勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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東の国

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続いて三回戦

片方は戦士が2人、魔法使いが2人

もう片方は、魔法剣士が1人、剣士1人、弓使いが1人、僧侶が1人

戦士ってのは、鎧を着込み、重めで威力のある武器を使う

鎧や盾を持ってるし、自身もタフだから、チームの盾役にもなる

しかし、装備品が多く、金がかかるのが欠点

でもだいたいのチームは戦士がいる

魔法使いは覚えた魔法を駆使して戦う

魔法使いもまた、だいたいのチームにいる

たいがいは貧弱だが、魔法は遠距離攻撃ができて威力も高い

装備品もさほど金がかからない

そして、魔法使いはみんな共通して、力の差はあれど、火の魔法を使える

火の魔法は明かりにもなるし、料理やたき火にも使えるので、魔法使いがいると便利だ

僧侶は回復や補助の魔法が使える魔法使い

回復を使うから、僧侶はなるべく倒れてはいけない

なので、身体も鍛えているため、戦士程じゃないが、防具や武器も扱える

武器は打撃武器しか使わない

一人旅するとしたら、一番向いていると思う

僧侶も装備品に金がかかるけど、チームの生命線だから、たいがいはチームにいる

剣士は防具をほとんど着けず、身のこなしと剣の技術で戦う

素早さ重視だから、軽くて強い剣を選ぶ
そういう剣はもちろん高価だから、戦士程じゃないが金はかかる

でも、一般的には戦士より攻撃力があるから、攻撃重視のチームには人気がある

拳士は基本的に自分の身体能力で戦う

軽装と拳につける武器は使うけど、最悪なくても戦える

剣士や戦士と違って武器がなくなっても良いところが利点

素早さが高いから、仲間のピンチにも駆けつける確率が高い

拳士は強いとカッコいいから、人気が高い

弓使いは、その名の通り、矢を放って遠距離攻撃をする

だけど、それだけだと狩人で、弓使いではない

弓使いの弓は刃になっていて、接近戦もこなせないといけない

なので、矢がなくなっても戦える

むしろそうでないと、誰もチームには入れないだろう

その上、弓使いの弓は高い

剣のようにも使うから、頑丈な金属を使っている

だけど、一流の弓使いは強くて頼りになる

魔法剣士は初歩的な魔法しか使えなかった魔法使いが、剣士になった者だ

魔法を剣に込めて戦うのが特徴で、当たればたいがい一撃必殺の威力がある

魔法と剣の両方の鍛錬を積まないといけないから、剣の技術は剣士には勝てない
なので、魔力がなくなるとヤバい

魔法剣も特別で、魔法が宿るように作られた剣のため、これも結構金がかかる

でも、欠点をカバーする為に、初歩的ながらも回復魔法も使える

魔法拳士は魔法剣士とまあ、似ている感じ

ただ、装備に金がかからない

でも、なかなか使い手は居ない

オレもオレ以外で見たことはない

オレはたぶん、ガイア様から力をもらったから、出来てるんだと思う

魔法と身体を使って戦うんだから、カッコいいに決まってる

三回戦は魔法使い2人が1戦目と2戦目で、弓使いに倒された

魔法使いには弓使いは非常に相性が悪い

同じ遠距離使いなら、素早さで勝つ弓使いの方が有利だし、懐に飛び込まれたら接近戦のできない魔法使いに勝てるチャンスはほとんどない

弓使いは戦士には勝てなかったが、次の魔法剣士が戦士を倒して、2人で勝ち抜いた

ミリア「おお…弓使いってのと、魔法剣士もカッコいいねえ」
アレス「まあねw…あれは戦士や魔法使いよりも習得が厳しいからね」
ミリア「そうなんだあ」
アレス「うん、誰でも出来るわけじゃないよ」
ミリア「お兄ちゃんは勝てるよね?」
アレス「余裕だねw」
ミリア「かっけぇ///」
アレス「ふふw…ナデナデ」

そしてついに、勇者チームの出番だ

勇者チームは戦士、魔法剣士、僧侶、魔法使いという、わりとスタンダードな構成で、魔法剣士が勇者なようだ

相手チームは戦士、拳士、魔法使い、僧侶と、これまたスタンダード

だけど、勇者チームは騒がれるだけあって、実力は全然違っていた

勇者チームの魔法使いちゃんと勇者の2人で勝った

そんで今日の試合はおしまい

準決勝と、決勝、3位決定戦は明日になる

オレたちは今日は控え室に戻った

控え室に宿泊してもいいし、宿屋に泊まるのも自由だ

だけど、控え室はタダだから、今日はオレたちは控え室に泊まることにした

メシも結構美味いのが出るし、タダだ
それだけでもオレは嬉しい

控え室でミリアに本を読んであげたり、ミリアにも読ませたりしてると、オレの準決勝の相手チームがやってきた

戦士「アレスさん、さっきはありがとうな」
アレス「ああ…気にするな」
僧侶「腕をくっつけるなんてすごいです!…よっぽどの魔力なんですね!」
アレス「そうじゃなかったら、こんな人数で挑まないだろw」
拳士「アレスさんは、職業的には僧侶なんですか?」
アレス「いや…魔法拳士かな…まぁ、普通とは違うよ」
剣士「戦うの楽しみにしてます!…ところで、戦士から聞いたんですけど、本物の勇者って本当なんですか?」
アレス「うんまあ…あの勇者たちがどうかは知らないけど、オレはちゃんと王様から指名されてる…まあ、信じなくてもいいし、あの勇者たちが活躍しても全然いいよw」
戦士「いや、オレは信じます…あなたはこうして見てても常人とは違う何かを感じますし、あなたの強さも振る舞いも、とても気高かった…感服した」
剣士「うん、アタシもそう思う…なんとなくだけど、特別な感じする」
アレス「そうお?w」
僧侶「そちらの少女も、特別な感じがします」
アレス「ああ…オレの妹なんだよ…かわいいだろ?」
僧侶「ええ…はじめまして」
ミリア「はじめまして٩(*❛⊰❛)۶」
アレス「ミリアっていうんだ」
ミリア「ミリアです٩(*❛⊰❛)۶」
剣士「かわいい~///…ミリアちゃんも戦えるの?」
ミリア「魔法は使えるけど…」
アレス「ミリアに万が一出番が回ったら、棄権するよw…まあ、そんな事はないがね」
戦士「てことは、明日はアレスさんにオレたちはみんな負けるって事ですか?」
アレス「まあ、そうだなw…悪いけど」
拳士「でも、本物の勇者ならたしかに勝てないだろうなあ…」
僧侶「だろうねえ…」
剣士「でも、負けるつもりはありませんから」
アレス「ああ…まあ、頑張ってくれ」
戦士「でもアレスさんが本物の勇者なら、どうしてこんな大会に出ようと思ったのですか?」
アレス「ミリアが見たいって言ったからかなw…オレは魔王を目指してはいるけど、妹にいろいろ見させてやりたくて、冒険してるからね」
ミリア「お兄ちゃん優しいのよ」
戦士「そうですかw」
アレス「それに、オレがさっさと魔王やっつけたら、お前たちの仕事も減るだろ?w」

これは魔王を倒せば魔物も消えるという言い伝えがあるからだ

拳士「あはははw…たしかにw」
剣士「最近はどんな活躍したんですか?」
アレス「最近は…海賊のアジトをボコしてきた」
戦士「え?…それって…」
僧侶「たしかに勇者がやったって噂だけど、あの勇者チームがやったんだと思ってた…」
戦士「ああ…本当はアレスさんが?」
アレス「うんまあ…」
剣士「手柄横取りじゃないですか!」
拳士「汚ねえ!」
アレス「まあ、どうでもいいよw…そんな事してもアイツらが困るだけだしw」
戦士「そうなんですか?」
アレス「ああ…アジトに囚われてた女たちに聞けば、一発でウソだってわかるよ」
僧侶「…それなのに昨日はパレードとか出てやがったんですか、アイツらは…」
アレス「まあいいじゃんw…誰がやったとかはどうでも…オレは海賊共からかわいそうな女たちを助けられたのと、報酬金を貰ったので満足だし」
剣士「やっぱり本物は違うなあ///…アタシもお供したかったなあ…」
戦士「今からでも、冒険に連れてってもらいたいくらいだ」
アレス「いや、悪いけど…オレは仲間はいらないんだ…気楽にミリアとのんびり行きたいからさ…それに最終的に魔王と戦うってなったら、魔王は1人なのに、こっちが5人とかいたら卑怯だしなw…オレはそういうの嫌なんだよ」
僧侶「でも…それは仕方ないんじゃ?…世界の平和のためには…」
アレス「魔王がさ、世界に必要な存在なら勝つし、そうじゃないならオレが勝つ…オレはそう思ってるよ」
拳士「1人で勝つ自信が?」
アレス「そうじゃなきゃやらないだろ?w…勇者ってのは、お前たちが想像するよりはるかに強いもんだよ」
剣士「…カッコいい///」
アレス「そろそろメシの時間だぞ?…ミリアと2人にしてくれ」
戦士「はい…明日はよろしくお願いします」
アレス「ああ」

その後、メシを食い終わると、今度は勇者チームがやってきた

アレス「おお…魔法使いちゃんと僧侶ちゃん」
魔法使い「こんばんはw」
僧侶「こんばんは///」
戦士「いや、君が挑戦者だと思わなかったよw」
魔法剣士「すごい人気だったね」
アレス「まあ、オレはカッコいいからな」
魔法使い「たしかにw」
僧侶「ですね///」
戦士「お、おい…」
魔法剣士「君、すごく強かったね…良かったら、ボクらの仲間にならないかい?」
アレス「お断りしますw」
魔法使い「どうしてよ~、人数いた方が楽しいよ?」
アレス「オレはミリアとのんびり旅したいのさ」
魔法使い「シスコンめ」
アレス「いいんだよ…それより、勇者さんは魔王の居場所は知ってるのか?」
魔法剣士「いや…それがわからないんだ…君は知ってる?」
アレス「いいや…知らない」
魔法剣士「早く魔王を倒して、みんなを安心させたいよ…」
アレス「ふーん…他の人たちもそんな感じ?」
戦士「…オレは…母を魔物に殺されたから…魔物が許せない」
アレス「復讐心か?」
戦士「まあそうだ」
アレス「オレは復讐については肯定的だけどさ…でもそれはお前の母ちゃんを殺した魔物だけに向けるべきじゃねえか?…お前は関係ない魔物も全部殺してきたんだろ?」
戦士「別にかまわないだろ?…魔物はみんな悪だ」
アレス「違うね…特に獣系のは違う」
戦士「オレの母を殺したのは獣系だ!」
アレス「その殺した目的ってのは、食べる為だよ…オレらが牛や魚を殺すのと一緒さ」
戦士「オレたちが牛や魚と一緒だと?!」
アレス「変わらねえさ…ついでに言えば獣系の魔物もそうだ」
戦士「なんだと?!」
アレス「あいつらの行動理念は、人間が敵だからじゃないぞ…あいつらは腹が減ってなかったら襲ったりはしない…お前の母ちゃんには悪いが、母ちゃんはその魔物が生きる為の糧になったってだけだ」
戦士「きさまぁ!!」
魔法使い「まあまあ!…話聞こうよ!」
アレス「だからな?…お前が母を殺されたのを恨みに持つのは当たり前だよ…オレだってミリアが食べられたら、見つけ出してぶっ殺すよ…でも、他のは関係ねえの…オレたちと同じで、必死に生きてるだけよ…魔物たちからしたら、お前こそ復讐の的だ」
戦士「そんな奴らは片っ端から殺す」
アレス「オレにはそういうお前の方が、よっぽど魔物に見えるぜ?」
戦士「この野郎…」
魔法剣士「それは言い過ぎだ…魔物や魔王はどっちにしろ悪なことに変わりはない…殺すべき存在だ」
アレス「なんで悪なんだよw…オレには人間もそう変わらなく見えるぜ?」
魔法剣士「なぜだ!」
アレス「じゃあお前たちさ、自分が魚とか牛になったと想像してみろよ…その目から人間を見てみろよ」
僧侶「…た、たしかに…」
戦士「僧侶!!」
アレス「魚たちから見たら、人間も魔物と変わらなく見えてるだろうよ…魚だって、多くを殺された憎しみや恨みを人間に持ってるはずだぜ」
魔法使い「…そう…かも」
魔法剣士「魔法使いまで、惑わされるな!」
アレス「惑わしてはないよ…オレはただの真実を言ってるだけだ…この世はな、常に弱肉強食だ…弱い者は強い者の生きる糧だ…ただそれだけの事だ」
魔法剣士「じゃあ弱い者は殺されて当然なのか!…誰もが戦えるわけじゃないだろ!」
アレス「当然だよ…そりゃ、向き不向きはあるがな…牛や魚もだからってそれに文句は言わねえだろうが…生きるのに必要な力ってのは、自分で努力して獲得するもんだ…人間は他の獣たちより全然幸せなんだぜ?…獣たちと違って、いろんな選択があるからな…戦いが得意じゃなけりゃ、得意な奴の助けになって、守ってもらうとかさ…それが出来ないなら、糧になるしかない…それが自然の掟ってやつよ」
魔法剣士「…ぐっ」
アレス「それにもう一つ言えば、食べる以外の目的で、理不尽に他を傷つけたり、殺したり…そんな事するのは人間か、魔界の魔物やゾンビとかだけだ…獣も虫も、魚も鳥も、獣系の魔物も、他を殺すとしたら、それは食べる為だ…生きる為だ」
僧侶「ああ…それなのにわたしは…獣系の魔物をたくさん殺してしまいました…」
戦士「それの何が悪い!…僧侶、騙されるな!」
アレス「騙してはないっつうのw…お前さ、そうやってカッとなるのも良くないよ…勇者さんもな?…感情で考えたり、行動するのは、破滅の未来しかねえよ…魔王倒して得た褒美や人々の尊敬で、将来楽に生きていきたいとか、そういう理由のほうがオレにはよっぽど建設的でしっくりくるぜ」
魔法剣士「腐った奴だな」
魔法使い「……」
アレス「なんとでも思えw…どうせお前たちに魔王を倒す力はないからな…オレにすら勝てないし」
戦士「なにい?!…グイ」
アレス「こういう事だ…ガシ…ベキ!!」
戦士「ぎゃあああ!!」
魔法剣士「戦士!!…おのれ!!…ぎゃああ!!…目、目があ!!」
アレス「お前らさ、そんなちっぽけな力でな…信念を語るなんざまだまだ早いぜ?…いいか?…物事を成そうとするのに必要なのは、信念だとか夢だとか、怒りでも憎しみでもない…『力』だ…現実的で物理的な『力』…それだけだ…それを持たない奴が何をしようが、何も変わらない…何も変えられないなら、何を思ったとこで意味がない…」
魔法剣士「離せえ!!…ハァ…ハァ」
戦士「ぎゃあああ…くそがぁ!」
アレス「…パッ…ドサ…ほら…パァァァァ」
魔法剣士「ハァ…ハァ…み、見える…」
戦士「殺す…ハァ…ハァ…」
アレス「だからさ…無理だよ…その力がお前たちにはないんだから…思う前にそれを実現するだけの力を持つ事だな」
僧侶「……アレスさん…」
魔法使い「すごい…」
アレス「オレに自分の信念を言い聞かせるなら、オレを屈服させるだけの『力』を持ってからだな」
戦士「…殺す…」
魔法剣士「…わかった…ボクは全力でお前を倒すよ」
アレス「まあ、頑張れw…オレは風呂入りたいから、そろそろ出てけや…魔法使いちゃんと僧侶ちゃんは一緒に入る?w」
魔法使い「え///…わたしはいいけど~///」
僧侶「ま、魔法使いさん///」
アレス「あははw…冗談だよ…ポンポン」
僧侶「で、ですよね///」
魔法使い「ええ~…」
アレス「まあ、また明日な…頑張れ」
魔法使い「うん…」
僧侶「…はい…」
魔法剣士「くっ…行くぞ」
戦士「絶対殺す…」
アレス「見ろよ…そいつの方がよっぽど悪だ」
魔法使い「アタシにもそう見えるよ…あんた、いい加減にしなよ」
戦士「うるせえ!」

戦士はそう言って部屋を出て行った
魔法剣士も後を追って出て行く

僧侶「あの…アレスさんのお話は…とっても勉強になりました…わたしはもう…」
魔法使い「アタシも…もうアイツらと一緒には行けない」
アレス「オレの考えは、たくさんある考えの一つでしかないよw…オレは正しいと信じてるけど、正しいのかどうかはわからない…だからね?…お前たちも自分の正しいと思える事をすればいい…後悔はしないようにね…ナデナデ」
僧侶「…はい!」
魔法使い「ありがとう」
アレス「うん、またね」

そして魔法使いと僧侶も部屋を出て行った

ミリア「なんだかわからなかったけど、お兄ちゃんはカッコ良かった!」
アレス「オレはいつでもカッコいいのさw」
ミリア「ね!…うふふw…ギュ」
アレス「おぅふ…気持ちいいw…いや、いつでもじゃないかなw…」
ミリア「あはははw」
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