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2章

鬼ヶ島

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「う…てて…」
「おい、しっかりしろ!」
「うう…」
「ど、どうすんだよコレ…これじゃ帰れねえぞ…アルファよぉ」
アルファ「すまん…とにかく無事か?シータ、ツェータ、オミクロン」
ツェータ「身体はオメガのおかげで大丈夫だが」
オミクロン「シータ…おい!」
シータ「う…大丈夫」
アルファ「…ツェータ…宇宙船の様子見てくれ」
ツェータ「わかった…」
アルファ「シータ、オミクロン…どうやらこの島には厄介になりそうだ…探索に行くぞ」
シータ「しゃあねえな…」
オミクロン「へいへい」

ここは内海…現代では東京湾に当たる場所で、その中の小さな無人島であった
この者たちはいわゆる異星人で、人口が増えすぎて星の資源が枯渇した為、新天地であるこの星にやってきた
しかし、乗ってきた宇宙船は着陸に失敗し、壊れてしまっていた

オミクロン「ま、最悪帰れなくても、どうせこの星に住むし…あんま気にしたってしょうがねえって」
アルファ「お前はお気楽だよなあ」
シータ「クソが」
オミクロン「だって深刻に考えたとこでどうしようもねえじゃんw」
シータ「能天気クソ野郎が」
アルファ「お前ももうちょっと言葉遣いをな」
シータ「うるせえぞ、説教じじい」
アルファ「じじい…オレはまだ30だっつーの」
シータ「じゃあ説教おじさん」
オミクロン「たしかにww」

3人はそんな事を言い合いながら、島をぐるりと回ったが、1時間も歩くと元いた海岸に戻ってしまうような小さな島だった

オミクロン「小せえ島ww」
シータ「こんなとこじゃなんも出来ねえよ…」
アルファ「うーん…ツェータ…どう?」
ツェータ「中破ってとこだ…通信機能も壊れてる…」
アルファ「直せそうか?」
ツェータ「うーん…せめて素材が…金があればな…」
アルファ「とりあえず…探索機飛ばすか」
ツェータ「すまん、オレのオメガのカートリッジが壊れてて探索機が出ない」
オミクロン「しゃあねえな…」
シータ「全部クソパイロットのクソ説教おじんが悪い」
アルファ「…もうちょっとこう…優しくして?」
オミクロン「そうだぜ?…クソパイロット説教おじさんだって心はあるからな?ww」
アルファ「こいつら…ま、まあホラ…探索機出せ」

アルファたちの着てるスーツから粒子が出て、アルファからは犬、オミクロンからは猿、シータからはキジの外観をした機械が出てきた
それはまるで本物の獣に見えた
事前に地球を調べ、地球の獣そっくりに作り上げた探索機だった

オミクロン「案外オニールの動物とそんな変わらねえよなww」
シータ「おーよしよし…ナデナデ」
探索機1号「よせ…犬ではない」
シータ「かわいくねえ…」
探索機2号「命令を言えよ」
アルファ「適当に飛んで…陸地や知的生命体を確認してこい」
探索機3号「了解だ」
ツェータ「1号と2号は飛ぶ時はステルスにしろ…犬や猿は普通飛ばないからな」
1号「わかっている」

そうして3つの探索機が飛んでいった

それから10日後
オミクロン「なあ…探索機ども今頃何してっかなあ」
アルファ「さあなあ…」
シータ「ほんとクソだよな…お前」

探索機を飛ばしたはいいが、通信機が壊れているので連絡が取れない上、『10日で戻れ』などの指示もなかったため、探索機たちは当てもなくウロウロしているだけだった

アルファ「悪かった悪かったって…ほんともう優しくしてよ」
シータ「うるせえ」
ツェータ「おい!」

アルファ「なんだ?」
ツェータ「あれは船みたいだ…ここの生命体の」
オミクロン「こっちに来るぜ」
ツェータ「殺すか?」
アルファ「待てよ、なんでそう物騒なんだよ…」
オミクロン「けど、どっちにしろそうなるんだろ?」
アルファ「他勢に無勢だろうが…」
シータ「攻めてくるならやるしかない」
ツェータ「まあリーダーの言うことも聞いてやろう」
シータ「コイツの言う事聞いてたからこんななっちまったんだろ」
アルファ「…グス」
オミクロン「言い過ぎだぞ、お前!…なんならお前なら全て大丈夫だった自信あんのか?」
シータ「…ふん」
アルファ「あ、ありがと…」
オミクロン「おめえもリーダーならシャキッとしろww」
アルファ「うん」

やってきた船は江戸幕府の船であった

船長「なんだあの奇妙な大きいもんは」
側近「さあ…」

船長「誰かおるのか!!」

シータ「なんかわけわからん言葉で叫んでるぞ」
アルファ「ああ…この星の言語はインプットしたのに…」
ツェータ「地球言語6だ」

4人は地球言語6を即座に脳内に取り入れた

船長「誰か!」
アルファ「はいはい…」
船長「む!」

乗組員たちが鉄砲をアルファたちに向ける

シータ「弱そうな武器だな…」
ツェータ「シッ」

船長「なんと奇妙ないでたち…おぬしらは何者だ!」
アルファ「我々はオニールと言うところから来た…」
船長「鬼…だと?」
側近「倒しますか?」
船長「待て…おぬしらは何しに来たのだ?」
アルファ「えっと…この星に住もうと思って」
船長「この星?…星とは?」
アルファ「ここの事だ…この島の事じゃないぞ、もっと全体的に…」
船長「なんだと?…それは認められん」
アルファ「なぜ?」
船長「当たり前だ…お前たちのような正体もわからん奇妙な者たちを素直に受け入れると思うか?」
オミクロン「ま、もっともだわなwww」
側近「ひかえろ!無礼であるぞ!」
ツェータ「ふん!」

ツェータはあっという間に側近に近寄り、強烈なパンチを腹に入れた

船長「撃て!!」

鉄砲隊が一斉にアルファたちを撃つ
しかし、アルファたちには全く効いていなかった

シータ「こんな弱い武器なのか…」
ツェータ「予想以上に弱いな」
オミクロン「どうするよww」

船の隊員たちは鉄砲をくらっても普通にしているアルファたちに驚いたが、船長が刀を抜き、アルファに襲いかかると、隊員たちもみんな続いた
アルファたちは応戦した
人数の差は50対4だが、戦力差は圧倒的にアルファたちが上であった

アルファ「待て、あまり殺すな!」

船長は瀕死になり、船員たちの半数は死んだ
残ったのは瀕死の船員たちと、船に残った数名だった

アルファ「おい船長さん…金を持ってこい…あるだろ?…金…それが必要なんだ」
船長「ぐ…おのれ…」
アルファ「ほらよ!…船長は返す…金を持ってこい…10日だけ待ってやる…」

オミクロン「いいのか?…あの判断…」
ツェータ「さあな…」

船長は命からがら江戸の港へ帰りつき、お上にこの事を伝えた

将軍「鬼…と申すか…そして鬼の住む島…鬼ヶ島か…」
船長「はい…やつらにはまるで歯が立ちませんでした…」
将軍「ふむ…船と大砲を集め、戦の準備を」

そして5日後
この日、桃太郎は食料を買いに江戸の町に来ていた

桃太郎(せっかく来たし…平蔵さんに会いに行こう)

桃太郎はそう思い立ち、火付盗賊改の役宅に向かった

平蔵「おお…久しぶりではないかw…元気にしてたか?」
桃太郎「うんw…おママもパパスも元気さ」
久栄「ああ、桃太郎…全然顔を見せないで…」
桃太郎「久栄さま…ギュ…ごめんね」
久栄「桃太郎や…ギュ」
平蔵「桃太郎の背中にあるのは…そりゃ剣か?」
桃太郎「あ、うん…オイラの作った剣…でも刃はついてないよw」

桃太郎はグレートソードを抜き、掲げて見せた

平蔵「ごっついのうw」
久栄「そんなに軽々とww」
平蔵「おい忠吾、ちょっと持たせてもらえ」
忠吾「え?…あ、は!…わたしにかかればこんなものの一つや二つ…」
桃太郎「はい」
忠吾「うわ!…ちょっと…あたたた」

忠吾はグレートソードの重さに耐えきれず、地面に這いつくばった

平蔵「わっはっはっはww」
久栄「おほほほww」
桃太郎「もっと鍛えろよw」ヒョイ
平蔵「そんな剣で叩かれたら並の剣では受け切れまいな」
桃太郎「だと思う」
久栄「桃太郎は今も修行を?」
桃太郎「うん…修行もしてるけど、おママと釣りしたり、パパスと畑の真似事したりして…まあ、楽しくやってるよ」
平蔵「楽しそうだな…」
忠吾「お雪さん…デレデレ」
桃太郎「…お前、今何を想像したんだ?」
忠吾「い、いや!…なにも!」
平蔵「お前の頭は年がら年中、女の事ばっかりだな…まあ、桃よ、許してやってくれw…お雪さんはたしかに美しいでな」
桃太郎「まあいいけど…」

そこへ筆頭同心の酒井が血相を変えて、やってきた

酒井「おかしら!!」
平蔵「む、どうした?」
酒井「は!…例の鬼退治に向かった軍船たちが…先程港に帰港しました…」
桃太郎「鬼退治?」
平蔵「帰港して…それが?」
酒井「軍船は最初は10隻…ですが、帰港したのはたったの5隻…それもボロボロのていで…」
平蔵「な、なにぃ?!」
酒井「おかしらにも来るよう伝えろと…」
平蔵「よし、わかった…馬を用意しろ」
桃太郎「平蔵さん…オレも行くぞ」
酒井「いやしかし…」
平蔵「よい…桃よ、共に行こう」
桃太郎「うん!」

そうして平蔵は馬で、桃太郎は走って港へと向かった
見るとたしかにボロボロの軍船が5隻停泊していて、ひっきりなしにケガ人が運び出されている

「来たか長谷川平蔵」
平蔵「これは京極様…」

京極備前守という、火付盗賊改、長谷川平蔵の上司が待っていた

京極「我らが江戸の誇る水軍が、あっという間に…なすすべもなくやられたそうだ」
平蔵「そんなに強大な相手…ですか」
京極「ふむ…我らの手に余る存在と言えような…」
平蔵「きゃつら…ここに攻め入るつもりでしょうか…」
京極「おそらく…遅かれ早かれそうなるのであろうな…平蔵よ…おぬしの配下の者を使い、鬼どもが来たらすぐにわかるように手配をするのだ」
平蔵「は…」
京極「どうか江戸の町を守ってやってくれ…お前たちの役目とは違えど、他に頼りになる者はおらん…」
平蔵「この命にかえましても…」

それだけ言うと、京極は帰っていった

桃太郎「平蔵さん…」
平蔵「しかし…大砲も効かぬ相手からどう守れば…」
桃太郎「平蔵さん!」
平蔵「おお!…すまぬ…大変な事になったなw」
桃太郎「平蔵さん、2日後に小さくていいから船を用意してくれよ」
平蔵「なぜ?」
桃太郎「オイラが退治してやるよ」
平蔵「桃…お前が強いのはよくわかってるが…無謀だ」
桃太郎「かもしれないけどさ…オイラはみんなを守る為に修行したんだ…こんな時に勝てなそうだからって家に引きこもってられない…船を用意してよ」
平蔵「だが…もしも桃が死んだら…おママもパパスもオレも久栄も悲しい…」
桃太郎「わかってる…だから死なないよ…平蔵さん…船を用意してくれないなら、勝手にかっぱらってでも行くぞ」
平蔵「1人でか?」
桃太郎「うん…オイラ1人でいい…そんな強え相手に何人か連れてっても、オイラの足手まといになるだけだ」
平蔵「…わかった…3日後にあそこに用意しておこう」
桃太郎「ありがとw…オイラ今日はこのままおママんとこ帰って、3日後に来るよ」
平蔵「わかった…3日後の正午に待っている」
桃太郎「うん…またね」

桃太郎は素早く身を翻すと、猛スピードで走って山小屋まで帰っていった

山小屋
桃太郎「ただいま~」
お雪「おかえり~…ギュ…」
吾郎「ん?…買い物の荷物は?」
桃太郎「なんかさ…それどころじゃねえんだよ」
吾郎「どうしたの?」
桃太郎「今ね、江戸の内海に鬼が居るんだって…」
お雪「…え?…からかってるんじゃなくて?」
桃太郎「え?…うん…オイラがおママをからかうわけないだろ~ww…ギュ…グルグル」
お雪「おぶわ~…おおお~…あはははww」
吾郎「ゲラゲラwww」

お雪「うう…ゲボぉ!…」
桃太郎「ごめんよ~…サスリサスリ」
お雪「だ、大丈夫…うぼあ」
桃太郎「ごめんごめん…サスリサスリ」
お雪「楽しかったから大丈夫w」
吾郎「お雪w…じゃあその鬼の話は本当っていうわけだ」
桃太郎「うん…江戸の水軍船が10隻さ、あっけなく全滅したってよ」
吾郎「え?!…た、大変じゃないか!」
桃太郎「うん…今は内海の孤島に居るって…」
お雪「そ、それで…わたしたちはどうするの?…逃げるの?」
桃太郎「ううん…オイラがちょっと行ってこらしめてくるよ」
吾郎「そ、そんな危ない!」
お雪「だ、ダメぇ!…ゲレちゃん死んじゃったらどうするの!」
桃太郎「オイラは死なないよ…おママとパパスを悲しませるオイラじゃねえんだ」
お雪「いやだよぅ…グス…」
桃太郎「ごめん、言ってるそばから悲しませて…ギュ…けどよ、オイラは逃げるために修行してたわけじゃねえから」
吾郎「もう決めちまってるのか…」
桃太郎「そうだ…今までもたくさん死んだ…オイラはもう、そうはさせねえ」
吾郎「……わかった」
お雪「吾郎さん!」
吾郎「お雪…ゲレちゃんは言い出したら聞かねえよ?…特に『守る』って事に関しちゃ…そうだろ?」
お雪「…グス…だけど…」
吾郎「だったらさ…ゲレちゃんが元気に戦えるように…ゲレちゃんが必ず生きて帰って来れるようにしてやるのが親ってもんだよ…」
お雪「…うう…」
吾郎「ゲレちゃんも男だ…誰よりも立派なね…その男の決断なんだ…危ねえからって止めるのは愛じゃねえ…そうだろ?」
お雪「…うん…」
吾郎「だからさ…お雪はゲレちゃんが力つくように、美味い料理をいっぱい作ってやれ」
お雪「うん!」
桃太郎「パパス…おママ…ありがと…すまねえ」
吾郎「その代わり…必ず帰って来るんだぞ」
桃太郎「約束する」
吾郎「ゲレちゃん…役に立つかわからねえけど…オレの必殺技を今こそ伝授する」
桃太郎「え?…そんなのが?」
吾郎「ああ…ついておいで?」

吾郎は普通の斧を持って、桃太郎はお雪を抱っこして、幼き日に2人で木を切った場所に向かった

桃太郎「懐かしいや…」
吾郎「ゲレちゃん…これから見せる技は威力は大きいが…隙も大きい…でもゲレちゃんならきっと上手く使えると思う」
桃太郎「うん…見せてくれ」
吾郎「オレも若くねえからさ…一回しか見せてやれねえかもしれねえ」
桃太郎「十分だ」
吾郎「お雪にも初めて見せるなw」
お雪「うん…隠してたなんてずるい!」
吾郎「ごめんw…後でしっぺしていいから」
お雪「おーし!」
桃太郎「あははw」
吾郎「あくまで木を切り倒す技だからな?…無理に活用しようとはするなよ?」
桃太郎「うん…」
吾郎「じゃあやるぞ?…見とけよ、見とけよ~?」

吾郎はいつものように木に手を合わせ、感謝の言葉を念じると、しゃがみ気味に斧を構えた

吾郎「メテオ!…ストライク!!」

普通の斧だった為、『ガツーン!』ともの凄い威力で斧が当たった後、柄が折れて斧の先がグルグルと回転しながら吹っ飛んでいった

桃太郎「おおお!…すげ~!…パパスかっけぇ///」
お雪「吾郎△///」(吾郎さんかっけえ)
吾郎「だるるお?///…これがメテオストライクだ」
桃太郎「おし…パパス、おママを…」
吾郎「おう」
お雪「おママ、自分で立てるようw」
桃太郎「ダメw…オイラがメテオストライクをしてなんかあったらおママじゃ避けれないもん」
お雪「あ、そっか…」
吾郎「こっちは任せておけ」

桃太郎も木に手を合わせ、感謝を述べると、グレートソードで吾郎と全く同じ構えをした

桃太郎「行くぞ…メテオ…ストライク!!」

グレートソードは木に当たっても止まらず、そのまま木を真っ二つにして地面に当たり、地面が爆散し、木は桃太郎の方へ倒れた

桃太郎「すっげえw」
吾郎「ヒャッハー!」
お雪「マンマミーヤ…」
桃太郎「声高っ!」
お雪「うんw…ビックリして思わず変な声出ちゃったw」
吾郎「オレもw」
桃太郎「パパス…こいつはオイラの剣技の中でも最高の威力だ…ありがと!」
吾郎「無理には使うな?…隙が多いからな」
桃太郎「わかってるってw」
お雪「そうよぉ…ゲレちゃんは達人なんだから」
吾郎「それもそっかw…とりあえずこの木は後で売れるようにしよう…一旦小屋に帰ろうか」
桃太郎「うん」

そうして夜はご馳走を作り、3人で食事を楽しんで、たくさん話をして、それから寝た

翌朝
桃太郎「そんじゃ…行ってくるね」
吾郎「ああ…ギュ…」
お雪「ゲレちゃん…ギュゥ…ちゃんと帰ってきてね…チュゥ」
桃太郎「うん…チュゥ」
お雪「…これ…たくさんおにぎり」
桃太郎「おお!…やったw」
お雪「…大好きよ…ゲレちゃん…ギュ」
桃太郎「オレも…ギュ…パパス…おママを頼むよ…ギュ」
吾郎「わかってる…必ず帰れよ…ギュ」
桃太郎「…じゃあ」

こうして2人と別れて、桃太郎は町へと歩いていく
1時間ほど歩くと、きつね色した犬がウロウロとしていた

桃太郎「おう…ポチ!…おいで!」
犬「わん!」

この犬はアルファの探索機である1号だった
1号はこの人もいない山の中に着陸し、生命体を探してずっとウロウロしていた
なので、初めて見かけた生命体である桃太郎を見て嬉しく思った
犬は桃太郎にしっぽを振って近づく

桃太郎「よーしよしよし…ナデナデ…ははw…かあわいいw」
犬「わん(知的生命体発見)」
桃太郎「おーし!…おめえにおママのウルトラスペシャルおにぎりを分けてやる!」

桃太郎はそう言うと、激うまのおにぎりを一つ犬に差し出した
しかし機械である1号は食べ物を食べたりはしない
1号はそっぽ向いて『いらない』とアピールした

桃太郎「なんだと?…おめえ…せっかくのおママのおにぎりを食えねえだと?…このバカ犬が!」
1号「くぅ~ん(なんだと…コイツの生体エネルギーが上昇していく)」

桃太郎は1号をヘッドロックして、無理矢理におにぎりを口にねじ込もうとした
1号は暴れて、桃太郎の腕から離れると、桃太郎に攻撃をしかけた
桃太郎はそれをなんなく手で払い、首ねっこを掴んだ

桃太郎「元気なやつだなあ…腹減ってねえのか?」

1号は首を掴まれ、宙にぶら下がった状態だったが、胴体から翼が出て、そこから小型のミサイルが2発放たれた
ミサイルは一旦空に舞った後、桃太郎めがけて飛んできた
桃太郎は1発目を裏拳で弾き、2発目をつまんで捕まえた
弾かれた1発目は近くに落ちて爆発し、その衝撃が桃太郎を襲った
桃太郎はとっさに1号を抱きしめて、その衝撃から庇った

1号(なぜ敵である私を?…理解不能)

しかし、1号はもう1発の桃太郎が手に持っているミサイルを、なぜか爆発させる気にならなかった

桃太郎「すげ~w…今時の犬ってあんな事できんのか?w…大丈夫だったか?ポチ…」
1号「わん」
桃太郎「ごめんな…おママのおにぎり嫌がられて、オイラもムキになっちゃった…嫌な事してごめん…ギュ…」
1号「くぅ~ん…(なんだ…この気持ち…理解不能…)」
桃太郎「ほら…おめえのこの…なんだコレ…とりあえず返すよ…ここにつけられるのか?…よっ…パチ」
1号「わん…」

1号は元の犬の姿に戻った

桃太郎「ん?…やっぱちょっと元気ねえなあ…ほら、食ってみな?…美味いからよ」
1号「……」
桃太郎「いらねえのか?」

1号は食べる機能は付いていなかったが、なぜか拒否してはいけない気分になり、自分でも理解出来なかったが、おにぎりを口に入れた

桃太郎「お…ははw…美味えだるるお?w」
1号「わん!」フリフリ

1号(な、なんだこの理解不能な感情は…しかし…)
1号(なぜか…あたたかい…)

桃太郎「どした?…具合悪いか?…かわいそうに…ギュ…」
1号「くぅん…ペロペロ」
桃太郎「オイラさ…これから町まで行くから、付いてきな?…医者に見てもらってやる」
1号「わん!…大丈夫だ」
桃太郎「え?…しゃべったあああ!!」
1号「驚かせてすまない…私は探索機1号というのだ」
桃太郎「お、おお…ドキドキ…オイラは桃太郎…でも『ゲレゲレ』でいいよ」
1号「ゲレゲレ?…わかった」
桃太郎「出来ればゲレちゃんがいいけど」
1号「わかったゲレちゃん…私はゲレちゃんについて行く」
桃太郎「そうお?…具合は大丈夫?」
1号「大丈夫…ゲレちゃんに興味あるのだ」
桃太郎「ふうん…けどよ、た、たんさく…」
1号「探索機1号だ」
桃太郎「それ長えからさ…そうだな…今からおめえは『ボロンゴ』な?」
1号「わかった…コードネーム『ボロンゴ』と認識する」
桃太郎「は?…意味わかんねえ事言ってんじゃねえよw」
ボロンゴ「つまり私はボロンゴだ」
桃太郎「うん…おし!…けど、犬って喋るもんなのか?…最近のはそうなのか?」
ボロンゴ「いや…私は特別だ…だから他では喋らないようにする」
桃太郎「そうお?…おめえ、見た目に似合わずかてえ喋り方すんなあ」
ボロンゴ「すまん…」
桃太郎「まあ、いいよw…ボロンゴはボロンゴだもんなw…よし、行こう」

お雪のおにぎりを食べた時、ボロンゴはアルファを主人とするプログラムが破壊され、桃太郎に再プログラムされた
そうして文字通り忠実な犬と化したボロンゴは桃太郎の相棒として同行する事になった

それからまた1時間ほど歩くと、今度は猿とでくわした
それは探索機2号だった
2号も1号と同じく、知的生命体を探してウロウロしていたのだ

桃太郎「おお?…今度はエテ公じゃねえか」
ボロンゴ「ゲレちゃん…あれは猿に見えるが猿じゃない」
桃太郎「どういうこと?」
ボロンゴ「あれは私と同じ…
桃太郎「危ねえ!…ギュ…サッ」

2号は桃太郎に猛スピードで近づき攻撃してきた
桃太郎はボロンゴを抱っこして、とっさに飛び退いた

2号「ガルルル」
桃太郎「なんだ凶暴だな…」
ボロンゴ「少し壊れているようだ…」
桃太郎「なんだって?…かわいそうに」

2号はなおも桃太郎にしつこく襲ってくる

桃太郎「ごめん!…バシ!」

桃太郎は2号の背中に手刀を押し付けて、地面に抑え込んだ
2号は暴れるが、桃太郎の凄まじい力から逃れられない
ボロンゴは口から細い棒のついた紐状の物を2本出し、2号の後頭部をいじった

桃太郎「ボロンゴ…大丈夫なのか?…この猿死んだりしねえか?」
ボロンゴ「大丈夫だ…2号の異常を直している…ゲレちゃんはそのまま抑えてくれ」
桃太郎「わかった!…ボロンゴを信じる」
ボロンゴ「…ありがとう」

次第に2号は暴れるのをやめ、大人しくなっていき、動かなくなった

桃太郎「おい、ボロンゴ…死んではいねえのか?」
ボロンゴ「大丈夫」

桃太郎は2号を抱き上げ、抱っこして撫でた

ボロンゴ「先程の『おママのウルトラスペシャルおにぎり』を2号の口にねじ込んでやってくれ」
桃太郎「うん」

桃太郎は2号の口を開け、おにぎりをねじ込んだ
2号は目を覚まし、喋り始めた

2号「おお~…なんか久しぶりに正気に戻ったわw…ありがとよ」
桃太郎「また喋るしw」
2号「あんたが助けてくれたのかい?」
桃太郎「うん、オイラとボロンゴでな」
2号「ボロンゴ?…え?1号?」
ボロンゴ「1号ではない、ボロンゴだ」
2号「いや1号だろ…」
桃太郎「お前はどうする?…オイラと来るか?」
2号「…うん…なんかオレ、お前が好きだわw」
桃太郎「そっかw…オレは桃太郎…でも『ゲレちゃん』って呼んでくれ」
2号「うん、ゲレちゃん…ギュ」
桃太郎「あはははw…かわいいなあw…ナデナデ…おし…おめえもなんたら2号とかって言うのか?」
2号「おう…探索機2号だ」
桃太郎「ふーん…でも今からお前は『プックル』な?」
2号「プックル?…わかったw」
桃太郎「おしおしw」
ボロンゴ「プックル…町に着いたら喋るなよ?」
プックル「わかってるよ」
桃太郎「じゃ、行くぞ、ボロンゴ、プックル」
プックル「おお~!」
ボロンゴ「了解した」

こうしてまた主人を桃太郎に再プログラムされ、猿のプックルが仲間に加わった

それからさらに1時間歩くと、今度は空から雉が舞い降りた
まあ、それは探索機3号だ

桃太郎「おお~…キレイな鳥だな…」
3号「1号、2号…なぜこの星の生命体と仲良くしてるのだ?…作戦か?」
桃太郎「まあた喋るよ…」
ボロンゴ「あれは3号だ」
プックル「おまえ、飛べるのにこんなとこウロウロしてたんか?」
3号「質問に答えろ」
ボロンゴ「ゲレちゃんがマスターになったからだ」
3号「なに?…壊れたか?」
桃太郎「マスター?…なんだそれ」
プックル「うーん…まあオレらの親みたいなもんだ」
桃太郎「マジかww…彼女も出来た事ねえのにww」
ボロンゴ「そうなのか?…モテないのか?」
桃太郎「いや、そんな事はねえ」
プックル「ゲレちゃんはモテるだろw…優しいもん」
3号「どうやら本当に壊れたらしいな…では破壊する」

3号はそう言うと、空から猛スピードで襲ってきた
ボロンゴとプックルが応戦し、プックルがはたき落とすと、ボロンゴが噛みついた

桃太郎「待て待て待て!…やめろよ、ボロンゴ…かわいそうだろ?」
ボロンゴ「こいつは生き物ではない…大丈夫だ」
プックル「ちなみにオレらも生き物じゃねえよ」
桃太郎「バカヤロウ!!」

桃太郎に怒鳴られて、ボロンゴもプックルも3号も驚いた

桃太郎「お前らは生き物だ!…ちゃんとこうしてオイラと喋って、一緒に笑ってるじゃねえか!…オイラはお前らの正体はわかんねえけど…オイラには友達だ…生きてるんだ!」
ボロンゴ「ゲレちゃん…」
プックル「ゲレちゃん…」
桃太郎「悲しい事言うなよ…ギュゥ」
ボロンゴ「ごめん…」
プックル「ごめんよ…ゲレちゃん…ギュ」
3号「すっかり飼い慣らされてるな」
桃太郎「飼い慣らしてるんじゃねえ、友達だ…お前だってオイラの敵じゃねえ…ギュ」
3号「う…」
ボロンゴ「不思議な感覚だろ?」
プックル「よくわかんねえけどさ…なんかいいだろ?」
3号「し、しかし…」
桃太郎「なあ…お前はボロンゴとプックルと友達なんだろ?」
3号「別にそんなのではないよ」
桃太郎「じゃあ今からそうなれよ…それとも嫌いなのか?」
3号「嫌い?…そんな感情はない」
桃太郎「じゃあそうしろや」
ボロンゴ「私はそれで構わない」
プックル「おお…3号、おめえも難しい事考えねえでよ…ゲレちゃんは優しいぞ」
桃太郎「まあいいよ…友達ってな無理強いするもんじゃねえから…とりあえず腹減ったし、おにぎり食おう」
プックル「オレももう一つ貰っていいか?」
桃太郎「いいよw…おママ張り切ってすげ~作ったからw」
ボロンゴ「おママとは?」
桃太郎「おママってのはオイラの母ちゃんさ…うま!…最高…ほれ、お前も食え」
3号「オレには食べる機能はない」
桃太郎「けどプックルは食ってんぞ?」
プックル「おおw…なんかこれ調子良くなるわw」
ボロンゴ「本当か?」
桃太郎「ボロンゴも食う?」
ボロンゴ「いただく」
桃太郎「うめえ…おママ、ありがとな…」
ボロンゴ「…たしかに…調子が良くなった」
3号「本当か?」
桃太郎「ほれ」
3号「ふうむ…」

3号は桃太郎の手に乗ってるおにぎりの欠片をついばんだ
例によってプログラムが書き換えられた

桃太郎「美味いだるるお?」
3号「美味いかはわからないけど、調子は良くなった」
桃太郎「そっかw…良かったな…ギュ…ナデナデ」
3号「オレも…一緒に行っていいかい?」
桃太郎「ダメと言うと思うか?w」
3号「へへw」
桃太郎「オイラは桃太郎…でも『ゲレちゃん』って呼べ」
3号「うん」
桃太郎「お前は今からチロルだ」
3号「チロル…わかったw」
プックル「良かったな、チロル」
ボロンゴ「ゲレちゃん…町にはあとどのくらいで着く?」
桃太郎「あと3時間くらいかな…歩きだと」
ボロンゴ「走るか?」
桃太郎「そうだな…暗くなる前に着きてえ」
チロル「人間は暗くなると見えないらしいな」
桃太郎「そうだよ…チロルは見えるのか?」
チロル「見えるよ」
プックル「余裕だぜw」
桃太郎「いいなw…おし!…じゃあ走るか!」

桃太郎は立ち上がると走り始めた
桃太郎の足は尋常ではなく速いが、ボロンゴたちには余裕のスピードだった
特に空を飛んでいるチロルは速い
そうして走り続け、夕方前には町に着いた
約束は翌日の正午なので、まだ時間はある

ボロンゴ「ところでゲレちゃん、町にはどんな用事が?」
桃太郎「鬼退治さ…明日の昼、船で内海にある島に居る鬼をやっつけるんだ」
プックル「ふうん…」
桃太郎「すげ~強いらしいからさ…ボロンゴたちは危ないから待ってろよ」
ボロンゴ「いや、一緒に行くよ」
桃太郎「死ぬかもだぞ?」
プックル「大丈夫…ゲレちゃんと一緒に居たいんだ」
チロル「それにオレらも戦えるんだぜ」
桃太郎「覚悟はあるのか?」
ボロンゴ「…ああ」
プックル「あるある」
チロル「大丈夫」
桃太郎「じゃあわかった…今日はとりあえず師匠のとこに泊まらせてもらうか」
ボロンゴ「師匠?」
桃太郎「うん、鍛冶屋のじじいだ」
プックル「そろそろ人間が多くなってきた…話すのやめるぜ、ゲレちゃん」
桃太郎「ああ…うん」

今の桃太郎は肩に雉を乗せ、左腕に猿を抱き、横に犬がついてきている状態で、桃太郎自身もイケメンな上、背中にデカい剣を担いでいるので、相当目立っていた
そんな視線も桃太郎は気にもせず、鍛冶屋に向かった

鍛冶屋
桃太郎「おい、師匠!」
師匠「おお!…その無礼な声は!」

師匠「ゲレ…なんだその鳥やら猿やらは…」
桃太郎「友達だよ」
師匠「お前…いくら変わり者だからってよお…獣が友達とか」
桃太郎「獣だろうとなんだろうと、同じ命を持って必死に生きてる仲間だろうが」
師匠「…ま、あがれや」
桃太郎「ありがとw」

桃太郎は師匠の家の居間に座ってくつろいだ

師匠「久しぶりだなぁ…元気…そうだなw」
桃太郎「オイラはたいがい元気さ…師匠は?」
師匠「オレもまあ、いつも通りだよ」
桃太郎「…これなんだ?」
師匠「春画ってやつだw…ゲレちゃんには刺激が強えかもなw」
桃太郎「…パラ…パラ…いや、そうでもねえな…絵が下手だ…女の体ってもっとキレイだ」
師匠「まあ、たしかにw…ゲレちゃん、裸は見たことあるのか?」
桃太郎「はっきりとはないかなw」
師匠「もったいないねえw」
桃太郎「そのうちな…オイラだって恋とかしてえもん」
師匠「ああ、した方がいいぞ…んでちゃんと嫁とってよ…じゃねえとオレみたいに1人になっちまう」
桃太郎「1人は辛いか?」
師匠「そうでもねえw…オレは1人も好きだからな…でもゲレちゃんが来るのは嬉しいよ」
桃太郎「そっかw…まあまたちょくちょく来るよw」
師匠「おおw…ちょっとグレートソード見せてみ?」
桃太郎「ああ…はい」
師匠「磨いてやろうか?」
桃太郎「いやいいよ…」
師匠「なんか元気ねえなあ」
桃太郎「そんな事ねえってw」
師匠「ならいいけどよw…風呂沸かしてくるから待ってな」
桃太郎「うん」

そうして桃太郎は風呂に入り、さっぱりして眠りについた

翌日
ついに鬼ヶ島へ向かう日が来た
桃太郎は師匠に礼を言うと、ボロンゴ、プックル、チロルと共に港へ向かった
正午にはまだ1時間程早かった
桃太郎は港のへりに内海の方を向いて座り、眺めていた

平蔵「桃…待たせたか?」
桃太郎「あ!平蔵さん!」
平蔵「しかしなんかすげえなw…その獣たちはなんだ?…初めて見るが」
桃太郎「ああw…ここに来る途中で友達になったんだよw…な?…ナデナデ」
ボロンゴ「わん」
平蔵「はははw…桃らしいなw…桃…これから桃は『鬼ヶ島』に行く」
桃太郎「鬼ヶ島…うん」
平蔵「鬼ヶ島には4人の鬼がいる…4人はそれぞれ色が違うらしい…赤、青、白、黒の四色だそうだ…黒いのはゴツく、身体がデカい、白いのは逆に細く、素早いそうだ…赤と青は桃とそう変わらない体格らしい」
桃太郎「へぇぇ」
平蔵「すまんな…そのくらいしか情報がない」
桃太郎「いや、十分さ…ありがと…舟は?」
平蔵「…おい!」

平蔵が声をかけると、船頭が舟を漕いでやってきた

平蔵「この者は粂八(くめはち)という名だ」
粂八「どうも…わけえのに大した度胸だねぇ」
平蔵「鬼ヶ島にはこの粂が連れてってくれる」
桃太郎「いや、いいよw…粂ハさんが危ねえかもしれねえし」
平蔵「しかし…舟は漕げるのか?」
桃太郎「ちょっと練習させてくれ…粂ハさん教えて?」

桃太郎は身軽に舟に飛び移り、操船技術を教わった

粂八「そうそうそう…覚えがいいねえw」
桃太郎「ありがとw」
平蔵「なんでも出来るなw」
桃太郎「まあねw…なんでも出来るようになってさ…たくさんを守りたい」
平蔵「桃なら出来るよw」
桃太郎「オイラもそう思うw」
平蔵「わはははw」
桃太郎「おーし!…じゃあそろそろ行くよ…粂八さん、降りてくれ」
粂八「あいよ…気をつけてくんなまし」
平蔵「生きて帰れよ?…鬼ヶ島はあっちの方角だ」
桃太郎「うん…大丈夫…久栄さまにもまだ甘え足りねえ」
平蔵「ははははw…久栄もすごく心配してなw…ずっとそわそわしておるよ…必ず帰って、抱きしめてやれよ…」
桃太郎「うん…約束する…じゃあ!」

ボロンゴ、プックル、チロルを乗せて、桃太郎は舟を漕ぎ始めた

粂八「長谷川様…彼1人で大丈夫なんで?」
平蔵「普通なら無理だ…水軍が敵わぬ相手だからな…だが、不思議とオレは、桃は必ず帰ってくるという思いになるのだ」


プックル「いや~…なんも喋らないってキツいわww」
ボロンゴ「ああ…私は音量調整でミュートにしていたよ」
プックル「オレもそうすりゃ良かった」
桃太郎「鬼ってどのくらい強えかね?」
チロル「鬼ってアルファたちの事か?」
ボロンゴ「そうみたいだな」
桃太郎「…知ってるの?!」
プックル「知ってるも何も、オレら元々アルファたちの探索機だからな」
桃太郎「アルファたちの探索機?」
チロル「人間が鬼と呼んでる者たちさ…赤いのがアルファ、黒いのがオミクロン、青いのがツェータ、白いのがシータ」
桃太郎「ほむほむ…」
ボロンゴ「私はそのうちの1人、アルファの探索機だ」
桃太郎「探索機ってのは?」
プックル「んー…いろいろ回って調べるための物だ…オレたちはそんな役割の機械」
桃太郎「機械…」
チロル「うん…生き物じゃなくて、作られた物なんだよ」
桃太郎「…本当に『物』なのか?」
ボロンゴ「そうとも…メモリーが無事なら、身体がなくなっても大丈夫なんだ」
桃太郎「よくわかんねえけど…メモリーってのは大事なんだな?…それが壊された時がお前たちの『死』って事か」
プックル「まあ、そうかな…」
桃太郎「やっぱ『死』があるなら命と変わらねえじゃんw」
チロル「だけどオレたちは人間と違って恐怖はないからな」
桃太郎「死も怖くないってか?」
ボロンゴ「うむ」
桃太郎「ウソだね」
プックル「なんでよ?」
桃太郎「プックルは言ったぞ?『ゲレちゃんと一緒に居たい』って」
プックル「ああ…」
桃太郎「それはなんでだ?」
プックル「なんで?…わからねえ…」
桃太郎「オイラと離れるの考えてみろ」
プックル「…わからねえけど…なんかそれは嫌だ…」
桃太郎「それは簡単だ…『寂しい』って事だ」
プックル「バカなww…機械が寂しいとか」
桃太郎「じゃあ、オイラにはプックルは必要ないからここに置いてく」
プックル「え!!」
桃太郎「いいな?」
プックル「い、嫌だよ!」
桃太郎「なんでだ?…怖くも寂しくもないんだろ?」
プックル「嫌なもんは嫌だ…」
桃太郎「ボロンゴは?」
ボロンゴ「私も…やめてほしい」
桃太郎「チロルは?」
チロル「オレは置いてかれても追いかける」
桃太郎「なんでだよ?」
プックル「…わかんねえ」
桃太郎「じゃあこうされたらどうだ?…ギュゥ」
プックル「…それもわかんねえけど…あたたかい感じする…変だな…」
桃太郎「ボロンゴは?…ギュゥ」
ボロンゴ「私もなぜか調子が良くなる」
桃太郎「チロルも…ギュゥ」
チロル「うん…不思議な感覚だ…でも嫌ではないんだ」
桃太郎「オイラが死んだら?」
ボロンゴ「そうならないように守る」
プックル「オレたちはマスターを守るようになってるからな」
チロル「ああ」
桃太郎「でも絶対に守れるわけじゃねえだろ?…お前らより先に死んだら、オイラとはもう会えないし、さっきみたいにしてやるのもできないんだぜ?」
プックル「そいつは…嫌だ…」
ボロンゴ「私も…」
チロル「なんでかそう思う」
桃太郎「逆もそうだ…お前たちのそのメモリーが壊れたら、オイラとは会えなくなる、話せなくなる、抱きしめられなくなる」
プックル「それも嫌だ…」
ボロンゴ「むう…」
桃太郎「オイラとたった1日しか付き合いないのに、お前たちはそう思うんだ…もっとたくさんいたら、もっとたくさん楽しかったりあたたかかったり出来るんだぞ?」
プックル「うん…」
チロル「だな…」
桃太郎「それでも『死』は怖くねえか?」
プックル「う…」
ボロンゴ「……」
桃太郎「オイラたちがさ…みんな無事でそのアルファとかを倒してさ…オイラの住んでる山に戻ったらさ…その後ずっとみんなで楽しくいられるんだぞ?…それが待ってても怖くねえのか?」
プックル「嫌だよ…死にたくない」
ボロンゴ「私も…」
チロル「オレだって…」
桃太郎「そうだろ?…ギュ…だったらお前たちは『物』じゃねえ…いや、たとえ『物』であっても…ちゃんとした『命』で、オイラの友達だ…」
プックル「ゲレちゃん…ギュ」
桃太郎「オイラもお前たちを死なせたくねえ…だから死ぬような事はするなよ?…オイラを悲しませるな…オイラもお前たちを悲しませねえから」
ボロンゴ「わかった…」
チロル「うん…」
プックル「わかったよ…」
桃太郎「おしおし…ナデナデ…じゃあさ…具体的にそのアルファたちってのはどんな強さかわかるか?」
ボロンゴ「正確に言うと、アルファたちが強いと言うより、アルファたちが装着している『オメガ』というスーツが強くしている」
桃太郎「もっとわかりやすく言って?ww」
プックル「んーとね…アルファたちが着てる鎧…鎧はわかるか?」
桃太郎「わかるわかる!」
プックル「その鎧はとにかく頑丈で、力も強くするのよ」
桃太郎「すげ~便利w」
チロル「いろいろと能力が上がる…殴ったり蹴ったり飛んだりね」
桃太郎「ほむほむ」
ボロンゴ「だからゲレちゃんがアルファたちに勝つには、その鎧をまず破壊しなければいけない」
プックル「普通に考えたら生身のゲレちゃんが4人も相手に勝てると思えない」
チロル「まあ、そん時はオレも一緒に死んでやるw」
桃太郎「あはははw…そいつは嬉しいけどよ…オイラは待ってる奴がたくさんいるからさ…死なねえよ…理屈とかは関係ない」
プックル「けどよ…あと厄介なのは銃かな」
桃太郎「銃か…ソイツは戦った事ねえが厄介だなあ…」
チロル「それはオレに任せてくれよ」
桃太郎「なんか策があんのか?」
チロル「アルファたちのオメガとか、オレたちも『電気』って燃料で動いてるんだ」
桃太郎「うーん…それが食料みたいな?」
チロル「まあ、そうかなw…で、ソイツらの銃も電気で動いてる…でもオレはその電気を妨害する装置がある…うーんと…つまり、オレはその銃を止める事が出来る」
桃太郎「すげ~ww」
チロル「だけどさすがに鎧までは止められないし、それやるとオレは動けなくなる」
桃太郎「え!…それは死ぬの?」
チロル「いいやw…ゲレちゃんがわかるように言うと、腹減り過ぎて動けなくなる…みたいな」
桃太郎「なるほど~…」
プックル「けどそれでも銃を使えなくさせる事は重要だな」
ボロンゴ「たしかに」
チロル「まあ、だからオレは早々に動けなくなると思ってて?…ごめんな、一緒に戦ってやれなくて」
桃太郎「いや、十分だよ…ありがと…ギュ」
プックル「オレたちは探索機だから、戦えるとは言っても、それ専用じゃねえから…役に立たなかったらごめんな?」
桃太郎「いや、心強いぜw」
ボロンゴ「だが、私たちの身体もその鎧と同じ材質だから、頑丈さなら負けない」
桃太郎「なるほどね…鎧がなけりゃアルファたちは強くはないのか?」
プックル「普通の奴らよりかは強いと思うぜ…戦う訓練されてるから」
ボロンゴ「だがゲレちゃんの方が強いだろう…ミサイルを掴んで捕まえる人間など、見た事ないからな」
プックル「マジかww」
チロル「すげえなww」
桃太郎「だるるお?ww…よくわかんねえけどww…ところでさ、方角合ってるかな?」
チロル「空から見てやるよ」

チロル「ああ!…あっちだ!」
桃太郎「翼で言われてもイマイチわかんねえww」
チロル「じゃあクチバシの方角だ」クイ
桃太郎「オッケー!」
プックル「アルファたちオレたちが近づいてるのわかってるかな?」
ボロンゴ「たぶんな」
桃太郎「そうなのか」
プックル「奇襲は無理だな」
桃太郎「ほむほむ」
ボロンゴ「いや…そんなことはないぞ…気づいているのは『私たちだけ』だ…ゲレちゃんの事は知らないはずだ」
プックル「そうか!」
桃太郎「つまり?」
ボロンゴ「私たちだけでアルファたちの元へ戻り、ゲレちゃんは1人で裏から侵入する」
桃太郎「おっ…でもそんな事してお前たち大丈夫なの?」
プックル「アルファたちがマスターってフリをすれば大丈夫だと思う」
チロル「たしかに…」
桃太郎「それでやってみるか…ちょっと卑怯な気がするけど…」
プックル「勝てる確率が高い方法の方がいい…オレはもっとゲレちゃんと居たい」
桃太郎「かわいいなあw…ギュゥ」
チロル「それに4対1だから卑怯じゃない」
桃太郎「いや、4対4だるるお?」
ボロンゴ「そうだとしても実質的には4対1よりもっと分が悪い」
桃太郎「マジかww」
ボロンゴ「では私はあちらの海岸にアルファをどうにか連れ出す…そうすればゲレちゃんは少しの間1対1で戦える…アルファに勝てれば3対1だ」
桃太郎「いいねw」
チロル「ほんとはツェータを一番初めにやっつけれたらいいんだけどな」
ボロンゴ「ああ…一番賢いからな…でも私たちはツェータの探索機じゃないから、ツェータを導くのは不自然だ」
プックル「だなあ…それにツェータはオレたちについてくるようなマヌケじゃねえ」
桃太郎「いや、仕方ねえ事言ったって仕方ねえよ…作戦があるだけ全然マシだ…お前たちが居てくれて良かったよ」
プックル「そう言ってくれると嬉しいなw…なんか…嬉しいとか…そんなセリフが普通に出るようになっちまった…」
ボロンゴ「ふふw」
桃太郎「ブファww」
チロル「どした?」
桃太郎「いや、だってよぉww…ボロンゴってオイラから見るとかわいい犬っころだからさあw…そんな見た目で『ふふw』ってさあww」
プックル「そうなのか?…さすがにそこまではまだ理解出来ねえぜ」
桃太郎「そっかw…悪い、ボロンゴ…笑っちまってすまねえ」
ボロンゴ「気にするな」
桃太郎「うんww…そろそろかな?」
チロル「ああ…ゲレちゃん、あっちの海岸まで大回りでどれくらいかかる?」
桃太郎「30分かな…」
プックル「意外と速えww」
桃太郎「1人なら速えよw…ゲレちゃんをみくびるなよ?」
ボロンゴ「では30分より後にアルファを連れて行くよ」
桃太郎「うん…頼む…でも気をつけろよ?」
プックル「うん」
ボロンゴ「私も死にたくはない」
チロル「うん…ゲレちゃんもね」

そうして3体は鬼ヶ島に向かっていった
桃太郎は大回りで向かって右側の海岸まで急いだ

鬼ヶ島
ボロンゴ「ただいま帰還した」
プックル「ただいま」
チロル「お待たせしました」
アルファ「おお!…お前たち!」
ツェータ「ちょっと待て…なんで帰還命令もないのに戻った?」
オミクロン「別に良くね?…戻った方がいいんだから」
シータ「まあ、ツェータの言う事聞いてみようぜ」
アルファ「うん…なんで戻った?」
ボロンゴ「何度通信しても応答がなく、いつ戻れば良いかもわからない…その上知的生命体を発見出来なかった…これ以上の探索は無意味だと判断したので戻った」
プックル「オレもそんな感じだ」
チロル「オレは…バッテリーが切れそうで…パタ」

チロルは妨害電波を密かに放って、銃を使えなくした

ツェータ「ふむ…ま、一応は辻褄が合ってるか…アルファたちを守る使命もあるからな」
シータ「3号のバッテリー切れたぜ…充電は出来たっけ?」
ツェータ「充電器は無事だぞ」
シータ「充電してくる」
オミクロン「お前ら一体どこ探してたんだ?…さんざん人間たち来たぞ?」
ボロンゴ「アルファが指差した方角へ行ったのだ…そこには人間は居なかった」

それは本当にそうだった

オミクロン「かー!…やっぱクソパイロットのクソリーダーじゃねえか」
アルファ「で、でも、いろいろ適当にって言ったじゃん」
ツェータ「機械がそんな曖昧な命令で動けると思うか?」
アルファ「じゃあお前が命令すりゃ良かっただろ!」
ツェータ「お前は本当にバカか?…こいつらはオレの探索機じゃないし、探索機に命令権があるのはお前だけだろ」
アルファ「くっそ…」
シータ「繋げてきたぜ」
ボロンゴ(30分も充電すれば、チロルはまた動けるな…)
プックル(ラッキーだぜ)
オミクロン「けどよ、オレが不思議に思うのはお前ら、固まってゆっくりこっちに来てたじゃねえか…あっちの方から」
ツェータ「それはたしかに変だな…なぜだ?」
ボロンゴ「ツェータの命令を聞く義務はない」
プックル(ボロンゴうめえw…探索機っぽいw)
ツェータ「ちっ…アルファ」
アルファ「なぜだ?」
ボロンゴ「なにがだ?」
アルファ「融通きかねえな…あっちの方角から固まってゆっくり来てたのはなぜだ?」
ボロンゴ「我らが一旦集まって帰還する判断になって帰還している途中で、3号の妨害電波がなぜか誤作動して、我らの電力が下がり、復帰するまで海に漂っていたのだ」
ツェータ「誤作動…そんな事ありえるのか?」
オミクロン「まあ絶対ないとは言えねえんじゃねえ?…ここはオニールとも違うんだしよ」
ツェータ「シータ、充電が終わったら3号に聞いてみてくれ」
シータ「めんどくせえ」
ツェータ「シータ」
シータ「…チッ…おめえはリーダーじゃねえだろ?…そんな事よりさっさと宇宙船直せ」
アルファ「まあまあ…シータ…お願いするよ」
シータ「わーかったよ!」
オミクロン「シータ、おめえよぉ…ここにゃオレらしかいねえんだから、もっと協調しろよ」
シータ「うるせぇハゲ」
オミクロン「ハゲじゃないですぅ!…剃ってるんですぅ!」
アルファ「まあまあw…ハァ」
ボロンゴ「大変だな、アルファ」
アルファ「ああ…大変…」
ボロンゴ「良かったら話し相手になるぞ?」
アルファ「お前…いいやつだなw」
ボロンゴ「たまには1人になったりとか…その方が精神的ストレスを解消できる」
アルファ「なんか…お前が一番優しいわ…」
ボロンゴ「優しい…よくわからない」
アルファ「ああ…そうだったなw…まあいいや…散歩付き合え」
ボロンゴ「ああ…どっちに行く?」
アルファ「うーん…左は岩しかねえから右にするよ」
ボロンゴ「わかった」
プックル(うめえw)
シータ「宇宙船にいるわ…」
オミクロン「オレも…」
プックル「オミクロン…オレはどうしたらいい?」
オミクロン「好きにしろ」
プックル「困る命令だな…」
ツェータ「ではオレに付き合え」
プックル「ツェータの命令を聞く義務はねえよ」
ツェータ「ムカつく」
アルファ「じゃあお前も散歩付き合え」
プックル「わかった」

そうして上手い具合にアルファを連れ出し、桃太郎と落ち合う予定の海岸までゆっくりと散歩をした

桃太郎「おーし…あと少しか…あいつら無事かな…それだけが心配だ…」

桃太郎は30分後には約束の海岸に着いた
まだボロンゴは来ていない
桃太郎は茂みに身を隠し、待つ事にした

そして10分後

アルファ「ああ…ほんとなんもねえクソみたいなとこだぜ…シータは口悪いし、オミクロンはわりと良いやつだけど、ツェータは偉そうだしよ…人選間違ってるよな」
ボロンゴ「それは答えようがない」
アルファ「お前は融通きかねえなあ…機械だから仕方ねえけど…」
桃太郎「おい」

後ろから声をかけられ、アルファは驚いて振り返る

アルファ「な、なんだお前」
桃太郎「オイラは鬼退治に来た桃太郎さ…戦おうぜ」
アルファ「お前がオレに敵うと思ってるのか?ww」
桃太郎「オイラは勝てると思うぞ…お前はバカそうだ」
アルファ「このやろう!!」

アルファは文明遅れの地球人にバカにされ、憤慨して攻撃に出た
アルファの武器は剣だった
桃太郎はグレートソードで受けてみた
たしかに今まで感じた事のない力だが、桃太郎には余裕だった

アルファ「なに?!…受け止めやがった!」
桃太郎「隙あり」

桃太郎はアルファの腹を蹴る
アルファは吹っ飛んだ
オメガの防御力のおかげで表面的なダメージはないが、衝撃は伝わった

アルファ(ぐふ…バカな…)

桃太郎は躊躇なく踏み込むと、極太のグレートソードをまるで重さを感じさせないような速さで滅多打ちに打ち込んだ
アルファは剣でガードするが、その剣も折れて、オメガにどんどんヒビが入る
それと同時にダメージを感じる

アルファ(なんだ!…コイツ!…ヤバい)

桃太郎はなおも手をゆるめず、ついにアルファのオメガは砕けちった
砕けて剥き出しになった腕に、グレートソードの一撃が入り、腕があり得ない方向に曲がる
絶叫を上げようとするアルファの口を桃太郎は右手でガツっと塞ぎ、そのまま地面に叩きつけ、マウントをとると、グレートソードを持った左手で顔面を殴った
アルファは鼻と前歯が折れ、気絶した

ボロンゴ「ゲレちゃん…すごいw」
プックル「うんww…これほどとは思ってなかったぜww」
桃太郎「だるるお?ww…こいつ大丈夫かな…ほっといて死なねえかな…」
ボロンゴ「死んだ方が安全では?」
桃太郎「なんて事言うんだボロンゴ…簡単にそんな事言うな」
ボロンゴ「むう」
桃太郎「けど…この鎧はもっと砕いておくか」
プックル「それがいいよ」

桃太郎はアルファのオメガをバキバキに砕いて、脱がせて海に捨てた

桃太郎「なんかごめんな…」
プックル「敵でも優しいなw…ゲレちゃんは」
桃太郎「まあ、個人的になんの恨みもねえしな…」
ボロンゴ「よし…ではまた私とプックルだけ戻ってみよう…そうすればツェータは疑問に思うはず…」
プックル「おお!たしかにw…で?」
ボロンゴ「ふむ…」

ボロンゴが考えを巡らせていると、3人がやってきてしまった

ツェータ「思った通りだ…なんか怪しいと思ったぜ」
シータ「アルファ…やられたのか?…信じらんねえ」
オミクロン「オメガはどうした?」
桃太郎「オメガって鎧か?…砕いて捨てたぞ」
ツェータ「嘘つくな…砕けるはずあるか」
桃太郎「嘘はついてねえよなあ、ボロンゴ」
ボロンゴ「ああ」
プックル「ゲレちゃんは嘘つかねえ」
オミクロン「2号お前!…裏切りやがったのか?!」
ツェータ「あり得ない…」
シータ「あり得ない事があり得てるんだろ?…現実見ろよバカ」
オミクロン「クソ…戻れ2号!」

オミクロンは探索機のカートリッジのボタンを押した

オミクロン「なんで戻らねえ!」
ツェータ「そのボタンは戻れって命令するだけだ…粒子化して戻るのはアイツらの判断だ…知らないのか?」
オミクロン「なんでそんなんなってるんだよ!」
シータ「そんなの今はいいだろ」

シータは桃太郎に大ジャンプして斬りかかった
シータの武器は細身の剣だった

桃太郎(しめたw)

桃太郎は斬り込んできたその剣にグレートソードを思い切り叩き込んだ
シータの剣はそれで折れてしまった

シータ「バカな!」
桃太郎「メテオ…ストライク!!」

シータが着地したところを、メテオストライクがとらえ、シータのオメガは一撃で粉砕され派手に吹っ飛んだ
シータはその衝撃で気絶した

オミクロン「嘘だろ…シータが!」
ツェータ「2人でかかるぞ!」
オミクロン「おお!」

オミクロンは巨大なハンマー、ツェータは槍で桃太郎に迫った
しかし、シータとの一戦を見た2人は、不用意に飛びこんでは来なかった
桃太郎は左右に挟まれる形で対峙した

桃太郎(こいつはまずい…あの槍は間合いがオイラよりあるし、かと言って槍を気にしてあのでけぇのくらったら死ぬかもだ)
桃太郎(仕方ねえ…槍の攻撃はわざとくらって、あっちのでけぇのからやろう)

桃太郎「おめぇらてんで弱いなあ…もっと強いかと期待してたのにさw…つまんねえわ」
オミクロン「このガキ…」
ツェータ「挑発に乗るな、オミクロン」

桃太郎はツェータの喋ってる間に、オミクロンに一気に近づいて横凪ぎにグレートソードを振った
オミクロンはそれを腹にくらったが、オミクロンのオメガにはヒビが入っただけだった
その桃太郎の上から巨大ハンマーが降ってくる
桃太郎は間一髪それをかわすが、そこを狙ってツェータは槍を突いてきた
その切先が刺さる直前にプックルが桃太郎に体当たりをし、桃太郎の代わりに槍がかすめた

桃太郎「プックル!!」
プックル「大丈夫、機械だからw」
桃太郎「この野郎!」

桃太郎は怒ってツェータに向かうと見せかけて、オミクロンの方にくるっと振り返り、振り返りざまにオミクロンの足に一撃を入れた

オミクロン「ぐっ!…このやろう」

オミクロンがハンマーを振ったところには桃太郎はすでに居なかった

桃太郎(危なw…プックルありがと…どっちか1人なら勝てるけど…どうすっかな)

ツェータの槍が猛スピードの突きを連続で繰り出してくる
桃太郎は横に飛んでかわす

桃太郎(あの突きは速いな…)

オミクロンもハンマーを構えて、一撃を狙っている
ツェータはかわされても突きをどんどん繰り出した
桃太郎は避けるのが精一杯だった
ボロンゴがミサイルを放つが、オメガには全く効かないため、相手にもしていない
桃太郎は避け続けるが大きな岩に背中がついた

桃太郎(やべぇ!…追い詰められた!)
ツェータ「死ねえ!!」

そこに充電の済んだチロルがすかさずツェータの顔に飛びかかった
桃太郎は九死に一生を得たが、オミクロンのハンマーが次にくる
桃太郎はかわしたが、腕をかすり、その衝撃で回転しながら吹っ飛んだ
後ろの巨大な岩は砕けていた

ボロンゴ「そうだ!…プックル…粒子化してゲレちゃんの鎧になれないか?」
プックル「やった事ないけど…試してみよう!」

桃太郎は腕から血を流しながら立ち上がり、ツェータに向かっていった
ツェータは追い詰められた桃太郎がまさか向かってくるとは思わず、なんとか槍で防ぐが吹っ飛んだ
オミクロンはすでに桃太郎の背後に迫り、ハンマーを振り下ろす
ついに桃太郎は当たってしまった
しかし、桃太郎は片膝をついただけで無事だった
ボロンゴとプックルが粒子化し、まるでオメガのように鎧となって、ハンマーの攻撃から防いでくれた

桃太郎「ボロンゴ!プックル!…ありがとう!」
ボロンゴ「オメガみたいに力を増す事はできないが、防御力は対等だ!」
プックル「やっちまえゲレちゃん!」

桃太郎はもう負ける気がしなかった
それでもハンマーの攻撃はおいそれとくらえないが、ツェータは恐れるに足らない
桃太郎はツェータに素晴らしい速さで間合いを詰める
ツェータは連続突きを放つが、ボロンゴとプックルの鎧には効かない
桃太郎はアルファにやったようにグレートソードをめった打ちに打ち込む

桃太郎「うおおおあー!!!」

ツェータの槍は折れ、一撃一撃がオメガを砕いてゆく
その桃太郎にオミクロンが襲いかかろうするのをチロルが邪魔をして、ハンマーをくらい、チロルは翼を破壊された
桃太郎はなおもラッシュを続け、オメガをバラバラに砕き、ツェータ自身も5ヶ所の骨折をして、絶叫をあげ、地面に這いつくばった後、気絶した

桃太郎「あとはお前だけだなぁ…」
オミクロン「くっそ…」
桃太郎「チロル!」
チロル「大丈夫だよ、ゲレちゃん…今行く」

チロルは粒子化して桃太郎の背中に翼の形状にくっついた

チロル「ゲレちゃん、すごいぜ!」
ボロンゴ「本当に大した奴だw」
プックル「まだ勝ってねえから!…オミクロンのオメガは他の奴らより頑丈だぞ」
桃太郎「だなあ…けどもう一切負ける気しねえわ」
ボロンゴ「油断はするなよ!」
桃太郎「してない」

桃太郎はそう言うと、オミクロンの方ではなくシータの方に飛び、シータのオメガを砕いた

シータ「がはっ!!」

シータは気絶から覚めて、桃太郎に攻撃するチャンスを待っていたのだ
桃太郎は最初からシータの事を忘れてなかった

桃太郎「残念だったな…て、女か?」
シータ「ぐ…」
桃太郎「ごめんな…女と思ってなかった…ナデナデ」
ボロンゴ「ゲレちゃん来てるぞ」
桃太郎「わかってらあ」

オミクロンは力や頑丈さは一番あったが、他の3人よりも遅かった
桃太郎は向かってくるオミクロンに向かって行き、すれ違いざまに最初に打ち込んだ足の同じ場所に打ち込んだ
桃太郎はすぐに往復し、もう一度その足の裏側を叩く
オミクロンはガクっと片膝をつき、悲鳴をあげて痛めた足を手で抑えた
背後にいる桃太郎はメテオストライクの構えをした

桃太郎「メテオ…ストライク!!」

オミクロンの背中に強烈な一撃が入り、オメガが砕け、ハンマーを放し、吹っ飛んだ
仰向けになって大の字で横たわるオミクロンに近づいて、足に4撃目を叩きつけると、オミクロンの足がボキリと折れた

オミクロン「ぎぃやああああ~!!」
桃太郎「うるせっww」
ボロンゴ「容赦ないなw」
プックル「やったぜゲレちゃんw」
チロル「さすがぁw」
桃太郎「みんなもう離れていいよ」

ボロンゴ、プックル、チロルはそれぞれ元の姿に戻った
4人とも死んではいなかった
桃太郎は腕の傷にさらしを巻いて手当てし、倒れているシータのところへ行き、シータの上半身を抱き起こした

桃太郎「大丈夫?」
シータ「くそ…」
桃太郎「顔見せてよw」
シータ「嫌だ…」
桃太郎「じゃあ叩き割るw」
シータ「や、やめて…」

シータはオメガを解除した
オメガのジョイント部が開き、バラバラと散開する

桃太郎「シータ…だっけ?」
シータ「そうだよ…」
桃太郎「痛い?」
シータ「痛いよ…」
桃太郎「ごめんよ…女ってわかってたらもっと優しくしたのに」
シータ「女だからって甘くみてるのか?」
桃太郎「うーん…そんな事もないけど…やっぱ女を痛めつけるのはなあ…それにシータはすごくかわいいし///」
シータ「え?」
桃太郎「すごいオイラの好み///」
シータ「な、なに言って///…ん…」

桃太郎はシータにキスをした
お雪以外で初めてのキスだった

シータ「なに…すんのよ///」
桃太郎「ごめん///…かわいくてつい///…許して?」
シータ「やだ///…身体中痛いし…」
桃太郎「ごめんて…」

離れたところでオミクロンがまだ呻いている

桃太郎「あいつ、あんながたいでいつまで痛がってんだよ…うるっせえなぁ」
シータ「それはわたしも思うw」
桃太郎「シータ…本当かわいいなあ…ギュ」
シータ「い、痛いって///」
桃太郎「ごめんw…ナデナデ…ああ…せっかく運命の人に会えたと思ったのに…シータも人間を殺したんだろ?」
シータ「殺してないよ…」
桃太郎「本当に?」
シータ「わたしは自分より弱い奴は殺す価値ないからね…」
桃太郎「嘘じゃない?」
シータ「嘘じゃないよ…3号に聞いてみろよ」
桃太郎「3号って…誰だっけ?w」
チロル「オレだよw」
桃太郎「チロルはシータの?」
チロル「そうそう」
シータ「チロルってw」
桃太郎「かわいいだるるお?w」
シータ「うんw」
桃太郎「けど、チロルも人間殺したかは見てないだろお?」
チロル「見てないけど、たしかにシータは弱いのは殺さないよ」
桃太郎「ほむほむ…じゃあ誰が殺してた?」
シータ「あの槍野郎だよ」
桃太郎「シータ口悪!w…仲間なのに」
シータ「あいつはそんなに仲良くもないよ」
桃太郎「シータはじゃあさ、あのデカいのかアルファのどっちか好きだったりする?」
シータ「しないw…デカいのはいい奴でマシだけど、見た目がタイプじゃないし、アルファはバカだしw」
桃太郎「たしかにアルファはバカっぽいなw」
シータ「でもリーダーなんだよ」
桃太郎「そうなの?」
シータ「まあ、宇宙船のパイロットだしね…」
桃太郎「宇宙船て?」
シータ「ああ…あんた、宇宙も知らないのか…」
桃太郎「知らないw…ごめん」
シータ「あんた結構すぐ謝るね」
桃太郎「え?…ああ、オイラ、パパスから『ありがとう』と『ごめんなさい』はちゃんと言うように育てられたからね」
シータ「パパス?…誰?」
桃太郎「ああ、オイラの父ちゃん」
シータ「ああ…」
桃太郎「パパスは女を傷つけるなって教えてくれたのに…こうやってたまに傷つけちゃうんだオイラ…」
シータ「ダメだねえ…」
桃太郎「うん…」
シータ「そんなにしょげんなよw」
桃太郎「シータ…手当てするね」
シータ「いいよ…それより宇宙船に連れてってくれよ…宇宙船ならケガ治せるから」
桃太郎「そうなの?」
ボロンゴ「ああ…治療の機械がある」
プックル「シータのケガなら30分も寝れば治るんじゃねえか?」
桃太郎「ケガ治っても暴れないって約束する?」
シータ「暴れたってオメガもなしであんたに勝てるわけないじゃん」
桃太郎「たしかにw…けどシータ…オイラは『あんた』じゃなくて『桃太郎』だよ」
シータ「桃太郎…変な名前」
桃太郎「そうお?!…けどオイラは『ゲレゲレ』って呼ばれてる…『ゲレちゃん』って呼んでくれ」
シータ「ゲレゲレ…へぇぇ、かわいい///」
桃太郎「マジかww…おママとパパス以外かわいいって言う人、初めてだw」
シータ「そうなの?…かわいいじゃんw…ゲレちゃん…宇宙船連れてって?///」
桃太郎「うんw」

桃太郎はシータを抱っこして、走って宇宙船に連れていった

プックル「この中に寝かせてやって」
桃太郎「うん…よっ…ほんでこれ閉めるの?」
シータ「待って…裸にならないと…」
桃太郎「は、裸あ?!///…オイラあっち向いてるからな!」
シータ「あははw…どうせこの中で寝てたらモロ見えなのにw」
桃太郎「でも…見られたくはないだろ?」
シータ「うーん…ゲレちゃん」
桃太郎「ん?」
シータ「どっちにしろさ…身体中痛くて…服脱げない…脱がしてよ」
桃太郎「う、うん///…じゃあ一回出すね」

桃太郎はシータを出して、ソファーに寝かせ、服を脱がしていった
お雪のように色白のキレイな肌に、抜群のプロポーション…ただし、あざだらけになっていたが、それでもシータはとても美しかった
桃太郎は見惚れていた

シータ「そんなジロジロ見るなよ、スケベ」
桃太郎「ご、ごめん///」
シータ「もっかいあの中に入れてよ」
桃太郎「うん///…う、柔らかい///」
シータ「バカww」
桃太郎「よっ…と」
シータ「フタ閉めて」
桃太郎「うん…パタン」
プックル「あとはオレがやるよ」

プックルは治療マシンを操作した
シータはすぐに眠り、中に液体が注がれ、シータを浸した

桃太郎「だ、大丈夫なのか?…溺れないのか?」
ボロンゴ「大丈夫だよw」
プックル「30分はかかるよ」
チロル「あの3人どうするよ」
桃太郎「…ちっとまって…」

桃太郎は美しいシータの身体にしばらく見惚れた

ボロンゴ「これが発情期というやつか?」
プックル「いやw…人間は年中発情してるからなww」
チロル「単なるスケベってやつか?ww」
桃太郎「うるさいうるさいww…ああ…マジもう大好き///…どうしよ」
ボロンゴ「好きなら一緒にいればいいのでは?」
プックル「そりゃシータがゲレちゃんを好きならなw」
チロル「オレのデータにはお互いに好きという場合でなくても性行為をする場合があるってあるぞ」
プックル「マジで?…オレのデータだと、好き同士が恋人や夫婦になるってあるけど」
桃太郎「たぶん、どっちもあるよ…あの3人も鎧を解除させて、ここに運ぶか」
ボロンゴ「わかった」

桃太郎と3匹は3人を宇宙船まで運んだ
アルファも気絶から覚めて、呻いている
骨折のせいで発熱もしていた

桃太郎「治療マシンてのは1つだけ?」
ボロンゴ「うん」
桃太郎「じゃあ次はアルファを入れるか…」
オミクロン「…ハァ…ハァ…オレは?」
桃太郎「お前は最後だよ」
オミクロン「げえ…」

桃太郎は治療マシンのそばに行った

桃太郎「シータ…なんてキレイなんだろ…」

桃太郎が少し見ていると、治療マシンの中の液体がなくなっていき、シータが目を覚ました
そのシータに桃太郎は手を振り、笑いかけた

シータ(ゲレちゃん…優しい顔…わたしもなんだかすごく好き///…変なのw)

シータも桃太郎に笑い返した
治療マシンのフタが開く

桃太郎「シータ…もう大丈夫?」
シータ「大丈夫w…もう元気」
桃太郎「良かったw…シータ寝てる時にいっぱい見ちゃったよ…ごめんね…あんまりキレイだからさ…」
シータ「正直でスケベだねぇ、ゲレちゃんはw」
桃太郎「うん///…童貞だから仕方ない///」
シータ「あはははw…ねえ、出して」
桃太郎「うん///」

本当ならシータは自分で出られたが、桃太郎に抱っこしてほしかった
桃太郎はシータを優しく抱っこし、外に出すと、どちらともなくキスをした

桃太郎「シータ…好きだ…」
シータ「ゲレちゃん…わたしも好きになったみたいw」
桃太郎「本当?!」
シータ「うーん…わからないから…もっかいキスしてみて?///」
桃太郎「うん…チュゥ…」
シータ「ん…まだわからない」

桃太郎はしばらくシータとキスをした

桃太郎「ど、どう?」
シータ「うん、好きみたいw…スリスリ」
桃太郎「へへw…おっしゃ!」
プックル「なんか良かったなw…けど、早くしねえとアイツら死ぬぞ?w」
桃太郎「あ!…いけねえ、忘れてた…シータ、服を着てくれ」
シータ「うんw」

シータは服を着て、桃太郎の腕を掴み、一緒に3人の元へ行った
桃太郎はまずアルファを治療マシンに入れ、シータは鎮痛剤をオミクロンとツェータに注射した
鎮痛剤で痛みと熱が引き、楽になったオミクロンが顔を上げると、ソファーで寄り添って座るシータと桃太郎が見えた

オミクロン「お、お前…シータ…どういうことよ」
シータ「うるせぇハゲ」
桃太郎「シータ、口悪!」
シータ「ごめん、ゲレちゃんw…チュ」
オミクロン「ええ…あんなシータ初めて見た…」

ツェータはまだ目覚めなかった

桃太郎「シータ…いい匂いだ」
シータ「そう?…どんな?…クンクン」
桃太郎「んー…スンスン…甘い匂い」
シータ「ふうん…そうかね?」
桃太郎「うん…スリスリ」
シータ「ゲレちゃん、甘えん坊ねえw」
桃太郎「ごめんw…ちょっと浮かれちゃって///…みっともないよなw…おーし!…もっとシャキッとするぞ」
シータ「イケメンだねえ…ナデナデ」
桃太郎「そうお?」
シータ「うんw」
桃太郎「シータもかわいいw…グ~」
シータ「腹減ったね…ごはん食べようか」
桃太郎「食べる!」
シータ「あっちよ」

桃太郎はシータを抱っこし、シータの言う通りに運んだ
シータは四角い箱の中から、銀色のパックを二つ出し、一つを開けて、桃太郎の口につけた

シータ「ここをこうやって吸うのよ」
桃太郎「うん…あ…甘くて美味しいw」
シータ「わたしは飽きちゃったよw」
桃太郎「オイラんちに来たら、美味いもんおママに作ってもらおう」
シータ「ゲレちゃんち?」
桃太郎「うん…来るだろ?」
シータ「行っていいのかね…」
桃太郎「え?…嫌か?」
シータ「嫌なわけない…けどさ…捕まるよ」
桃太郎「ああ……嫌だ!…オイラはシータを離したくねえ!」
シータ「ゲレちゃん…ギュ…」
プックル「そしたらよ…あの3人だけ渡して、先に山小屋に連れてっちゃえば?」
チロル「飛んで持ってってやるぜ」
ボロンゴ「シータの顔はみんな知らないだろ?」
シータ「わたしは人間と会う時は、いつも顔を覆ってたから知らないはず」
桃太郎「ほむほむ…」
プックル「そんくらい許されるだろ…ゲレちゃんが戦わなかったら、きっともっと殺されてたんだから」
桃太郎「…シータはそれでいい?…自分の故郷に帰りたいとかさ…」
シータ「わたしはゲレちゃんと一緒がいいかなw…オニールにはなんの未練もないし」
桃太郎「え?…両親は?」
シータ「わたしは初めから居ないのよ」
桃太郎「どういうこと?」
シータ「いろいろ優秀な遺伝子を掛け合わせて作られたんだよね…だからさ…実はわたしもコイツらとそう変わらない…機械じゃないけど、物みたいなもんだよ」
桃太郎「…つまり、作られた人間ってこと?」
シータ「そう…ゲレちゃんはそんなでもいいの?」
桃太郎「ダメって言うと思う?w」
シータ「思わない…ギュ…」
ボロンゴ「ゲレちゃんは我々の事さえ『生物』として扱うからな」
チロル「なw」
シータ「うん…あんたらすげえ今は生き物っぽいもんねw」
桃太郎「じゃあさ…シータ…オイラとずっと一緒にいよう…シータはオイラの嫁だ」
シータ「うん///…チュゥ」

そこへ、治療を終えたアルファが、食料を取りにやってきた

アルファ「え?…な、なんでチュウしてんの?」
シータ「うっせえな…ほっとけよ、クソ説教オヤジ…」
桃太郎「シータw…口悪いからw」
シータ「ごめん、ついw」
アルファ「ど、どうなってんのよ」
桃太郎「シータはオイラの嫁になったんだ…それだけの事さ」
アルファ「嫁?!」
シータ「嫁///」
桃太郎「それよりお前、他の奴を治療マシンに入れたのかよ」
アルファ「いや…まだ…」
シータ「早く入れてこいよ!…つっかえ」
アルファ「ひどくない?…シュン」
桃太郎「マジで早くしろって」
アルファ「わかったよ」

アルファは2人のところへ戻ると、ツェータではなく、オミクロンを先に入れた
桃太郎はそれを見てアルファに聞いた

桃太郎「コイツより槍野郎の方が重傷だぞ?」
アルファ「わかってる…オミクロンのケガなら30分くらいで治るけど、ツェータのケガはかなりかかる…その間オミクロンを待たすのはかわいそうだし…オミクロンの方がいい奴だし…」
シータ「あんたもたまにはちゃんと判断できるじゃん」
桃太郎「ツェータってのは嫌われてるのか?」
アルファ「いや…別に嫌いってわけじゃないよ」
桃太郎「アルファ…お前はここの人間は殺したか?」
アルファ「何人かは殺した…」
シータ「こいつはそれほどは殺してないけどね…このデカいのも」
桃太郎「ツェータがほとんど?」
アルファ「まあそうだな」
桃太郎「…お前たちってなんでここに?…どっから来たんだ?」
アルファ「ここより300光年くらい離れた惑星オニールから来たんだ」
桃太郎「わかりやすくww」
プックル「この空の上のずっと遠いところにオニールっていう、この地球みたいなとこがあって、そこからこの宇宙船ってのに乗ってきたって事」
桃太郎「ほむほむ…何のために?」
シータ「オニールはね、人がたくさんになっちゃったのね…ものすごいたくさん…だからね、食べ物とかいろいろ足りなくなっちゃったのよ…それでこの地球に移り住もうって計画が立って、わたしたちは地球を調べにきたのよ」
桃太郎「ほむほむ…それは…この地球?の人間を殺して?」
アルファ「まあそうだ」
桃太郎「ひどくない?」
シータ「ひどいと思う…ごめん」
桃太郎「それはさ…ほっといたらいつかまたアルファたちみたいなのがたくさん来るの?」
アルファ「それはオレたちの報告次第かな」
シータ「…ここが住むには適してないって報告すれば…」
桃太郎「その報告はどうやって?」
アルファ「それはこの宇宙船から通信…話せる機械があって、それを使ってな」
シータ「だけどこのクソ野郎が宇宙船の着地に失敗して、それが今は出来なくなったってわけ」
桃太郎「ほむほむ…報告しないとどうなる?」
アルファ「もう一度オレたちのようなのが来ると思う」
桃太郎「…この宇宙船では今は帰る事も出来ない?」
シータ「出来ない…わたしは帰りたくないからいいけど…アルファは帰りたいんじゃない?このデカいのも」
アルファ「まあ…」
桃太郎「ツェータは?」
シータ「あいつはわからない…あいつもわたしと同じなんだ…」
桃太郎「…作られた人間?」
シータ「そう…だからあいつは物として生きてきたからさ…人間を殺すのもなんとも思ってないんだ」
桃太郎「シータは違うの?…シータはさっき、『自分より弱いのは殺さない』って言ったけど、殺さない理由ってただそれだけ?」
シータ「まあ…そうかな…わたしも人間って認められてないから…だから弱い存在なんだ…だからさ…弱い存在を殺すのは自分を否定するようで出来ない」
桃太郎「そう…」
シータ「けど今はちょっと違う…」
桃太郎「え?」
シータ「ゲレちゃんに会ったから…ゲレちゃんはわたしを人間として見てくれて、優しくしてくれたから…好きだって言ってくれたから…作られた人間って知っても、『嫁』って言ってくれたから…わたしのここに今は心がある感じがする…わたしはもう誰も殺したくない」
プックル「オレも…シータの言ってるの理解出来る」
ボロンゴ「私も」
チロル「オレも…ゲレちゃんが心をくれたから」
桃太郎「そっかww」
シータ「ゲレちゃん…嫌いになってない?…わたしのこと…」
桃太郎「…ギュゥゥ…チュゥ…」
シータ「…グス」
桃太郎「パパスは言っていた…『大切な女を大切にしない奴はダサい』ってな…」
シータ「ゲレちゃん!…ギュ!」
アルファ「シータじゃないみたいだ…」
シータ「うるせえ、見てんじゃねえよ」
アルファ「やっぱりシータだ」
桃太郎「ブフゥww」
シータ「ゲレちゃん…わたしゲレちゃんと一緒に居たい…ずっと」
桃太郎「うん…オイラも…そんで早くエッチとかもしてみてえ///」
アルファ「直球すぎるww」
シータ「へへ///…出来るようになったらいっぱいしようね///」
アルファ「う、うらやま///」
シータ「口挟むなよ、クソが」
アルファ「この違い…」
桃太郎「ブファwww」

それから少し経つと治療が終わり、オミクロンも出てきた
そしてツェータを入れる

オミクロン「ゲレちゃんとか言ったっけ…なんでオレたちを助けた?」
桃太郎「オイラは昔、悪者からみんなを守るのに、そいつらを4人殺したんだ…そいつらは本当クソみたいな奴らだったけど、それでもオイラはすごく嫌だった…だからだ」
オミクロン「そっか…たしかにそいつはわからないではないなあ…」
桃太郎「だけどお前らは勝手だよな…自分らの場所が悪くなったから、人の場所奪おうなんてよ…」
オミクロン「ま、まあ…」
桃太郎「そうされる側の気持ちとか考えたか?」
アルファ「考えるけど…下っ端のオレらにはどうにもできないし」
シータ「ごめんね、ゲレちゃん…ごめん…」
桃太郎「シータは悪くないよ~…ギュゥ…よしよし…ナデナデ」
アルファ「ずるい」
桃太郎「まあなw…けどオイラはそうわかっててもシータの事は許すぞ」
シータ(ゲレちゃん…)
桃太郎「まあ、しかし…アルファたちがそう提案したわけじゃないよな?…地球に住もうぜ!…みたいな」
アルファ「オレたちはただの使いっ走りだよ」
オミクロン「うん…」
桃太郎「その地球に移住する話ってのは、オニール人はみんなしてそう思ってるのか?」
アルファ「というと?」
桃太郎「だからよ…その計画を考えた奴はいるだろ?」
オミクロン「もちろん」
桃太郎「そいつをやっつければ地球に移住する計画ってのを止められるかどうかだよ…もしもオニール人がみんなして地球を知ってて移り住めるって思ってたら、そいつをぶっ殺しても、また違う誰かがそうしようとするだろ?」
アルファ「ああ…ああ…たしかに…」
シータ「説明されねえとわかんねえのか?…クソパイロット」
アルファ「…グス」
桃太郎「せいせいせいせい…シーちゃん、優しくな?」
シータ「うん、ごめん…ギュ」
オミクロン「それはまだ一般人は知らないはずだぜ…そんな出来るかわからない段階で期待持たせて、それがダメでしたってなったら、信用ガタ落ちだからなww」
桃太郎「まあそうか…うーん…これは直せるのか?」
アルファ「ツェータなら直せるかもしれない」
桃太郎「ツェータだけ?」
アルファ「うん」
桃太郎「うーん…まあ、奴が治るの待つしかねえな…あとどのくらいで治るんだ?」
オミクロン「んー…あと4時間ちょいだ」
桃太郎「そうか…わりぃ」

桃太郎はそう言うと、アルファとオミクロンの腹に強烈なパンチを入れた
2人は腹を押さえて悶絶している

桃太郎「わりぃな…お前らが逃げるかもわからねえから…縛らせてもらうぞ…シータ、なんか縛るもんある?」
シータ「んーと…」
ボロンゴ「こいつを使え」

ボロンゴとプックルは口から拘束具を出した

桃太郎「これは?」
プックル「これをこう…両腕につける」
桃太郎「こう?」
ボロンゴ「後ろ手に回した方がいい」
桃太郎「こう?」
チロル「そうそう…それでその輪っかに片方ずつ入れて」
桃太郎「うん」
プックル「そんでここを押す…ピピッ…」
桃太郎「おっ!…なんか光った!…こんなんで大丈夫なの?」
ボロンゴ「こいつは無理に外そうとしたり、私たちから離れたりすると、爆発する」
桃太郎「え?!…それはかわいそうだろ」
シータ「でもおとなしくしてれば大丈夫よ」
桃太郎「…おい、アルファ、オミクロン…もう話せるか?」
アルファ「…ウ…なんだ…」
オミクロン「…ウウ…」
桃太郎「その輪っかは外そうとすると爆発するってよ」
オミクロン「…知ってるよ…」
桃太郎「ごめんな…かわいそうだけど、しばらくそうしててくれや…」
アルファ「まあ…当然そうだよな…」
オミクロン「オレがゲレちゃんの立場でもこうする…」
シータ「ゲレちゃん…わたしはつけなくていいの?」
桃太郎「つけないよw」
シータ「けど、もしわたしがゲレちゃんを騙してるだけならどうするの?」
桃太郎「オイラはシータを愛してる…だからシータを信じてる…それで騙されたり裏切られたりしても、それはオイラの責任だ…オイラはこれをシータにつけるなんて出来ないし、傷つける事も出来ない」
シータ「ゲレちゃん!…ギュゥ…グス…チュゥゥ…グス…ありがと…大好き」
桃太郎「オイラもだww…ナデナデ」
シータ「じゃあさ…」
桃太郎「うん」
シータ「わたしが逃げられないように…あそこの部屋に行こう?…ボロンゴたちはその2人を見張ってて?」
ボロンゴ「わかった」
チロル「うん」
プックル「おう」
桃太郎「?」
シータ「ね、抱っこして連れてって///」
桃太郎「おう」

桃太郎はシータを抱っこして、その部屋に入った
シータは桃太郎から降りると、服を全て脱いだ

桃太郎「シータ、まさか…今ここで…その///」
シータ「うん…ゲレちゃんも全部脱いで///」
桃太郎「け、けど…そんな場合じゃ///」
シータ「わかってる…でも、もし万が一…この後離ればなれになったりしたらさ…わたし…だから…今その…抱いてほしい///」
桃太郎「わかった…」

桃太郎も服を全て脱いだ

桃太郎「オイラ、こういうの初めてだから…上手くできるかわかんねえけど…」
シータ「わたしだってそうだから…心配しないで?」
桃太郎「シータ…ギュ…」
シータ「ゲレちゃん…ギュゥ…」


オミクロン「今頃あの2人やってんだろうなあ…羨ましい」
アルファ「ああ…シータは美人だしなあ…」
オミクロン「もしかしてシータを実は好きだったりしたか?ww」
アルファ「いや~w…さんざんいつも罵られてるのに、好きにならないわww」
オミクロン「はははww…オレは好きってわけじゃねえけど、やりてえとかはちょっと思ってたw」
アルファ「マジかww」
オミクロン「けどまさか惚れるとあんなかわいくなるとはなあ…」
アルファ「な!…全然いつもと違うしw」
オミクロン「なあ…」
アルファ「ん?」
オミクロン「オレたちこれからどうなるんだ?」
アルファ「…まあ…地球人たちに捕まって…」
オミクロン「…やっぱ殺されるかな…」
アルファ「嫌だな…こんな故郷でもない場所で…」
オミクロン「まあな…こんな風になる事は覚悟してこの仕事を選んだけどよ…やっぱ怖えもんは怖え」
アルファ「けどもうなあ…ゲレちゃん強えし…オメガもないし…オメガなかったらコイツらにも勝てないし…コイツは外せねえし…」
オミクロン「…詰んだなw」
アルファ「…けど、オレらを捕まえに来たのがゲレちゃんで良かったわ…」
オミクロン「いや~…オレはもっと冷酷な奴が良かったわ…殺してくれたら楽だったのによww」
アルファ「それはそうかもなw…実はシータが本当にゲレちゃんを騙してるって可能性はないかね?」
プックル「それはねえと思うぞ…シータはゲレちゃんに嘘ついてねえ」
ボロンゴ「ああ…そうでなかったら私たちはシータと2人にはしない」
チロル「それにシータにはオニールにそんな義理もない…物とか性欲の目でずっと見られて生きてきたんだからな…シータがあんな悪態つくのはそのせいだ」
オミクロン「そうかw…お前たちもだいぶ機械っぽさがなくなったもんなw…不思議な奴だゲレちゃんは…」
アルファ「ツェータなら『あり得ない』とか言ってるぜ?w」
オミクロン「たしかにww」


シータ「あ…あ…気持ちい…」
桃太郎「…オイラも…ギュゥゥ…」
シータ「ああ!…ま、待った…くるし…」
桃太郎「あ!…ごめん!」
シータ「すんごいパゥワww」
桃太郎「へへ///…ごめん///」
シータ「ね…もっかいして?///」
桃太郎「けど…女は初めては痛くねえのか?…血も出てるし…」
シータ「少しは痛かったけど…今はもう気持ちいい///」
桃太郎「おーし!」


オミクロン「腹減った…」
アルファ「ああ…お前食ってねえのか」
オミクロン「おうww」
プックル「持ってきてやるよ」
オミクロン「マジかw…いいのか?…勝手にそんな事してよw」
プックル「ゲレちゃんでもそうする」
アルファ「なるほどねw」

プックルは冷蔵庫から1パックを持ってくると、オミクロンの口にあてがった

オミクロン「わりぃな…もっとグイッと絞ってくれ」
プックル「ああ…もうこれでなくなった」
オミクロン「ああ…こんなもんじゃなくて、死ぬ前にもっとちゃんとしたもん食いてえなあw」
アルファ「だなあ…」


シータ「あ…またイク…ガクガクガク」
桃太郎「…オイラも…ドプ…ドプ…」
シータ「気持ちい…ハァ…ハァ…」
桃太郎「うん…けどシータ…そろそろアイツらのとこ戻ろう」
シータ「…え?…ああ…そうだね…ギュゥ…」
桃太郎「拭いてやるな…すっげぇベチャベチャww」
シータ「…ほんとだ、やべぇww」
桃太郎「パトスがほとばしってんなw」
シータ「なにそれww」
桃太郎「オイラもよくわかんねえw…おし、服着てな」
シータ「うん」

シータと桃太郎は服を着て、アルファたちの元へ向かった

桃太郎「ツェータの奴はまだ終わらねえか?」
オミクロン「おうw…気持ち良かったか?ww」
シータ「下衆野郎…ゲシ!」
オミクロン「ぐわ!…いってえww」
桃太郎「シータせいせい」
シータ「てへへ///」
アルファ「マジでなんなのその違い」
桃太郎「ボロンゴ…この輪っか?…外してやってくれ」
ボロンゴ「いいのか?」
プックル「いくらなんでも優しすぎだろw」
桃太郎「いいんだ…疑って安全より、信じて裏切られた方がいい」
オミクロン「おめえ…」
アルファ「ゲレちゃん…」
ボロンゴ「…わかった」

そうして2人はまた手錠を外された

アルファ「ゲレちゃん…オレらこの後どうなるかわかる?」
桃太郎「いや…オイラ、平蔵さんにお前たちを任す」
オミクロン「平蔵さん?」
桃太郎「おう…火付盗賊改の平蔵さんだ」
オミクロン「わかんねえwww」
シータ「警察の偉い人って事じゃねえか?」
桃太郎「んー…悪い奴を捕まえたり、取り締まったりするのが火付盗賊改で、そのえらい人だ」
アルファ「ああ…」
桃太郎「平蔵さんは良い人だ…厳しいけど優しい…全部正直に話せよな?」
オミクロン「…その平蔵さんってのは、ゲレちゃんが信じてる奴の1人か?」
桃太郎「ああ…そうだ」
オミクロン「わかった…」
アルファ「ボロンゴ…ツェータはあとどのくらいで終わる?」
ボロンゴ「あと1時間12分だ」
アルファ「ゲレちゃん…今のうちにシータをゲレちゃんちに連れてってやれよ…そしたらシータは死んで海に流された事にしてやる」
桃太郎「え?」
シータ「アルファ…」
アルファ「オミクロンもそれでいいな?」
オミクロン「ああ…それで借りが返せるならな」
桃太郎「おめえら…」
アルファ「ツェータはずっと気を失ってたから、シータの生死は知らないはずだ…奴が目を覚ます前にゲレちゃんは戻ってこいよ…ツェータはオレらに口裏合わすような奴じゃないからな」
シータ「アルファ…」
桃太郎「わかった…ありがとう」
アルファ「ほら…もっかい手錠つけろ」
桃太郎「つけねえ…オイラはアルファたちを信じる」
アルファ「そりゃありがてえけどさ…絶対逃げるぞ」
オミクロン「うん…ま、約束は出来ないな」
桃太郎「それならそれで仕方ねえ」
アルファ「バカだな…グス」
オミクロン「なw…ウル」
アルファ「ボロンゴたちなら1時間で行って戻れるだろ?」
ボロンゴ「どこなんだ?」
桃太郎「オイラとボロンゴが初めて会った場所より少し上のとこだ」
ボロンゴ「そこなら1時間もかからない」
プックル「じゃあ行ってこいよ…オレは一応ここにいる…ボロンゴとチロルで行ってくれ」
チロル「わかった…シータ、掴まれ」
シータ「うん」
ボロンゴ「ゲレちゃん背中に乗れ」
桃太郎「うん…じゃあちょっと行ってくらあ」
アルファ「おう」


シータ「チロル…大丈夫か?」
チロル「おお…大丈夫…帰りは単独だから」
桃太郎「ボロンゴ、もう少し先だ」
ボロンゴ「ああ……あそこに家がある、そこだな?」
桃太郎「そうそこ」

山小屋
桃太郎「おママ~!パパス~!」

お雪「ゲレちゃん!!…ギュゥゥ…」
吾郎「ゲレ!…おかえり…よく無事で…その子は?…あとその犬とか鳥とか」
お雪「まとめてかわいい~///」
桃太郎「ああ、この子はオレの嫁///…シータっての///」
お雪「ええ~!!」
シータ「し、シータです///…よろしく///」
吾郎「お、おお…どうなってるの?」
桃太郎「あんま時間ないんだ…オイラはまた戻らなくちゃ…」
お雪「ええ!!…嫌だよ~…グス」
桃太郎「おママ…ギュ…もう危ないのは終わったから…あとちょっとだから…ナデナデ…な?」
お雪「うう~…」
桃太郎「パパス、おママ…オイラまた少し居なくなるけど、このシータを大切に預かってくれ」
吾郎「わかった」
シータ「わたしが説明しておくよ」
桃太郎「うん…チュ…」
お雪「おお~///…ついにゲレちゃんに春が」
吾郎「しかもこんなべっぴんでw」
シータ「あ///…へへ///」
ボロンゴ「ゲレちゃん…早く戻ろう」
お雪「きぃえええ…しゃべったあああ!!」
桃太郎「ブファwww…シータ…説明をよろしくなw」
シータ「うんww」
吾郎「kwsk」
桃太郎「じゃああと少し待っててね…おママ…チュゥ」
お雪「うん…チュ」
桃太郎「シータも…チュゥ」
シータ「ん…」
桃太郎「パパス…頼んだぞ」
吾郎「おう」

そうして桃太郎は再びボロンゴに乗り、飛んで行った

お雪「飛んだーーー!!!」
吾郎「お雪ww…じゃあえっと…シータちゃん…中にお入り」
シータ「はい」

吾郎「ゲレちゃんとはどこで知り合ったの?」
シータ「それは…あの…ゲレちゃんはわたしたちをやっつけに来たんです…」
お雪「ええ?…どういうこと?」
吾郎「…もしかして…シータちゃんが鬼?」
シータ「鬼…よくわからないですけど…」
吾郎「ゲレちゃんは鬼退治に行ったんだ…」
シータ「そしたらそうだと思います…ゲレちゃんはものすごく強くて…わたしたちは4人いたけど、みんな倒されました…でも誰も殺さなくて…ゲレちゃんはわたしにその…一目惚れ///…したみたいで///…わたしもすぐに大好きになって///…それで嫁に」
吾郎「そうか…」
お雪「鬼…シータちゃんが…」
シータ「…嫌…ですよね…シュン」
お雪「嫌って言うと思う?ww」
シータ「え?」
お雪「…ギュゥ…ゲレちゃんが連れてきたんだからいい子に決まってる…ナデナデ」
シータ「おママさん…グス…ギュ」
吾郎「安心おし…オレが守ってやる」
シータ「パパスさん…ギュ…」
吾郎「おお///」
お雪「ああ~!吾郎さんたらも~!」
吾郎「いや…待って!///…オレはお雪一筋だから!…ね!」
お雪「しっぺね」
吾郎「はい」ベシ!
シータ「あはははw…ごめんなさい…」
お雪「あはははw…大丈夫…ごはん食べる?」
シータ「…はい!」
シータ(ゲレちゃんのあの優しさはこの人たちからなんだ…)

シータは桃太郎の両親をすぐに好きになり、嬉しく思った
吾郎もお雪もかわいい嫁が出来て、喜んだ
シータは一緒に食事をしながら、オニールから来た事、目的、ボロンゴたちの事、そしてそれからの経緯を詳しく話した

吾郎「なあるほど…てことは…シータちゃんはこの地球の人間ではないのか…」
シータ「はい…パパスさんたちから見たら宇宙人です」
お雪「おお…」
シータ「地球人でなくても…いいですか?」
吾郎「ダメって言うと思うか?w」
シータ「…グス」
お雪「むしろすごくゲレちゃんぽいw」
吾郎「ねw」
お雪「だけど…シータちゃんのその服だと、誰かに見られたらまずいと思う」
吾郎「そうだな」
お雪「わたしの着物で悪いけど、着てみよう」
シータ「あ…はい///」
吾郎「じゃあオレは外に居るね」
お雪「うん♪」

吾郎は外に出て、シータは中で着物を着せてもらった

お雪「うっわ!…すっごいキレイなおっぱい!」
シータ「ほんとですか?///」
お雪「うん…柔らか~いw…ムニムニ」
シータ「あう///」

吾郎は外でその会話を聞いて、少し興奮した


一方その頃、桃太郎は鬼ヶ島へと戻った

ボロンゴ「逃げてるかな…」
チロル「だと思うけど…」
桃太郎「それでもいい」
ボロンゴ「ゲレちゃん…」

宇宙船
アルファたちが居た場所に戻ると、プックルだけが待っていた

プックル「おかえりw…アイツらは逃げた」
桃太郎「そっかw…舟の事は教えてやったか?」
プックル「ああ…」
ボロンゴ「最初からそのつもりだったのか?…ゲレちゃんは」
桃太郎「うん…アルファとオミクロンは死んで海に流されたのさ」
チロル「どこまでも甘いねえw」
プックル「あとはコイツだけだ」
桃太郎「ああ…」

少しすると、治療マシンの液体が引き、フタが開いて、ツェータが出てきた

桃太郎「お目覚めかい?」
ツェータ「お前…」
桃太郎「お前たちはどっから来て、何しにきたんだ?」

桃太郎は当然すでに知っていた事をツェータに聞いた

ツェータ「話すと思うか?…他の奴らは?」
桃太郎「死んだ…死んだから海に流して弔った」
ツェータ「…普通、死体は残して調べるもんだろ?」
桃太郎「普通なんて知らねえ…オイラは戦って死んだ戦士たちを弔った…それだけのこった…あんたはまだ生きてたからボロンゴたちにこの機械の事聞いて治したのさ」
ツェータ「…バカか?」
桃太郎「わけを話さねえなら、オイラはおめえを引き渡す」
ツェータ「やなこった!」

ツェータは走り出した
それをボロンゴたちが追いかけ、すぐに捕まった

桃太郎「バカはおめえだ…ボロンゴたちから逃げれると思ったのか?…逃げてどうにかなる場所でもねえのに」
ツェータ「うるせぇ…」
ボロンゴ「こいつを使え、ゲレちゃん」
桃太郎「コレは?」
プックル「コレは手錠っていう奴だよ」
桃太郎「どうやるんだ?」

桃太郎は初めて見たような振る舞いをした
ボロンゴたちもそれに合わせた

チロル「これで外そうしたり、ボロンゴから離れようとしたら爆発する」
桃太郎「え!…そりゃちょっとかわいそうじゃねえか!」
ボロンゴ「仕方ないだろ」
ツェータ「チッ…」
チロル「なあ、ゲレちゃん…オレら充電していいか?」
桃太郎「なんだそれ」
プックル「メシ食うみたいなもんだw」
ボロンゴ「それをしないと動けなくなる」
桃太郎「おお!…じゃあ早く!」
チロル「じゃあまずオレでいい?」
プックル「うん」
ボロンゴ「ああ」

それからボロンゴたちは順番に充電をして、桃太郎は素っ裸のツェータにズボンだけ履かせて、少し眠った
充電が終わると、夜が明けて、空が白み始めていた

ボロンゴ「ゲレちゃん…」
桃太郎「ん…あ…寝ちまったか…」
プックル「どうする?」
桃太郎「帰るべw」
チロル「ああw」

桃太郎はボロンゴにまたがり、プックルがツェータを持ち上げ、内海の港まで飛んだ
それから桃太郎はツェータを連れて、火付盗賊改の役宅へ向かった

平蔵「おお!…桃!…よくぞ無事であったなあ!…心配したぞ」
桃太郎「オイラは約束は破らねえw」
久栄「桃太郎!…ゲレちゃん!…グス」
桃太郎「久栄さま…ギュゥ…心配かけてごめん」
久栄「よくぞ無事で…ギュ…ナデナデ」
平蔵「して…そやつは?」
桃太郎「こいつが鬼だ」
平蔵「…人間に見えるが?」
桃太郎「なんかさ…すげえ頑丈な鎧着ててさ…それをグレートソードでぶっ壊したら、中にそいつが入ってたw」
平蔵「危険ではないのか?」
桃太郎「大丈夫…どうやらその鎧がないとただの人間と変わらないらしいよ」
平蔵「ほう…しかし、鬼は4人だったはず…他の3人は?」
桃太郎「…殺した…オイラが殺した…殺したくなかったけど…殺さないといけないほど強かったから…」
平蔵「そうか…ナデナデ…して、その死体は?…鬼ヶ島か?」
桃太郎「いや…海に流して弔った…ごめん」
平蔵「それは何という事を…」
桃太郎「ごめん…」
平蔵「いや…桃らしいかw…こやつだけでも連れて帰ってきたんだ…大手柄だったなw…ありがとよ…」
桃太郎「オイラもう疲れた…」
平蔵「寝ていくか?」
桃太郎「帰りてえ」
平蔵「帰れるか?…少し寝て、何か食べてから帰れ」
桃太郎「そうする」
平蔵「うんうんw」
桃太郎「そいつのその手錠ってやつ外すから、縄で縛ってよ」
平蔵「わかった」

平蔵が縄でしっかりと縛ると、桃太郎は手錠を外した
ツェータは特に頑丈な牢屋に入れられた

久栄が桃太郎の布団を敷き、桃太郎は2時間ほど眠った
目が覚めると、久栄の作った雑炊を平蔵と2人で食べた

桃太郎「平蔵さん…」
平蔵「どうした?…ほら…もっと食え!」
桃太郎「うんw…あれさ」
平蔵「うん?」
桃太郎「もうしばらくしたらオイラんちに来てくれよ…平蔵さんだけ」
平蔵「……」

勘の鋭い平蔵は、それだけで何かを感じとった

桃太郎「いいかい?」
平蔵「おうw…落ち着いたら行くよ…1人でな」
桃太郎「うんw」

桃太郎は食事を終えると、久栄に存分に甘えてから、ボロンゴ、プックル、チロルと共に家へと帰っていった
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