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東の国
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午後になり、オレたちはまた武舞台に集まった
『アレス様』とオレの名を呼ぶ観客たち
みんなの中では、勇者の存在はもはやほとんどなかったようだ
午後の最初の試合は、3位決定戦からだ
オレに負けた剣士ちゃんたちのいるチームと、勇者チームに負けたチームの戦いだ
ミリア「お兄ちゃんはどっち勝つと思う?」
アレス「んー…オレに負けた剣士ちゃんのいるチームかな」
ミリア「どしてえ?」
アレス「剣士ちゃんが強いからね」
ミリア「ふうん」
剣士ちゃんは一番最後で、それまでの3人で1人は減らしたが、剣士ちゃんに3人残った状況で順番が回ってきた
正確には2.5人といったところだ
剣士ちゃんは2人目の相手をなんなく倒し、スタミナも減ってないし、ダメージもない状態だから、残りの2人を倒せば勝ちだ
剣士ちゃんの相手の方がパワーも経験もあるが、剣士ちゃんはそれを上回るスピードと勝負勘がある
自然体で身体が自由に動くのも、才能の証拠だ
スタイルも良くて、猫のような身軽な動きは、なかなかに美しい
剣士ちゃんはきっと、勇者チームの勇者より互角か強いくらいだと思う
結局、剣士ちゃんが勝ち抜いて、剣士ちゃんチームが3位となった
ミリア「ほんとにお兄ちゃんの言った通りだった」
アレス「うんw…あの子には才能があるからね」
ミリア「へぇぇ!」
剣士「アレスさーん!」
アレス「おう」
剣士「見てくれましたか?」
アレス「うんw…剣士ちゃんが勝つのはわかってたよ」
剣士「ほんとですかあ?///…嬉しい///」
アレス「ちょっとケガしてるな…ほら…パァァァ」
剣士「ありがと…ギュ…大好き///」
アレス「あははw」
剣士「それでもやっぱり、仲間にはしてくれませんか?」
アレス「すまんなあ…」
剣士「…ちぇ…シュン」
アレス「…ナデナデ」
剣士「…グス…じゃあせめて…ここにキスしてもらえますか?」
アレス「…グイ…チュ…」
剣士「ありがと…」
アレス「お前もしろよ…ん?」
剣士「えへへ///…チュ…ありがと…あのバカ戦士に気をつけてね…」
アレス「ああw…まあ、見てな?…スカッとさせてやるからさ」
剣士「うん!…じゃあ」
アレス「おう」
ミリア「剣士ちゃん、かわいそう」
アレス「ミリアはそう思ってあげれるんだね…」
ミリア「うん…アタシもお兄ちゃんが大好きだから、辛いのわかるのよ」
アレス「でもオレの気持ちはミリアにしか向いてないから…仕方ない」
ミリア「えへへ///」
審判「アレスチーム…こちらへ」
呼ばれてオレは、ミリアを片手に抱っこして、武舞台に上がった
またしても大歓声と拍手が起こる
こういうのはやっぱり気分はいい
審判「勇者チーム…こちらへ」
勇者チームには声援はなく、戦士にブーイングが起こる
戦士のせいで、他の3人…いや、僧侶と魔法使いちゃんがかわいそうだ
審判「これより決勝戦を始めます…対戦者以外はお下がりください」
最初は戦士だった
すごい形相で、目を血走らせながら、オレを睨んでいる
なんて醜い顔だろうな
審判「それでは決勝第一戦目…始め!!」
始めもいい終わらないうちに、戦士はダッシュしてきた
大きな剣をやたらと力まかせに振ってくる
オレは動かずに、剣の当たる部分だけ金属化して、打たれるまま打たせてやった
顔や首にも当たり、観客たちは悲痛な声をあげているが、オレにダメージなんぞ、これっぽっちもない
戦士の剣は力まかせに斬りつけるから、一太刀ごとに刃が砕けていく
それでも戦士は息を荒げて、オレをめったうちに斬りつける
戦士「くそ!!…なんでだ!…くそったれ!!」
オレは余裕のスマイルで、戦士の顔を覗き込むようにして、煽った
戦士はさらに頭にきて、汗だくになりながら、重い剣を振るった
戦士「くそがぁ!!…ぶっ殺してやる!!」
アレス「無駄だよ、ボクちゃんw」
戦士「てめぇぇ!!」
そんでついに、戦士の剣は根元から折れて、飛んでいった
戦士は残った柄を、オレに投げつける
オレは鎧の上から戦士の腹にパンチを入れた
鎧はひしゃげ、戦士は腹を押さえて、昼メシを吐き出した
それから兜の飾りを掴んで、兜が割れるまで頭突きをお見舞いすると、戦士は朦朧としながら、フラフラヨタヨタと歩いた
オレは一旦戦士に回復魔法をかけて、意識を戻し、顔を掴んで、人差し指を左目に突っ込んだ
戦士「ぎゃああああ!!」
戦士はオレの手を解こうと、両手をかける
戦士の脇腹を鎧の上からおかまいなしに殴りつけ、肋骨を粉砕した
戦士「あがああ!!…が…」
戦士を後ろに放り投げ、歩いて近寄る
と、戦士は座った体勢でオレから逃げるように後ずさった
戦士「や、やめ…来るな!!…げぶ!!」
蹴っ飛ばすと、戦士は転げながら吹っ飛ぶ
また歩いて近寄るオレを見ると、さっきの憎しみはどこへやら、恐怖に満ちた真っ青な顔で、慌てて立ち上がり、ダッシュで逃げ、自ら場外に降りて、そのまま仲間の僧侶ちゃんの後ろに隠れた
審判「ブフw…勝者!アレスどの!!」
観客から嘲笑と歓声の混じった声があがる
オレはそれを制した
アレス「みんな、笑うのはやめてやってくれ…アイツもアイツなりに頑張ったから…な?…敗者を笑うような人間にはならないでくれ!…お願いだ!」
観客は一斉にシーンとし、それから大きな拍手が沸き起こった
審判「皆、静粛に!…次の対戦を行う!」
審判「では次の者、中央へ!」
次は勇者だった
勇者はニヤニヤして、オレの顔を見た
昨日はけっこう聖人君子のツラだったが、なんか企らんでるような邪悪なツラに変わっていた
審判「初め!!」
勇者「死ね!!」
勇者はなかなか鋭い一撃を振り下ろしてきたが、オレは避けて、勇者の横っ面を手の甲でひっぱたいて、吹っ飛ばした
魔法剣士のこいつが、魔法剣じゃなく普通に斬りつけてきたのが嫌な予感がしたからだ
そして、立ち上がろうとした勇者は、自分の剣でついた小さな切り傷を見て、いきなり喚きだした
勇者「う、うわぁ!…うわぁあああ!!…ガハ!…ビク…ビク」
アレス「この野郎、剣に毒塗ってやがったな?!…僧侶ちゃん!」
僧侶「はい!!」
アレス「治癒魔法出来るか?!」
僧侶「す、すいません!!…で、出来ないです!」
アレス「ちっ…」
オレはミリアの元へダッシュして、バスケットを大きくしてもらい、魔法の盾を出して、盾を元の大きさに戻してもらってから、勇者の元へ駆けつけた
白目を剥き、口から泡を吹いて、全身をピクピクと痙攣させている
今にも死ぬところだ
オレは魔法の盾を勇者に向けた
勇者の痙攣がだんだんと収まって、呼吸も正常に戻っていった
アレス「間に合ったか…」
勇者「ス-…ス-…」
アレス「のんきに寝やがって…この野郎…パァァァ」
オレは回復させてから蹴り飛ばした
地面を転がりながら、勇者は目を覚まして立ち上がった
勇者「…生きてる…」
魔法使い「アレス様が助けてくれたのよ!!…感謝しなさい!!」
勇者「なんだと…」
アレス「お前、卑怯だなあ…剣に毒塗るとか…勇者のやる事か?」
勇者「ふん…貴様が言ったのだ…力をつけて来いと」
アレス「そんな手軽なもんに頼ってなんになるよ…実力もないのにそんなもんに頼るから、死ぬような目に遭うんだぞ?」
勇者「だまれ!!…オレはどんな手を使っても勝って、魔王を倒す!!」
アレス「オレも倒せないのにか?w…笑かすなよ」
勇者「うるさい!!」
アレス「ほれいいぞ、その剣拾って、もっかいかかってきな?w」
そう言って、オレは剣を勇者に向かって蹴った
勇者は剣を拾って、攻撃してきた
だがオレは、すでに魔法バリヤを周囲に張っている
勇者は結界に弾かれて、吹っ飛んだ
アレス「お前も勇者なら、オレのこの結界くらい壊してみろ」
勇者「こ、この野郎!!…パチ!!…うわぁ!」
アレス「ほらもう終わりか?」
勇者は何度も何度も、バカの一つ覚えに、結界に向かっては弾かれた
アレス「もう終わりにしてやるよ…審判さん、離れてな?」
審判「ああ…」
オレは勇者相手に竜巻を作り、勇者はくるくると回りながら、上昇していく
竜巻を細く、柱のように作り、50メートルは舞い上がった
そこで竜巻を消して、勇者は絶叫をあげながら、落ちてくる
勇者「うわぁあああ!!…嫌だああああ!!」
オレは勇者に突風を下から当てて、落下の衝撃を死なない程度に緩めた
地面に激突した勇者の身体に、また剣が当たり、悶絶し始める
アレス「しょうがねえ奴だなw」
オレはもう一度盾を当てて、治した
勇者「…ハァ…ハァ…」
アレス「少しはわかったか?…圧倒的な力の差ってやつが」
勇者「…くそ…オレの…負けだ…」
アレス「いや、お前より先に、実はオレが負けてるw…先に場外に降りたしw…な?」
審判「い、いや、あれは…助ける為に仕方なく」
アレス「そうだけど、ルールはルールだ…オレの負けだ」
勇者「お、お前…」
その時、上の席で観覧していた王様が、立ち上がって声を出した
王様「いや!…勝者はアレスだ!!」
「「「ワアアアアアアア!!!」」」
オレは観客たちの声援を制した
アレス「いや、でも、王様…ルールは守らねえと…」
王様「ルール上でもアレスの勝ちだ…『戦えない状態になったら負け』だからな…アレスが場外に降りる前に、勇者はそうなった…だからアレスの勝ちだ…それに何より、剣に毒を塗る卑怯者でも、アレスは必死に助けた…そんな気高き者を敗者としたら、我が国の誇りに傷がつく!…正しい行いをした者が報われない世の中など、我は許さん!…そなたこそ、真の勇者だ!!」
「「「ワアアアアアアア!!!」」」
「「「勇者様ああああ!!」」」
いやしかし…負けでもいいんだけどな…
勝ったら、僧侶ちゃんと魔法使いちゃんをぶたなきゃいけないじゃん…
やだなあ…
でももう、そんな空気じゃねえし…
審判「勝者!!…アレスどの!!!」
いつも冷静な審判さんも、ノリノリじゃねえか…
審判「次の者、中央へ!!」
すると、僧侶ちゃんと魔法使いちゃんは2人で中央に来た
僧侶「わたしたちは降参致します」
魔法使い「どう足掻いても、勝てっこありませんから…降参です」
僧侶「仲間を助けていただき、誠に感謝致します」
魔法使い「戦いでも、心でも、アレス様には遠く及びません…」
アレス「マジで?Σ(゚д゚υ)…いいのか?それで…」
僧侶「はいw…アレス様にぶたれたら、泣いちゃいますもの///」
魔法使い「アタシも…ショックで三日は寝込みそうw」
アレス「そうお?…王様!!」
王様「む、なんだ?」
アレス「これで王様は納得出来ますか?」
王様「うむ…ルールの上でも問題ない…そうよな?…審判」
審判「はい!…仰せの通りでございます…それでは、優勝者はアレスチームと致します!!」
「「「ワアアアアアアア!!!」」」
戦わなくて済んだw…ラッキーだw
ここんとこついてる気がする
アレス「ほら、2人とも、ここ座って?」
魔法使い「はい///」
僧侶「…はい///」
オレは両手に2人を抱っこした
そのオレのほっぺに、2人はキスをした
観客たちからまた、指笛が鳴ったり、歓声が起こる
アレス「ミリア…一旦控え室に戻るよ…おいで」
ミリア「うん!!」
オレは2人を抱っこしたまま、ミリアと共に、武舞台から去った
『アレス様』とオレの名を呼ぶ観客たち
みんなの中では、勇者の存在はもはやほとんどなかったようだ
午後の最初の試合は、3位決定戦からだ
オレに負けた剣士ちゃんたちのいるチームと、勇者チームに負けたチームの戦いだ
ミリア「お兄ちゃんはどっち勝つと思う?」
アレス「んー…オレに負けた剣士ちゃんのいるチームかな」
ミリア「どしてえ?」
アレス「剣士ちゃんが強いからね」
ミリア「ふうん」
剣士ちゃんは一番最後で、それまでの3人で1人は減らしたが、剣士ちゃんに3人残った状況で順番が回ってきた
正確には2.5人といったところだ
剣士ちゃんは2人目の相手をなんなく倒し、スタミナも減ってないし、ダメージもない状態だから、残りの2人を倒せば勝ちだ
剣士ちゃんの相手の方がパワーも経験もあるが、剣士ちゃんはそれを上回るスピードと勝負勘がある
自然体で身体が自由に動くのも、才能の証拠だ
スタイルも良くて、猫のような身軽な動きは、なかなかに美しい
剣士ちゃんはきっと、勇者チームの勇者より互角か強いくらいだと思う
結局、剣士ちゃんが勝ち抜いて、剣士ちゃんチームが3位となった
ミリア「ほんとにお兄ちゃんの言った通りだった」
アレス「うんw…あの子には才能があるからね」
ミリア「へぇぇ!」
剣士「アレスさーん!」
アレス「おう」
剣士「見てくれましたか?」
アレス「うんw…剣士ちゃんが勝つのはわかってたよ」
剣士「ほんとですかあ?///…嬉しい///」
アレス「ちょっとケガしてるな…ほら…パァァァ」
剣士「ありがと…ギュ…大好き///」
アレス「あははw」
剣士「それでもやっぱり、仲間にはしてくれませんか?」
アレス「すまんなあ…」
剣士「…ちぇ…シュン」
アレス「…ナデナデ」
剣士「…グス…じゃあせめて…ここにキスしてもらえますか?」
アレス「…グイ…チュ…」
剣士「ありがと…」
アレス「お前もしろよ…ん?」
剣士「えへへ///…チュ…ありがと…あのバカ戦士に気をつけてね…」
アレス「ああw…まあ、見てな?…スカッとさせてやるからさ」
剣士「うん!…じゃあ」
アレス「おう」
ミリア「剣士ちゃん、かわいそう」
アレス「ミリアはそう思ってあげれるんだね…」
ミリア「うん…アタシもお兄ちゃんが大好きだから、辛いのわかるのよ」
アレス「でもオレの気持ちはミリアにしか向いてないから…仕方ない」
ミリア「えへへ///」
審判「アレスチーム…こちらへ」
呼ばれてオレは、ミリアを片手に抱っこして、武舞台に上がった
またしても大歓声と拍手が起こる
こういうのはやっぱり気分はいい
審判「勇者チーム…こちらへ」
勇者チームには声援はなく、戦士にブーイングが起こる
戦士のせいで、他の3人…いや、僧侶と魔法使いちゃんがかわいそうだ
審判「これより決勝戦を始めます…対戦者以外はお下がりください」
最初は戦士だった
すごい形相で、目を血走らせながら、オレを睨んでいる
なんて醜い顔だろうな
審判「それでは決勝第一戦目…始め!!」
始めもいい終わらないうちに、戦士はダッシュしてきた
大きな剣をやたらと力まかせに振ってくる
オレは動かずに、剣の当たる部分だけ金属化して、打たれるまま打たせてやった
顔や首にも当たり、観客たちは悲痛な声をあげているが、オレにダメージなんぞ、これっぽっちもない
戦士の剣は力まかせに斬りつけるから、一太刀ごとに刃が砕けていく
それでも戦士は息を荒げて、オレをめったうちに斬りつける
戦士「くそ!!…なんでだ!…くそったれ!!」
オレは余裕のスマイルで、戦士の顔を覗き込むようにして、煽った
戦士はさらに頭にきて、汗だくになりながら、重い剣を振るった
戦士「くそがぁ!!…ぶっ殺してやる!!」
アレス「無駄だよ、ボクちゃんw」
戦士「てめぇぇ!!」
そんでついに、戦士の剣は根元から折れて、飛んでいった
戦士は残った柄を、オレに投げつける
オレは鎧の上から戦士の腹にパンチを入れた
鎧はひしゃげ、戦士は腹を押さえて、昼メシを吐き出した
それから兜の飾りを掴んで、兜が割れるまで頭突きをお見舞いすると、戦士は朦朧としながら、フラフラヨタヨタと歩いた
オレは一旦戦士に回復魔法をかけて、意識を戻し、顔を掴んで、人差し指を左目に突っ込んだ
戦士「ぎゃああああ!!」
戦士はオレの手を解こうと、両手をかける
戦士の脇腹を鎧の上からおかまいなしに殴りつけ、肋骨を粉砕した
戦士「あがああ!!…が…」
戦士を後ろに放り投げ、歩いて近寄る
と、戦士は座った体勢でオレから逃げるように後ずさった
戦士「や、やめ…来るな!!…げぶ!!」
蹴っ飛ばすと、戦士は転げながら吹っ飛ぶ
また歩いて近寄るオレを見ると、さっきの憎しみはどこへやら、恐怖に満ちた真っ青な顔で、慌てて立ち上がり、ダッシュで逃げ、自ら場外に降りて、そのまま仲間の僧侶ちゃんの後ろに隠れた
審判「ブフw…勝者!アレスどの!!」
観客から嘲笑と歓声の混じった声があがる
オレはそれを制した
アレス「みんな、笑うのはやめてやってくれ…アイツもアイツなりに頑張ったから…な?…敗者を笑うような人間にはならないでくれ!…お願いだ!」
観客は一斉にシーンとし、それから大きな拍手が沸き起こった
審判「皆、静粛に!…次の対戦を行う!」
審判「では次の者、中央へ!」
次は勇者だった
勇者はニヤニヤして、オレの顔を見た
昨日はけっこう聖人君子のツラだったが、なんか企らんでるような邪悪なツラに変わっていた
審判「初め!!」
勇者「死ね!!」
勇者はなかなか鋭い一撃を振り下ろしてきたが、オレは避けて、勇者の横っ面を手の甲でひっぱたいて、吹っ飛ばした
魔法剣士のこいつが、魔法剣じゃなく普通に斬りつけてきたのが嫌な予感がしたからだ
そして、立ち上がろうとした勇者は、自分の剣でついた小さな切り傷を見て、いきなり喚きだした
勇者「う、うわぁ!…うわぁあああ!!…ガハ!…ビク…ビク」
アレス「この野郎、剣に毒塗ってやがったな?!…僧侶ちゃん!」
僧侶「はい!!」
アレス「治癒魔法出来るか?!」
僧侶「す、すいません!!…で、出来ないです!」
アレス「ちっ…」
オレはミリアの元へダッシュして、バスケットを大きくしてもらい、魔法の盾を出して、盾を元の大きさに戻してもらってから、勇者の元へ駆けつけた
白目を剥き、口から泡を吹いて、全身をピクピクと痙攣させている
今にも死ぬところだ
オレは魔法の盾を勇者に向けた
勇者の痙攣がだんだんと収まって、呼吸も正常に戻っていった
アレス「間に合ったか…」
勇者「ス-…ス-…」
アレス「のんきに寝やがって…この野郎…パァァァ」
オレは回復させてから蹴り飛ばした
地面を転がりながら、勇者は目を覚まして立ち上がった
勇者「…生きてる…」
魔法使い「アレス様が助けてくれたのよ!!…感謝しなさい!!」
勇者「なんだと…」
アレス「お前、卑怯だなあ…剣に毒塗るとか…勇者のやる事か?」
勇者「ふん…貴様が言ったのだ…力をつけて来いと」
アレス「そんな手軽なもんに頼ってなんになるよ…実力もないのにそんなもんに頼るから、死ぬような目に遭うんだぞ?」
勇者「だまれ!!…オレはどんな手を使っても勝って、魔王を倒す!!」
アレス「オレも倒せないのにか?w…笑かすなよ」
勇者「うるさい!!」
アレス「ほれいいぞ、その剣拾って、もっかいかかってきな?w」
そう言って、オレは剣を勇者に向かって蹴った
勇者は剣を拾って、攻撃してきた
だがオレは、すでに魔法バリヤを周囲に張っている
勇者は結界に弾かれて、吹っ飛んだ
アレス「お前も勇者なら、オレのこの結界くらい壊してみろ」
勇者「こ、この野郎!!…パチ!!…うわぁ!」
アレス「ほらもう終わりか?」
勇者は何度も何度も、バカの一つ覚えに、結界に向かっては弾かれた
アレス「もう終わりにしてやるよ…審判さん、離れてな?」
審判「ああ…」
オレは勇者相手に竜巻を作り、勇者はくるくると回りながら、上昇していく
竜巻を細く、柱のように作り、50メートルは舞い上がった
そこで竜巻を消して、勇者は絶叫をあげながら、落ちてくる
勇者「うわぁあああ!!…嫌だああああ!!」
オレは勇者に突風を下から当てて、落下の衝撃を死なない程度に緩めた
地面に激突した勇者の身体に、また剣が当たり、悶絶し始める
アレス「しょうがねえ奴だなw」
オレはもう一度盾を当てて、治した
勇者「…ハァ…ハァ…」
アレス「少しはわかったか?…圧倒的な力の差ってやつが」
勇者「…くそ…オレの…負けだ…」
アレス「いや、お前より先に、実はオレが負けてるw…先に場外に降りたしw…な?」
審判「い、いや、あれは…助ける為に仕方なく」
アレス「そうだけど、ルールはルールだ…オレの負けだ」
勇者「お、お前…」
その時、上の席で観覧していた王様が、立ち上がって声を出した
王様「いや!…勝者はアレスだ!!」
「「「ワアアアアアアア!!!」」」
オレは観客たちの声援を制した
アレス「いや、でも、王様…ルールは守らねえと…」
王様「ルール上でもアレスの勝ちだ…『戦えない状態になったら負け』だからな…アレスが場外に降りる前に、勇者はそうなった…だからアレスの勝ちだ…それに何より、剣に毒を塗る卑怯者でも、アレスは必死に助けた…そんな気高き者を敗者としたら、我が国の誇りに傷がつく!…正しい行いをした者が報われない世の中など、我は許さん!…そなたこそ、真の勇者だ!!」
「「「ワアアアアアアア!!!」」」
「「「勇者様ああああ!!」」」
いやしかし…負けでもいいんだけどな…
勝ったら、僧侶ちゃんと魔法使いちゃんをぶたなきゃいけないじゃん…
やだなあ…
でももう、そんな空気じゃねえし…
審判「勝者!!…アレスどの!!!」
いつも冷静な審判さんも、ノリノリじゃねえか…
審判「次の者、中央へ!!」
すると、僧侶ちゃんと魔法使いちゃんは2人で中央に来た
僧侶「わたしたちは降参致します」
魔法使い「どう足掻いても、勝てっこありませんから…降参です」
僧侶「仲間を助けていただき、誠に感謝致します」
魔法使い「戦いでも、心でも、アレス様には遠く及びません…」
アレス「マジで?Σ(゚д゚υ)…いいのか?それで…」
僧侶「はいw…アレス様にぶたれたら、泣いちゃいますもの///」
魔法使い「アタシも…ショックで三日は寝込みそうw」
アレス「そうお?…王様!!」
王様「む、なんだ?」
アレス「これで王様は納得出来ますか?」
王様「うむ…ルールの上でも問題ない…そうよな?…審判」
審判「はい!…仰せの通りでございます…それでは、優勝者はアレスチームと致します!!」
「「「ワアアアアアアア!!!」」」
戦わなくて済んだw…ラッキーだw
ここんとこついてる気がする
アレス「ほら、2人とも、ここ座って?」
魔法使い「はい///」
僧侶「…はい///」
オレは両手に2人を抱っこした
そのオレのほっぺに、2人はキスをした
観客たちからまた、指笛が鳴ったり、歓声が起こる
アレス「ミリア…一旦控え室に戻るよ…おいで」
ミリア「うん!!」
オレは2人を抱っこしたまま、ミリアと共に、武舞台から去った
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