母ちゃんとオレ

ヨッシー

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母ちゃんと父さんとオレ

3話

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オレは1日おきに、ユウトくんたちと遊ぶのと、母ちゃんと遊ぶのをしてた
そんで夜9時以降は勉強を頑張った

ユウトくんとハルさんと遊ぶ時は、まず2人の宿題を教えながら終わらせて、それから遊んだ

母ちゃんとはやっぱり一緒にゲームをした

父さんが早めに帰ると、父さんとも話した

前回は知らなかったけど、父さんは忙しいだけで、優しくて頼りになる人だった
オレは父さんも好きになった
父さんも真面目に勉強してるオレを気遣って、『何か欲しいもんないか?』とか聞いてくる
けど、オレは前回の人生から物欲がないから欲しい物がわからない
ノートや筆記用具なんかの消耗品は、なくなったら欲しいけど、小遣い貰ってるし、全然問題なかった
無駄遣いしないオレは、ベイブレードも小遣いで余裕で買えたし

ユウトくんたちとも、家族とも上手くいってると思うんだけど…
ただ、気になるのは前回よりも、母ちゃんとハルさんがオレにべったりな感じがするとこだ

そして、9歳になって、母ちゃんの様子がちょっと変だと気付いた

まさか…

オレは母ちゃんの浮気が始まったのかと思った
母ちゃんに聞いてみようかと思ったけど
もしも母ちゃんが浮気してたら、正直に答えてはくれないだろう
バレないように様子を伺うか?とか考えてたら
母ちゃんの方から言い出した

「ねえ、カオくん…」
「ん?」
「母ちゃんさ、パート先で社員の人に言い寄られててさ…」
「うん」
「しつこくて困ってるんだよね…パート行くの嫌だよ…」

これはもしかして、前回の浮気相手なんじゃないかと思った
前回は寂しかったから、ソイツに流されたけど、今回はそうじゃなくなったんだと思う

「母ちゃん、それはセクハラとかパワハラ、モラハラとかそういうのだよ」
「…おお…そうなの?」
「うん」
「どうしたらいいと思う?」
「母ちゃん、そういうふうにされるのって、どんな時?」
「えっと、休憩時間だよ…その人、たぶん、わざとわたしと2人で休憩になるようにしてるんだと思う…いつも一緒だからね…」
「それは休憩室?」
「そう…」
「じゃあ、休憩室のどこかにスマホを隠して、その様子を撮影するといいよ」
「ああ…なるほどぉ」
「ちょっと待っててね…」

オレは黒い紙袋を探して、その紙袋のマチに、スマホのカメラレンズが出るように穴を開けて、スマホを固定した
このスマホは前に父さんから貰ったやつ

「母ちゃん、ほら…これをちょうど映るとこに置いて、動画を撮るの」
「おお…カオくん天才!!」
「へへw…でも、母ちゃんの休憩んときだけ撮るようにしてね」
「ああ、電池もたないもんね」
「それもあるけど、たぶん他の関係ない人の休憩時間を撮影とかしたら、ヤバいと思うんだ…プライバシー的なので」
「ああ…そっかあ…」
「オレも詳しくはわからないけど、盗撮とかになっちゃうと思う…それは犯罪だから」
「うん、わかった!」
「母ちゃん、ちゃんと練習しよう」
「どうやって?」
「休憩室で話しかけられる時って、テーブルに並んでる?」
「うんうん」
「そのテーブルの高さはどのくらい?」
「うーんとね…母ちゃんのここくらい」
「このダイニングのテーブルくらい?」
「…うん、だいたいそう」
「じゃあ…

オレは紙袋をどの距離に置けばいいのか、あと、スマホの重みで斜め上に向いてしまうのを防ぐ工夫とかも考えた
そんで、母ちゃんに紙袋をベストポジションに置いて、カメラを起動させる練習をさせた

「母ちゃん、これならバッチリだ」
「やったあ!…カオくん探偵になれそうw」
「オレは探偵より弁護士になりたいw」
「頼もし~…ギュ…我が子ながらカッコいいわ…チュ」
「あははw…母ちゃん、顔に出やすいタチだから、カメラ回しながらオレと話そうよ…カメラ意識しないで」
「う、うん…そうだね…カオくんの方が大人みたいw」
「そんなことない…ギュ…オレ母ちゃんが大好きだから、父さん以外の奴に母ちゃんを触ってほしくないから…これでも必死なんだ…ギュ」
「カオくん…グス…わたし、カオくんに悲しい思いなんかさせないよ」
「母ちゃん…ギュ」

このやりとりもバッチリ録画されてて、後から見たら少し恥ずかしかったw
だから消そうとしたけど、母ちゃんは消さなかった

「ヤダヤダ消さないw…感動の場面だもんw」
「ええ~…まあいいけど…母ちゃん、嫌かもしれないけど、一週間は頑張って録画してね」
「一週間も?!」
「うん…証拠は多い方が有利だから」
「わかった!…で、これを録画出来たらどうするの?」
「父さんに見せるだけでいいよ」
「父さんに?…ええ~…父さんに見せるのヤダなあ…」
「うん、父さんも相当嫌だと思う…だから本気でその人に報復するよ」
「そっか…」
「母ちゃんはその人の事どう思う?…好き?嫌い?」
「うーん…どっちかっていうと嫌い…でも、すんごい嫌いでもないかな…」
「そっか…じゃあ、その人の人生を狂わせるほど追い詰めない方がいいね…後で何されるかわからないし」
「…そうだね…うわ、なんか怖い…」
「その事は母ちゃんが父さんには言わないで?…母ちゃんが言ったら父さんはヤキモチ妬いて、追い詰めちゃうかもしれないから…オレが言うからね」
「うん…すっごい頼りになる!…子どもと思えないよ…やっぱあの人の子なんだねえ」
「母ちゃんを守りたいだけだよ」
「カオくん大好き…チュ…」

そうして練習の甲斐あって、母ちゃんは上手く証拠を集めるのに成功した
それを父さんに見せると、父さんは怒って、すぐに弁護士に連絡した
オレがあまり追い詰めないように言うと、冷静さを取り戻した

「カオくん…すごくムカついたけど、カオくんの言う通りだ…もし、こいつが逆恨みしてストーカーになったりしたら、大変な事になるな」
「うん」
「よし…ありがとうカオくん…なんて賢いんだ」
「ね!…すっごいカッコいいよね!」
「えへへ///」

それからその社員は店舗を異動することになって、母ちゃんに接近禁止になった
接近したり、直接LINEや電話なんかがあった場合、一回につき10万円の罰金というのと、弁護士費用を支払わせる事で決着した

オレは母ちゃんの浮気を回避することができて、満足した
14年前に戻った甲斐があった

その後はその人は、母ちゃんに一切関わらなかった
そりゃそうだ
まだ恋愛にも発展してない人に、罰金まで払ってまで近づく人はそうはいない

でも、その事があって以来、母ちゃんは前にも増して、オレにべったりになった

オレはちょっと…それが心配だった
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