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転職の神殿の街
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オレは目が覚めて、支度をすると、すぐに塔に向かった
2階までは全部見たから、3階の残りを見て、4階も全部見て回り、5階に上がった
魔物は殺してないが、オレには勝てないと知って、壁のかげからこっそり顔出したりして、こっち見てる
オレはそんな魔物たちもよく見るので、気にしてなかった
魔物ってのは実に多様だが、獣っぽい見た目が多い
なんていうか、2つ以上の獣を組み合わせたようなのが多い
時には植物なんかも合体してる
かげから覗いてるのも、ネコ科の身体となんかが合わさってて、意外とかわいい
オレはかわいい動物…特に猫が好きだ
実はオレは殺す魔物もいる
あんまりいないけど、それは元々生きていた者が、死んでから動き出したような魔物だ
ゾンビみたいなのもいるし、骨だけのもいる
それは人間も獣も魔物も問わずいる
どうやって動いてるかわからないけど、コイツらはただただ生者の命を奪う存在で、魔物にとっても害悪でしかない
殴ってボコしても、痛みを感じてないから逃げないし、どうせすでに死んでいるし、何も考えてなさそうだからオレも心は傷まない
そういう魔物にやられた奴は、死んでなくてもいずれ死んで、仲間になる
オレから見ると獣系の魔物より全然とろくて弱いけど、人間たちからはすごく恐れられてる
まあ、見た目も怖いしね
あと不思議なのは鎧とか岩石とかの魔物だ
なんかたぶん霊的な何かが、そういう物に取り憑いて動いてるんだと思う
そういうのは簡単に倒せる
さっき言ったゾンビ系の奴らもそうだけど、回復魔法に弱いからだ
ゾンビ系のはダメージ受けるだけだが、物に取り憑いてるやつは一発で死ぬ
死ぬって表現はちょっと違うかもだけど、それやるとドサッて普通の物になる
鎧とか人形とかが多い
形的に動かしやすいんだろうな
他には人間の世界には居ない感じの外見だけど、ちゃんと命を持ってる生物
これはきっと魔界の生物なんだろう
一番魔物っぽい奴らだ
コイツらも人間を食う
食うだけならいいんだけど、ただ傷つけたり、殺すのを楽しんだりもする
だからオレ的にもムカつく奴らだ
ちょうどこないだの堕天使どもに似た存在だ
ボコしても回復はほとんどしてやらない
だからきっと、オレがボコした事で死んだ奴らもいると思う
でも生きる余地は与えてるし、死んだとしても因果応報だろう
魔物たちは基本的に回復魔法は使えないが、回復魔法しか使えない魔物もいる
普段町に住んでたら見かける事は滅多にないが、冒険してればわりと見かける
ソイツらは『ホイミン』と呼ばれてて、喋るけど、あんまり賢くないし、誰だろうとケガしてると治しちゃうw
ケガしてなくてもかけちゃうw
だけど、ホイミンは何も考えてないわけではなくて、優しかったりしないと回復してやらないらしい
見た目はぷよぷよした青いゼリーみたいな塊に目と口だけあって、黄色い触手が10本くらいぶらぶらしてて…そんな説明だと不気味な印象を受けると思うけど、実際はすごくかわいい
妖精と同じくらい、ワルの心を持ってない気がする
オレも何度かかけてもらった
前に野宿した場所の近くに居た事あって、オレがたき火作ったり、料理したりしてるのをそばで興味深そうに見てた
オレが魔法で水を飲ませてやると、すごい喜んでかわいかった
そんな奴だから、ムカつく魔物も人間も、『ホイミン』を殺したりしない
『ホイミン』を見たり、回復してもらったりすると、その日は幸運が訪れるという、一種の縁起物でもある
というわけで、獣系の魔物は魔物の中でもかわいい部類だ
この塔にも何種類かいる
5階を探索してると、その中の1匹が話しかけてきた
さっきボコして、治してやった奴だ
魔物「あ、あの…」
アレス「ん?…なんだ?」
魔物「あの…」
アレス「言ってみ?w」
魔物「こんな事頼める筋じゃないんだけど…」
アレス「うん?」
魔物「アタシの子が…ケガしてて…死ぬかもしれなくて…」
アレス「ああ…どこだ?」
魔物「治してくれるの?」
アレス「早く案内しろ…他の魔物に食われちまうぞ」
魔物「は、はい!…タッタッタッ…」
行ってみると、まさに他の魔物に囲まれていた
それを見た母親の魔物は、飛びかかっていった
母親の魔物はなかなか強く、襲ってくる魔物と戦った
ミリア「お兄ちゃん」
アレス「ん?」
ミリア「助けないの?」
アレス「うん」
ミリア「どして?…かわいそう」
アレス「かわいそうだけど、他のあの魔物も、生きる為には食わなきゃいけないだろ?…それをオレがかわいそうって助けるのもアイツらにかわいそうなのさ…」
ミリア「あ、そっか…」
アレス「母親が子どもを命がけで守るのは当然の事だ…だからオレは母親を止めない…けど、オレが手を貸す事もできない…厳しいけど、それが生きるって事だ」
ミリア「辛いねえ…大変なんだね…生きるのって…グス」
アレス「うん…人間たちは安全な場所にいすぎて、こんな世界の事もわからなくなってるんだ…だから、自分の感情で命を判断する…例えばあの親子は見た目がかわいいだろ?」
ミリア「うん」
アレス「襲ってる方は怖い感じ」
ミリア「うん」
アレス「だから襲ってる方が悪く見えるだろ?」
ミリア「ああ、うん」
アレス「でも、逆ならどう?」
ミリア「あっ…」
アレス「命は同じなのに、かわいい方を助けたくなるよな?…オレだってそう…でも、どっちも必死に生きてる…だからオレは自分に攻撃されない限りは戦わない」
ミリア「ああ…でもお兄ちゃんも見てるの辛い?」
アレス「辛い…こうして手を組んでないと、つい助けたくなる」
ミリア「そっか…」
親子の魔物は頑張って奮闘したが、負けてしまった
襲った魔物たちは、早速その親子を食べ始める
ミリアはそれを見て泣いた
オレは親子の冥福を祈って、立ち去った
アレス「世の中は厳しいだろ?」
ミリア「うん…」
アレス「きっとさ…これからもそういう場面を見ると思うけど…だいじょぶ?」
ミリア「わかんない…」
アレス「わからないよなw…オレもわからない…ただ、オレは妖精たちがあのクソガキに襲われてる場面以上に残酷なのは今まで見たことない」
ミリア「そうなんだ!」
アレス「ああ…だから本当に腹が煮えくりかえったね」
ミリア「そういえばお兄ちゃん、あそこまでいたぶってるのあの時だけだもんね」
アレス「うんw…ミリアもでも、スカッとしたろ?」
ミリア「うんw」
アレス「オレはね、そんなに痛めつける趣味はないけど、やられたらやり返す」
ミリア「それはお兄ちゃんの中では正しい事?」
アレス「うんw…だね…おっ!…宝発見w」
ミリア「やったー!」
アレス「これは…盾か…使えねえ…けど売れば高そう…持って帰ろうw」
ミリア「うんw…ちっちゃくする」
アレス「ありがとw…マジ助かるよなあ、その魔法」
ミリア「えへへ///」
そして最上階の6階に上がる階段を登ると、いきなり扉があった
その扉を開けようと触ると、バチっと弾かれた
アレス「いって!…なんだこれ…珍しく結界がはってある…弱い結界だけど…」
ミリア「入れないの?」
アレス「いや…だいじょぶよw…オレみたいに結界が出来る人は、それをなくす事も出来るのよ」
ミリア「おお~!(´・O・)…すごいすごい!」
オレは結界を解除して、中に入った
6階は中央に一部屋だけしかない、だだっ広い空間だった
その中央の扉に近づくと、目の前に魔物が現れた
魔物「ここまで来るとはなかなかやるようだな」
アレス「なんだお前?」
魔物「ほう?…オレにびびらないとは生意気だな」
アレス「いや、弱そうだしw」
魔物「なに?…ピキ」
アレス「お前は魔界の魔物か?」
魔物「オレは魔族…魔物と一緒にするな」
アレス「魔族?…魔界の人間みたいなもんか?」
魔族「人間と一緒にされるのはムカつくが、そんな解釈で合ってる」
アレス「なるほどねえ…まあ、角とかあるけど、人間ぽい形だもんな」
魔族「お前、この中の物を知ってて来たのか?」
アレス「オレが聞いたのは『魔法の実』ってのがあるって事だ」
魔族「そうだ」
アレス「お前も欲しいのか?」
魔族「その実も地上を支配する目的の一つだからな」
アレス「なるほどね…納得できるな…なんでとらねえの?」
魔族「ふん…」
アレス「さては結界かなにかか?」
魔族「まあな」
アレス「それは厄介だな…でも、お前に会えて良かったよ」
魔族「なに?」
アレス「どうせお前らはその実を集めて、ろくな事考えてねえんだろ?…例えばこの地上を支配して、その実を使って強くなったら、天界を…とか考えてるんだろ?」
魔族「お前…何者だ…」
アレス「察せよw…わからねえか?」
魔族「人間の…勇者…か?」
アレス「そうだよ…オレはその実を破壊する為に来たのさ」
魔族「破壊?…バカか?…お前も食えば力を手にするんだぞ?」
アレス「そんなのは弱い奴の考える事だ…もう話は終わりだ…」
オレは話しながらも強化魔法を何度もかけている
奴は魔法を放とうと手を動かしたが、オレは、その手から魔法が出る前に、すんごい速さで踏み込んで、金属化した足で蹴りをぶち込む
ソイツは派手に吹っ飛びながら、部屋の壁に激突し、結界に弾かれた
背骨が折れて、死にそうになってる
アレス「身の程知らずだねえ…」
ミリア「お兄ちゃんカッコいい~///」
アレス「だろう?w」
魔族「うう…が…は…ガクガク」
アレス「勇者は強えだろ?w…お前も魔界じゃ強いんか?」
魔族「ガフ!…グ…」
アレス「苦しいか…ミリア…どうしたらいい?」
ミリア「アタシなら殺す…命の価値がほとんどないよ、この人…アタシがやろうか?」
アレス「…いや、ならオレがやる…ミリアにそんな役やらせるのはカッコ悪い」
ミリア「アタシ平気だよ!…えい!」
魔族「…ヒュッ…ガク」
アレス「ミリア…」
ミリア「お兄ちゃん、殺すの心が痛むんでしょ?…これからは命の価値がないのは、アタシが殺すから…ね?」
アレス「ミリア、いや、その気持ちはありがたいけど…」
ミリア「だいじょぶだよ~…ガイアさまにも言われてるのよ」
アレス「…え?」
ミリア「もし、お兄ちゃんと旅してね、そんで魔族って奴がいたら、お兄ちゃんの代わりに殺してやれって」
アレス「えー!Σ(゚д゚υ)…ガイア様酷くない?」
ミリア「ううん…アタシには命の価値ないの殺すのは罪悪感ないから…妖精はみんなそうなのよ…お兄ちゃんは罪悪感を感じるから、代わりにやってやれって…お兄ちゃんばっかりに辛い目に合わせるなって…言われたのよ」
アレス「…そうなのか…ごめん…ガイア様がそう言ってくれるなら…ミリアに甘えようかなw」
ミリア「うん!…アタシは心臓を凍らすだけだもん…死ぬのもそんな苦しくないし、残酷でもないよ」
アレス「たしかにw…オレがやったらたぶん残酷だ」
ミリア「アタシも役に立つでしょ?」
アレス「立ちまくりw…最高だよ、ミリアは、マジ最高…最高のパートナーだ」
ミリア「やったあ٩(*❛⊰❛)۶」
アレス「はははw」
ミリア「この部屋の結界も壊せる?」
アレス「たぶん…こっちは強そうな結界だな」
オレは結界に向かって右手を差し出し、結界を解く魔法を放った
なかなか強い結界だが、だいぶ粘ると結界は解除された
ミリア「お兄ちゃんてほんと、すごいねえ!」
アレス「勇者だからなぁw」
さらに扉が頑丈な鉄製で、鍵もかかっている
ミリア「開けれないね…」
アレス「オレもこの扉はちょっと大変…でも、なにも扉から入る必要はない」
オレは足を金属化し、強化魔法で強くした蹴りを壁に三発ほどぶち込むと、壁が破壊された
ミリア「その発想はなかった…」
アレス「ブフww…お!…宝箱!…これかあ…これが『魔法の実』…案外でけえな」
それはオレンジくらいのサイズで、紫の硬い殻に包まれてた
見た目は紫のデカいクルミって感じ
部屋の中にはそれが入った宝箱以外、他に何もない
オレはそれを持って、塔の壁に穴を開けると、飛び降りた
アレス「街に帰るかw」
ミリア「お兄ちゃん、転移のやつで帰れるよ?」
アレス「あ!Σ(゚д゚υ)…すげえ…ミリア、マジすげえな」
ミリア「うんw…えい!」
眩い光に包まれて、気がつくと今朝の岩棚にいた
マジでオレとミリアのコンビは最強だと思う
まだ時間的に3時くらいだろう
その日はバスケットの中で、念話の練習したり、エッチしたりして過ごした
2階までは全部見たから、3階の残りを見て、4階も全部見て回り、5階に上がった
魔物は殺してないが、オレには勝てないと知って、壁のかげからこっそり顔出したりして、こっち見てる
オレはそんな魔物たちもよく見るので、気にしてなかった
魔物ってのは実に多様だが、獣っぽい見た目が多い
なんていうか、2つ以上の獣を組み合わせたようなのが多い
時には植物なんかも合体してる
かげから覗いてるのも、ネコ科の身体となんかが合わさってて、意外とかわいい
オレはかわいい動物…特に猫が好きだ
実はオレは殺す魔物もいる
あんまりいないけど、それは元々生きていた者が、死んでから動き出したような魔物だ
ゾンビみたいなのもいるし、骨だけのもいる
それは人間も獣も魔物も問わずいる
どうやって動いてるかわからないけど、コイツらはただただ生者の命を奪う存在で、魔物にとっても害悪でしかない
殴ってボコしても、痛みを感じてないから逃げないし、どうせすでに死んでいるし、何も考えてなさそうだからオレも心は傷まない
そういう魔物にやられた奴は、死んでなくてもいずれ死んで、仲間になる
オレから見ると獣系の魔物より全然とろくて弱いけど、人間たちからはすごく恐れられてる
まあ、見た目も怖いしね
あと不思議なのは鎧とか岩石とかの魔物だ
なんかたぶん霊的な何かが、そういう物に取り憑いて動いてるんだと思う
そういうのは簡単に倒せる
さっき言ったゾンビ系の奴らもそうだけど、回復魔法に弱いからだ
ゾンビ系のはダメージ受けるだけだが、物に取り憑いてるやつは一発で死ぬ
死ぬって表現はちょっと違うかもだけど、それやるとドサッて普通の物になる
鎧とか人形とかが多い
形的に動かしやすいんだろうな
他には人間の世界には居ない感じの外見だけど、ちゃんと命を持ってる生物
これはきっと魔界の生物なんだろう
一番魔物っぽい奴らだ
コイツらも人間を食う
食うだけならいいんだけど、ただ傷つけたり、殺すのを楽しんだりもする
だからオレ的にもムカつく奴らだ
ちょうどこないだの堕天使どもに似た存在だ
ボコしても回復はほとんどしてやらない
だからきっと、オレがボコした事で死んだ奴らもいると思う
でも生きる余地は与えてるし、死んだとしても因果応報だろう
魔物たちは基本的に回復魔法は使えないが、回復魔法しか使えない魔物もいる
普段町に住んでたら見かける事は滅多にないが、冒険してればわりと見かける
ソイツらは『ホイミン』と呼ばれてて、喋るけど、あんまり賢くないし、誰だろうとケガしてると治しちゃうw
ケガしてなくてもかけちゃうw
だけど、ホイミンは何も考えてないわけではなくて、優しかったりしないと回復してやらないらしい
見た目はぷよぷよした青いゼリーみたいな塊に目と口だけあって、黄色い触手が10本くらいぶらぶらしてて…そんな説明だと不気味な印象を受けると思うけど、実際はすごくかわいい
妖精と同じくらい、ワルの心を持ってない気がする
オレも何度かかけてもらった
前に野宿した場所の近くに居た事あって、オレがたき火作ったり、料理したりしてるのをそばで興味深そうに見てた
オレが魔法で水を飲ませてやると、すごい喜んでかわいかった
そんな奴だから、ムカつく魔物も人間も、『ホイミン』を殺したりしない
『ホイミン』を見たり、回復してもらったりすると、その日は幸運が訪れるという、一種の縁起物でもある
というわけで、獣系の魔物は魔物の中でもかわいい部類だ
この塔にも何種類かいる
5階を探索してると、その中の1匹が話しかけてきた
さっきボコして、治してやった奴だ
魔物「あ、あの…」
アレス「ん?…なんだ?」
魔物「あの…」
アレス「言ってみ?w」
魔物「こんな事頼める筋じゃないんだけど…」
アレス「うん?」
魔物「アタシの子が…ケガしてて…死ぬかもしれなくて…」
アレス「ああ…どこだ?」
魔物「治してくれるの?」
アレス「早く案内しろ…他の魔物に食われちまうぞ」
魔物「は、はい!…タッタッタッ…」
行ってみると、まさに他の魔物に囲まれていた
それを見た母親の魔物は、飛びかかっていった
母親の魔物はなかなか強く、襲ってくる魔物と戦った
ミリア「お兄ちゃん」
アレス「ん?」
ミリア「助けないの?」
アレス「うん」
ミリア「どして?…かわいそう」
アレス「かわいそうだけど、他のあの魔物も、生きる為には食わなきゃいけないだろ?…それをオレがかわいそうって助けるのもアイツらにかわいそうなのさ…」
ミリア「あ、そっか…」
アレス「母親が子どもを命がけで守るのは当然の事だ…だからオレは母親を止めない…けど、オレが手を貸す事もできない…厳しいけど、それが生きるって事だ」
ミリア「辛いねえ…大変なんだね…生きるのって…グス」
アレス「うん…人間たちは安全な場所にいすぎて、こんな世界の事もわからなくなってるんだ…だから、自分の感情で命を判断する…例えばあの親子は見た目がかわいいだろ?」
ミリア「うん」
アレス「襲ってる方は怖い感じ」
ミリア「うん」
アレス「だから襲ってる方が悪く見えるだろ?」
ミリア「ああ、うん」
アレス「でも、逆ならどう?」
ミリア「あっ…」
アレス「命は同じなのに、かわいい方を助けたくなるよな?…オレだってそう…でも、どっちも必死に生きてる…だからオレは自分に攻撃されない限りは戦わない」
ミリア「ああ…でもお兄ちゃんも見てるの辛い?」
アレス「辛い…こうして手を組んでないと、つい助けたくなる」
ミリア「そっか…」
親子の魔物は頑張って奮闘したが、負けてしまった
襲った魔物たちは、早速その親子を食べ始める
ミリアはそれを見て泣いた
オレは親子の冥福を祈って、立ち去った
アレス「世の中は厳しいだろ?」
ミリア「うん…」
アレス「きっとさ…これからもそういう場面を見ると思うけど…だいじょぶ?」
ミリア「わかんない…」
アレス「わからないよなw…オレもわからない…ただ、オレは妖精たちがあのクソガキに襲われてる場面以上に残酷なのは今まで見たことない」
ミリア「そうなんだ!」
アレス「ああ…だから本当に腹が煮えくりかえったね」
ミリア「そういえばお兄ちゃん、あそこまでいたぶってるのあの時だけだもんね」
アレス「うんw…ミリアもでも、スカッとしたろ?」
ミリア「うんw」
アレス「オレはね、そんなに痛めつける趣味はないけど、やられたらやり返す」
ミリア「それはお兄ちゃんの中では正しい事?」
アレス「うんw…だね…おっ!…宝発見w」
ミリア「やったー!」
アレス「これは…盾か…使えねえ…けど売れば高そう…持って帰ろうw」
ミリア「うんw…ちっちゃくする」
アレス「ありがとw…マジ助かるよなあ、その魔法」
ミリア「えへへ///」
そして最上階の6階に上がる階段を登ると、いきなり扉があった
その扉を開けようと触ると、バチっと弾かれた
アレス「いって!…なんだこれ…珍しく結界がはってある…弱い結界だけど…」
ミリア「入れないの?」
アレス「いや…だいじょぶよw…オレみたいに結界が出来る人は、それをなくす事も出来るのよ」
ミリア「おお~!(´・O・)…すごいすごい!」
オレは結界を解除して、中に入った
6階は中央に一部屋だけしかない、だだっ広い空間だった
その中央の扉に近づくと、目の前に魔物が現れた
魔物「ここまで来るとはなかなかやるようだな」
アレス「なんだお前?」
魔物「ほう?…オレにびびらないとは生意気だな」
アレス「いや、弱そうだしw」
魔物「なに?…ピキ」
アレス「お前は魔界の魔物か?」
魔物「オレは魔族…魔物と一緒にするな」
アレス「魔族?…魔界の人間みたいなもんか?」
魔族「人間と一緒にされるのはムカつくが、そんな解釈で合ってる」
アレス「なるほどねえ…まあ、角とかあるけど、人間ぽい形だもんな」
魔族「お前、この中の物を知ってて来たのか?」
アレス「オレが聞いたのは『魔法の実』ってのがあるって事だ」
魔族「そうだ」
アレス「お前も欲しいのか?」
魔族「その実も地上を支配する目的の一つだからな」
アレス「なるほどね…納得できるな…なんでとらねえの?」
魔族「ふん…」
アレス「さては結界かなにかか?」
魔族「まあな」
アレス「それは厄介だな…でも、お前に会えて良かったよ」
魔族「なに?」
アレス「どうせお前らはその実を集めて、ろくな事考えてねえんだろ?…例えばこの地上を支配して、その実を使って強くなったら、天界を…とか考えてるんだろ?」
魔族「お前…何者だ…」
アレス「察せよw…わからねえか?」
魔族「人間の…勇者…か?」
アレス「そうだよ…オレはその実を破壊する為に来たのさ」
魔族「破壊?…バカか?…お前も食えば力を手にするんだぞ?」
アレス「そんなのは弱い奴の考える事だ…もう話は終わりだ…」
オレは話しながらも強化魔法を何度もかけている
奴は魔法を放とうと手を動かしたが、オレは、その手から魔法が出る前に、すんごい速さで踏み込んで、金属化した足で蹴りをぶち込む
ソイツは派手に吹っ飛びながら、部屋の壁に激突し、結界に弾かれた
背骨が折れて、死にそうになってる
アレス「身の程知らずだねえ…」
ミリア「お兄ちゃんカッコいい~///」
アレス「だろう?w」
魔族「うう…が…は…ガクガク」
アレス「勇者は強えだろ?w…お前も魔界じゃ強いんか?」
魔族「ガフ!…グ…」
アレス「苦しいか…ミリア…どうしたらいい?」
ミリア「アタシなら殺す…命の価値がほとんどないよ、この人…アタシがやろうか?」
アレス「…いや、ならオレがやる…ミリアにそんな役やらせるのはカッコ悪い」
ミリア「アタシ平気だよ!…えい!」
魔族「…ヒュッ…ガク」
アレス「ミリア…」
ミリア「お兄ちゃん、殺すの心が痛むんでしょ?…これからは命の価値がないのは、アタシが殺すから…ね?」
アレス「ミリア、いや、その気持ちはありがたいけど…」
ミリア「だいじょぶだよ~…ガイアさまにも言われてるのよ」
アレス「…え?」
ミリア「もし、お兄ちゃんと旅してね、そんで魔族って奴がいたら、お兄ちゃんの代わりに殺してやれって」
アレス「えー!Σ(゚д゚υ)…ガイア様酷くない?」
ミリア「ううん…アタシには命の価値ないの殺すのは罪悪感ないから…妖精はみんなそうなのよ…お兄ちゃんは罪悪感を感じるから、代わりにやってやれって…お兄ちゃんばっかりに辛い目に合わせるなって…言われたのよ」
アレス「…そうなのか…ごめん…ガイア様がそう言ってくれるなら…ミリアに甘えようかなw」
ミリア「うん!…アタシは心臓を凍らすだけだもん…死ぬのもそんな苦しくないし、残酷でもないよ」
アレス「たしかにw…オレがやったらたぶん残酷だ」
ミリア「アタシも役に立つでしょ?」
アレス「立ちまくりw…最高だよ、ミリアは、マジ最高…最高のパートナーだ」
ミリア「やったあ٩(*❛⊰❛)۶」
アレス「はははw」
ミリア「この部屋の結界も壊せる?」
アレス「たぶん…こっちは強そうな結界だな」
オレは結界に向かって右手を差し出し、結界を解く魔法を放った
なかなか強い結界だが、だいぶ粘ると結界は解除された
ミリア「お兄ちゃんてほんと、すごいねえ!」
アレス「勇者だからなぁw」
さらに扉が頑丈な鉄製で、鍵もかかっている
ミリア「開けれないね…」
アレス「オレもこの扉はちょっと大変…でも、なにも扉から入る必要はない」
オレは足を金属化し、強化魔法で強くした蹴りを壁に三発ほどぶち込むと、壁が破壊された
ミリア「その発想はなかった…」
アレス「ブフww…お!…宝箱!…これかあ…これが『魔法の実』…案外でけえな」
それはオレンジくらいのサイズで、紫の硬い殻に包まれてた
見た目は紫のデカいクルミって感じ
部屋の中にはそれが入った宝箱以外、他に何もない
オレはそれを持って、塔の壁に穴を開けると、飛び降りた
アレス「街に帰るかw」
ミリア「お兄ちゃん、転移のやつで帰れるよ?」
アレス「あ!Σ(゚д゚υ)…すげえ…ミリア、マジすげえな」
ミリア「うんw…えい!」
眩い光に包まれて、気がつくと今朝の岩棚にいた
マジでオレとミリアのコンビは最強だと思う
まだ時間的に3時くらいだろう
その日はバスケットの中で、念話の練習したり、エッチしたりして過ごした
応援ありがとうございます!
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