システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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トールヴァルド領

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 トールヴァルドの領地では、領民はほぼ1か所に集中している。
 それはなぜか?
 元々この地は、未開の地であったところを、トールヴァルドが魔法(と言う名の精霊さんの力)で開拓した地だからであり、そこ街が出来る程度の広さしか開拓していないからだ。
 まあ、トールヴァルドが本気で開拓すれば、実はかなり広大な領地となる土地なのだが…彼は飽きっぽい上に忘れっぽいがため、ネス湖を造成したあたりで、開拓にも飽きて止めてしまったのだ。
 その代わりと言っては何だが、トールヴァルドは前世の現代地球の頃の記憶を頼りに、巨大なリゾート施設をネス湖の近くに建設した。
 これにより多くの雇用を生み出す事に成功した。

 この世界での領地運営は、主にその地方特有の産業により生み出される品々を商う事で、領主は経営を行っている。
 農業、林業、狩猟に牧畜、そしてそれらの加工業であったりと、手法は様々だ。
 無論、税収は生産関連だけではなく、人頭税やその他のその領地特有の税収もあるのだが、領地特有の税収の多くは違法な物やぎりぎり違法ではないがグレーな物などがある。
 まあ、そこまでしなければ領地を経営できない地であるならばお目こぼしも多少はあるのだが、そこまでして肥え太ろうとする腐れ領主がいるのも、また事実。
 
 そんなこの世界の領地経営に果敢に挑んだ新領主、それがトールヴァルドだ。
 彼は基本的に何の生産も行わず、リゾート地と化した街において、観光事業や巨大なカジノを含めた遊興施設の運営で、莫大な利益を上げていた。
 ただの巨大な透明度の高い湖なのに、その湖底に静かに佇む真っ白な女神ネス像など、ごく稀に湖上に姿を現すだけで、参拝者が日々絶えない。
 その御布施(賽銭箱に投げ込まれる小銭)など、驚くほどの金額となる。
 この世界初のリゾート施設など、言うまでも無いだろう。
 無論、山脈の向こうにある第9番ダンジョンの存在も大きい。
 ダンジョンで小金を手に入れた冒険者達が、トールヴァルドの領地の温泉街…主に娼館やカジノで散在してくれるので、はっきり言って濡れ手に粟である。
 まあ、その冒険者たちはトールヴァルドの父である、隣領…つまりはヴァルナル領で換金しているので、そっちでも税収もある。
 つまり、アルテアン一家の領地は儲かって儲かって仕方ない状態だ。
 とどめに、そのダンジョンで産出される魔石を利用した魔道具の開発にも力を入れた結果、全く新しい魔道具も数々生み出された。
 御存じ、魔石を利用した蒸気機関を動力とした車であったり、数多くの家庭用魔道具(地球では家電)などは広く普及しはじめている。
 それらの開発はトールヴァルドの領地の奥深く、先住民族であるエルフ族、ドワーフ族、人魚族などを保護している地区で極秘裏に行われている。
 まあ、そこにアドバイザーとして異世界から転移して来たユズキとユズカという2人の協力があったのが大きいのだが…それはまた別のお話。

さて、そんな儲かって儲かって仕方がない、成金伯爵のトールヴァルド伯爵が治める領地のど真ん中にある、とても透明度の高い(人造である事は内緒)ネス湖のその湖底の下の下。
 つまりは地底深くにある、とある施設では…。
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