勇者と妖精の恋と冒険

ヨッシー

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転職の神殿の街

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オレはかなり早くに目を覚ました

なぜならここは洞窟とはいえ、魔物が占拠してる洞窟じゃなく、人間たちの通路のようなところだからだ

もし洞窟内で人間が来たら

バスケットを見る
興味を持って近づく
オレの結界ではじき飛ばされる

それでビビって逃げるだけならいいが、人間がたった1人で旅をするわけがない

用心棒の戦士だの魔法使いだのが居るだろう

ソイツらは絶対と言っていいほど、オレのこの結界が気になって、破壊活動するだろう

そんじょそこいらの有象無象に、オレの結界が壊せるはずないが、そうなるとオレも出て行きづらくなるし、ミリアが好奇心で顔を見せたら、奴らは何するかわからない

魔物なら全然出て行って、ボコしてそれでいい

魔物は妖精を見ても、人間より理解がある

人間はボコすと恨む

自分から襲ったくせに、オレを悪者と考える

そういうとこが本当愚かだ

いつだったか、魔物の子どもを人間がいじめていて、オレはそのいじめてる奴がムカついてボコして帰した

そんで、その魔物の子どもが懐いてきたから、その日はそこで一緒に野宿した

そこへ、ボコにしたソイツは仲間を集めて、オレにやり返しにきた

まあ、ソイツらは全員たっぷりと痛めつけて脅して、裸にひんむいて、腕も一本ずつ折ったまんま帰らせたけど…

だから途中で魔物や獣に食べられたかもしれないけど、そんなのはオレの知った事じゃない

戦いに負けるのを、自分の力の無さの結果だと考えないのが悪い

殺される覚悟もなく、殺そうとする

そう考えると、人間の方が面倒で厄介な存在だ

そんなわけで、オレはまだ明け方前に起きた

たぶん、明け方前だと思う
洞窟だからいまいちわからないけど、オレの感覚が正しいならそうだ

アレス「ミリア、起きて」
ミリア「うー…ムニャムニャ」

かわいい

アレス「ミリアミリア…ユサユサ」
ミリア「…う?( *A*)ボ-」
アレス「ごめんな、まだ早いけど、起きよう」
ミリア「うん…ゴシゴシ」

オレはミリアに服を着せて、オレも服を着て、バスケットから出て身体を元に戻した

バスケットをまた小さくして、ポケットにしまい、ミリアもポケットに入れる

アレス「ミリア…狭いけど少し我慢ね?」
ミリア「だいじょぶ…」
アレス「眠れるなら寝てていいよ」
ミリア「うん…寝てるぅ」

次の町に着いたら、ポケットを改造しよう

ミリアが少しでも快適に過ごせるように

オレはポケットをどう改造するか考えながら、洞窟を抜けた

山道を歩いていると、夜が明けて、明るくなってきた

ミリアが起きて、オレの顔の前にパタパタと飛んで、オレの髪を掴んで肩に座った

ミリア「ここ山の中?」
アレス「そうだよ~…さっきはごめんね、早くに起こしちゃって」
ミリア「ううん…でもどうしてこんな早いの?」

オレは先程述べた説明を、ミリアにもわかりやすく説明した

アレス「だからね、オレはどんなヤバいことになっても、ぜっっったいにミリアを守るけどね?」
ミリア「うん!///」
アレス「でも、ヤバいことになる前になんとかする方が絶対にいいからさ」
ミリア「ほんとだね~!…アタシ、アーちゃんの言うこと、ちゃんと聞くね」
アレス「あははw…かぁわいい///…ところでさ」
ミリア「うん?」
アレス「前から少し気になってたんだけど、あのクソガキ共殺したじゃん?」
ミリア「うん!」
アレス「けどさ、オレがつけた傷以外どこも傷なんてなかった…どうやって殺したの?」
ミリア「簡単だよ~、心臓とか凍らせるのよ」
アレス「ああ~…ええ?Σ(゚д゚υ)…そんな事出来るのか…即死魔法みたいな?」
ミリア「うーん、そうかな?…わかんないww」
アレス「奴らをそれで倒すのは出来なかった?」
ミリア「うん…やったけど無理だった…」
アレス「そっか…そりゃそうだろうな」
ミリア「どしてえ?」
アレス「魔法で誰かに攻撃するのってね、みんな耐える力を持ってるからね?」
ミリア「うん」
アレス「その耐える力より強い力じゃないと、魔法があんまりかからないんだよね」
ミリア「そうなの~…でも、アーちゃんの事小さくしたりは出来るよ?」
アレス「それはオレがミリアを信用してるからだよw…ミリアだってさ、嫌いな奴がマンコ触ろうとしたら逃げるだろ?」
ミリア「うん!…絶対やだw」
アレス「でも、オレが触ろうとしたら嬉しい?だろ?」
ミリア「うん…いつでもいいよ~…触る?」
アレス「ふふw…チョンチョン」
ミリア「あう///」
アレス「そんなふうに敵だと思ってる奴がさ、攻撃魔法しても、普通は耐えちゃうんだよ」
ミリア「そっかあ」
アレス「おまけにミリアも妖精たちも、あまり怒ったり、憎んだりしないだろ?」
ミリア「しないー!」
アレス「もしミリアがそういう心を強く持てば、クソガキ共も殺せてたかもだけどね…でも、オレはそんなミリアは見たくないかな」
ミリア「うん…持たない…でもアーちゃんがいじめられたら怒るかも」
アレス「あw…それは嬉しいかもw」
ミリア「じゃあそんときは怒るぅ!」
アレス「うんw…そんな時はきっと来ないけどね…アーちゃんは最強だから」
ミリア「カッコいい~///」
アレス「はははw」
ミリア「じゃあアーちゃんがやっつけた後だから、殺せたの?」
アレス「だねw…どんな奴でも、弱れば効くよ」
ミリア「そっかあ」
アレス「そうそう…ん?…ミリア、ポッケに入ってくれる?」
ミリア「うん!」

ミリアは急いでポケットに入った

かわいい

前の方から戦闘の音がする

オレは近づいて、木陰からそっと見てみた

荷物を担いだ商人風の男が後ろに2人
戦ってるのは斧を持った男戦士と、どこにでもいそうな女魔法使い

敵は弱そうな…実際ザコであろう魔物が4体

だけど、すごい苦戦してる

まあ、普通の人間はこんなもん

魔法使いの炎も大して効いてない
氷や竜巻なんかは出来ないのかね?

戦士の奴も、大して扱えないような重い武器を持つからそうなる
威力はあるかもしれないが、当たらなければ枝より意味がない

アレス「身の程知らずってやつだ」
ミリア「助けないの?」
アレス「んー…奴らは奴らなりの人生を生きて、ああなったからなあ」
ミリア「ふうん」
アレス「それに、前のオレなら助けてあの魔法使いの女の子とエッチしようとか思ったろうけど、今はミリアしか興味ない」
ミリア「アーちゃん///…アタシも~」
アレス「あんま関わりたくもねえけど…どうすっかな…」

助けるか悩んで見てたら、戦士の奴は魔物の睡眠の息にかかって眠っちゃった

ダセェ

攻撃外して、体力なくなって、心も折れてきたんだろう

戦士に向いてねえな

魔法使いも戦士が寝たから、一気に心折れてる

商人たちも逃げりゃいいのに、怖くて動けないみたい

ミリア「アーちゃん…死んじゃうよ」
アレス「しゃあない…助けるか」

魔物に今まさに攻撃されるところの魔法使いの服を、グッと掴んで後ろに投げた

アレス「悪いな、お前たち…」

オレは魔物に一撃ずつ攻撃を与える
魔物たちは地面にうずくまり、悶絶している

弱い…

商人「あ、ありがとう!!」
商人2「ありがとうございます!!」
魔法使い「す、すごく強い!ありがとう///」
アレス「気にすんなw…行け」
魔法使い「…///…キラキラ」
商人「あの…出来ればその…お礼はするので、護衛してもらえませんか?」
商人2「お願いします!」
アレス「……けどなぁ、オレもあっちから来たからな…また戻るの面倒くせえ」
魔法使い「お願いします///」
アレス「魔法使いちゃん…なんでそんな実力で、護衛なんかやろうと思っちゃったの?」
魔法使い「う…その…そこの寝てるバカにお願いされて…」
アレス「ああ、コイツか…こっちはほんと身の程知らずだな…」
魔法使い「あの…ダメ…ですか?」
アレス「ダメだね…オレにも用事がある…戦うには実力と覚悟が必要だ…それが足りないなら、頑張って自分を磨く方が先だ…誰かに頼るくらいなら、戻って修行するんだな」
魔法使い「うう…グス」
アレス「ごめんな?…キツい事言って…ナデナデ…でもさ、今のままじゃ、死んじゃうよ?…このザコ戦士が死ぬのは構わないけど、女の子が死ぬのはオレは見たくない…お前たちの元いた町までは送ってやるからさ」
魔法使い「…はい///…わたし、頑張ります!」
商人「仕方ない…戻るか」
商人2「ああ」
アレス「お前たちを送るとは言ってない…もし送るんなら、礼は貰うぞ?…オレだって旅してる以上、金はいるんだ」
商人「…わかりました」
商人2「はい…」
アレス「ちょっと待ってな…」

オレはボコした魔物の元へ行き、回復をかけた

アレス「…パァァァァ」
商人「な、なにを!!」
魔法使い「なんで?!」
アレス「いや、回復だよ…お前たち…」
魔物「う…う…」
アレス「お!…お前は喋るか?」
魔物「う、うん…」
アレス「他のは?」
魔物「喋れるのオレだけ…」
アレス「そっか…痛くして悪かったなぁ…ナデナデ」
魔物「う、うん」
アレス「おい商人」
商人「は、はい」
アレス「なんか食い物あるか?」
商人「あ、あります…」
アレス「出してくれ」
商人「は、はい…ガサゴソ」

アレス「ほら、これやるから勘弁な?」
魔物「あ、ありがと!…いいの?」
アレス「ああ、いいよ…ナデナデ…頑張れな?」
魔物「うん…ウル…ありがと…」
アレス「うんうんw…お前たちもおいで…ナデナデ」
魔物「ありがと…ありがと…」
アレス「生きろよ…じゃあな」
魔物「うん…ほんとにありがと…グス」

アレス「さっ、行くか」
魔法使い「…グス」
商人「…ウル…はい」
商人2「…優しい…」

アレス「さて…魔法使いちゃん、いまだに眠りこけてるアイツを起こしてやって?」
魔法使い「はい…えい!」

魔法使いは小さな火の玉を戦士に投げつけ起こした

戦士「うわあ!…あっちぃ!!」
アレス「ゲラゲラww」
商人「プッww」
商人2「ククww」
魔法使い「戦いの最中寝た罰よ!」
戦士「…生きてる…」
魔法使い「このカッコいい人が助けてくれたのよ…一瞬で」
戦士「…誰だ、お前……ぐぼぉ」
アレス「お前だと?…口の利き方知らねえのか?…メリメリ」
戦士「…あぎゃあ…ず…ずびばぜん…」
魔法使い「ブフww」
アレス「お前も礼金払えよ?」
戦士「え?…は、はい…」
アレス「魔法使いちゃんの分も」
戦士「え?!…な、なんで!」
アレス「当たり前だろ?…お前が誘ったんだろ?…そのせいで死にそうになったんだぞ?…この若さで…ギリギリ」
戦士「…く、くる…わ、わか…」
アレス「わかったか?」
戦士「ゴホ…ゴホ…わかりました…」
魔法使い「ププww」
アレス「よし、行くぞ」
魔法使い「はい!!」

魔法使い「あの…」
アレス「ん?」
魔法使い「さっきはどうして魔物も助けたんですか?」
商人「それ、私も知りたいです」
アレス「魔物ってのはさ、魔物からしたら、人間ってただの食べ物なんだよ…オレらが魚に思うのと一緒…そこに悪意はないだろ?…アイツらだって生きてりゃ、食わないといけない…だからほんとならオレがお前たちを助けるって事は、間違った事なのよ」
魔法使い「ええ…」
戦士「オレらは食われてろって事すか?!」
アレス「そうだ…特にお前みたいなザコはな」
戦士「……」
アレス「オレはアイツらの生きる為の行動を無駄にした…だから代わりに食べ物をやった…そんだけの事だ…お前たちが死ぬのは、弱いお前たちが悪い…世の中は弱肉強食…そんだけの事だ」
魔法使い「…なるほど…」
商人2「そっか…」
アレス「お前たちを助けたのは、ただ通りがかった縁と気まぐれだよ…その気まぐれでアイツらが飢えるのはかわいそうだろ」
魔法使い「…たしかに」
アレス「お前たちも戦いに生きるなら、もっと命の重さを知れ」
戦士「か、かっけぇ…」
商人「うん…渋い…」

もちろんオレは、カッコ良さを狙って言ってる
ミリアもカッコいいと思ってくれてるかな…
ミリアにそう思われないと、あんまり意味がない

その後の道中も、魔物と遭遇し、オレはまあ、いつも通りにこらしめて、逃した

そうしてオレとミリアは、新たな町に辿り着いた
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