システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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不定時法?

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 まぁ、何が何だか良く分からないが、とにかくこの世界の時間ってのがあるって事は理解出来た。
 いや、よく考えたら当たり前なんだけどさ。
 ユズキの説明では、この世界…星で一般的に使用されているのは不定時法と言うらしく、日中と夜間で1時間の長さが変わるという。
 これは江戸時代から明治初期にかけて日本でも使われていた時刻法らしいが、日本と違ってこの星には明確な四季が無いので、一年中常にこの時刻法を採用しているそうだ…詳しくは理解出来んかったけど。
 ちなみに現代地球では、定時法といって1日を24分割して1時間の長さが決まっているんだって。
 んで、ユズキが持ってた時計は、この星独自の不定時法を元に造り出された魔石式の懐中時計だそうで、時代劇に出て来る様な和時計の機構と変わらないとか。
 いや、和時計の機構自体、知らんがな…。
 ユズキが持ってた地球産の時計で計測した時間と、この魔石式懐中時計で計測したこの星の時間を観測した結果、どれぐらい時刻がれているのかが分かったらしい。
 簡単に言えば、日中の1時間は地球の約45分程度で、夜間は逆に1時間20分ぐらいあるらしい。

 よく異世界物の小説とか漫画で、普通に24時間法を使ってるけど、それって結構あり得ない事らしい…とも、ユズキは言ってた。
 異世界の自分が立ってる星の自転周期や公転周期を正確に計測出来たうえ、季節などでの地軸の傾きまで計算して作られた24時間法が、四則演算ところか文字の読み書きすら出来ない世界の人に周知できるはずないとか何とか言ってた。
 熱く語るユズキの言葉に、ただ『うんうん、その通りだな』としか返事できなかった俺を誰が責めれようか。

 まぁ、そんな話はおいといて。
「それで伯爵様の走る速度を計算してみたんですが…途中で一休みとかしてたのなら正確には出ませんねぇ…」
 この世界の時刻法では正確な速度が出ないらしいので、ユズキは地球産の時計で(ストップウォッチ付き)計測したそうだが、
「も、申し訳ない…」
 イネスと話したりしてたし、帰りはイネスの速度に合わせてたからなぁ…。
「いえ、謝罪の必要はありませんよ? 覚醒した超人の走る速度を僕が知りたかっただけですから。でも、出来たらもう一回走って来てもらえたら…」
「ああ、勿論だ。もう一回走って来るから、今度はちゃんと計測してくれ」
 ま、俺も中途半端だったから、ちゃんと知りたいって気持ちあるしさ。
「あ、足を引っ張ってすまない。今度は私を無視してくれ」
 次もイネスは来る気なのね…。
「お2人をきちんと計測しますんで、全力でお願いしますね」
 ユズキの言葉に俺とイネスは共に無言で頷き、再び遥かな先にあるトンネルの出口へと身体を向けるのだった。
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