システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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そろそろ時間切れ

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 ここは、何故か妙に懐かしく感じる俺の部屋。
 照明も灯っていないけど、部屋のほとんどをベッドが占めているんだから、暗かろうがあまり関係はない。

 「ふぅ…」やっと帰って来れたよ…疲れた。

 何やかんやと色々な情報が詰め込まれた一日だった。
 いや、そもそも呼吸を止めて1秒…どころじゃなく、ずっと呼吸も心臓も止めて、宇宙空間で(多分)生身で動けるようになったって、俺…すげぇんじゃね?

 あの宇宙の果てで、『そろそろ時間であるな』っと、ひよこが呟いた次の瞬間、俺の身体(本当に生身なのか甚だ疑問だが)は何かに引っ張られた。
 もの凄い勢いで前から後ろへと流れる星々の明かりを見ながら、『俺の視界の中の星のどれぐらいが幻なんだろう?』なんてぼんやりと考える余裕も出来た。
 本当の所は余裕とかじゃなくて、諦めとも言うけど…。
 だって、俺の意見とかひよこは聞いてくれないしさ。
 何の前置きも無く、宇宙空間を引きずりまわされるしさ。
 諦めて全部受け入れるしかないじゃん?
 もう時間感覚なんてどっかに飛んでいっちゃったよ。
 全部受け入れると決めたら、結構心も軽くなるってもんだ。
 だから、のんびり周囲を見る余裕も出来るのさ。

 そう言えば、前世で好きだったロボットアニメでよく見たんだけど、宇宙空間でバーニアとかスラスターを吹かして飛び回ってるロボットってあったけど…あれっておかしいよな? だって前進するために背後の推進剤使っちゃったら、止まるためには逆方向に同量のエネルギーが必要なんだぜ?
 三次元機動とかしようもんなら、その逆の手順で同量のベクトルで加速しなきゃ止まれないはずなんだよ。
 なのに、アニメの中じゃそんな素振りも描写も無いよな?
 リアルロボット物とかって言ってた作品だって、その辺の物理法則を完全に無視してない? ってか、何であんなに製造し難いデザインなん?
 もっと量産に適した形状とかあるだろう!?
 ステルス意識した様なデザインの戦闘機とか登場してた作品で、どう考えてもレーダー映りまくりの形状のロボットとか、一貫性無さすぎんか?
 まぁ、その辺は言わない約束なのかもしれないけど……。

 そんな馬鹿な事を考えている内に、もの凄い勢いで減速し始めた。
 不思議と加速時にも減速時にもGは感じられない。
 ひよこ…凄えな!
 そして程なくして、俺は…そう言えば、俺の住んでる星の名前って何だろう? 
 とにかく、俺の住む星が俺の視界いっぱいに広がって、『ぶつかるーーー!』とか叫んでいたら、我が家の2階にある俺の寝室に立っていたってわけだ。
 
 うん、もう何が何だかわからんけど、俺が覚醒? 解脱? の力を使いこなせるようになれば、これぐらいの事が出来るようになるってのは良く分かったよ。

「さてさて、俺のコピーはどうなったかな?」
 
 ベッドの上を見ても例のコピ〇ロボットの姿は見えない。
 ひよこ曰く、そろそろ時間切れなので素体に戻ってるとか言ってたんだけど…?
 あ、隣室のシャワールームで倒れてた。
 えっと、こいつは回収して、俺の秘宝の隠し場所であるベッドの下に押し込んで…押し込んで…押し…込めない!?
「ん? ベッドの下に何かあるのか?」
 俺が覗き込むと、キラリと闇の中で4つの目が光った。
「んぎゃ!」
 猫か? 幽霊か? 魔物なのか!?
「マスターの新しい大人の玩具?」
「マスターのえっち!」
 のそりとベッドの下から這い出して来たのは、ミヤとヒナ…って、
「ミヤ! 新しいって何だよ! 大人の玩具なんぞ持ってねーわ!」
「「えっちなのは否定しなかった」」
 ……………否定したって、君達絶対反論するでしょ? 
「「大人の玩具じゃなかったら、コレ何?」」
 2人が小首を傾げて詰め寄って来たが、
「遠い世界のスーパーテクノロジーの産物…かな?」
 こう表現する以外、俺には答えようが無かった。 
「すーぱーてのころじ?」
 …それは何なのでしょうか、ミヤ君?
「違う、すぱーんってころし。ね?」
 可愛く小首を傾げても、内容がめっちゃ物騒だから駄目だぞ、ヒナ君よ。
「2人共全然違うぞ。遠い世界のとってもすごい技術で作られた物って事だよ」
「「へぇ~?」」
 あれ? せっかくちゃんと分かり易く説明してあげたのに、何この2人の反応は?
 そう言えば、この2人がそもそもダンジョンマスターが造り上げたスーパーどころかハイパーな存在だったっな!
 どっから見ても見た目も行動も普通の人の様にしか見えなかったから忘れてたよ。
 
「ところでマスター、アレほっといて良いの?」
「マスター、そろそろ扉の耐久性が限界だと推測します」
 ミヤが扉の方へと顔を向け、ヒナが推測した扉の耐久値を無表情で俺に告げた。
「あ、ああ…うん。さっきから聞こえてたよね、アレ。だからそのロボットを隠そうとしてたんだけど…」
 俺とヒナも寝室の扉の方へと顔を向けた。
 ドンドンドンドンドン………………。
 さっき、つまりは俺がこの部屋に入ってしばらくしてから、ずっと誰かが廊下側から扉を強打している音が続いていた。
「トール様! 今、私が癒して差し上げますからね!」「もちろん私も全力全開で癒そう!」「ミルシェさんも、イネスさんも落ち着いて。まず最初はこの第一夫人であるメリルからです!」
 あは、あは、あはははははは…はぁ。
 うん、今更誰かが…なんて言っても仕方ないね。
 嫁ーず3人が突撃して来てるのは、もう間違いないね。
 まあ、パーフェクトなホームセキュリティの我が家に侵入者なんてあるはずないし、どう考えても邸の中の誰かの仕業なんだけどさ。
「この扉、鍵の数増えてません?」「あらミルシェさん、本当ね。合鍵の数が足りないわ」「いっそう、扉を壊した方が早くないか?」
 何か物騒な事を言い始めたぞ、あの馬鹿嫁ーずは!
「待て待て待て待て! 今開けるから、ちょっと壊すの待てーーー!」
 外で『せ~の!』とか言い始めた嫁ーずに大きな声でそう言った俺は、渋々寝室の扉(数分前に見た時よりもかなりやつれ気味になった扉だが)へと向かった。 
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