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運動性能
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俺の領地と父さんの領地を隔てる山脈の裾野を貫通するトンネル。
全幅は平均で8.5m、全長はおよそ7km。
のんびり馬車で進んでも1時間ちょっと。
蒸気自動車の定期運行のバスであれば、片道35分ぐらい。
嫁ーずが所有しているスポーツタイプの蒸気自動車であれば、30分弱で通り抜ける事が出来る。
無論、バスも嫁ーずのうさぎちゃん号も、安全運転の速度を守りつつ走っての事。
トンネルは往復で14kmぐらいである。
ここを俺が全力で走り抜けるとして、えっと…100mのオリンピック選手並みの速度では七続けられたら…40分弱?
そんなスピードで走れたら、オリンピックの陸上競技総ナメだな…。
まあ、この世界の人族って、基本的に地球人よりも高性能な肉体を持ってるから、そもそも比較する事がおかしいんだけどさ。
「伯爵様、一応目標タイムをお伺いしても?」
真面目な顔でユズキがそう訊いて来たので、
「ん~~~っと、40分!」
ざっと計算した時間を告げておいた。
「40分…14km…時速37~8km/hってとこですか? それって、オリンピックの100m走の選手の速度と変わりませんよ? 無茶では?」
いや、難しいかも知れないけど、目標だし…あ、そうか!
「ユズキとユズカは、地球人の肉体のまま転移してきたんだっけ? それなら地球の常識的に難しいと感じるかもしれないけど、この世界ではちょっと頑張ったら、それぐらいの速度は出ると思うよ」
ユズユズ夫婦は、地球からこの世界に転移してきたんだから、肉体的にこの星の人族とは造りが違うはずだ。
それに地球の常識で考えたら、全力疾走を40分も続けるなんて出来っこ無いと考えるのは当然だろう。
むしろ、この目標時間を聞いて軽く流せるようだと、2人の常識を疑う。
「はぁ、確かに生身の僕と柚夏」なら無理ですけど、変身したら余裕ですよ?」
まあ、変身したら肉体強化されるもんね。
「柚希、一緒に走る?」
ユズカがそうユズキの顔を覗き込みながらそう訊ねたが、
「あ、いや…。僕はここでお茶の用意でもしておこうかと。奥様方もただ待つだけだと退屈でしょうし」
「私は退屈しないよ?」
「?」
「柚希と柚乃ちゃんがいてくれるんなら」
「柚夏…」
「柚希…」
……何だろう、この夫婦に負けた気になるんですけど。
ユズユズ夫婦の口から砂を吐きそうになるほどのラブラブっぷりを見せつけられて、思いっきりげんなり俺はしたんだが、嫁ーずは全く気にしてない様だ。
それどころか、
「そうよね、変身っていう手があったわ」
「それならこっそりついて行けるかも?」
「でもでも…私は激しい運動はダメって…お医者様が…」
「あ、私もです」
「消去法で、私が付いて行くか?」
何かこしょこしょと車座になって相談してた。
うん、まぁ…全部聞こえてるわけだけど。
トンネルって、めっちゃ音が響くし。
まあ、付いてきたいってのは分かるけど、これはあくまでも俺の修行。
嫁を引き連れて全力ダッシュなんて、ひよこ師匠に見られたら、もの凄く怒られそうな気がするんだよね。
「いや、ダッシュは俺一人でやるから。誰も連れて行かないからな」
だからここは心を鬼にして、はっきりと言っておこう。
「ええ、承知しておりますわ」
あら? メリルさん、簡単に納得した?
「ただ、変身したら、覚醒したトールさまと同等の走力を出せるのか…が気になっただけです」
な、なるほど…。
「えっと。変身したら、覚醒した俺と同等…? あれ、覚醒した俺の生身の身体って、変身したメリル達と同等の運動性能なの?」
「いえ、それを確認しようかと…」
俺の疑問に答えたのはマチルダ。
「もしも同等だったとして…そんなんで、管理局長に勝てるんだろうか?」
やれ覚醒しろだの解脱しろだのって、散々言われ続けてきたけど、これで本当に大丈夫なんだろうか?
全幅は平均で8.5m、全長はおよそ7km。
のんびり馬車で進んでも1時間ちょっと。
蒸気自動車の定期運行のバスであれば、片道35分ぐらい。
嫁ーずが所有しているスポーツタイプの蒸気自動車であれば、30分弱で通り抜ける事が出来る。
無論、バスも嫁ーずのうさぎちゃん号も、安全運転の速度を守りつつ走っての事。
トンネルは往復で14kmぐらいである。
ここを俺が全力で走り抜けるとして、えっと…100mのオリンピック選手並みの速度では七続けられたら…40分弱?
そんなスピードで走れたら、オリンピックの陸上競技総ナメだな…。
まあ、この世界の人族って、基本的に地球人よりも高性能な肉体を持ってるから、そもそも比較する事がおかしいんだけどさ。
「伯爵様、一応目標タイムをお伺いしても?」
真面目な顔でユズキがそう訊いて来たので、
「ん~~~っと、40分!」
ざっと計算した時間を告げておいた。
「40分…14km…時速37~8km/hってとこですか? それって、オリンピックの100m走の選手の速度と変わりませんよ? 無茶では?」
いや、難しいかも知れないけど、目標だし…あ、そうか!
「ユズキとユズカは、地球人の肉体のまま転移してきたんだっけ? それなら地球の常識的に難しいと感じるかもしれないけど、この世界ではちょっと頑張ったら、それぐらいの速度は出ると思うよ」
ユズユズ夫婦は、地球からこの世界に転移してきたんだから、肉体的にこの星の人族とは造りが違うはずだ。
それに地球の常識で考えたら、全力疾走を40分も続けるなんて出来っこ無いと考えるのは当然だろう。
むしろ、この目標時間を聞いて軽く流せるようだと、2人の常識を疑う。
「はぁ、確かに生身の僕と柚夏」なら無理ですけど、変身したら余裕ですよ?」
まあ、変身したら肉体強化されるもんね。
「柚希、一緒に走る?」
ユズカがそうユズキの顔を覗き込みながらそう訊ねたが、
「あ、いや…。僕はここでお茶の用意でもしておこうかと。奥様方もただ待つだけだと退屈でしょうし」
「私は退屈しないよ?」
「?」
「柚希と柚乃ちゃんがいてくれるんなら」
「柚夏…」
「柚希…」
……何だろう、この夫婦に負けた気になるんですけど。
ユズユズ夫婦の口から砂を吐きそうになるほどのラブラブっぷりを見せつけられて、思いっきりげんなり俺はしたんだが、嫁ーずは全く気にしてない様だ。
それどころか、
「そうよね、変身っていう手があったわ」
「それならこっそりついて行けるかも?」
「でもでも…私は激しい運動はダメって…お医者様が…」
「あ、私もです」
「消去法で、私が付いて行くか?」
何かこしょこしょと車座になって相談してた。
うん、まぁ…全部聞こえてるわけだけど。
トンネルって、めっちゃ音が響くし。
まあ、付いてきたいってのは分かるけど、これはあくまでも俺の修行。
嫁を引き連れて全力ダッシュなんて、ひよこ師匠に見られたら、もの凄く怒られそうな気がするんだよね。
「いや、ダッシュは俺一人でやるから。誰も連れて行かないからな」
だからここは心を鬼にして、はっきりと言っておこう。
「ええ、承知しておりますわ」
あら? メリルさん、簡単に納得した?
「ただ、変身したら、覚醒したトールさまと同等の走力を出せるのか…が気になっただけです」
な、なるほど…。
「えっと。変身したら、覚醒した俺と同等…? あれ、覚醒した俺の生身の身体って、変身したメリル達と同等の運動性能なの?」
「いえ、それを確認しようかと…」
俺の疑問に答えたのはマチルダ。
「もしも同等だったとして…そんなんで、管理局長に勝てるんだろうか?」
やれ覚醒しろだの解脱しろだのって、散々言われ続けてきたけど、これで本当に大丈夫なんだろうか?
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