システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
1,444 / 1,466

対価は何だ?

しおりを挟む
「これはですね…」
 そう言ってユズキが、どっからどう見てもド〇ゴンレーダーにしか見えない時計を説明してくれたのだが、どうやら既存の魔道具とは一線を画した完成度を誇る、ドワーフさん渾身の作だった。
 何が凄いって、ダンジョンから冒険者が持ち帰る魔石を1個使用しただけで作成できる魔道具なので、非常に安価に量産できる可能性が高いって事だ。
 ユズキは時計の仕組みに付いて、力を込めて色々と話してくれたんだが、俺にはさっぱりわからん。
 かの有名な士郎〇宗先生はAppl〇 Seedという漫画の作中で、『原理は単純を、構造は複雑を極め、人は最も人らしく』と、とキャラに言わせていたが、この時計はまさにその言葉通りの逸品だ。
 しかも、懐中時計というにはちょっと大きいかも知れないが、それでも携行できる大きさで作る事が出来るなんて、マジで凄いと言わざるを得ない。

「それで、この…異世界時計とでも名付けましょうか。これが地球時間とどれほど違うのかと言いますと」
 そう言ってユズキが、愛用の執事服の胸ポケットから取り出したのは、
「お、おま…! それってG-SH〇CKじゃねーか! ど、どうしてそんなん持ってんだよ!」
 そう、ユズキが取り出したのは、アメリカ軍も採用したとか嘘か誠か知らんけど、一時期話題になった、耐衝撃と防水構造を持つ、世界一タフネスと名高いあの腕時計だ。
「しかもソーラー充電搭載モデルです!」
 おお、それ前世でむっちゃ欲しかった奴じゃん! じゃなくて!
「何でそんな物をお前が持ってるんだよ!」
 おかしいだろ! ここは地球じゃないんだぞ? 時計屋も家電量販店も無ければ通販だって無い世界で、どうやって手に入れたんだよ? 
 も、もしかして…柚希には地球から品物を取り寄せる能力があるのか?
 対価は何だ? 金か、金なのか? いいだろう、希望の金額を言いたまえ!

「あ、これは転移してきた時にしてた時計です」
「へっ?」
「スマホもありますよ? バッテリー切れちゃったので、もう使えませんけど」
「はっ?」
「あ、柚夏もスマホ持ってますよ。僕と同じように、もう使えませんけど」
「えっ?」
「充電ケーブルがあっても、電気も電波も無い世界じゃ使い物にならないですし」
「そりゃまぁ…」
「でも転移の時に持ってた物は、大事な思い出なので、全部大事に残してます」
「……そ、そうなんだ」

 よく考えたら当たり前の事だった。
 そりゃ、ユズキとユズカが、手ぶらのすっぽんぽんで地球から転移して来たなんて事は無いよな。
 手荷物とか持ってただろうから、そりゃ地球産のものがあっても不思議ではない。 
 え、スマホ知ってるかって? それぐらい知っとるわ! 馬鹿にすんな! 

「ちなみに、地球の時間とこの星の時間に差がある事がわかったのは、この時計のおかげです。一日の時間が地球時間よりも7時間ほど短いですね」
 そんなに違うのか?
「伯爵さまは、そもそもこの星の生まれなので、この星の時間感覚が身についてしまっているから、この差に気づかなかったのかもしれませんね」
「っと、言うと?」 
「伯爵さまの感じている30分は、地球時間の30分よりも随分と短いという事です。僕や柚夏は地球の30分で考えてましたので、転移してきた当初は随分とこの違和感に悩まされたものです」
 横で柚夏がうんうんと頷いている所を見ると、確かに違和感あったんだろう。
「まあ、今ではこの星の時間にも慣れてきましたけどね」
 そう言って、ユズキは優しい眼差しで、微笑んだ。
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...