システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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大爆発

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 この一週間、色々と頑張りました。
 まず、例の長い褌…っぽい布が地面に付かない様に、ダッシュする訓練。
 その速度を維持したままで、長時間走り続ける訓練。
 どちらもすぐに熟せるようにはなった。
 なりはしたんです。
 でもね…どれもあのトンネルの中でやってたんで、はっきり言って飽きます!
 だって、ずっと同じ風景が、ずっとずっと続くんだよ?
 一直線の風景が全く変わらない道を、延々と走り続けるのって、かなり疲れる。
 いや、飽きはしたんだけど、何故かそれをストレスに感じないのは、もしかしたら覚醒したからなのかもしれないけど、それでも飽きる物は飽きるんだよ。

 この1週間、ずっと俺の訓練に付き合ってくれてたユズキが、
「そうは言っても、伯爵様の速度で2時間走り続ける事が目標なんですよね?」
 当初、ひよこ師匠に言われた目標を確認してきた。
「うん、そうだけど…」
 1時間ちょっと走り続けて、あまりにも変わらない風景に飽き飽きして、つい俺のぼやいてしまったのを聞いてたらしい。
「いいですか? 時速100kmで2時間走り続けるという事イコール200kmの距離を走るという事なんですよ?」
 そりゃそうだけど…。
「無論、それがこの星基準の2時間なのかもしれませんが、それでもかなりの距離が必要なのはご理解してますよね?」
「ああ、うん…まぁ…」
「ここ、アルテアン領から王都までの距離を正確に計測した事はありませんが、馬車で15日間の移動が平均と考えると、誤差は大きいでしょうが道のりは約450
~550kmです」
 意外と近かったんだなぁ。 
「ホワイト・オルター号で空路100km弱で半日ですが、本当に真っすぐ飛んでいるとしたら、実際の直線距離は500km弱程度だと思います…が」
「が?」
「伯爵様は200km走らなきゃならないんですよね? ここと王都の間に、そんな直線の道なんてありますか? 日本の高速道路でも、直線で200kmなんてありませんよ? そこんとこ、理解出来てますか?」
 んぐっ…正論だ…。
「風景が変わらない? 仕方ないじゃないですか! そもそもここ以外に何kmもある直線の道なんて無いんですから、我慢してください!」
 あぅぅ…。
「真面目に走る伯爵様の為に、こうして毎晩毎晩時間計測にお付き合いしている僕の身にもなってください! 柚夏とも柚乃ちゃんとも『おやすみなさい』出来ないんですよ? 奥様達だって初日以来、ぜんぜん来られなくなりましたし、ここで僕1人でじっと待ってるんですよ? じっと同じ風景を見つめてるのは僕の方です! もう、飽き飽きしてるんですよ! ちょっと伯爵様、聞いてるんですか!?」
 ユズキ君、激オコ…。
「は、はい…。聞いてます…」
「大体ですねぇ、伯爵様はいつもいつも…………………………………………」

 この夜は、ユズキ君の溜めこんでいた不満が大爆発したそうな。
 その不満を全部受け止めたトールヴァルド君は、心に誓った。
 絶対にあの褌を手渡して来たひよこ師匠に、俺も文句を言ってやろうと。
 そして、周囲の誰にも迷惑を掛けないように、訓練内容の変更を願い出ようと。

「伯爵様! ちゃんと聞いてください! 柚夏ってば酷いんですよ!」
 いや、お前の嫁さんの事なんて、知らんがな…。
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