システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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「ん…あ? ここは…」
 
 目が覚めた時、俺は何も無い真っ暗な空間を漂っていた。
 何を言っているのか、意味不明で自分でも良く分からんのだが、つまりは両足どころか体中の何処も地に付いてないって事は、たっぱり漂っているんだと思う。
 海とかを漂うのと違い、濡れている感覚も無いから、俺は宙に浮いてる?
 いや、ただ真っ暗だと思っていたこの場所だが、良く見れば遥か彼方でチラチラと明かりが見える…って、

「ここって、もしかして宇宙なのか!?」
 はっ! この前、宇宙に来た時と違って、明らかに俺ってば生身じゃんか!
 やぶぁいやぶぁいやぶぁいやぶぁい!
 息を止めなきゃ…って、それより先に…何すりゃいいんだよ!
「お? 目が覚めたようじゃな?」
 慌てふためく俺のすぐ横から、時代劇かぶれんもクソひよこ師匠の声がする。
 目覚めてすぐに思わず両手で口と鼻を抑えた俺だが、ひよこ師匠は普通だ。
 もしかして、そのひよこの着ぐるみは宇宙服ですか?
 って、ひよこの声が聞こえてる気がするんだが…、宇宙って空気無いよね?
 空気も無いのに、何で声が聞こえるんだ?
「そう慌てるでない。お主に呼吸など不要じゃと、さっきも言ったであろう? そもそも、お主の心の臓は止まっておるぞ?」
 な、なぬっ!?
 あ、本当だ…心臓止まってる…って、俺ってば死んじゃったのか!?
 ここは三途の川ですか? いや、宇宙って場所的に…天の川?
「言っておくが、お主は死んだりしておらぬからな?」
 ひよこさん、心を読むのは止めてもらえませんかねぇ。
 おっと、口と鼻を塞ぐ必要は無いんだったな。

 ひよこ曰く、俺は宇宙空間に生身で来ているそうだ。
 空気の無いこの宇宙空間で生きている事が出来るのは、俺が覚醒したからとか。
 つまりは、何度も聞いて来た事だが、俺が今まで持っていたあらゆる常識の枠を飛び出しちゃった存在となったそうだ。
 いまいち実感がないけれど…。
 だから、呼吸など不要だし、宇宙だろうが水中だろうが死ぬことは無いんだと。

「とは言っても、お主は決して不死の存在というわけでは無い。身体の80%も損傷すれば存在そのものが消えるだろう。それは則ち死んだという事であろう」
 身体が80%って…部位を敢て言わなかったって事は、もしかして頭とか心臓とかが潰れても大丈夫なのかな? 
「不死では無いからこそ、ここにはお主の半身を連れてきたわけなのだが」
 What did you say!?
「お主の邸には、お主の半身を置いて来た」
 ……いや、それはさっき聞いた!
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