そんで街に着いて歩いてると、やっぱりすごいみんなから人気あって、声かけられたり、握手を求められたりする
面倒くさい…とは思わない
実はこんな事はよくある
広場に行ってみると、女の子が『ママ~!』って泣きまくってた
周りの大人たちは、気にしてはいても知らんぷりだ
女の子「ママ、どこ~!…グス…ヒック」
アレス「どしたよ、迷子になっちゃったか?」
女の子「…おじさん誰?…グス」
アレス「おじさん!Σ(゚д゚υ)ガ-ン!…おじさん…オレはアレスって言うの…」
女の子「…あ!…とうぎたいかいの人!…グス」
アレス「そうそうw…見てた?」
女の子「うん、見た!…ママと…ママ~!…グス」
アレス「ほらほら泣くなw…おいで…オレが一緒に探すからさ」
女の子「ほんと?…ウウ」
アレス「うんw…おいで…抱っこしてあげる」
女の子「恥ずかしいよぅ///」
アレス「恥ずかしくないよぉw…このお姉ちゃんもしょっちゅう抱っこしてって言うよ?」
女の子「ほんと?」
ミリア「ほんとほんとw」
アレス「ほらぁ」
女の子は泣き止んで、オレの方に来た
オレは抱き上げた
アレス「ママとどこに行ってたの?」
女の子「あ、あのお店…タオル買うの」
アレス「タオル?」
女の子「うん…フワフワの布」
アレス「じゃあもっかいお店行ってみよう」
オレはその店に入り、タオルの正体がわかった
受付の人がくれた布地の事だった
オレはついでに大きめな肌触りの良いタオルを買いながら、女の子の母親の手がかりを店で聞いた
すると、お母さんらしき人物が、広場とは逆の方に走っていったという話が聞けた
オレは店を出て、そっちの方に歩いた
アレス「おうちはこっち?」
女の子「うん」
アレス「じゃあおうちに行ったのかもね…案内できる?」
女の子「うん!」
アレス「よし、行ってみよう」
女の子「うん!」
オレは声をかけてきた人たちにも、子供を探してる親を見なかったか聞いた
すると、目撃情報が集まってきて、それを頼りに進むと、また広場の方へ戻る感じになり、結局、タオルの店の前で見つかった
それは偶然にも受付の子だった
女の子「ママ~!!」
アレス「おお…受付の人!」
受付「ああ!!…お~よしよし…ごめんね…グス」
ミリア「こんにちは!」
受付「こんにちは…アレス様が一緒に探してくれたんですね…ありがとうございます」
アレス「いや…結局ここで会えるなら、余計な事しちゃったかもだw」
受付「とんでもないです!!」
女の子「アレスさまが一緒だったから、怖くなかったよ」
アレス「そっかw…いや、実にちょうどいいや…君にお礼しようと思ってたからさ…ほらこれ…」
受付「え?…ガサ…あ!…タオル…」
アレス「うんw…やっぱけっこう高いじゃんw」
受付「いえでも…これは最高級ですから…こんな良い物もらえません」
アレス「そっか…触り心地良いもんね…でも貰ってくれよ…ね?」
受付「…いいんですか?…なんだか申し訳ないです…この子の世話も見てくれたのに…」
アレス「気にするなよw…君が最初にくれたタオルがオレには嬉しかったんだから」
受付「…ありがとうございます…グス…ギュ」
女の子「アレスさま…ママと付き合うといいと思う」
アレス「へ?」
受付「こ、こら!///」
女の子「そんで、パパになるといいと思う」
受付「ダメよ!///…ごめんなさい、アレス様」
アレス「いやw…ごめんよ…オレはこのお姉ちゃんと一緒にいろいろ旅しないといけないから…ママとは付き合えないんだよ…ママかわいいけどさ」
受付「そ、そんなこと…///」
女の子「パパになってよお」
アレス「ごめん…」
そうしてると、立派な鎧を着た男が2人、走ってやってきた
騎士「アレス様!」
アレス「なんだ?」
騎士「申し訳ない…我が国の王陛下が、アレス様をお連れするようにと…」
アレス「え?…なんかオレ悪い事したのか?」
騎士「いえ!…会って話しをされたいようで…来ていただけませんか?」
アレス「ミリアも一緒でいいなら」
騎士「もちろんです!!」
アレス「ごめん、オレ、お城に呼ばれたからもう行くね」
女の子「ヤダあ…グス…」
受付「こら…ダメよ」
アレス「ごめんごめん…ギュ…ナデナデ」
女の子「う~…ギュ」
受付「ありがとうございます…ほら、ね」
女の子「うう…」
アレス「ふふw…ナデナデ…よし、ミリア、お城に行こう」
ミリア「うん!」
騎士「では、こちらへ」
アレス「ああ」
騎士もオレの事を尊敬してるらしく、握手を求められた
その騎士に案内されて、オレは王様の前に来た
王様「よくぞ参られた、勇者アレスどの」
アレス「いえ…用件は?」
王様「そちらはアレスどのの妹だそうだな…」
アレス「妹のミリアです」
ミリア「はじめまして٩(*❛⊰❛)۶」
王様「はじめましてw…いや、あの勇者は偽の勇者だったようだな…アレスどのこそ本物の勇者と聞いてな…海賊に捕らえられてたという女たちから聞いたところ、アレスどのに助けられた…アレスどのは神様だと言っていた…しかし、アレスどのはどうして我こそは本物だと名乗り出なかったのだ?」
アレス「へ?…いや…あんなパレードとかして盛り上がってるとこに『オレが本物の勇者だぞ』って踊り出ても、誰も信じないでしょう…普通は」
王様「む…そうか?」
アレス「はい…逆に、偽の王様が讃えられてるところに、王様は『オレが本物の王だ』って名乗り出ますか?」
王様「むう…」
アレス「そんな事しても、『なんだこいつ頭おかしいのか?』って反応されるだけですよw」
王様「そうか…そうかもな…だが、王様の証的な何かを見せれば信じてもらえないか?」
アレス「いや~どうですかね…王様の証的なものも偽物かもしれないじゃないですか…それでもその証的なもので、王様が信じられたとしても…オレには勇者の証的なものはありませんから…」
王様「なるほど…そういったものはないのか」
アレス「ないですねぇ…それに、勇者である事にも執着はないですし、他の誰かが活躍しても、オレは全然かまいません」
王様「…手柄を横取りされてもか?」
アレス「ええ…かまいませんよ…例えば今回の海賊のアジトを殲滅させた件が、あの勇者の手柄になったとしますね?」
王様「うむ」
アレス「あの件のオレの目的は3つでした」
王様「それは?」
アレス「港町の人から倒した報酬の金を貰うのと、友達になったやつの妹の仇をとらせる事、それと一番大事なのは、無理矢理捕らえられたかわいそうな女たちを救うという3つです…それらをする理由も多少あります」
王様「ほう…その理由とは?」
アレス「報酬金は旅の資金の為…オレは貧乏な旅は嫌ですし、ミリアに不自由な思いはなるべくさせたくないですし…友達の仇討ちを手伝ったのは、そいつの妹が、海賊共にレイプされ殺されたのが腹立ったから…女たちを助けたのは、心底同情したからです…無理矢理あんな汚くてブサイクな連中に連れ去られて、無理矢理毎日のように犯されて…臭くて汚い地下に入れられて、メシも大したもの食べさせてもらえずにいたんですよ…彼女たちは」
王様「それはなんと酷い…」
アレス「ですよね…その女たちの事は、海賊討伐をしてから知った、後付けの条件でしたけど、オレにはそれが一番の目的になりました…それを最初に知ってれば、金を貰えなくても助けに行ってます」
王様「やはりアレスどのは素晴らしいな」
アレス「いえ…オレはそう出来る力を持ってるから、そうしただけです…力を持ってなければやりません」
王様「しかし、その力もアレスどのが努力して得た力じゃないか」
アレス「まあ…でも、話を戻しますけど、オレはその3つの、オレにとって大切な条件を果たしたという結果を得ました…実質的な結果を得る事が大事で…満足できたので…あとはどうなろうと、どうでも良いのです」
王様「ふーむ…そういうものか?」
アレス「はい…手柄を取り戻す事なんかより、ミリアを笑顔にする方が、オレにはよっぽど実益がありますから」
王様「…素晴らしい人物だな…感服したよ…それに」
アレス「はい」
王様「アレスどのは『勇者の証などない』と言ったが…アレスどのの行動や言動の一つ一つが、我には勇者の証に見える…闘技大会の振る舞いも、終始気高く、優しかった…あの勇者たちがあっという間にかすむほどに」
アレス「ただの目立ちたがりのカッコつけなだけですよw…昔からそうだから、つい出しゃばるんですよね…」
王様「そうかw…いや~…そなたは本当にいい男だ…我はそなたに褒美を与えたい…なんでも言ってみてくれ」
アレス「褒美…うーん…金はもう結構あるし…ミリアはなんかない?」
ミリア「アタシは何もないのよ…でもお兄ちゃん、いちおうあの実の事、聞いてみれば?」
アレス「お!Σ(゚д゚υ)…さっすがミリアw…王様…王様は、『魔法の実』って聞いた事ありませんか?…こんくらいの大きさで、紫のクルミみたいな見た目です」
王様「…知っておる!」
アレス「本当ですか?!」
王様「はるか昔、その『魔法の実』なるものを持つ者から、先祖の王が貰ってな…」
アレス「おお…え?…その先祖の王様は、食べたんですか?…それならそれでいいんですが」
王様「いや…それがな、それはこのくらいの小箱にしまわれていて、その箱には強い結界が張られておってな…その結界というのは、魔法の実を持った男が張ったものなんだが…男はこう言った『この結界が破れた者でないと、この実を食べる資格はない』とな…しかし、誰もそれを破れた者はいなく、そのうちに忘れられて、地下の宝物庫に放置されてあるのだ」
アレス「…てことは、今もその小箱はこの城に?」
王様「ある…なんせ結界のせいで、箱を触ることも出来ん…我も子供の頃に触って、痛い目に遭った」
アレス「…王様、知ってますか?…それは魔界の魔族たちが、魔王の為に集めているって事…」
王様「な、なんだと?!」
アレス「魔法の実は、自分に習得する事が出来ない魔法を、無理矢理一つだけ習得出来るものなんです…ただ、それは自分の求める魔法を覚えられるわけじゃないので、求めた魔法を習得するには、ある程度数が必要になるんです」
王様「おお…そんな事が…」
アレス「なのでそれがあるってだけで、すごく危険です…オレも魔法の実の事は、最近知ったんですけど、すでに二つ見つけました」
王様「さすがはアレスどの…その二つはどうしたのだ?」
アレス「一つ目は破壊しました…転職の神殿というところの神殿長が立ち合ってます…もう一つは試しに食べました…それで得た魔法がこれです」
王様「うわ…ま、眩しい」
アレス「ですよねw…実はこれ、ただこれだけの魔法ですw…魔法に詳しいオレでも、こんな魔法知らなかったし、それゆえに求めてもなかった魔法ですけど、身につきましたw」
王様「ほお…」
アレス「でもこれは便利だから嬉しいですけどね…ちょっとそこの騎士さん…こっち来て」
騎士「は!」
アレス「この光はこう…触ったとこに光を残せるんですよw…ランプとか要らなくなって便利ですw」
王様「おお!…たしかに便利だw」
騎士「これは、あの女剣士に使った魔法ですか?」
アレス「そうそうそうw」
王様「なんで使ったんだ?…ダメージはないのであろう?」
アレス「ああ、あの剣士は稽古をつけてくれと言ってきましてねw…だから隙のある場所にこの魔法で目印をつけてたわけです」
王様「わはははw…そうだったのかw」
騎士「わ、私にはあの女剣士の動きもわからなかったです…」
アレス「ああ…あの剣士は昨日の大会の中では、オレの次に強かったからね…」
王様「あの勇者よりか?」
アレス「あいつもなかなかの手練れでしたけどね…戦ったら剣士が勝ってましたよ」
王様「ほぉぉ…」
アレス「で、まあ、脱線しましたけど、褒美をくれるというなら、オレはその魔法の実がいいです」
王様「もちろんだ!…そんな危険なものは、こっちから持ってってくれと願うぞ…では、早速今から地下に行こう…ついてまいれ」
アレス「はい」
ミリア「お兄ちゃん、お風呂お風呂」
アレス「はいはいw…その前におしっこ」
ミリア「はーい」
ミリア「お兄ちゃんまだあ?」
アレス「えΣ(゚д゚υ)…ちょっ、見ないで恥ずかしい///」
ミリア「あはははw」
アレス「うわ!…ダンゴムシでけぇ…このサイズだと引くわぁ…」
ミリア「あはははw」
アレス「ふぅ…」
ミリア「お兄ちゃん、虫は嫌い?」
アレス「あーんまり好きではないかな…まあでも、魔物と同じ感覚かな…好きとか嫌いとかじゃなくて…なんつうか…そういうのもなんも感じないかな…襲われなかったら気にしないっていうか…ミリアは?」
ミリア「うーん…虫による…速いのとかは怖いのよ…バッタとかゴキブリとか」
アレス「ああ~w…たしかにw…このサイズで会うと、魔物より怖い気がするw」
ミリア「カマキリも嫌だ」
アレス「やだね~ww」
ミリア「でも、カブトムシは好き」
アレス「わかる気がするw」
ミリア「でも、カブトムシは臭いのw…変な匂いする」
アレス「へぇぇw」
ミリア「でもやっぱ、身体ちっちゃい時はどれも怖いのよ」
アレス「ああ、うん…同じサイズなら人間とか獣より強いと思うよ」
ミリア「お兄ちゃんが結界出来て良かったよ~」
アレス「たしかにw…このサイズだとたまに鳥も襲ってくるもんなw」
ミリア「そうw」
アレス「オレ、猫が好きだからさ~…猫に襲われたらショックだな~」
ミリア「アタシも~w」
身体を小さくすると、世界はこんなふうに違ってくる
普通の時、キレイな部屋だと思ってても、小さくなると埃とか髪の毛とか、けっこう散らかってる
無地だと思ってる物なんかも、小さい目線だと模様や柄があるのに気付く
石畳の歩きやすい道さえ、小さいと険しい
ただ、小さくなってると身体にかかる負荷がすごく少ない
ケガしないし、高いとこから着地も余裕だ
アレス「よし、風呂入ろっか」
ミリア「うん!…抱っこ~」
アレス「はいはい…ダッコ」
お風呂入って、少しまったりして、受付の人から貰った、フワフワの布に2人でくるまって眠る
最高に幸せだ
そして翌朝
アレス「ミリア、大会は楽しかった?」
ミリア「うん!…すごくお兄ちゃんがカッコ良くて嬉しかった」
アレス「やったねw」
ミリア「これからどうするの?」
アレス「どうしよっかね…とりあえずこういう時は、酒場とか行って、噂話とか聞くといいんだ」
ミリア「ふーん…じゃあ行こうよ!」
アレス「うんw」
軽く朝メシを済ませて、身支度を整えてから、再び街に向かった
ミリア「酒場ってどこ~?」
アレス「どこだろね~」
ミリア「酒場って何するとこ?」
アレス「お酒を飲むとこだよ」
ミリア「お酒…」
アレス「飲むと酔っ払って、いい気分になるんだってさ」
ミリア「ふーん…お兄ちゃんは飲まないの?」
アレス「オレは飲まないねえ…まずくて嫌い」
ミリア「そうなの?」
アレス「うん…好きな奴は美味いみたいだけどね…オレは全然ダメだったよ…それに、酒飲んで浮かれてハッピーになるならいいんだけど、中には暴れる奴もいるから、やっぱ飲みたいと思わんね」
ミリア「暴れるの~」
アレス「暴れるのw…もしオレが暴れだしたら、誰も止められなくてヤバいだろ?」
ミリア「あはははw…ほんとだねw」
そんで街に着いて歩いてると、やっぱりすごいみんなから人気あって、声かけられたり、握手を求められたりする
面倒くさい…とは思わない
実はこんな事はよくある
広場に行ってみると、女の子が『ママ~!』って泣きまくってた
周りの大人たちは、気にしてはいても知らんぷりだ
女の子「ママ、どこ~!…グス…ヒック」
アレス「どしたよ、迷子になっちゃったか?」
女の子「…おじさん誰?…グス」
アレス「おじさん!Σ(゚д゚υ)ガ-ン!…おじさん…オレはアレスって言うの…」
女の子「…あ!…とうぎたいかいの人!…グス」
アレス「そうそうw…見てた?」
女の子「うん、見た!…ママと…ママ~!…グス」
アレス「ほらほら泣くなw…おいで…オレが一緒に探すからさ」
女の子「ほんと?…ウウ」
アレス「うんw…おいで…抱っこしてあげる」
女の子「恥ずかしいよぅ///」
アレス「恥ずかしくないよぉw…このお姉ちゃんもしょっちゅう抱っこしてって言うよ?」
女の子「ほんと?」
ミリア「ほんとほんとw」
アレス「ほらぁ」
女の子は泣き止んで、オレの方に来た
オレは抱き上げた
アレス「ママとどこに行ってたの?」
女の子「あ、あのお店…タオル買うの」
アレス「タオル?」
女の子「うん…フワフワの布」
アレス「じゃあもっかいお店行ってみよう」
オレはその店に入り、タオルの正体がわかった
受付の人がくれた布地の事だった
オレはついでに大きめな肌触りの良いタオルを買いながら、女の子の母親の手がかりを店で聞いた
すると、お母さんらしき人物が、広場とは逆の方に走っていったという話が聞けた
オレは店を出て、そっちの方に歩いた
アレス「おうちはこっち?」
女の子「うん」
アレス「じゃあおうちに行ったのかもね…案内できる?」
女の子「うん!」
アレス「よし、行ってみよう」
女の子「うん!」
オレは声をかけてきた人たちにも、子供を探してる親を見なかったか聞いた
すると、目撃情報が集まってきて、それを頼りに進むと、また広場の方へ戻る感じになり、結局、タオルの店の前で見つかった
それは偶然にも受付の子だった
女の子「ママ~!!」
アレス「おお…受付の人!」
受付「ああ!!…お~よしよし…ごめんね…グス」
ミリア「こんにちは!」
受付「こんにちは…アレス様が一緒に探してくれたんですね…ありがとうございます」
アレス「いや…結局ここで会えるなら、余計な事しちゃったかもだw」
受付「とんでもないです!!」
女の子「アレスさまが一緒だったから、怖くなかったよ」
アレス「そっかw…いや、実にちょうどいいや…君にお礼しようと思ってたからさ…ほらこれ…」
受付「え?…ガサ…あ!…タオル…」
アレス「うんw…やっぱけっこう高いじゃんw」
受付「いえでも…これは最高級ですから…こんな良い物もらえません」
アレス「そっか…触り心地良いもんね…でも貰ってくれよ…ね?」
受付「…いいんですか?…なんだか申し訳ないです…この子の世話も見てくれたのに…」
アレス「気にするなよw…君が最初にくれたタオルがオレには嬉しかったんだから」
受付「…ありがとうございます…グス…ギュ」
女の子「アレスさま…ママと付き合うといいと思う」
アレス「へ?」
受付「こ、こら!///」
女の子「そんで、パパになるといいと思う」
受付「ダメよ!///…ごめんなさい、アレス様」
アレス「いやw…ごめんよ…オレはこのお姉ちゃんと一緒にいろいろ旅しないといけないから…ママとは付き合えないんだよ…ママかわいいけどさ」
受付「そ、そんなこと…///」
女の子「パパになってよお」
アレス「ごめん…」
そうしてると、立派な鎧を着た男が2人、走ってやってきた
騎士「アレス様!」
アレス「なんだ?」
騎士「申し訳ない…我が国の王陛下が、アレス様をお連れするようにと…」
アレス「え?…なんかオレ悪い事したのか?」
騎士「いえ!…会って話しをされたいようで…来ていただけませんか?」
アレス「ミリアも一緒でいいなら」
騎士「もちろんです!!」
アレス「ごめん、オレ、お城に呼ばれたからもう行くね」
女の子「ヤダあ…グス…」
受付「こら…ダメよ」
アレス「ごめんごめん…ギュ…ナデナデ」
女の子「う~…ギュ」
受付「ありがとうございます…ほら、ね」
女の子「うう…」
アレス「ふふw…ナデナデ…よし、ミリア、お城に行こう」
ミリア「うん!」
騎士「では、こちらへ」
アレス「ああ」
騎士もオレの事を尊敬してるらしく、握手を求められた
その騎士に案内されて、オレは王様の前に来た
王様「よくぞ参られた、勇者アレスどの」
アレス「いえ…用件は?」
王様「そちらはアレスどのの妹だそうだな…」
アレス「妹のミリアです」
ミリア「はじめまして٩(*❛⊰❛)۶」
王様「はじめましてw…いや、あの勇者は偽の勇者だったようだな…アレスどのこそ本物の勇者と聞いてな…海賊に捕らえられてたという女たちから聞いたところ、アレスどのに助けられた…アレスどのは神様だと言っていた…しかし、アレスどのはどうして我こそは本物だと名乗り出なかったのだ?」
アレス「へ?…いや…あんなパレードとかして盛り上がってるとこに『オレが本物の勇者だぞ』って踊り出ても、誰も信じないでしょう…普通は」
王様「む…そうか?」
アレス「はい…逆に、偽の王様が讃えられてるところに、王様は『オレが本物の王だ』って名乗り出ますか?」
王様「むう…」
アレス「そんな事しても、『なんだこいつ頭おかしいのか?』って反応されるだけですよw」
王様「そうか…そうかもな…だが、王様の証的な何かを見せれば信じてもらえないか?」
アレス「いや~どうですかね…王様の証的なものも偽物かもしれないじゃないですか…それでもその証的なもので、王様が信じられたとしても…オレには勇者の証的なものはありませんから…」
王様「なるほど…そういったものはないのか」
アレス「ないですねぇ…それに、勇者である事にも執着はないですし、他の誰かが活躍しても、オレは全然かまいません」
王様「…手柄を横取りされてもか?」
アレス「ええ…かまいませんよ…例えば今回の海賊のアジトを殲滅させた件が、あの勇者の手柄になったとしますね?」
王様「うむ」
アレス「あの件のオレの目的は3つでした」
王様「それは?」
アレス「港町の人から倒した報酬の金を貰うのと、友達になったやつの妹の仇をとらせる事、それと一番大事なのは、無理矢理捕らえられたかわいそうな女たちを救うという3つです…それらをする理由も多少あります」
王様「ほう…その理由とは?」
アレス「報酬金は旅の資金の為…オレは貧乏な旅は嫌ですし、ミリアに不自由な思いはなるべくさせたくないですし…友達の仇討ちを手伝ったのは、そいつの妹が、海賊共にレイプされ殺されたのが腹立ったから…女たちを助けたのは、心底同情したからです…無理矢理あんな汚くてブサイクな連中に連れ去られて、無理矢理毎日のように犯されて…臭くて汚い地下に入れられて、メシも大したもの食べさせてもらえずにいたんですよ…彼女たちは」
王様「それはなんと酷い…」
アレス「ですよね…その女たちの事は、海賊討伐をしてから知った、後付けの条件でしたけど、オレにはそれが一番の目的になりました…それを最初に知ってれば、金を貰えなくても助けに行ってます」
王様「やはりアレスどのは素晴らしいな」
アレス「いえ…オレはそう出来る力を持ってるから、そうしただけです…力を持ってなければやりません」
王様「しかし、その力もアレスどのが努力して得た力じゃないか」
アレス「まあ…でも、話を戻しますけど、オレはその3つの、オレにとって大切な条件を果たしたという結果を得ました…実質的な結果を得る事が大事で…満足できたので…あとはどうなろうと、どうでも良いのです」
王様「ふーむ…そういうものか?」
アレス「はい…手柄を取り戻す事なんかより、ミリアを笑顔にする方が、オレにはよっぽど実益がありますから」
王様「…素晴らしい人物だな…感服したよ…それに」
アレス「はい」
王様「アレスどのは『勇者の証などない』と言ったが…アレスどのの行動や言動の一つ一つが、我には勇者の証に見える…闘技大会の振る舞いも、終始気高く、優しかった…あの勇者たちがあっという間にかすむほどに」
アレス「ただの目立ちたがりのカッコつけなだけですよw…昔からそうだから、つい出しゃばるんですよね…」
王様「そうかw…いや~…そなたは本当にいい男だ…我はそなたに褒美を与えたい…なんでも言ってみてくれ」
アレス「褒美…うーん…金はもう結構あるし…ミリアはなんかない?」
ミリア「アタシは何もないのよ…でもお兄ちゃん、いちおうあの実の事、聞いてみれば?」
アレス「お!Σ(゚д゚υ)…さっすがミリアw…王様…王様は、『魔法の実』って聞いた事ありませんか?…こんくらいの大きさで、紫のクルミみたいな見た目です」
王様「…知っておる!」
アレス「本当ですか?!」
王様「はるか昔、その『魔法の実』なるものを持つ者から、先祖の王が貰ってな…」
アレス「おお…え?…その先祖の王様は、食べたんですか?…それならそれでいいんですが」
王様「いや…それがな、それはこのくらいの小箱にしまわれていて、その箱には強い結界が張られておってな…その結界というのは、魔法の実を持った男が張ったものなんだが…男はこう言った『この結界が破れた者でないと、この実を食べる資格はない』とな…しかし、誰もそれを破れた者はいなく、そのうちに忘れられて、地下の宝物庫に放置されてあるのだ」
アレス「…てことは、今もその小箱はこの城に?」
王様「ある…なんせ結界のせいで、箱を触ることも出来ん…我も子供の頃に触って、痛い目に遭った」
アレス「…王様、知ってますか?…それは魔界の魔族たちが、魔王の為に集めているって事…」
王様「な、なんだと?!」
アレス「魔法の実は、自分に習得する事が出来ない魔法を、無理矢理一つだけ習得出来るものなんです…ただ、それは自分の求める魔法を覚えられるわけじゃないので、求めた魔法を習得するには、ある程度数が必要になるんです」
王様「おお…そんな事が…」
アレス「なのでそれがあるってだけで、すごく危険です…オレも魔法の実の事は、最近知ったんですけど、すでに二つ見つけました」
王様「さすがはアレスどの…その二つはどうしたのだ?」
アレス「一つ目は破壊しました…転職の神殿というところの神殿長が立ち合ってます…もう一つは試しに食べました…それで得た魔法がこれです」
王様「うわ…ま、眩しい」
アレス「ですよねw…実はこれ、ただこれだけの魔法ですw…魔法に詳しいオレでも、こんな魔法知らなかったし、それゆえに求めてもなかった魔法ですけど、身につきましたw」
王様「ほお…」
アレス「でもこれは便利だから嬉しいですけどね…ちょっとそこの騎士さん…こっち来て」
騎士「は!」
アレス「この光はこう…触ったとこに光を残せるんですよw…ランプとか要らなくなって便利ですw」
王様「おお!…たしかに便利だw」
騎士「これは、あの女剣士に使った魔法ですか?」
アレス「そうそうそうw」
王様「なんで使ったんだ?…ダメージはないのであろう?」
アレス「ああ、あの剣士は稽古をつけてくれと言ってきましてねw…だから隙のある場所にこの魔法で目印をつけてたわけです」
王様「わはははw…そうだったのかw」
騎士「わ、私にはあの女剣士の動きもわからなかったです…」
アレス「ああ…あの剣士は昨日の大会の中では、オレの次に強かったからね…」
王様「あの勇者よりか?」
アレス「あいつもなかなかの手練れでしたけどね…戦ったら剣士が勝ってましたよ」
王様「ほぉぉ…」
アレス「で、まあ、脱線しましたけど、褒美をくれるというなら、オレはその魔法の実がいいです」
王様「もちろんだ!…そんな危険なものは、こっちから持ってってくれと願うぞ…では、早速今から地下に行こう…ついてまいれ」
アレス「はい」
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