1,456 / 1,466
あなたは鬼や!
しおりを挟む
『はぁ…。サラ、貴女は脳波操縦システムをきちんと理解出来てませんね…』
散々木刀でサラが搭乗するウルスラグナをシバキ倒したリリアが、盛大にため息を吐きながら呟いた。
『はぇ? そんな事無いっすけど? ちゃんとコレも動かせてるじゃないっすか?』
地下の格納庫の床に突っ伏しているサラ(が搭乗するウルスラグナ)が、呼吸を整えながら問い返すと、
『この機体は、動かすだけならだれでも出来るのですよ? 貴女も大奥様や大旦那様が、この機体で戦ったり飛翔したりしているのを知っているでしょう?』
呆れた様にリリアがそう返した。
リリアが言っているのは、先の帝国との戦でのウルリーカとヴァルナルが搭乗するウルスラグナの事だ。
確かに2人はすぐに乗りこなし戦闘を行っただけでなく、飛翔をして立体的な機動までやってのけたのだ。
基本的にウルスラグナの操縦には、体力は不要だ。
操縦者は、ただ自らの意思をウルスラグナにヘッドセットを通じて伝えるだけ。
それだけでウルスラグナは、まるで自らの手足の様に動いてくれるのだ。
操縦者が操縦席に乗り込むと、全身隈なくエアバッグの様な物で席に固定される。
せいぜい動かす事が出来るのは指先と目と口ぐらいなもの。
その状態で自分の身体を動かすのと同じように、ただ思考するだけで良い。
なので体力などは不要だ。
代わりに精神力などは大きく疲弊するかもしれないが、それすらも自らの手足の様にウルスラグナを動かせるようになれば、無くなるはずである。
現にウルリーカやヴァルナルは、ウルスラグナでの戦闘や飛翔を行っても、全くと言っていい程に疲れを見せていなかった。
無論、戦闘や飛翔時の機動などは、ウルスラグナに搭載されている操縦補助機能のおかげでもあるのだが。
『そう言えば、あのお2人さんは何でも無い様に操縦してた気が…』
リリアの言葉で、ウルリーカ達の操縦をサラは思い出した様だ。
『あの2人は決してチートな存在ではありません』
『いや、あの…リリアさん? 大旦那様は大概チートでは?』
『そんな素人2人がいきなり乗り込んで、あっという間に歴戦の戦士の様な動きを見せたのです』
『大奥様もかなりのチートなんじゃないかなぁ…って』
『これはひとえにこの機体の操縦補助機能あっての事。あのメイド型ロボなどは、もっと完全に私達とリンク出来ますが、そんな補助機能はありません』
『もしもし? 私の話…聞いてます?』
『ただでさえ戦闘向きでなく、格闘技なんて生まれて一度もした事も無い、運動音痴の残念思考でどんくさい貴女が局長と戦うのですから、せめて精神力ぐらいは鍛えてください』
『………めっちゃ失礼だな、おい!』
『この操縦補助機能には、格闘関連の様々な技術が詰め込まれています。つまりは、達人の技の補助機能が組み込まれているのですから、その動きに慣れて身に付ける事が出来ればもっと巨大ロボの操縦が上手くなるはずです』
『あんた、目茶苦茶に饒舌やな…』
『さあ、さっさと立ちなさい! その身体…精神に、達人の技を刻み込むのです!』
そう言うと、リリアは(ウルスラグナが)手にした木刀を上段に構えた。
『鬼や、あなたは鬼や! あなたのようなお人とは、もう一緒にいとうない!』
それを見たサラが絶叫した。
『それはかつて某少年サ〇デーに連載されていた村上も〇か先生の熱血剣道漫画である六〇四の剣の主人公の父親のライバルだった男の妻の台詞では無いか!』
『少数しか居ないであろうこの作品の愛読者の為に、長々と説明なセリフをご苦労さ……ぐはっ!』
『わけの分からん事を言うな!』
サラの話の途中で、燃え盛る炎を背負ったリリアの上段からの鋭い一撃がサラの搭乗するウルスラグナを襲った。
そして、サラの乗るウルスラグナは地に沈んだ。
『…ま…まさか不動明王が如き上段火の位を会得しているとは…』
プルプル震えながら、地を這うサラが右手をリリアへと伸ばす。
ちなみに、客観的に見れば、どっちも全く同一のウルスラグナである。
『いや、これもウルスラグナに搭載されている戦闘補助機能で再現できるんですが』
操縦さえ上手く熟せば、誰もが武道の達人の技を模倣できるという、とんでもない能力を備えたウルスラグナであるが、何時までもそれをまともに使えないサラ。
思考操作が何時まで経っても理解できず、常に操縦席で動くはずも無い体を一生懸命に動かそうと藻掻くサラには、この特殊な補助機能を発動できた事など一度たりとも無い…。
まあ、どんな時であろうともネタやギャグ、ボケツッコミを脊髄反射でしてしまうサラなら仕方が無いのかもしれないが。
『み、見事だリリアよ…。免許皆伝…じゃ…。ガクッ』
多少の衝撃はあるにせよ、痛覚など共有していないウルスラグナの操縦席で、何故かリリアの木刀を受けた衝撃で気絶したサラに、リリアは……、
『さっさと起きろ! それぐらいで気絶するわけないでしょうが! 訓練の続きをしますよ! 起きないなら、今度は修羅の突きを…』
『わぁーーーー! 起きます起きます、今すぐ起きますーーー!』
リリアの背後に怒りに震える不動明王と阿修羅の幻影を見たサラは、瞬時に跳び起きるのであった。
散々木刀でサラが搭乗するウルスラグナをシバキ倒したリリアが、盛大にため息を吐きながら呟いた。
『はぇ? そんな事無いっすけど? ちゃんとコレも動かせてるじゃないっすか?』
地下の格納庫の床に突っ伏しているサラ(が搭乗するウルスラグナ)が、呼吸を整えながら問い返すと、
『この機体は、動かすだけならだれでも出来るのですよ? 貴女も大奥様や大旦那様が、この機体で戦ったり飛翔したりしているのを知っているでしょう?』
呆れた様にリリアがそう返した。
リリアが言っているのは、先の帝国との戦でのウルリーカとヴァルナルが搭乗するウルスラグナの事だ。
確かに2人はすぐに乗りこなし戦闘を行っただけでなく、飛翔をして立体的な機動までやってのけたのだ。
基本的にウルスラグナの操縦には、体力は不要だ。
操縦者は、ただ自らの意思をウルスラグナにヘッドセットを通じて伝えるだけ。
それだけでウルスラグナは、まるで自らの手足の様に動いてくれるのだ。
操縦者が操縦席に乗り込むと、全身隈なくエアバッグの様な物で席に固定される。
せいぜい動かす事が出来るのは指先と目と口ぐらいなもの。
その状態で自分の身体を動かすのと同じように、ただ思考するだけで良い。
なので体力などは不要だ。
代わりに精神力などは大きく疲弊するかもしれないが、それすらも自らの手足の様にウルスラグナを動かせるようになれば、無くなるはずである。
現にウルリーカやヴァルナルは、ウルスラグナでの戦闘や飛翔を行っても、全くと言っていい程に疲れを見せていなかった。
無論、戦闘や飛翔時の機動などは、ウルスラグナに搭載されている操縦補助機能のおかげでもあるのだが。
『そう言えば、あのお2人さんは何でも無い様に操縦してた気が…』
リリアの言葉で、ウルリーカ達の操縦をサラは思い出した様だ。
『あの2人は決してチートな存在ではありません』
『いや、あの…リリアさん? 大旦那様は大概チートでは?』
『そんな素人2人がいきなり乗り込んで、あっという間に歴戦の戦士の様な動きを見せたのです』
『大奥様もかなりのチートなんじゃないかなぁ…って』
『これはひとえにこの機体の操縦補助機能あっての事。あのメイド型ロボなどは、もっと完全に私達とリンク出来ますが、そんな補助機能はありません』
『もしもし? 私の話…聞いてます?』
『ただでさえ戦闘向きでなく、格闘技なんて生まれて一度もした事も無い、運動音痴の残念思考でどんくさい貴女が局長と戦うのですから、せめて精神力ぐらいは鍛えてください』
『………めっちゃ失礼だな、おい!』
『この操縦補助機能には、格闘関連の様々な技術が詰め込まれています。つまりは、達人の技の補助機能が組み込まれているのですから、その動きに慣れて身に付ける事が出来ればもっと巨大ロボの操縦が上手くなるはずです』
『あんた、目茶苦茶に饒舌やな…』
『さあ、さっさと立ちなさい! その身体…精神に、達人の技を刻み込むのです!』
そう言うと、リリアは(ウルスラグナが)手にした木刀を上段に構えた。
『鬼や、あなたは鬼や! あなたのようなお人とは、もう一緒にいとうない!』
それを見たサラが絶叫した。
『それはかつて某少年サ〇デーに連載されていた村上も〇か先生の熱血剣道漫画である六〇四の剣の主人公の父親のライバルだった男の妻の台詞では無いか!』
『少数しか居ないであろうこの作品の愛読者の為に、長々と説明なセリフをご苦労さ……ぐはっ!』
『わけの分からん事を言うな!』
サラの話の途中で、燃え盛る炎を背負ったリリアの上段からの鋭い一撃がサラの搭乗するウルスラグナを襲った。
そして、サラの乗るウルスラグナは地に沈んだ。
『…ま…まさか不動明王が如き上段火の位を会得しているとは…』
プルプル震えながら、地を這うサラが右手をリリアへと伸ばす。
ちなみに、客観的に見れば、どっちも全く同一のウルスラグナである。
『いや、これもウルスラグナに搭載されている戦闘補助機能で再現できるんですが』
操縦さえ上手く熟せば、誰もが武道の達人の技を模倣できるという、とんでもない能力を備えたウルスラグナであるが、何時までもそれをまともに使えないサラ。
思考操作が何時まで経っても理解できず、常に操縦席で動くはずも無い体を一生懸命に動かそうと藻掻くサラには、この特殊な補助機能を発動できた事など一度たりとも無い…。
まあ、どんな時であろうともネタやギャグ、ボケツッコミを脊髄反射でしてしまうサラなら仕方が無いのかもしれないが。
『み、見事だリリアよ…。免許皆伝…じゃ…。ガクッ』
多少の衝撃はあるにせよ、痛覚など共有していないウルスラグナの操縦席で、何故かリリアの木刀を受けた衝撃で気絶したサラに、リリアは……、
『さっさと起きろ! それぐらいで気絶するわけないでしょうが! 訓練の続きをしますよ! 起きないなら、今度は修羅の突きを…』
『わぁーーーー! 起きます起きます、今すぐ起きますーーー!』
リリアの背後に怒りに震える不動明王と阿修羅の幻影を見たサラは、瞬時に跳び起きるのであった。
8
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる