システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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あなたは鬼や!

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『はぁ…。サラ、貴女は脳波操縦システムをきちんと理解出来てませんね…』
 散々木刀でサラが搭乗するウルスラグナをシバキ倒したリリアが、盛大にため息を吐きながら呟いた。
『はぇ? そんな事無いっすけど? ちゃんとコレも動かせてるじゃないっすか?』
  地下の格納庫の床に突っ伏しているサラ(が搭乗するウルスラグナ)が、呼吸を整えながら問い返すと、
『この機体は、動かすだけならだれでも出来るのですよ? 貴女も大奥様や大旦那様が、この機体で戦ったり飛翔したりしているのを知っているでしょう?』
 呆れた様にリリアがそう返した。

 リリアが言っているのは、先の帝国との戦でのウルリーカとヴァルナルが搭乗するウルスラグナの事だ。
 確かに2人はすぐに乗りこなし戦闘を行っただけでなく、飛翔をして立体的な機動までやってのけたのだ。
 
 基本的にウルスラグナの操縦には、体力は不要だ。
 操縦者は、ただ自らの意思をウルスラグナにヘッドセットを通じて伝えるだけ。
 それだけでウルスラグナは、まるで自らの手足の様に動いてくれるのだ。
 操縦者が操縦席に乗り込むと、全身隈なくエアバッグの様な物で席に固定される。
 せいぜい動かす事が出来るのは指先と目と口ぐらいなもの。
 その状態で自分の身体を動かすのと同じように、ただ思考するだけで良い。
 なので体力などは不要だ。
 代わりに精神力などは大きく疲弊するかもしれないが、それすらも自らの手足の様にウルスラグナを動かせるようになれば、無くなるはずである。
 現にウルリーカやヴァルナルは、ウルスラグナでの戦闘や飛翔を行っても、全くと言っていい程に疲れを見せていなかった。
 無論、戦闘や飛翔時の機動などは、ウルスラグナに搭載されている操縦補助機能のおかげでもあるのだが。

『そう言えば、あのお2人さんは何でも無い様に操縦してた気が…』
 リリアの言葉で、ウルリーカ達の操縦をサラは思い出した様だ。
『あの2人は決してチートな存在ではありません』
『いや、あの…リリアさん? 大旦那様は大概チートでは?』
『そんな素人2人がいきなり乗り込んで、あっという間に歴戦の戦士の様な動きを見せたのです』
『大奥様もかなりのチートなんじゃないかなぁ…って』
『これはひとえにこの機体の操縦補助機能あっての事。あのメイド型ロボなどは、もっと完全に私達とリンク出来ますが、そんな補助機能はありません』
『もしもし? 私の話…聞いてます?』
『ただでさえ戦闘向きでなく、格闘技なんて生まれて一度もした事も無い、運動音痴の残念思考でどんくさい貴女が局長と戦うのですから、せめて精神力ぐらいは鍛えてください』
『………めっちゃ失礼だな、おい!』
『この操縦補助機能には、格闘関連の様々な技術が詰め込まれています。つまりは、達人の技の補助機能が組み込まれているのですから、その動きに慣れて身に付ける事が出来ればもっと巨大ロボの操縦が上手くなるはずです』
『あんた、目茶苦茶に饒舌やな…』
『さあ、さっさと立ちなさい! その身体…精神に、達人の技を刻み込むのです!』
 そう言うと、リリアは(ウルスラグナが)手にした木刀を上段に構えた。
『鬼や、あなたは鬼や! あなたのようなお人とは、もう一緒にいとうない!』
 それを見たサラが絶叫した。
『それはかつて某少年サ〇デーに連載されていた村上も〇か先生の熱血剣道漫画である六〇四の剣の主人公の父親のライバルだった男の妻の台詞では無いか!』
『少数しか居ないであろうこの作品の愛読者の為に、長々と説明なセリフをご苦労さ……ぐはっ!』
『わけの分からん事を言うな!』
 サラの話の途中で、燃え盛る炎を背負ったリリアの上段からの鋭い一撃がサラの搭乗するウルスラグナを襲った。
 そして、サラの乗るウルスラグナは地に沈んだ。

『…ま…まさか不動明王が如き上段火の位を会得しているとは…』
 プルプル震えながら、地を這うサラが右手をリリアへと伸ばす。
 ちなみに、客観的に見れば、どっちも全く同一のウルスラグナである。
『いや、これもウルスラグナに搭載されている戦闘補助機能で再現できるんですが』
 操縦さえ上手く熟せば、誰もが武道の達人の技を模倣できるという、とんでもない能力を備えたウルスラグナであるが、何時までもそれをまともに使えないサラ。
 思考操作が何時まで経っても理解できず、常に操縦席で動くはずも無い体を一生懸命に動かそうと藻掻くサラには、この特殊な補助機能を発動できた事など一度たりとも無い…。
 まあ、どんな時であろうともネタやギャグ、ボケツッコミを脊髄反射でしてしまうサラなら仕方が無いのかもしれないが。

『み、見事だリリアよ…。免許皆伝…じゃ…。ガクッ』
 多少の衝撃はあるにせよ、痛覚など共有していないウルスラグナの操縦席で、何故かリリアの木刀を受けた衝撃で気絶したサラに、リリアは……、
『さっさと起きろ! それぐらいで気絶するわけないでしょうが! 訓練の続きをしますよ! 起きないなら、今度は修羅の突きを…』
『わぁーーーー! 起きます起きます、今すぐ起きますーーー!』
 リリアの背後に怒りに震える不動明王と阿修羅の幻影を見たサラは、瞬時に跳び起きるのであった。
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