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1章

桃太郎爆誕

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あれからさらに4ヶ月
お雪は今まさに、お産の苦しみの中に居た
吾郎は町から産婆を連れて来ていて、産婆と共に奮戦している
吾郎はお雪の手をしっかりと握り、額の汗を拭いながら励ました

そして2時間後…ついに赤ん坊は激しい泣き声と共に産まれた

産婆「あらぁかわいい…ほらお雪さん…あんたの子だよ…」
お雪「ああ…かわいい…グス…こんにちは」
赤子「ばぁ~!」
吾郎「ははw…グス…元気だ…良かった…ありがとな…お雪…ギュ」
お雪「吾郎さん…ありがと…グス…」
吾郎「名前…何てする?」
お雪「…ボロンゴは?」
吾郎「え?」
お雪「…じゃあ、プックル?」
産婆「え?」
お雪「チロルは?」
吾郎「い、いや…」
産婆「チロルて!」
お雪「も~…じゃあゲレゲレは?」
吾郎「…それだ!」
産婆「いやいやいやいや…待て待て待て待て」
お雪「ええ~…」
吾郎「ゲレゲレいいよなあ」
産婆「いやいやいやいや…桃太郎な?」
お雪「桃太郎…それだ!!」
吾郎「だな!…しっくりきたw」
桃太郎「うばぁ…(良かった…)」

こうして危ういところで『桃太郎』という名前に決まり、お雪と吾郎はそれはそれは可愛がって大切に育てた

桃太郎0才
桃太郎「あうあ~」
お雪「よちよち…おっぱいあげまちゅからね」
吾郎「オレこっちの空きおっぱいいい?」
お雪「しょうがないなあw…吾郎ちゃんもよちよち」
吾郎「へへ///」
桃太郎「うぶぅ」
お雪「あ…気持ち…いて!…ゲレゲレ噛んだあ!」
吾郎「な、なんだってえ?!…ちょっと貸せ…ゲレ…お前な、やっていいことと悪いことってのがあってな…おママの乳首噛むのはダメな方だぞ?…女を痛い目に合わすなんて言語道断ってやつだ…わかるか?…女の笑顔を願ってこそ男だ…そうだろ?」
桃太郎「あう!」
吾郎「よし…わかればいい…ギュ…ナデナデ」
お雪「ふふふw」
吾郎「おーし…じゃあもっかい優しくな?…見てろ?こうやるんだ…チュ…ペロペロ」
お雪「あ…///」
吾郎「ほれ」
桃太郎「ばう…チュ…ペロペロ」
お雪「あん///」
吾郎「そうそうそうそうw」

桃太郎という名前だが、2人は『ゲレゲレ』の愛称で呼んでいた

ゲ…桃太郎3才
桃太郎「おママ…これなに?」
お雪「釣り竿だよ~」
桃太郎「つりざお?…つりざおって?」
お雪「これでね、お魚をとるの」
桃太郎「どうやって?」
お雪「川でね…こうやってね…」
桃太郎「やってみたい」
お雪「おーし!…じゃあ川に行こっか!」
桃太郎「おーし!」

桃太郎はお雪の手を握り、2人で川に向かった

お雪「ゲレゲレ…川にぼちゃんはダメよ?」
桃太郎「うん…で、どうやるの?」
お雪「この糸の先の針にね、この餌つけてね…よし…そしたらこう」ポチャン
桃太郎「おお~」
お雪「お魚が引っ張るまで待つのよ…ゲレゲレ持ってる?」
桃太郎「持つ持つ♪」
お雪「じゃあおママはゲレゲレ持ってよw」
桃太郎「へへw…おママあったかい」
お雪「おママもあったか~いw」

桃太郎「あ!…おママ!…引っ張ってるよ!」
お雪「…ス-…ス-…」
桃太郎「寝てるw…よし…」

桃太郎は3才とは思えないほど力もあり、賢かった
手に伝わる魚の動きに目を閉じて集中した
魚は暴れ回り、右に左に動く
次第に疲れ、動きが遅くなったところで、桃太郎は釣り上げた

桃太郎(ここだ~!!)

桃太郎は竿を引き上げると、もの凄い勢いで自分の方に魚がやってきて、それを避けた
避けた先にはお雪の顔があった

お雪「ぶべら!!…おっふ」
桃太郎「あ、おママ、ごめんね!」
お雪「うう~…すごい!…ゲレゲレったら1人で釣ったの?!…すっごい!…天才!…ギュ」
桃太郎「ぐぶ…ギブ!ギブ!」
お雪「ああ、ごめん///」
桃太郎「魚から針をとればいい?」
お雪「うん…手に刺さないようにね…ドキドキ」
桃太郎「うん…よっ」
お雪「お!上手いw…じゃあこの中に入れて?」
桃太郎「うん」
お雪「すごいね~w…ゲレゲレの初めて釣った獲物w」
桃太郎「やったぜ」
お雪「ていうか、おママ寝ちゃってごめんね///」
桃太郎「ううんw…オイラあともう2匹釣るから、寝ちゃってていいよ…ギュ」
お雪「ゲレゲレ…グス…優しいねえ…ギュ」
桃太郎「優しいのはいつもおママだよ…ギュ」
お雪「いい子いい子…グス…ナデナデ」
桃太郎「へへw…おーし!昼までに釣ってパパスと3人で魚パーティーだ」
お雪「おーし!」

コツを掴んだ天才桃太郎は、その後なんなく2匹を釣り上げ、眠っているお雪を起こし、家に帰ると、吾郎と3人で魚をおかずにごはんを食べた
吾郎もこれでもかというほど桃太郎を褒め称えた
桃太郎はこの優しい2人が大好きだった

桃太郎5才
桃太郎「ねえ、パパス!…オイラ今日はパパスについてく!」
吾郎「おw…けどお前…おママが寂しくしてたらかわいそうだよ…」
お雪「大丈夫よw…わたしもたまには1人でゴロゴロするからw」
吾郎「そうお?」
お雪「うん…チュゥ」
吾郎「かわいい///…じゃあ留守番頼むねw」
桃太郎「おママ、たくさん寝るんだろなあw」
お雪「そ、そんな事ないもん」
吾郎「寝てていいよ…ナデナデ…」
お雪「うう…優しい…ウル」
吾郎「ふふw…ゲレ…おめえも大切な女が出来たら、大切にしてやれ?…それが男ってもんだ…お前が何をして、どう生きようと、それはお前の自由だが、その事だけは守ってくれな?」
桃太郎「うん…わかった、約束する」
吾郎「…何してもいいけど、悪い事はダメだぞ?」
桃太郎「わかってるw…けど悪い事ってどんなだ?」
吾郎「ん~…誰かに迷惑をかけたり…傷つけたりとかかな…」
桃太郎「けどさ…オイラはおママを傷つけたりするつもりなくても、もしかしたら知らないとこでそうしちゃう時あるかもだよ」
吾郎「それは仕方ねえよ…大事なのは傷つけないようにする心だ」
お雪「そうよ~…わたしゲレゲレに『クソババア』とか言われたら泣いちゃうからね」
桃太郎「言うわけないよw」
吾郎「うんうん…そんなのだせえからな…むしろ泣いてる女とか弱い奴を笑顔にしてやったらカッコいいぞ」
桃太郎「ほむほむ」
お雪「そうだよ~…吾郎さん、とってもカッコ良くって、おママはすぐに好きになっちゃったんだもん」
桃太郎「ふうん…」
吾郎「ま、とりあえず行くか!…ゲレ、オレの『グレートアックス』は持てるか?」
桃太郎「うん!」
吾郎「マジかw…お前ほんとに5才?w」
お雪「ブフゥww…わたし持てないのにww」
桃太郎「オイラはパパスの子だからな」
吾郎「ゲレ…泣かす事言うなよ…グス…ギュ…」
お雪「ゲレゲレ…グス」
桃太郎「ああもうすぐ泣くからなあ…行くぞパパス」
吾郎「お、おう…グイ」
お雪「行ってらっしゃい!…気をつけてね…チュ…」
桃太郎「うん…チュ」
お雪「吾郎さんも…チュ」
吾郎「おう…チュ」

そうしてゲレ…桃太郎と吾郎は仲良く山に向かった

吾郎「いいか?ゲレ…こいつを今から切るが…その前にまずこの木に手を合わせて感謝するんだ」
桃太郎「うん…こう?」
吾郎「そう…目を閉じて、木に『ありがとう』と『ごめんなさい』を伝えるんだ…」
桃太郎「でも木だよ?」
吾郎「木だって必死に生きてる…オレたちはオレたちが生きる為に、この木の命を奪うんだ…それを忘れたらいけねえ…忘れずに感謝をするんだ」
桃太郎「うん…木さん…これから傷つけて命をもらってしまいます…ごめんなさい…ありがとうございます」
吾郎「そうだ…ナデナデ…いつだって『ごめんなさい』と『ありがとう』は忘れるな」
桃太郎「うん!」
吾郎「おし…じゃあやるぞ?…見とけよ?」

吾郎は凄まじい勢いとコントロールでグレートアックスを振り、木にたちまち切り込みが刻まれていく
見ているだけで、吾郎の力の強さが伝わる
いつも優しく温かな吾郎しか見た事のなかった桃太郎は、父のたくましさ、強さに惚れ惚れとした

桃太郎「パパス…カッコいい~///」
吾郎「お///…そうか?///…ゲレもちょっとやってみるか?」
桃太郎「いいの?!」
吾郎「危なかったらやめさすけど、危なそうだからやらせないのは愛じゃねえ」
桃太郎「パパス…」
吾郎「ほら…こう持ってな…足を大地に踏みしめて…こんな感じに振り上げて…最初はこんなもんでいい…そんで下半身は動かねえように気をつけて叩きつけるんだ」
桃太郎「よし…」

桃太郎は目を閉じて集中し、ゆっくりと軽く振りかぶると、言われた通りにグレートアックスを叩きつけた
5才の力とは思えない強さが木に伝わる

吾郎「おお!…ゲレ…天才かよ!…どうだ?疲れたか?」
桃太郎「ううん…面白いw」
吾郎「よし、じゃあ疲れるまで今のやってみろ」
桃太郎「うん!」

桃太郎はそれから11回グレートアックスを振るったが、そこで疲れた

桃太郎「も、もうダメ…ハァ…ハァ…」
吾郎「十分だ!…よくやったぞ!…偉いな、お前は~…ギュ」
桃太郎「ぐぶぅ…ギブ!ギブ!」
吾郎「ごめんw…愛が溢れちまったw」
桃太郎「へへへw…でもさ、疲れるのもあるけど、手が痛いなあ、コレ…」
吾郎「見せてみ?…ああ…赤くなっちまって…かわいそうに」
桃太郎「大丈夫だよ…パパスはもう痛くないの?」
吾郎「見てみな?」
桃太郎「すげえかてえ…」
吾郎「何年もずっとやってると、こんな手になっちまうんだw…太くて汚ねえ手だろ?w」
桃太郎「そんな事ない!…ギュゥ」

桃太郎は吾郎のゴツい手を両手で掴み、頬擦りした

桃太郎「パパスはずっと…オイラたちをこの手で守ってくれた…この手は誰の手よりカッコいいよ…汚くなんかあるもんか…こんな疲れることを毎日毎日…たった1人で…オイラ、尊敬するよ」
吾郎「…ウッ…グッ…お前…クゥ…そんな事…当たり前だ…グス」

吾郎はしばらく泣きながら、最愛の息子を抱きしめた
そのいつもの優しく温かな吾郎に、桃太郎もひそかに泣いた

吾郎「へへ///…ごめんな、こんな泣いちまってよ///」
桃太郎「すーぐ泣くからなあw…パパスは」
吾郎「そういうお前だってこれなんだよw…グイ」
桃太郎「これは…汗だよ///」
吾郎「そういうことにしといてやるよw…じゃあ続きやるぞ」
桃太郎「うん」

その後、吾郎は何度か打ち込み、あと少しで木が倒れるというところで、桃太郎に代わり、『切る』というのを体験させた
木が倒れる迫力のある様は、桃太郎も感動した

吾郎「ごめんなさい…ありがとうございます」

吾郎は手を合わせ、倒れた木にそう念じた
桃太郎もそれに倣って同じ様にした

それから吾郎は桃太郎に教えながら2人で枝を削ぐ作業をした
桃太郎の手はまめができ、潰れて血が少し出た

吾郎「ああ…ゲレ、痛いだろ…ごめんなあ」
桃太郎「こんくらいなんてことないよ」
吾郎「つええなw…けど待ってろ…」

吾郎「ほらコレな…傷薬だ…こいつを塗って、この細く切った布を巻いてな…これでよし!」
桃太郎「おお~…痛みが少なくなった!」
吾郎「だろ?w」
桃太郎「パパスすげえなあ…その傷薬っての、オイラもほしい」
吾郎「へへ///…ほらよ…じゃあ一旦おママのとこけえるか…腹減ったろ?」
桃太郎「うんw…腹減ったw…行こう…ギュ」

桃太郎は吾郎の手を握り、家に帰った
お雪は寝ていて、お昼の支度をしていなかった
吾郎ははだけた胸元を直して、布団をかけてあげ、桃太郎と昼餉を作り、出来上がる頃にはお雪が目を覚ました

お雪「あ!…ごめんなさい!…わたしったらもう…」
吾郎「お、ゲレ…おママったら出来たら目が覚めたよww」
桃太郎「ちゃっかりしてんなあww」
お雪「ごめ~ん///」
桃太郎「いいんだおママ…いつも美味しいごはん作ってくれてありがと…ギュ」
お雪「ゲレ…ウッ…グス…」
吾郎「そうだ、それでいい…ナデナデ」
桃太郎「泣くなよ…ほら…ごはん食べよ」
お雪「うん!」

そうして、お雪と吾郎から、ふんだんの愛と優しさの心を教わりながら、賢く逞しく成長していった

桃太郎8才
吾郎「お雪…ゲレ…ちょっといいか?」
お雪「なあに?」
桃太郎「ん?」
吾郎「実はな…ゲレに…いや桃太郎にこんな山ん中だけじゃなくて…もっと広い世界を見せてやりたいと思ってな…どうだ?…町に行って住んでみねえか?」
お雪「町に…」
桃太郎「おママ…嫌なのかい?」
お雪「あ…ううん…ゲレ…桃太郎が決めて?」
吾郎「町に出たらオレは大工の下っ端に使ってもらえるよう、話はしてある…その棟梁が長屋も借りてくれるって…しばらくは生活が苦しいかもしれんが…どうだ?」
桃太郎「オイラは…行ってみたい…けど、おママがそんな感じだとオイラは行けない」
お雪「え?…いいのよ~」
桃太郎「良くない…そんな顔するわけを知らないで、オイラは浮かれて町に住めない」
お雪「ゲレ…」
吾郎「お雪はな…

時は遡る事20年前
お雪は町でも有名な宿屋の娘として生まれ、とても裕福に育った
お雪はその名の通り、白く美しい肌と、かわいらしさがあり、その上気さくで明るく元気な性格の為、とても人気があり、お雪に会いたさで来る客も少なくなかった
つまり、とても繁盛していた
お雪は子どもが好きで、近所の子どもたちともよく遊んでいた

吾郎も子どもと遊ぶお雪が好きで、町に材木を売りに来た時は、必ずその宿に泊まる事にしていた
吾郎は優しく、初めて見ても頼りになりそうな雰囲気を持った男前なので、当然モテる
吾郎は来るたびにお菓子を子どもたちとお雪にあげて、一緒に遊んだ
お雪も吾郎の優しい笑顔を見るのが楽しみだった

そうして吾郎も泊まっていたある日、2人連れの人の良さそうな、気前良く心づけもくれる客が入り、お雪の両親はたいそうもてなした
しかし、その2人というのは盗賊の一味で、中から戸の鍵を開け、仲間を引き込む『引き込み』であったのだ
盗賊には大きく分けて2通りあり、『大盗賊』と呼ばれる者たちは、『犯さず、殺さず、貧しい者からは奪わず』という信念の元に盗みを働く
何年も前から下働きを入れ、合鍵を作り、綿密な計画を立てた上で、店の者が気づかないうちに盗むのを矜持としている者たちだ
そしてもう一つは『急ぎ働き』と言われる、いわゆる強盗である
店の者は皆殺しにし、若い女は犯され、殺される
そして全てを奪って逃走するという、とんでもない悪党どもだ

そして、その2人の引き込みの盗賊は急ぎ働きであった

賊の群れは次々と店の者や宿泊客を殺して、暴れ回った
大商人などの家は用心棒の浪人を雇っているのが常であったが、多勢に無勢ですでに殺されてしまった
お雪の両親はその引き込みの2人に殺された
隣の部屋からその様子を覗いていたお雪は、ショックで少し呆然としたが、吾郎を死なせまいと、吾郎の部屋に走った
その途中に盗賊につかまり、お雪は犯されかけた
その時、お雪にしがみついた賊をもの凄い力で持ち上げ、膝に叩きつけ、背骨を折り殺した者がいた
それは他ならぬ吾郎だった

お雪「吾郎さん…逃げて!…殺されちゃう!」

お雪は吾郎に助けを求めるどころか、犯されそうになりながらも吾郎を案じ、逃がそうとした
そんなお雪を見た吾郎は、その美しさに胸を打たれて、お雪を必ず守ると決意し、持ってきていたナタで、自身も傷つきながら、倒していった
吾郎はもちろん普段はケンカもしない優しい男なので、戦った経験も、ましてや殺した経験もない
しかし、長年鍛えられた屈強な身体と鋭いナタの振りで、お雪を後ろに庇い、1人、また1人と賊を殺していった
その吾郎に盗賊たちはモタついていたため、『火付盗賊改』という、今で言う『特殊部隊』のような者たちが駆けつけ、盗賊たちのほとんどは斬り殺された

安堵した吾郎はお雪を抱きしめながら、店の者と客と盗賊の流したおびただしい、むせかえるような血の匂いに気づいた
2人は共に気持ち悪くなり、吐き、しばらく呆然とした
火盗改に2人は連れ出され、手当を受け、事情聴取を受けた後、解放された

吾郎「お雪ちゃん…大丈夫…じゃないよな」
お雪「うん…グス…おっとお…おっかあ…」
吾郎「お雪ちゃん…これからどうする?」
お雪「…グス…わからない…わたし…」
吾郎「オレのとこ来るか?」
お雪「…え?」
吾郎「オレはお雪ちゃんをほっとけない…お雪ちゃんが良ければ…オレのとこに…
お雪「吾郎さん!!…ガバ!」
吾郎「おお///…お雪ちゃん…ギュ…大丈夫…オレが守ってあげる…」
お雪「吾郎さん…吾郎さん…グス…」
吾郎「おいで」

そうして、吾郎の住む山小屋に一緒に住むようになった
当時お雪は17才、吾郎はお雪の事を日を追うごとに好きになっていったが、男に犯されかけたお雪の気持ちを思いやり、何もしないで1年が経った

お雪「吾郎さん…吾郎さんは…」
吾郎「ん?」
お雪「わたしと1年も一緒の家に住んで…隣に寝てても…なんにもしないんだねw」
吾郎「え?///…うん」
お雪「わたし…そんなに魅力ないかな?」
吾郎「そ、そんなわけない!…お雪ちゃんはその…す、すごくその///」
お雪「その…なあに?」
吾郎「…かわいい///」
お雪「ほんと?」
吾郎「うん…ドキドキ」
お雪「じゃ、どうしてなんにもしないの?」
吾郎「だって…お雪ちゃんはその…あんな目にあったから…」
お雪「優しいね、吾郎さん…ギュ…大好きだよ…」
吾郎「お雪ちゃん…グス…ギュ…」
お雪「わたし…ほんとに吾郎さんが大好き…だから…吾郎さんもそうなら…わたしの事『お雪』って呼んで…抱いて?///」
吾郎「お雪ちゃん…お雪…オレもお雪を愛してる…ごめん、オレから言うべきなのに…でも…心から…誰よりも愛してる!…ギュ!」
お雪「おぼぁ!…ギブ!…ギブ!」
吾郎「あ、ご、ごめん///」
お雪「ううんw…ギュウッとして?///」
吾郎「…ギュゥゥ」
お雪「ありがとう…いつも…わたしの身体も心も守ってくれた…ギュ…」
吾郎「こんなオレで良かったら…これからもずぅっと…守っていくよ」
お雪「嬉しい…グス…ほんとに大好き!」

そうして吾郎とお雪は結ばれ、それからは本当にずぅっと…吾郎はお雪を悲しませた事はなかった
お雪ももちろん、吾郎を悲しませない
お互いに深く愛し合い、今に至っている

桃太郎「そっか…おママに乱暴な事した奴も、おママのおママとパパスを殺した奴らも許せねえな…大丈夫…おママ…オイラとパパスがずぅっと守ってやる」
お雪「…ゲレ…グス…ウッ…ウッ…」
吾郎「…立派だなあ…とても8才と思えない…ほんとにオレの子か?」
桃太郎「バカだなぁ…パパスの子だから立派なんだよw…いっつもいろいろ教えてくれるだろ?…オイラはそのどれも全部ちゃんと覚えてるよ」
吾郎「…グッ…またお前は…グス…ギュ…」
お雪「ゲレゲレ~…グス…ギュゥ」
桃太郎「よしよし…ナデナデ」

お雪「吾郎さん…町に行こう!」
吾郎「うんw」
お雪「こんなおばさんに悪さする奴いないと思うけど…守ってね///」
吾郎「当たり前だし、お雪は全然まだまだまだまだかわいいからw」
お雪「もう///…吾郎ちゃん///…ギュ…チュゥ」
桃太郎「やれやれだぜ…」
吾郎「あ、ごめん///」
お雪「そうと決まれば荷造りよ~」
吾郎「おーし!」
桃太郎「おーし!」

とは言っても、元々欲のない2人には荷物も少なく、衣類や生活用品だけ荷車に積んで、あとは出発するだけだった

吾郎「…グレートアックス…もう必要なくなるのか…」

吾郎はしみじみと相棒を眺めた

桃太郎「必要なくたって連れて行こう…そいつも家族だ」
お雪「ゲレ…あんたはいちいちそう泣かせるんだから…」
吾郎「ほんとだよw」

翌日、朝食をとると、長年住んだ山小屋を後にした
その際、当然3人は山小屋に手を合わせ、ありがとうと何度もお礼を言った

町に着くと、大工の棟梁のところへ行き、棟梁はすぐに長屋の手配をしてくれた

吾郎「おかしら…こんな若くもねえオレを雇ってくれて…いろいろ世話もしていただいてありがとうございます」
棟梁「いいって事よw…オレぁ吾郎さんが気に入ってるんだからさw…オレがおめえに親切なのはそれはおめえの生き様の手柄さ」
桃太郎「おかしらかっけえ!!…本当にありがとうございます!!」
棟梁「おうよ!…坊主、良い目をしてんな…さすが吾郎さんの子だぜ」
桃太郎「へへ///…だろ?」
吾郎「こ、これ…」
棟梁「気にすんなってなもんよ」
お雪「おかしらさん…お世話になります…よろしくお願いします」ペコ
棟梁「このべっぴんさんがお雪さんだね?…こりゃたまげるねえ…」
お雪「えへへ///」

棟梁は弥助という名だ
弥助は古くから吾郎の木材を買っているお得意さんで、弥助は吾郎の売る木材の上質さも、その仕事ぶりからくる人格も、接する態度も好きだった
吾郎が大工になろうとしたのは、むしろ以前から弥助の方が頼んでいた事だったのだ
少しの間、弥助とその妻のお妙と共に、居間でくつろいだ後、長屋に案内してくれた

長屋というのは集合住宅であり、決してお雪のようなお嬢様の住む家ではなかったが、お雪は何も気にしない
元々そんな性格ではなかった

桃太郎「ほお…ここが長屋かあ…この隣もその隣も誰か住んでるの?」
吾郎「うん…みんなで挨拶に行こう」
お雪「はあい」

3人は長屋の住人に挨拶をして回り、ようやく自分たちの住まいに落ち着いた

ここから桃太郎の町での暮らしが始まる

長屋には他にも3人ほど子どもがいた
6才のおやえという女の子が1人、その兄で9才の佐吉と、もう1人の男の子は10才の与平といった
桃太郎はその3人と一緒に遊んでいた

お雪「ゲレゲレ~…ごはんだよ~」
桃太郎「はーい!」
与平「お前、なんだよ『ゲレゲレ』ってw」
おやえ「変なのぉw」
佐吉「だせえw」
桃太郎「あ?…オレもさ、変だと思うし、だせえとも思うけどよ…」
お雪(…そ、そうだったの?)
桃太郎「おママとパパスが愛を込めて呼んでくれる『ゲレゲレ』に文句つけるんじゃねえ…オレは『ゲレゲレ』だ、お前らもそう呼べ」
お雪(ヤバ///…ゲレゲレめっちゃカッコいい///)
おやえ「なんだかカッコいい///」
佐吉「わ、悪かったよ…」
与平「そんな怒んなって…」
桃太郎「別に…」

桃太郎はお雪に似た美男子だが、目だけは吾郎のように鋭かった
その目つきで睨まれると迫力があった

おやえ「ゲレちゃん…変って言ってごめんね」
桃太郎「気にすんなってなもんよw…おやえちゃんたちはいつもどんな事して遊んでんだ?…オイラさ、他の子と遊んだ事なくてさ」
佐吉「ちゃんばらごっことかしてる」
桃太郎「ちゃんばら?」
与平「まあ、侍の真似してさ…棒で打ち合うんだよ」
桃太郎「へぇぇ…面白そうだなw」
おやえ「でも…アタイはおままごとがしたい…オドオド」
桃太郎「おままごとって?」
おやえ「アタイがおっかさんの役になったり、ゲレちゃんがおっとおの役になってね…遊ぶの!」
佐吉「ヤダよそんなの…なあ」
与平「ああ…女じゃねえし…」
おやえ「…グス…」
桃太郎「てめぇら…女の子を泣かせんじゃねえ…おやえちゃん…メシ食ったらさ…おままごと一緒にやろうなw」
おやえ「ほんと!?…パァァ!」
桃太郎「当たり前だ…オレはおやえちゃんを笑顔にしても、泣かせはしねえよ」
お雪(ゲレゲレ…マジイケメン///)
佐吉「お、オレはやんねえぞ」
与平「オレも!」
桃太郎「…だせえな、お前らはよ…わかった、メシの前にちょっとちゃんばらやってやる…オレが勝ったらおままごとだ…いいな?」
佐吉「お前、年下のくせに生意気だぞ」
与平「そうだ、新入りのくせに」
桃太郎「生意気だと思うなら、本気でオレをぶちのめせるだろ?…かかってこいよ!」
佐吉「こいつ!」

2人は棒を振りかぶって桃太郎に襲ってくる

お雪(ああ!…危ない!!)

お雪の心配をよそに、元々高性能な上、木こりの手伝いで鍛えられた桃太郎にはなんてことなかった
あっという間に手刀を2人に1発ずつくらわせ、2人は地面に悶絶した

おやえ(カッコいい~///)
お雪(カッコいい~///)
桃太郎「それでおしまいか?…約束は守れよ…ほら」

桃太郎は佐吉に手を差し出した
佐吉はその手を払った

佐吉「いってえ…」
与平「行こうぜ、佐吉」
桃太郎「約束も守れねえのか?…だせえな…行かせてやりたいところだが、そうはいかねえぞ」

桃太郎は佐吉の着物を引っ張って止めた

佐吉「な、なんだよ」
おやえ「ゲレちゃん…もういいよ…嫌がってる人とやったって楽しくないよ」
桃太郎「うんw…そうだよなw…けど、このままだとおやえちゃんと佐吉が家で気まずいだろ?…だからね、オイラは佐吉に謝る」
おやえ「え?」
佐吉「え?」
桃太郎「佐吉…すまねえ…オイラちょっと調子に乗った…オイラの事嫌ってもいいけど、おやえちゃんとは仲良くいろよ…ごめん」
おやえ「ゲレちゃん…ギュ」
佐吉「いや…ごめん…オレも悪かったよ…やるよ、おままごと…」
与平「し、しょうがねえな…」
桃太郎「ははw…そうこなくちゃw」
おやえ「ゲレちゃんカッコいい~///」
桃太郎「だろ?w…パパスの子だからな」
お雪(ゲレゲレ…グス…)
桃太郎「おママ…待たせてごめんw…ごはん食べよう」
お雪「うんw」
桃太郎「あれ?…また泣いてたな?w…もうおママはよう…ナデナデ」
お雪「あははw…ゲレちゃんカッコいいw…ギュ…大好き」
桃太郎「オレも…ギュ」

そうして2人でごはんを食べ、その後はおやえたちとおままごとをして遊んだ

おやえ「アタイはおママ…ゲレちゃんはパパスね!」
桃太郎「おう」
佐吉「オレは?」
おやえ「次男…与平ちゃんは長男」
与平「オレら、お前らの子どもなの?w」
桃太郎「こら与平…親に向かってお前とかお前はほんともう…ダメだな…いろいろダメだ」
お雪「ブファww」
おやえ「ほんとよね~…だからこの年になってもお漏らしすんのよ」
与平「し、しねえよ!」
桃太郎「おやえ…それは言いっこなしだ…そんな時だって時にはあるだろ?…人の恥は人前で言っちゃダメだ…な?」
おやえ「…そっか…ごめんね、与平」
与平「う、うん…してねえけどw」
佐吉「わはははw」
おやえ「お前さん…はい、ごはん」
桃太郎「おう…パク」

おやえの出したごはんは砂の団子だったが、桃太郎は躊躇なく口に入れた

佐吉「ゲレちゃん!…それ食えねえよ」
与平「マジで食べるなよ!」
桃太郎「うえ…口ん中ザリザリだw…」
おやえ「そ、そりゃそうだよ~…」
桃太郎「いや…わかってるけどさw…おやえちゃんがくれたんだから、食べてやりたかったんだよw…でもごめんw…やっぱ無理だったw」
お雪(優しい…グス…ほんと、吾郎さんみたい…)
おやえ「…ゲレちゃん…グス…」
桃太郎「あ、あれ?!…ど、どした?!…オレが吐き出したの悲しかったか?…おし!…今度はちゃんと食うからな!」
おやえ「ち、違うよ…なんか嬉しかったの…だから泣いちゃった…悲しくて泣いたんじゃないの」
桃太郎「ほんと?…おママ、その泣かせるのはオッケーかな?」
お雪「オッケーよ!」グッ
佐吉「なんか…ゲレちゃん、変わってるけどさ…やっぱちょっとカッコいいなw」
与平「うんw」
桃太郎「おい、ゲレちゃんじゃなくてパパスだろ?」
佐吉「パパスごめんw」
与平「パパスごめんなさいw」
お雪「ブフww」

そうしてその後もおままごとを続け、結局は佐吉も与平もゲラゲラ笑いながら楽しんでいた
暗くなって別れ、帰ってきた吾郎と夕食を食べながら、お雪はその桃太郎の振る舞いを一部始終吾郎に聞かせた
吾郎も泣いたり笑ったりして聞いていた

そうした日々が過ぎて行き、桃太郎は学校にも行った
賢く、強く、優しいイケメンの桃太郎は、学校でも人気があり、『桃さん』とか『ゲレさん』とか『兄貴』とか呼ばれ慕われていた

桃太郎16才
お雪「ゲレちゃん…だいぶ背が伸びたねえ…もうおママよりおっきいもんねw」
桃太郎「背だけねw…おママの方がまだまだおっきいよ」
お雪「そんな事ない…ギュ…ゲレちゃんはとーってもおっきいよw」
吾郎「うん…オレもそう思う…ゲレはオレの誇りだ…宝だ」
桃太郎「そんな事言うなよ…年寄りめw」
吾郎「わはははw」
桃太郎「なあ、パパス…マジでさ、身体は大丈夫?…ずっと身体使ってさ…オイラたちを養ってさ…オイラ心配だ」
お雪「…グス…」
吾郎「なあに言ってんだw…オレぁまだ若い奴には負けんよ」
桃太郎「オイラも働くよ」
吾郎「ゲレ…その気持ちは嬉しいけどよ…お前はお前の思うままに生きろ…おママの事もゲレの事も…オレが必ず守るから」
桃太郎「じゃあこれからはおママの事だけ守ってやってよ…オイラはもう大丈夫だからさ…」
吾郎「そんなお前…グス…寂しい事言うなよ」
桃太郎「違うよw…オイラも男だからさ、パパスみたいに守れる男になりてえんだ…守られてたらなれねえだろ?…オイラもだから強くなってさ…おママもパパスも…友達も…友達じゃなくても…みんなを守れるくらいなイケメンになるんだ…だからまずは手始めに働く」
お雪「ゲレちゃん…マジイケメン…言葉がないよ…」
吾郎「…わかった…おめえが決めた事なら、オレは文句ねえ…でも、助けがいる時は頼ってくれよな?」
桃太郎「うん…ありがと…ギュ」

その日の夜、桃太郎は町をぶらぶらと歩いた
川べりを歩き、二八そばの屋台を通り過ぎると橋が見えた
その橋を渡ろうと浪人姿の侍が提灯を持って橋にさしかかり、渡ってくる
そして、その後ろの暗闇の中から、刀を抜いて音もなく走ってくる覆面をした浪人が見えた
桃太郎はそれを見た瞬間に走り出し、提灯の方へと向かった
提灯の浪人も後ろから迫る殺気に気づいて、提灯を捨てて、刀に手をかけながら、橋を走り抜ける
覆面の浪人が提灯の浪人に追いつき、斬りかかるのを、提灯の浪人は間一髪かわし、隙を見て抜刀する
桃太郎はその様子を見て、立ち止まった

桃太郎(2人ともすげえ達人だ…でもあの覆面の奴…あっちが優勢だ…)

桃太郎は再び走り出した
なぜか提灯の浪人を助けようと思ったのだ
覆面の浪人が提灯の浪人の刀をはじき、あわやというところで、桃太郎は覆面の浪人に向かって飛び蹴りをした
覆面の浪人はサッと避けると、今度は逃げるように走り去った

桃太郎「なんなんだ…アイツ…」
提灯の浪人「おお…助かった!…ありがとよ」
桃太郎「あ、いや…余計な事だったかなw」
提灯の浪人「そんな事ないw…お前…名は?」
桃太郎「人に名前聞く時はそっちが先に言うべきだぜ?…桃太郎だ」
提灯の浪人「すまぬw…オレは木村忠右衛門というものだ…しかし、桃太郎、素晴らしい動きだったな」
桃太郎「ああ…うんw…小さい頃から身体はそれなりに鍛えてたんだよ…木村さんは…なぜ襲われたの?」
木村「わからん…」
桃太郎「わからん…ほんと?…わからんって顔じゃねえけどな」
木村「ほう…面白い奴だw…どれ、命の恩人になんか奢ってやるか」
桃太郎「いいよ、別に…オレはオレのやりたいようにしただけさ」
木村「ほう?…ではあいつではなく、オレを助けるつもりになったのはなぜだ?」
桃太郎「わからない…なんとなく」
木村「実はオレの方が悪者かもしれんぞ?」
桃太郎「それはないよw」
木村「なぜ?」
桃太郎「なぜと言われてもなあ…悪者の顔じゃねえからかな」
木村「わはははw…そんなのわかるのか?w」
桃太郎「うーん…悪者の顔はわからねえけど、良い奴の顔はわかるよ…オイラのパパスと同じ目だ…それは人を守ってきた目だ」
木村「パパス?」
桃太郎「ああw…父ちゃんの事だw」
木村「ああw…そうか、桃太郎の父ちゃんか」
桃太郎「うん…自慢の父ちゃんだ」
木村「それはさぞかし桃太郎の父ちゃんも桃太郎が誇りであるだろうな」
桃太郎「あはははw」
木村「ん?…何かおかしな事言ったか?」
桃太郎「あ、いやw…さっき家出る前にそう言われたからさw」
木村「そうかw…ちょっと変わってるが、面白い奴だな…桃太郎は」
桃太郎「よく言われる」
木村「しかしなんでこんな夜ふけに出歩いてたのだ?」
桃太郎「質問多いねw」
木村「すまないw」
桃太郎「いや、いいよ…オイラも木村さんがなんか気に入った…オイラさ、そろそろ働いてみようと思ってさ…パパスももういい歳だしさ…ちょっとは助けようと思って…それでいろいろ見て回ってた」
木村「それは感心だなあ…オレのガキに爪の垢煎じて飲ませてやりたいわ」
桃太郎「木村さんの子かあw…木村さんの子って事は、やっぱり剣術はすごいんだろな」
木村「いや…全くそんな事なくて困ってるw…女遊びばっかりだな…オレに似てるのはw」
桃太郎「女遊び…金払って女を抱くってやつ?」
木村「そうだ…桃太郎もするか?…桃太郎ならモテるだろうなw」
桃太郎「オレはする気ない…」
木村「なぜ?」
桃太郎「オレは女の経験なんてないけど…抱くなら金づくじゃなくて、ちゃんと心を抱いてやりたい」
木村「立派だな…だがなあ…その女たちも金で抱かれて生きていけるんだ…」
桃太郎「…それしか稼ぐ方法がないから?」
木村「むろん、そういう者もいる…だが、始めはそうでも…どうにも抱かれてないと夜を過ごせなくなってくるらしい」
桃太郎「そうか…なんか…かわいそうだな…」
木村「だからな…女遊びとはいえ、それが全く助けにならん事もないのだ」
桃太郎「へぇぇ…そっか…勉強になった…そっか…」
木村「ほら」

木村は一分銀を桃太郎に出した

桃太郎「え?」
木村「助けてくれた礼だw…気が向いたらこれで女を抱いてやれw…桃太郎ほどの男前に抱かれるのはその女もさぞや助かるだろうよ」
桃太郎「…ありがとう」
木村「こちらこそだw」
桃太郎「また会いたいなw」
木村「縁があれば会えるであろうよw」
桃太郎「縁…か」
木村「ああ…ではな」
桃太郎「うん…またね」

桃太郎は木村と別れたその足で、遊郭へと行ってみる事にした

遊郭は夜でも活気があり、顔を白塗りにした女たちが、客引きに忙しい
桃太郎はその中を歩いてみた
桃太郎の顔を見た女たちは、しきりに桃太郎を誘ってくる

桃太郎(ほんとだ…モテるのか、オレは)

桃太郎は女を買ってみるか迷った
木村の言う事も納得出来たし、なんでも経験するのは悪くないと思ったが、おママが悲しむかもしれないと思うと、ふんぎりがつかなかった
そんな事を考えていると、前の方から怒号が聞こえた
どうやらケンカらしい
こういった所では、そんな事も日常であった
桃太郎はケンカを見物した
男たちは掴み合いをし、暴れ、白塗りの女にぶつかり、女は倒れた際に足を痛めた

桃太郎「おい!」

桃太郎はケンカの2人に声をかけるが、男たちは眼中にない
桃太郎は男たちに1発ずつ強烈な蹴りを入れると、男たちは吹っ飛んだ

「なんだ!てめぇは!」
「このガキ!!」

先に殴りかかった男の拳をのけぞり様、踏み込んだその男の太腿を強烈に踏みつけ、後から殴りかかる男の腕をつかみ、ひねり上げた

「ぎゃあああ…」
「いでええ…」
桃太郎「てめぇら…ケンカなんざ勝手にどこでもしたっていいが…女にケガさせてんじゃねえ!」ドゴ!
「ぐぶぅ!」
桃太郎「謝れよ…」
「くそガキ…」
桃太郎「…謝れよ…ボキ」
「ぎぃやああああ!!」
桃太郎「わからねえか?」
「わ、わかった!…あ、謝る…す、すいませんでした!」
「すすすすいません!」
桃太郎「オレに謝ってどうするよw…大丈夫かい?…立てる?…無理か…じゃあ…ダッコ」
女「あ///」
桃太郎「かわいそうに…おら!…謝れ」
「す、すいませんでした…」
「すいません…」
桃太郎「許してあげるかい?」
女「はい///…あの…お名前は…」
桃太郎「ゲレゲレだw」
女「え?」
桃太郎「はははw…よっ、足見せて?」
女「はい///」
桃太郎「あ…血が出てる…かわいそうにな…」

桃太郎は吾郎から貰った傷薬を常に持ち歩いている

桃太郎「…ヌリヌリ…これね、傷薬だよw…良く効くからね…きっとすぐ治るよw」
女「…グス」

桃太郎はさらしを少しちぎって、女の足に巻いた

桃太郎「これで良し…少しはマシになったろ?」
女「はい///…ありがとうございます///」
桃太郎「その足じゃ今日は仕事出来ないね…布団に連れてってあげる」
女「あ、はい///」

桃太郎は抱っこして、その女の案内で、部屋の布団に寝かせた

女「あの…お金は要りませんので…どうか…今日だけでも…」
桃太郎「ごめん…オレぁこういうとこ初めてでさ…女を買う気で来てみたけど…やっぱりそういう気持ちにならなかった…」
女「やっぱり…汚れて見えますか?」
桃太郎「そんな事ない…あんたも必死で生きてるんだろ?…ナデナデ…でもなんでこういう道を?」
女「女1人で生きてくのは…こんな道しか…」
桃太郎「1人…なのか?」
女「はい…親も早くに死んじまって…茶屋とかいろんなとこで仕事探しても…見つからなくて…」
桃太郎「そうか…かわいそうに…ナデナデ…」
女「…グス」
桃太郎「オレは…抱いてやる事は今は出来ないけど…泣きたいならオレの胸くらい貸してやる」
女「…ギュ…グス…ウッ…ウッ」
桃太郎「よしよし…ナデナデ…かわいそうにな」

女「あの…ありがと…ゲレゲレさん?」
桃太郎「うんw…変な名前だろ?w…ま、本名じゃねえけど…オレの大好きな母ちゃんと父ちゃんがさ…そう呼ぶんだ…だからね、好きなんだよ」
女「そう…変な名前だけど…とっても素敵よ…ギュ…」
桃太郎「ありがと…足早く治るといいなw」
女「うんw…ねえ、せめて寝るまで…ここに居て?」
桃太郎「そんな事言って寝ないとかなしだぞ?w」
女「うんw…ちゃんと寝る…もう眠くなってきた」
桃太郎「よしよし…ナデナデ」

女が寝たのを確認すると、桃太郎は木村から貰った一分銀と傷薬を枕元に置いて、部屋の窓から飛び降りて、帰っていった

桃太郎「ただいま~ってもう寝てるよな…」
お雪「おかえり!…うわぁ~ん…ギュ」
桃太郎「どうしたよ…」
吾郎「おめえがいつまでも帰らねえから、おママは心配で心配でな」
桃太郎「あ…ごめんよ、おママ…ナデナデ」
お雪「心配したよぉ…グス」
桃太郎「ごめんごめん…ギュ…」
吾郎「何があった?」
桃太郎「いろいろ…もう遅いから明日話すよ」
お雪「うう~」
桃太郎「よしよし…ごめんよ」
お雪「ううん…いつまでもこんな子離れしなくてごめんね…」
桃太郎「そんな優しいとこがオイラは好きなんだよw」
お雪「…なんか…ゲレちゃん、いい匂いする…」
吾郎「…たしかに…これ…おしろいの匂いか?」
桃太郎「え?…あ、そうだなw」
お雪「ええ~!!…ゲレちゃんまさか…」
桃太郎「やれやれ…わかった…今ちゃんと全部話すから…」
吾郎「うん」

桃太郎は町を散歩して、木村という浪人を助けた事、木村と話した事、木村から聞いて遊郭に行ってみたこと、おママを思って女を買えなかった事、女を助けた事…全てを事細かに話した

吾郎「なるほどなあw…むしろこの短時間によくそんないろいろあったもんだw」
お雪「うんw…そっか…おママを気にして買わなかったのね…」
桃太郎「うん…それになんていうか、オイラそんな経験ないのに、いきなり女買うのもなあってねw」
吾郎「そのわりに女の扱いが上手いけどなw」
桃太郎「そうお?w」
お雪「でもそっか…そういう女性たちの辛さとか…わたしったら考えた事もなかった…ゲレちゃんはその人を救うつもりだったんだね…ごめんね、おママの方が汚れてるね」
桃太郎「そんな事ないってば…」
お雪「でも…やっぱり、そういうのするのは、ゲレちゃんが本当に恋した後がいいな」
桃太郎「そうする」
お雪「ゲレちゃんもそういうお年頃だもんね…おやえちゃんは?」
桃太郎「おやえは妹みたいなもんだよ…」
吾郎「かわいそうにおやえちゃん…」
お雪「ね…ゲレちゃんの事大好きなのに」
吾郎「でもお雪…もしゲレちゃんに恋の相手が出来たら、ちゃんと子離れしてやるんだよ?」
お雪「うん…わたしも吾郎さんと恋して、たくさんの事学んだもん…だからゲレちゃんにも良い恋をしてほしいよ」
桃太郎「ありがと…でもまだそんな相手も居ないけどねw」
お雪「ゲレちゃんならモテるから大丈夫w」
桃太郎「モテるみたいだなあ、オレw」
お雪「そりゃそうよ~…カッコいいもん」
桃太郎「そうお?w」
お雪「吾郎さんと同じくらいカッコいいよ」
桃太郎「お、やったねw」
吾郎「それで喜んでくれて嬉しいわw…よし…今日もゲレちゃんは良い子だった…という事で寝ようか」
お雪「はあい」
桃太郎「うん…オイラもう眠くて眠くて…」
お雪「ごめんね…おやすみ…ギュ」

そして翌日から桃太郎は就職活動をして、蝋燭問屋の働き口を見つけた

桃太郎20才
蝋燭問屋に勤めてから4年近くの歳月が経過し、桃太郎はなんとその若さで番頭になっていた
元々賢く、なんでもすぐに覚え、優しく誠実で親分肌の桃太郎は、たちまち出世したのだった
稼ぎもぐんと良くなり、暮らしもかなり余裕が出た
しかし、18才の頃から蝋燭問屋で寝泊まりをするようになって、お雪と吾郎は寂しかった
もちろん桃太郎は2人をいつも想い、頻繁に帰ってはいるが、番頭という立場からなかなか難しい
蝋燭問屋の娘は桃太郎に熱烈に恋しており、蝋燭問屋の主も、『桃太郎なら』という目で見ていた
しかし、当の桃太郎は『そろそろ辞めようかな…』などと思っていた
お金はしっかりと稼げたし、年老いてきたお雪のそばに居てやりたかったからだ
吾郎もさすがに昔ほどは動けなくなってきているし、心配だった
とは言え、まだまだ2人とも元気ではある
桃太郎は本当に両親を尊敬しているし、大好きだったので、そもそも最初からお金に余裕が出来たら、そうしようと思っていたのだ
しかし、それとは別に桃太郎にもやりたい事はあった
幼い頃から強さに憧れていた桃太郎
桃太郎は剣術を習いたかった
剣術は桃太郎から見てもカッコよく、二本差しの姿も凛々しくて憧れていたのだ

桃太郎(けどなぁ…オイラは侍じゃねえからなあ…)
桃太郎(いっそ貧乏浪人でも羨ましいわ…)
桃太郎(木村さん…カッコ良かったなあ…)

桃太郎は木村にもう一度会いたくて、浪人を見かけるたびに覗きこんだりしていた

桃太郎(番頭になったのはさ…認められて嬉しい事は嬉しいけど…)
桃太郎(そのせいでおママが寂しくしてると思うとな…)
桃太郎(オイラはおママとパパスを助けたくて働き出したのに…寂しくさせてたらなんか違うよなあ…)

桃太郎がぼんやりとそんな考え事をしていると、蝋燭問屋の主から声をかけられた
主の名は加平といった

加平「これ、桃太郎や」
桃太郎「んあ?」
加平「珍しくぼうっとしてるではないかw」
桃太郎「ああ…ごめん、仕事はちゃんとやってるよ」
加平「うん、わかってるよw…ちょっとこっちにおいで」
桃太郎「うん」

桃太郎は奥の座敷に案内された
そこには娘のお菊も居た

桃太郎「あれ、お菊ちゃん…どしたの?w…なんか硬いねえ」
お菊「ゲレちゃん…」
加平「なあ、桃太郎よ…わしはな、お前が好きでなw…言葉遣いは良くはないが、いつも優しく誠実なお前さんがな」
桃太郎「ありがと…」
加平「それでな…どうかね?…婿養子にならないかね?」
桃太郎「婿養子?…オイラが?…お菊ちゃんはどう思ってるの?」
お菊「わたしは///…ゲレちゃんの事///」
桃太郎「好き…かい?」
お菊「はい///」
加平「どうかね?…お菊も親のわしが言うのもなんだが、なかなか美人だと思うし…悪い話ではないと思うんだが」

悪い話どころか、普通なら万々歳といった話であった
お菊は加平の言うようになかなかの美人だし、性格も良かった
何より、ゆくゆくはこの蝋燭問屋の主人になれる…つまりは億万長者というやつだ
しかし、桃太郎の顔は曇った

桃太郎「加平さん…すまねえ…」
加平「え?!…なぜ?」

加平ももちろん断られるとは思ってなかった

桃太郎「オレは…お菊ちゃんはかわいいとは思うけど…その…そういうわけじゃなくて…」

お菊は泣きながら部屋を出て行ってしまった

桃太郎「あ!…クソ…」

桃太郎はお菊を追いかけた

桃太郎「お菊ちゃん…待ってくれ」
お菊「どうして…わたしの事嫌いなんでしょ!」
桃太郎「嫌いとは言ってないだろ」
お菊「じゃあ好き?」
桃太郎「いや…好きは好きだけどさ…そういう好きじゃねえんだ」
お菊「…ならもう優しくしないで!」
桃太郎「う…」
お菊「放して!」
桃太郎「……」

桃太郎はお菊の腕を放した
お菊は自室へと泣きながら戻っていく

桃太郎(泣かせちまった…けど、ごめんも言えねえ…)
加平「桃太郎…本当に断るのかい?」
桃太郎「ごめん…ちょっと今は考えられない…仕事に戻る」
加平「……」

桃太郎(こんな事になるなら、さっさと辞めちまえば良かった…)
桃太郎(ああ…お菊ちゃん…ごめんよ…)

桃太郎は吾郎から『女を泣かせるな』と教えられて生きてきたので、そうさせてしまった事が本当にショックだった

桃太郎(お菊ちゃん…どうしたら元気になるのか…)
桃太郎(今までそういうのしてこなかったからわからねえ…)

桃太郎は悶々としながら、その日は早めに眠る事にした

そして早くに寝た桃太郎は夜中に目を覚ましてしまった
とりあえず厠へ行き、用を足して廊下に出ると、かすかな物音が聞こえた

桃太郎(なんだ?…嫌な予感がする)

桃太郎はその音の方へ、音もなく素早く近寄ると、黒いほっかむりと黒い衣装を着込んだ一団を見た

お菊「きゃあああ~!!」
桃太郎「クッソがあ!」

桃太郎はすぐさまお菊の部屋に行き、襖を開くと、着物をひん剥かれて乳房が顕になったお菊にのしかかる男が2人居た

桃太郎「この野郎!!」

桃太郎は1人の頭を掴んで、捻り折った
すると、もう1人が匕首(あいくち…短刀の事)を構えて突進してくる
桃太郎は身を捻ってかわし、桃太郎が殺した賊に匕首が深々と刺さった
桃太郎はその賊をパンチして吹き飛ばし、仰向けに倒れたその男の顔面に飛んで膝を叩きつける
その男は顔面の骨が陥没して息耐えた
桃太郎はそれから見つけ次第に倒し、もう1人殺した

桃太郎(クソッ…こんな奴らでも胸が痛むぜ…チクショウ)

しかし、やらなければ恩のある店のみんながむざむざと殺されるのだ
桃太郎は賊の匕首を拾い、加平の部屋に行くと、足を刺され、今にもとどめを刺されそうになっているところに間に合った
後ろから賊の頭を掴み、肩口から垂直に根元まで匕首を刺した
そうしていると、外から『ピー…ピー…』と笛の音が聞こえた
火付盗賊改がやってきたのだ
桃太郎は少しホッとして、お菊の元へ急いだ

桃太郎「お菊ちゃん!」
お菊「ゲレちゃん…ゲレちゃあん!!…ギュ」
桃太郎「ああ良かった…生きてた…ギュ」
お菊「ゲレちゃん…グス」
桃太郎「もう大丈夫…大丈夫だからね…奴らに酷いことされた?…ケガは?」
お菊「酷いことされる前にゲレちゃんが来てくれた…グス」
桃太郎「良かった…ギュ…あ…ごめん、返り血ついた着物で抱きしめたから汚れちゃった」
お菊「そんなのかまわない!…もっかいギュッとして?」
桃太郎「よしよし…ギュ…」
お菊「…は!…父上は?!」
桃太郎「大丈夫…足にケガはあったけど…死んではいない…なんとかギリギリ間に合った」
お菊「良かった…良かった…ありがと、ゲレちゃん…」
桃太郎「ううん…当たり前さ…それより…今日お菊ちゃんを傷つけてすまなかった…オイラは…」
お菊「ううん…そんな事もういいよ…ゲレちゃんはわたしたちの恩人だもん…」
桃太郎「許して…くれる?」
お菊「うん!」
桃太郎「良かったw」
お菊「こんな時でもそんな事気にしてくれるゲレちゃん…やっぱり優しいね」
桃太郎「わからない…本当に優しいならお菊ちゃんを泣かせないだろうし、こんな賊でも殺したりしないよ…ああ…オレは…4人も殺しちまった…」
お菊「こんな奴ら…死んで当然だよ!」
桃太郎「オイラもそう思う…だけどそれでも…落ち着いてみるとすげえ胸が痛む…あの殺した時の手の感触が…」
お菊「ゲレちゃん…ギュ…ゲレちゃんは殺したんじゃない…わたしたちを生かしてくれたのよ」
桃太郎「…ウッ…ありがと…グス」

そこへ火付盗賊改の長官が入ってきた
桃太郎はその長官を見て驚いた
長官も桃太郎を見て驚いた

桃太郎「あ!」
長官「あ!」
桃太郎「木村さん…」
木村「桃太郎…なぜここに?」
桃太郎「木村さんこそ…火盗改だったなんて…」
木村「いやあw悪い!…オレは本当はな…火付盗賊改…長谷川平蔵と言うんだw」
桃太郎「あ…鬼平…」
平蔵「世間ではオレをそう言うらしいなw」
桃太郎「あ、ごめん…」
平蔵「かまわんw…で、桃太郎はなぜここに?」
桃太郎「ああ、オイラここの番頭になったんだ…で、ここに寝ててさ…起きたら奴らが居たから…やっつけた」
平蔵「なにかとすごい奴だw…何か戦う訓練をしていたのか?」
桃太郎「相変わらず質問多いねw」
平蔵「わははははw」
桃太郎「戦う訓練てほどじゃないけど…ちっさい頃はパパスの木こりの手伝いとさ…で、町に来てからよくケンカしてたw」
平蔵「そうかw…それにしても強い…たった1人で半数以上倒して…」
桃太郎「平蔵さん…オイラ…人を殺した…4人も…オイラ…」

桃太郎は自分の血のついて震える手を、悲しい目で見つめた
平蔵はそんな桃太郎を優しく抱きしめ、撫でた

平蔵「お前のその心を痛めた分だけ…いやそれ以上にお前は心を救ったんだ…ナデナデ」
桃太郎「ウウ…グス…」
お菊「…ゲレちゃん…グス」
平蔵「お前は偉いやつだ…なあ…ナデナデ…」
桃太郎「…グス…グス…」

平蔵「桃太郎…ここはお前の家ではないであろう?」
桃太郎「うん…家はあそこの長屋だよ…」
平蔵「あとで役宅の方に来てもらわなければいけないが…今日はおママとパパスとやらに会え…な?…送っていってやる」
桃太郎「うん…ありがと…すごくそうしたい」
平蔵「オレもお前のおママやパパスに会ってみたいしな…これだけの男を育てた親に」

そうして2人で桃太郎の実家である長屋に歩いた

桃太郎「へへw…鬼平さん…全然鬼じゃないねえw」
平蔵「オレが鬼になるのは悪党にだけだw」
桃太郎「そっか…平蔵さん…」
平蔵「ん?」
桃太郎「平蔵さんも人を殺した?」
平蔵「ああ…たくさんな」
桃太郎「苦しいかい?」
平蔵「もちろん…だが、誰かがしなくちゃいけない事なら…オレがやるのさ」
桃太郎「カッコいいな…オイラ、そんな覚悟なんてないままやっちまった…」
平蔵「誰でも最初からそんな覚悟なんてねえよw」

そんな話をしているうちに、長屋に到着した

トントン
桃太郎「パパス…おママ」

お雪「ゲレちゃ~ん!…ギュ!」
吾郎「どうしたこんな時間に…あ!」
お雪「あ!」
平蔵「ああ!」
桃太郎「へ?」

吾郎とお雪は宿屋での件で、若き日の平蔵に会っていた

平蔵「桃太郎の両親はおぬしたちであったかw」
吾郎「へい…でもどうして長官様がゲレと?」
平蔵「ゲレ?」
桃太郎「ああ、オイラ小さい頃からこの2人にゲレゲレって呼ばれてたんだよw」
平蔵「ゲレゲレ?w…なんでまた…イジメられてたのか?」
お雪「そんな!イジメだなんて!」
吾郎「?」
桃太郎「おママ、パパス…普通ならゲレゲレなんて呼ばれてたらそう思うよw」
吾郎「な、なんだってえ?!…ずっとかわいいと思ってたのに…」
お雪「ね…」
平蔵「そ、そうかw」
吾郎「そ、それはそうと…どうして?」
平蔵「中に入ってもいいか?」
お雪「あ、どうぞ…」

平蔵「いやあ…それにしてもお雪さん…歳はとったとはいえ…若々しく美しいな」
お雪「あ、ありがとございます///」
平蔵「桃太郎が美男子なのも納得だw……オレが今日ここに桃太郎と一緒なのは…桃太郎の務めている蝋燭問屋にさっき賊が入ったからだ」
吾郎「え!!」
お雪「ええ!!…大丈夫なの?!」
桃太郎「ブフww…おママ…オレはこうして目の前に無事でいるじゃんか」
お雪「あ、そっか…」
桃太郎「おママ…ギュゥ…」
お雪「おお…よしよし…ナデナデ…かわいい子…どしたの、そんなに甘えて…嬉しいけど」
桃太郎「オイラ…今日、4人も殺しちまった…」
お雪「え?」
桃太郎「奴ら…4人も…グス」
吾郎「そうだったのか…堪えるな…ナデナデ」
桃太郎「パパス…ごめんよ…パパスの子なのに…人殺しだ…」
吾郎「いや…謝るのはオレの方だ…オレもおママを助けるためとはいえ、賊を殺した…」
桃太郎「…パパスも?」
吾郎「今まで…優しいゲレちゃんに嫌われたくなくて…言えなかった…ゲレちゃんは言ってくれたのに…卑怯だな、オレは」
桃太郎「そんな事ねえ!…パパスがそうしたから…オイラは今ここに居るんだ」
お雪「そうだよ…誰が悪いって責めたって、わたしは吾郎さんとゲレちゃんの味方よ」
平蔵「桃太郎…正しい事、悪い事…それが本当はなんなのか…オレにもいまだにわからねえ…だけどな…オレの目にはお前が正しく、そして誰より優しく見えるぜ」
桃太郎「平蔵さん…ありがとう」
平蔵「吾郎、お雪…お前たちのせがれは立派だなあw…こんな立派な人間を育てたお前たちは大手柄だなw」
吾郎「ありがとうごぜえます」
お雪「ありがとうございます///」
平蔵「桃太郎…今日は存分に2人に甘えて…ゆっくり寝ろ…明日になったらいつでもいいから火盗改の役宅に来い…なあに、ちょっとした事情聴取だ…な?」
桃太郎「うん…わかった…ありがとう」
平蔵「ではな…」
吾郎「はい…」
お雪「なんのおかまいも出来ませんで…」
平蔵「気にするなw…おやすみ」

そうして平蔵は帰っていき、桃太郎は返り血を清めて、着物を着替え、お雪と吾郎と抱き合って眠った

翌日
桃太郎「ああ…意外とよく寝た…」
おやえ「あ!…ゲレちゃん///」
桃太郎「お!おやえw…ひっさしぶりだなあw」

桃太郎はおやえの両脇に手を入れ、抱き上げた

おやえ「あははははwくすぐったいw」
桃太郎「あはははw…ごめんごめんw」
おやえ「ゲレちゃんたらパワフルぅ」
桃太郎「そうだろぉ?」
おやえ「うん、カッコいい///」
桃太郎「だろぉ?w」
おやえ「あはははww」
桃太郎「佐吉は元気か?」
おやえ「うーん…最近見てないからわかんないけど…たぶん元気だよw…バカは風邪ひかないって言うし」
桃太郎「ひでえww…おやえももう18なのに…嫁ぎ先ねえのか?」
おやえ「…ないよぉ」
桃太郎「かわいそうにw」
おやえ「ゲレちゃんもらって?」
桃太郎「ダメぇw」
おやえ「いじわる…」
桃太郎「ごめん…でもオイラおやえにいじわるした事ねえよ?」
おやえ「うん…だから好きなんだよ」
桃太郎「好き…か…けど…おやえにオイラは似合わねえ…もっと良い奴探せ」
おやえ「どうして?」
桃太郎「どうしても!…な?」
おやえ「う…ウル」
桃太郎「泣くなよぉ~」
おやえ「うん…泣いたらゲレちゃん困るもんね」
桃太郎「ああ…オイラさ、これからまた出かけるんだ…また今度な」
おやえ「うん…」
桃太郎「じゃな…ナデナデ…おママ~!…行ってくるわ~」
お雪「はーい!…気をつけてね!」
桃太郎「うん…チュ」
お雪「嬉しい///…チュ」
桃太郎「行ってくらあ」

それから桃太郎は、なんとなく急いで火付盗賊改の役宅へと向かった

平蔵「おお…来たか…久栄、この若者が桃太郎だw…イケメンだろ?」
久栄「まあ!…イケメンw」
桃太郎「あ、ありがと///…この美人さんは?」
平蔵「良かったなあ久栄w…この美人はな…オレのこれだ」

平蔵はおどけて小指を立てて見せた

久栄「まあw」
桃太郎「オイラ、久栄さん好きだ」
久栄「まあ…かわいい」
同心「おい!…口がすぎるぞ!」
桃太郎「あ?」ギロ
同心「う…」
平蔵「よせ、忠吾…そいつはお前が20人束になっても敵わねえぞ」
忠吾「そ、それはあまりにもひどい」
平蔵「うるせぇな…お前はあっち行ってろ…シッシッ」

平蔵にそう言われ、同心、木村忠吾はほほを膨らませ、その場を後にした

久栄「まw…おほほw…忠吾どのは相変わらず子どもだことw」
平蔵「全くだw…さて、桃太郎よ」
桃太郎「はい」
平蔵「お前はどうして…奴らに気付いたのだ?」
桃太郎「オイラ…あの店の主の加平さんに『婿養子になってくれ』って言われて…」
平蔵「おおw…すごいではないか、その若さで」
桃太郎「うん…ありがたい事だけど、オイラは断ったんだ…お菊ちゃんの事はそういう好きじゃねえからって…そしたらお菊ちゃんは泣いて部屋に駆けてった…オイラは追いかけたけど…なんて慰めていいかわからなくて…結局何も言えずに…そのまま仕事に戻って、終わったらすぐ寝たんだ…だから夜中に目が覚めちゃってさ…んで、厠に行って出てきたら、奴らが居て…お菊ちゃんの悲鳴が聞こえたから…オレはもう頭にきちまって殺した」
平蔵「なるほど…桃太郎はモテるだろうからなあ」
桃太郎「けど…傷つけちまうならモテなくていいや」
平蔵「贅沢な奴めw」
久栄「お優しい」
平蔵「ところで…桃太郎は遊郭には行ったか?」
桃太郎「うん…前に平蔵さんに会った後すぐに行ってみた」
久栄「ま!」
平蔵「抱いたか?w」
桃太郎「ううん…

桃太郎は遊郭での出来事を伝えた

久栄「まあ…桃太郎さんは本当に優しい…」
桃太郎「でも、せっかく平蔵さんがくれたお金…あの子にあげちゃった…ごめんよ」
平蔵「いや…これ以上ない使い方だぞw…あげて良かったわ…しかし、そんなイケメンなのにいまだに一度も?」
桃太郎「うん」
平蔵「もったいねえなw」
桃太郎「オイラさ…実は蝋燭問屋を辞めようと思ってたんだ…」
平蔵「なぜだ?」
桃太郎「元々最初からそう思ってた…おママとパパスを楽させてやるだけの金が出来たら辞めて、2人が死ぬまで一緒に居ようって…」
久栄「かわいい…グス…」
平蔵「こんな孝行息子、見たことない」
桃太郎「オイラがマザコンなだけだw」
平蔵「そうか?…お前はお雪さんを『守る』って決めているからじゃねえのか?」
桃太郎「…うん…そう」
久栄「どちらにしてもかわいい」
桃太郎「そう…オイラは守りたい…なぜか強くそう思う…だから平蔵さん…オイラに剣術を教えてください…お願いします!」
平蔵「だがお前は今でも十分強いではないか」
桃太郎「いや…オイラが今よりもっと強かったら…昨日だってきっと殺さねえで済んだんだ…殺さねえと怖かったから殺した…オイラはもっと強くなって…あんな奴らさえ救えるようになりてえ」
平蔵「ふうむ…立派だ…しかし、オレにも役目はあるからな…たまになら見てやれるが…道場を紹介してやろう」
桃太郎「本当?!…やった!」
平蔵「おい!…誰かいるか!…パンパン」

同心「は!」
平蔵「おお、沢田…ちょうど良かったw…この若者は桃太郎と申す者でな…沢田よ、おぬしの通ってた道場にな…紹介文を持って連れて行ってやってほしい」
沢田「かしこまりました!…それがしは沢田小平次という…よろしくな」
桃太郎「よろしく!」

それから今度は沢田と共に、沢田の元居た『小野田一刀流』の道場に向かった

桃太郎はその道場に入門し、翌日には蝋燭問屋に辞める事を伝え、それでもしばらくは蝋燭問屋がまた営業出来るまでは手伝った
午前中は道場に行き、午後は蝋燭問屋で働く
そして時折は平蔵の役宅に行き、稽古をつけてもらったり、久栄に甘えたりした
平蔵も久栄も自分の息子のようにかわいがった
桃太郎の剣の腕はみるみる間に上がっていき、1年も経つと、道場はおろか、平蔵も沢田も桃太郎には勝てなくなってしまった
それでも桃太郎は満足せず、修行に打ち込んだ

桃太郎22才
桃太郎は剣術の腕前が上がってくると、自分の剣が欲しくなった
そこで桃太郎は考え、ある日吾郎に言った

桃太郎「パパス…パパスのさ…」
吾郎「なんだい?」
桃太郎「パパスのグレートアックスさ…オイラにくれないか?」
吾郎「おお!…ダメと言うと思うか?w」
桃太郎「いやw…ここからが本題なんだ…そのさ、パパスのグレートアックスをさ…オイラ鍛冶屋に弟子入りしてさ…グレートソードに作り変えてもいいか?」
吾郎「…ふぅむ」
桃太郎「もちろんパパスが嫌ならやらねえ…けどさ…オイラはパパスと一緒に戦いてえ」
吾郎「ダメと言うと思うか?w」
桃太郎「ほんと?!」
吾郎「当たり前だ…どんな大切なもんも、ゲレちゃんにならあげるさ」
桃太郎「やったあ!!」
吾郎「だけど…グレートアックスより良い素材も探せばあるんじゃないか?」
桃太郎「いいや!…パパスの心が入ったグレートアックスがなにより強えんだ!」
吾郎「お前はまた…グス…」
お雪「鍛冶屋で鍛冶を習って自分で?」
桃太郎「当たり前だよ…おママ…パパスの心は誰にも預けられねえ…だからオイラがやるんだ」
吾郎「…ゲレちゃん…グス…」
お雪「ほんと…ゲレちゃんかわいすぎる…」
桃太郎「おママ…パパス…見ててくれよ…オイラ誰よりも強くなってさ…みんな守るから」
お雪「立派になって…グス…」
桃太郎「おママとパパスの子だからなw」
吾郎「…グッ…グス…」
桃太郎「すぐ泣くんだもんなw」
お雪「ゲレちゃんのせいだよw」
桃太郎「あのグレートアックス全部使った剣は相当強えだろうなあ」
吾郎「え?…おめえ、全部使うのか?…重すぎねえか?」
桃太郎「パパス…オイラをみくびらねえでくれ」

桃太郎はグレートアックスをヒョイと軽々と持ち、ありえないスピードでブンブンと振り回した

お雪「おお~///…カッコい~///」
吾郎「すげえw…片手でw…バケモンか」
お雪「ねw…すんごいパゥワ…けどこんなイケメンなバケモンは居ないもんね」
桃太郎「そうだよなあ…おママ…ギュゥ…」
お雪「…かわいすぎる///…ギュゥ」
吾郎「おめえはもう…オレなんかじゃかなわねえなあ」
桃太郎「そんなことねえ…オイラはまだパパスほど強くもねえ…おママほど優しくもねえ…だけど、今はそうでも、きっといつか2人が誰にでも誇れるようなオイラになるからよ」
吾郎(もう十分すぎるよ…ゲレちゃん)
お雪(そんなのもうとっくの昔から誇りだわよ…ゲレちゃん)

2人は感無量で、言葉も出なかった

桃太郎「へへw…グレートアックス…形は変わっても、どうかパパスの心はそのままでいてくれよな…そんで、オイラと共に戦おう…守る為に」
吾郎「…すげえ奴だ」
お雪「うん…だけどかわいいわたしたちの子」

そうして、桃太郎は鍛冶屋に弟子入りすると、持ち前の高性能さと努力で、たった1年でグレートソードに変えてしまった

桃太郎「出来たぜ師匠…かっけえだろ?」
師匠「かっけぇけどよ…それ刃が立ってねえじゃん…剣とは言えねえよ?」
桃太郎「バカだな師匠…コイツに刃があったら、みんな死んじまうじゃねえか…オイラは守る為に戦うんだ…殺す為じゃねえ」
師匠「かっけぇw」
桃太郎「だるるお?」
師匠「マジパネェw…しっかしよお…よくそんなでっけえの軽々とぶん回すよなあ…なんていうか…スパーキングだぜ…胸がパチパチするし、パトスもほとばしるぜ」
桃太郎「だるるお?」
師匠「けどあれだな…お雪さん、パネェいい女だなw…ケツもプリってよお」
桃太郎「おし、師匠…まずは師匠がこのグレートソードの実験台になりてえようだな」
師匠「さーせん!!…やめちくり~」
桃太郎「おママをエロい目で見ていいのはパパスだけだからな?」
師匠「さーせん!…ゲレよぉ~、おめえ、ソイツ作ったからもうここには用はねえだろうが…たまには来いよな…ウル」
桃太郎「当たり前だろw…泣くなよ年寄りめw…ギュ…」
師匠「ジジイは涙もろくていけねえな…」
桃太郎「目からパトスがほとばしってるぜ?w…で、パトスってなんだよw」
師匠「ggrks」
桃太郎「バーロー!」
師匠「さーせん!」
桃太郎「ま、いいやw…また来るぜとっつぁ~ん!」
師匠「おうwktkしながら待ってるぜwww」

こうしてグレートソードも手に入れ、桃太郎は更なる修行に打ち込む為に、子どもの頃に過ごした山小屋へとお雪と吾郎も共に住居を移すことにした

桃太郎「おママもパパスも荷車に乗ってていいからな!」
お雪「はあいw」
吾郎「オレは歩くよ///…恥ずかしいよ」
桃太郎「そうお?…けどよ、パパスがおママの隣に居ねえと、おママは寂しいぞ」
お雪「吾郎さ~ん」
吾郎「そ、そうお?///…じゃあ///」
桃太郎「走って行きたいとこだけど、おママがかわいそうだからゆっくり行くわ」
お雪「うん…おママ、ゲボぉってなっちゃう」
吾郎「ゲラゲラww」
桃太郎「寝たかったら寝てていいからな」
お雪「うん…ゲレゲレ…」
桃太郎「ん?」
お雪「んー」
桃太郎「なんだよもう…チュ」
お雪「へへ///」

お雪は現在52才…それでも見た目は40にも見えなかった
吾郎は何年経ってもお雪がかわいく、エロかった
お雪も吾郎にずっと甘えている
桃太郎はそんな2人でずっと居てほしいと思っていた

荷車で運ばれて、吾郎は最初のうちは視線が恥ずかしかったが、次第に慣れてくると、お雪と景色を楽しんだり、歌を唄ったりした

お雪「みーつめるきゃっつあい!…めーるせんぱし♪」
吾郎「みいどりいろにひかああるぅ♪」
お雪「あーやしくきゃっつあい!…めーるせんぱし♪」
吾郎「つぅきあかりあびてえ…」
みんな「うぃげっちゅう~♪」
桃太郎「お!…あそこで休憩しよう!…走るぞ~」


お雪「う~…ゲボぉ」
桃太郎「ご、ごめんよお…サスリサスリ」
吾郎「走るなってw」
お雪「むぅ…お腹がグルグルする…」
桃太郎「ごめんごめん…ほら抱っこ」
お雪「うん♪」
吾郎「どっちが親だかw」
桃太郎「ほら…お茶飲んで」
お雪「うん…グビ…ブハ!」
桃太郎「おぅわ!…なんだよぉw」
お雪「変なとこ入ったw…ゴホ…ゴホ!」
吾郎「ゲラゲラww…いやしかし…グレートソードかっけぇなあ…」
桃太郎「オイラのセンスいいだるるお?…ソイツを軽々持つあたり、やっぱパパスも相当だなw」
お雪「わたしも持たせて!」
吾郎「危ないから一緒にね」
お雪「おお~!…重いw」
吾郎「かわいいなあ、お雪は」
お雪「吾郎ちゃん///」
桃太郎「グレートソード持ってるときはイチャつくなよw」

お雪「せーいせいやー♪」
吾郎「しょおねんはみぃんなあ~♪」
お雪「せーいせいやー♪」
吾郎「あしぃたのゆうしゃあ♪」
みんな「こぶへーい♪」
桃太郎「おーし…そろそろ行こうか…おママ、お腹は大丈夫?」
お雪「大丈夫よ」
桃太郎「気持ち悪くなったらすぐ言えよ?」
お雪「うん…チュ」
桃太郎「おし、出発!」

そうして道中を楽しみ、懐かしの山小屋へと帰った
まずは掃除と脆くなった部分の修理をし、久しぶりにくつろいだ

桃太郎「なんかさ…思い出よりも小さく感じるわ」
吾郎「ゲレちゃんがおっきくなったからだよ」
お雪「真面目にやってきたからね♪」
桃太郎「なあ、2人はオイラの兄弟は作ろうとしなかったのか?」
吾郎「作ろうと頑張ったけど、ゲレちゃんしか出来なかった…」
お雪「うん…けどゲレちゃんは100人分の価値あるからね」
吾郎「そうだなあw」
桃太郎「ありがとw…けど兄弟って羨ましいな…おやえと佐吉もさ…なんだかんだで仲良しだもんな」
吾郎「そうだなあ…」
桃太郎「あ、ごめんな?…責めてはいないぜ」
お雪「うん…ゲレちゃん、おやえちゃんくらい連れてくれば良かったのに…ここにいたらお嫁さん出来ないよ?」
桃太郎「だからさ…おやえはそんなふうに見れないんだって…」
吾郎「かわいいけどなあ」
桃太郎「やめろってw」
お雪「ゲレちゃん、そんなイケメンで、その歳で童貞だもんなあ…」
桃太郎「それは言うなよw」
吾郎「まあ、たまには町行って恋を探せよな」
桃太郎「うん…オイラだって相手が欲しくないわけじゃないからな」
お雪「少し寂しいけど、応援してるよ」
桃太郎「うん」

それからまた山小屋での暮らしが始まり、1年ほど経ったある日、江戸の内海に謎の飛行物体が不時着していた
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